ユダの黙示録   作:神代リナ

11 / 59
やっと初日がおわったぁぁぁぁ!
次話からは、しばらく実戦はほとんどありませんが、戦闘シーンはあります!


第十話 一日の終わり

 私たちは、お昼ご飯を食べたあと、4人でかなりの時間喋ってしまった。別に会話の内容は大したことはない。

 個々の近況報告や近くにある武器屋が新しく仕入れた武器の評判、Aクラスの恋愛の噂……まぁ、本当になんてことはない会話だ。

 

 ……それでも、いつ死ぬか分からない私たちにとっては、こんなどうでもいい会話をしている楽しい時間が、とても大事なのだ。

 

「じゃ、また明日」

 

「また明日、校舎で会いましょう」

 

 そう言って、恵梨香と胡桃の2人は去って行った。

 

「氷華、楽しかった?」

 

「はい、2人とも面白い人でした。……またいつか、こんな風に4人で楽しめる時間があれば良いですね」

 

「……そうね。きっと、いや、多分、またこんな時間を過ごせるわ」

 

 私は、きっと過ごせる、とは言い切れなかった。

 この世界は理不尽だ。

 どれだけ、善行を積もうと……一切悪いことをしなくても、災害に等しい圧倒的な力が突然現れて……あっさり人間は殺されるのだ。

 だから私は……言い切ることは出来なかった。

 

 窓から外を見る。

 真っ暗になりつつある……もう夕方か。

 もちろん、夕焼けなんてものは見れない。

 空は、いつでも分厚い雲で覆われているのだから。

 

「じゃ、私はあのバカが壊して行ったドアを直しとくから……あなたは部屋に入って暇つぶしでもしてて」

 

「分かりました」

 

 ……さて、この豪快に破壊されたドアをなんとかしよう。

 もちろん、私は物理的にこれを直す手段はないので、魔術でどうにかするしかない。

 

「……復元(リストア)

 

 私がそう唱えると、ドアは淡く輝きながら瞬時に壊れる前の姿に戻る。

 ……汎用魔術、ひょっとして戦闘よりも日常での方が使えたりする? 

 

 ま、いいや。

 一応、ドアを何回か開閉したが、大丈夫そうだ。

 私も、部屋の中に入る。

 

 部屋の中を見渡す。

 氷華が、机に座って必死に何かを書いていた。

 近づいて、横から覗き込んでみる。

 

 ……火属性魔術の術式か。

 しかもこれ、一番単純な術式"魔弾"のヤツ……この子、自分の適合属性火だったよね。

 

 ……間違いだらけね、これ。

 ていうか、火属性なのに温度下げてる式あるし。

 ……大丈夫かしら? この子。

 

「ねぇ、氷華」

 

「……」

 

 彼女は、魔術式を書いてるのに熱中してて気づかない。

 肩を揺らしてみる。

 

「ひゃ、ひゃい! ……痛い……」

 

 この子、びっくりして舌噛んじゃってるし……。

 

「大丈夫……?」

 

「だ、大丈夫です。それで、何ですか?」

 

「ここ、温度下がっちゃってるわよ」

 

 私は、間違っている場所を横から指差す。

 

「あ、ほんとですね」

 

「あと、ここも……」

 

 途中、近くのコンビニで買ってきた弁当を夕食として食べたり、シャワーを交代で浴びたりしながら、私たちは魔術式を結局21:00まで書き続けた。

 

「……もう消灯時間ね」

 

 寝巻きに着替えながら、私はそう呟く。

 

「そうですね。今日は、ありがとうございました」

 

 ……やたら氷華は嬉しそうだ。

 魔術式なんか書いたって楽しくないだろうに。

 

「じゃあ、電気消すから。貴女は早く上に登って」

 

 氷華は、二段ベッドの上だから、彼女が登ってから電気を消さないと大惨事になりそうだ。

 

「はい、おやすみなさい。宵月先輩」

 

 私は、電気を消して、自分のベッドに潜り込む。

 目を閉じる前に、スマホを開き、情報屋と書かれたアドレスに1本のダイレクトメールを送ってから眠りについた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。