ユダの黙示録   作:神代リナ

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第三十四話 貴族の戯れ

 ……よしっ、時間に間に合った。

 私たちは今、桜木家の所有している建物の前に立っている。

 

 現在の時刻は19:37。

 パーティーの開始は20:00。

 全然セーフである。

 

 ふう……氷華が私の目の前で着替えるのを若干躊躇したからドレス選びに苦戦したわ。

 ……自分一人じゃ着れないのに、全く。

 まぁ、人前で下着姿になるのが恥ずかしいってのは分かるが。

 

「ねぇ、氷華」

 

「はい、どうしました?」

 

 私は、横にいる青いドレスに身を包んだ氷華を見る。

 ……こう見ると、氷華って凄い美少女ね。

 いつもの服装だと、若干の地味さがあるけど。

 はぁ、結局眼帯は付けたままなのよね……外せば絶対にもっと可愛く見えるだろうに。

 

 ちなみに、私は白のドレスを着ている。

 

「この建物って、なんかあれっぽくない? えーっと、そうそう、教会ってヤツ」

 

「あぁ、そう言えば教科書の写真で見た教会の面影がありますね」

 

 目の前の建物には、かつて世界で最も信仰されていた統一聖教という宗教の信者が使っていた施設、教会によく似ている。

 もう、ほとんどの人が神様なんて信仰していないけど……こういう建物は残り続ける。

 そう考えると、なんだか感慨深いものがある。

 

「いらっしゃいませ」

 

 この建物の入り口前には、執事服に身を包んだ男の人がいた。

 ふむ、招待状を渡せという事か。

 

「はい、どうぞ」

 

「お願いします」

 

 私と氷華は、その男に招待状を手渡す。

 男は、招待状をさっと確認した後。

 

「武器はお持ちですか?」

 

「えぇ。氷華はどう?」

 

「私は持ってないです」

 

「では、宵月様はお持ちの武器をお渡しください。我々が責任を持って、このパーティーが終わるまで管理致します」

 

 あ、身バレしてる……まぁ、そりゃそうか。

 それはそうと武器ね……あぁ、ハンドガンをレッグホルスターに入れてたかな?

 身を屈め、太もも部分にあるホルスターからM9A3を抜き取り、男に手渡す。

 

「ありがとうございます。それでは、本パーティーをお楽しみくださいませ」

 

 そう言うと、男は扉を開ける。

 私たちが中に入ると……。

 

「おー、結構もう居るね」

 

「……!」

 

 少なくとも、50人以上のフォーマルな衣装に身を包んだ生徒たちが談笑していた。

 彼らのほとんどは見覚えがある。

 要するに上級生である。

 

 割と早く来たはずなのだけど……みんな割と暇なのか、それとも……これからキツイ現実を突きつけられる新入生に最初で最後の夢を見せてやりたくて張り切っているのか。

 

 はてさて、真相はどっちなのやら。

 少なくとも、私は……。

 

「あっ、宵月先輩! あそこに恵梨香さんが居ますよ! 行きましょう」

 

「うん、分かった」

 

 夢を見せてやりたい。

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