……私の身体は地面に叩きつけられる。
防御魔術を詠唱する時間もなかった。
無詠唱という手段もあったが、残念ながら私は防御魔術を無詠唱出来るほど使い込んでいない。
「痛いなぁ……にしても、まさかあなたが無属性の召喚魔術を使えるとは知らなかったわ。固有属性、火じゃなかったの?」
「アタシの固有属性は火で合ってるわよ。ただ……この子を呼び出せる召喚魔術も使えるってだけで」
「……二重属性持ち、ね。まさか、あなたもとはね」
「本当は、この子は使いたくなかったけど……これもあなたを倒すため。さぁ、瑠奈。ここからどうするの、あなたは?」
身体中が痛む。
制服もボロボロだし、髪も大変なことになっていることは容易に想像出来る……残り時間は1分、か。
1分で恵梨香を倒さなきゃならない
にしても、距離は取られたし、強力な神獣である
「宵月瑠奈」
「何よ」
「もう、その剣を抜くしかないんじゃない?」
その剣……恵梨香が言ってるのは、私が腰に差しているこの白銀の剣"魔剣フォティア"のことだろう。
……彼女の言う通りにするのも癪だがそれが一番確実かつ手っ取り早い。
私は、フォティアの
「そう、そうよ! 早くその剣を抜きなさい、瑠奈!」
そして、今まさに抜刀しようとしたその瞬間。
脳裏にあの流星がよぎる。
あの日、あの時。
暗闇を照らした、美しくも儚い閃光。
私の魔剣は……まだ、あの域まで行っていない。
そんな中途半端な剣を使っていいのだろうか?
私は……。
私は……!
私は……あの流星を裏切れない。
裏切ったら……私は……。
私は、剣の
「……瑠奈? 嘘、よね? ここから……立て直すには、その剣が、要るわよね?」
「……ここに
「ッ⁈ 足が……」
そう唱えると、グラウンド中が凍りつく。
もちろん、恵梨香の足も。
本来なら、恵梨香の全身が凍るはずだったが、
まぁ、いいや。
「
そう唱えると、私は恵梨香の後ろに瞬間移動していた。
本来なら、恵梨香に警戒されてたから使えなかっただろうけど……私が剣を抜かなかったことと氷属性魔術を使ったことに動揺していたから使うことが出来た。
思いっきり力を込めて、彼女の首元に手刀をかます。
「あ……る、な……」
彼女の意識は飛び、身体が倒れかけるが、それを私が受け止める。
ジャスト3分、決着はついた。
術者の意識がなくなったため、
「……ごめん、恵梨香」
今日も私は……あの剣を抜くことが出来なかった。
二重属性持ち
たまに、二つの適合属性を持つ魔術師が生まれることがある。二重属性持ちになる原因は未だ不明であるが、神の残滓が関わっていると予想されている。
上位氷属性魔術の一つ。広範囲の対象を凍らせることが出来る。ただし、消費魔力が多い。
汎用魔術の一つ。視界内の指定ポイントに瞬間移動することになる。テレポートする距離に応じて、消費魔力が変わる。
不死鳥くんと魔剣の説明はまだしません。