ユダの黙示録   作:神代リナ

41 / 59
第三十九話 蒼山氷華

 氷華と和美が相対していたのと同じ時。

 瑠奈の元にもまた、1人の人間が来ていた。

 

 2022年 4月19日 22:37 学生寮前

 Side:宵月瑠奈

 

 ……こんな遅くに用事か。

 うーん、氷華どうしたんだろ?

 まぁ、寮に帰って来たら聞けばいいか。

 

 そんな事を思いながら、夜道を歩いていると……。

 正面から、1人の男子生徒がこちらに歩いて来る。

 秋風武装学園高等部の制服を来た、灰色の髪の男子。

 あぁ、そういえばダイレクトメールを送ったっけ。

 

 私たちは、すれ違う。

 

「ご機嫌よう、お嬢さん」

 

「こんばんは、ネズミさん」

 

 そう、一言だけ交わして。

 そして、手にはいつの間にか十数枚のA4用紙が握られていた。

 あとで、彼の口座(最も本当に彼本人の口座かどうかまでは知らないが)にお金を振り込まなきゃね。

 

 

 

 

 

 

 2022年 4月19日 22:44 学生寮

 Side:宵月瑠奈

 

 自室に戻って来た私は、ドレス姿のまま椅子に腰掛けて、机に置いた例の資料に目を通す。

 

「相変わらず、アイツはどこから情報を抜いて来てるのやら」

 

 蒼山氷華、現年齢15才。

 誕生日は、9月17日。

 家族構成は、父・母・妹だったけど、父と母は既に他界。恐らく原初派との戦闘によるもの。

 両親と彼女自身は魔術師だけど華族や皇族とかではなく、一般家系出身……ただ、第三次大戦前まで彼女達蒼山家はとある神社の神主をしていた。

 

 ……うん?

 蒼山家のとこに注釈が……。

 へぇ、普通の神社ではない可能性有り、ね。

 情報屋が得られなかった情報か……一体何を信仰していたのやら。

 

 適合属性は氷……私に言った火属性は嘘って訳ね。

 なんで、嘘なんかついてるんだか。

 

 次に彼女の経歴か。

 ……幼少期のある時点から情報が抹消されてる?

 見れば見るほど胡散臭いというか。

 

「私や宵月先輩の憧れの人は貴女の味方ですよ。仮に何があっても、です」

 

 ……私、この言葉を信じていいのかしら?

 まぁ……これは置いておこう。

 

「あとは……これでめぼしい情報は終わり、か」

 

 はぁ、疑念が深まるばかりだ。

 確かに、この世界は裏切りや腹の探り合いばっかだ。

 ただ、なんだろう?

 

 可愛い後輩くらいには、疑念を抱きたくないものだ。

 

 おっと、ドアの開く音がした。

 氷華が帰って来たね。

 そっと、今まで見ていた紙束を適当な教科書の中に滑り込ませる。

 

 ……色々、知ったけど。

 実際の彼女をもっとよく知ってから、この事をたずねるとしよう。

 

「ただいまです、宵月先輩!」

 

「おかえり、氷華」

 

 私は、笑顔で彼女と顔を合わせた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。