王の気質を持つ者が覇を競い合う猛者の海を、一隻の海賊船が往く。
その船の一室で、一つのグループが新聞に視線を落としていた。
「麦わらのルフィがビッグ・マムの暗殺未遂ねぇ」
新聞を広げている船長、藤丸立香が見出しを呟くと、脇から顔を覗かせた者達が口々に話し出す。
「見て見て船長さん! 麦わらのお兄さんの懸賞金が上がってます!」
「15億ベリーだって! 私達より低いけど、凄いよねお母さん!」
「それって確か、動物園みたいな船のトカゲさん達と同じ位の筈だわ」
「お菓子の国の人達を倒したのね、凄いわ」
「こちらの黒足さんも凄いです。3億3000万ベリー、私の倍はありますよ」
そう言って各々の感想を述べるジャンタ・リリィ、ジャック、ナーサリー、アビゲイル、アルトリア・リリィ。そんな戦闘員兼マスコットの幼女五人組の頭を撫でつつ立香は続ける。
「そうだねぇ。それも凄いけど、私はこっちの方が気になるかな」
立香は記事のある部分を指して続ける。
「『七つの海賊団を傘下につけた、5000人を越える子分を持つ』だって。個々人の実力はともかく、人数は完全に向こうが上だよ」
その言葉を聞いて立香が落ち込んでると感じたのか、アルトリア・リリィ──アリィが慌てた様に言った。
「大丈夫ですよマスター! イスカンダルさんやメディアさん、ローマの皇帝さん達がいれば人数はひっくり返せますよ!」
その言葉に追従する様に他の四人も頷く。立香はそんなアリィの心配を笑って否定した。
「あはは、ゴメンゴメン。悲観してた訳じゃないんだ。寧ろ喜んでたんだ」
立香の答えに疑問符を浮かべる五人に、先程から話を聞いていたもう一人が沈黙を破った。
「立香ちゃんはね、麦わら達との同盟を考えていたんだよ。前々からね」
そう答えたのはレオナルド・ダ・ヴィンチ(ライダー)だ。この船の操舵班のリーダーたる少女の言葉に驚く五人。詳しく訊こうとして…
緊急を知らせる電伝虫が鳴いた。
『こちらポルクス! マスター、11時の方向に海軍です!』
通信越しに叫んだのは、航海士班をまとめるディオスクロイ兄妹の妹ポルクスだ。
それで先程までの和やかな雰囲気は何処へやら、一気に緊張感を帯びてきた。
「規模は?」
『軍艦が三隻、人数は1500程!』
『どうやら将校が乗っている。恐らく外様の大佐か中佐だろう、舐められたものだな』
そう語るのは兄カストロだ。言葉の全面に不機嫌が滲み出ている。
それと同時に、扉の外から立香達のいる部屋に向かってくる騒がしい足音が聞こえてきた。その音の主は間髪入れず乱暴に扉を開く。
「マスター! 敵襲か!?」
やって来たのは叛逆の騎士モードレット、その妹分フラン、諫め役のヘンリー。通称ロンドン組だ。
モードレットに頷き一つ返し、船内への全体通信を入れる。
「こちら船長室の立香、たった今敵襲の知らせがありました。敵は海軍の軍艦三隻、将校が乗っている可能性大。総員戦闘態勢、今回も完全勝利でいくよ!」
号令と共に、一騎当千のサーヴァント達は飛び出していった。
数分後、三隻の軍艦は乗っていた海兵達と共に海に沈んだ。
これが『海軍殺し』と名高い、カルデア海賊団の日常だった。
懸賞金額は後々纏めて出します。