この作品の零章は学園が舞台となっており、それゆえ登場人物の多くは思春期真っ盛りの学生です。なので、零章時点で登場人物の行動目標がきちんと定まっていない設定となっております。だって、高校生なんてそんなんでしょ? 先のことなんて分からなくて、悩みはたくさんあって、やりたいことなんてあやふやで、時には間違った選択をしちゃう……でも、その経験を後になってから活かして成功を目指して行くんですよ。
と、私は思ってるのでこうしましたというお話。
それでは本編をどうぞ!
……落ちる、落ちる、落ちる。
航空機から空へと落ちた私たちは、もの凄い速度で地上へと向かって落ちて行く。
でも、地上へ着くまでまだまだ時間がかかりそうな気がする。
高度が高いから寒い。
空気が吸えなくて苦しい。
正直、地面にぶつかりそうで怖い。
悲鳴をあげたい。でも、舌を噛むかもしれないからそれは無理。
酸素が足りないからか……親への期待を応えるためだけの人生なら、なくなっても良いんじゃないのか?
なんて考えが脳裏を過ぎる。
……しっかりしなさい、宵月瑠奈!
あ、地面が見えて来た。
あと、100m落ちたら、魔術を使おう。
……今だ!
「テレ……ポート」
そう、小声で呟く。
舌は噛まなかった。
視界が一瞬暗転する。
……視界が元に戻って最初に感じたことは。
「……空?」
そう、空が見える。
いつも通り、黒くて分厚い雲に塗れている空が。
……何故?
私の
だから、今私は地面に立っているはずだ。
断じて、空が見えるはずがない。
遅れて、腹部にじんわりと痛みが広がる。
……女の子の日? だとしたら間が悪い……って痛みの種類が違う気がする。
というよりか、重みも感じる。
まるで、私のお腹の上に人が乗っているような……って、乗ってた。
和美先輩が。
あぁ、今の状況を理解した。
要するに、
でも、なんで和美先輩が失敗したんだろ?
……まだ、私のお腹にいるんだけど、和美先輩。
流石に辛い。
「……先輩、重いです。退いてください」
「ごめんなひゃい。ひま、どうわ(ごめんなさい。今、退くわ)」
……滑舌がちょっと、いやかなり悪い。
あと、和美先輩はちゃんと退いてくれた。
私もちゃんと立ち上がる。
「……舌、噛みました?」
「……ッふう、痛かったぁ。ちょっと、大声で詠唱しすぎたのが悪かったわね……瑠奈、私重かった?」
最後だけ、めちゃくちゃ深刻そうに聞いてくる。
……もし、重いと言ったら、私が蜂の巣にされそうですらある。
正直、重かった……別に先輩は、適切な体重である。ただ、普通に二つ歳の離れた人をお腹に乗っけたら重いだけで。
「軽かったです。一瞬、先輩がお腹の上にいるのに気づかなかったくらいには」
「あら……ふふ、褒めても何も出ないわよ」
めちゃくちゃ嬉しそうだ。
改めて辺りを見渡す……比較的舗装された道路、聳え立つ新しめのビル群……流石、管理局がある場所なだけはある。
再建されてるなぁ。
しかし、人はあまり居ない。近くで戦闘が起きてるから当然と言えば当然だが。
ちょっと離れた所から煙が出ている……あそこが戦場だろう。
私は、M9A3を懐から取り出し、安全装置を外す。
「先輩、行きましょう」
「えぇ、手遅れになる前に急ぎましょう」
私たちは、己の武器を持って戦場へと向かう……。