ユダの黙示録   作:神代リナ

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第四十一話 呪いへの坂道

 2022年 5月3日 05:03 秋風武装学園地下司令部

 

 あの歓迎会から約二週間が経った。

 これまでの間、私と氷華は、授業を受けたり、2人で自主訓練をしたり、近くのお店に2人で買い物したり……平穏な日々を過ごしていた。

 ……もちろん、その間に氷華の行動はよく見ていたが、特に怪しい動きはなかった。

 

 だが、そんな平穏は終わりを告げる。

 今日の朝起きたら、私たちの携帯端末には特別課外作戦……まぁ、前回のD-3地区偵察任務の続きを行うとの連絡が来ていた。

 

 そんな訳で、作戦の詳しい説明を聞くために学園の地下にある司令部へと来ている。

 若干薄暗く、軍服を着ている大人の人たちが忙しく歩き回っているこの場所の隅の区画で、青年将校からの説明をパイプ椅子に座りながら私たちは聞く。

 

「良く来てくれたな。さて、作戦の説明を早速だが行おうと思う。D-3地区の一部……前回、君たちが偵察をし終えた所までの地域を国防軍が奪還、そこに小規模な前線基地を設置した。今回は、この前線基地を拠点として数日間に渡って偵察任務をしてもらう。前回とは違い、慣れない場所で連続して任務を実施するため、気をつけてくれ」

 

「「了解」」

 

「続けるぞ。それで、今回は旧新宿駅付近に存在する破棄された国防軍D-3地区砲撃陣地まで偵察をしてもらう。地図は、携帯端末を参照してくれ。前線基地設営分も更新してあるから安心してくれ。あと、今回は前回とは違い、きちんと敵にバレないように対策をしてもらう。前回は、正直バレても仕方ない状況だったからな……。まぁ、それはいい。で、これがその対策用の品だ」

 

 と、彼はとあるものを取り出す……ってこれってただの。

 

「制服だ」

 

「ただの制服ですね」

 

 私たちは、思わず声に出してしまう。

 でも、これ……違和感を感じる。

 なんだろう、この感覚。

 何かが、阻害されているような……。

 

「あぁ、ただの制服だ。対探知術式が仕込まれているのを除けば、な」

 

 なるほど、それか。

 私が、常時使っている超短距離魔力探知魔術が阻害されている感覚だったんだ、さっき感じた違和感は。

 

「コイツを着ていれば、魔術師が常時発してしまう微弱な魔力を抑え込んだり、敵の生体反応探知魔術を阻害したりする事が出来る。かなりの優れものだ」

 

「なら、その制服を常に着ればいいのではないですか。なんで、今回だけなんですか?」

 

 と、氷華が彼に尋ねる。

 

「うん? あぁ、新入生か。単純な話だ、対探知術式と対魔術攻撃耐性術式は相容れないんだ。要するに、どちらかしか制服に仕込むことが出来ない。んで、普段の制服には対魔術攻撃術式が仕込んである。つまり、今回の制服は紙装甲って訳だ。だから、安全第一な学生には対探知術式を持つ制服は配布していない」

 

「なるほど」

 

「俺からは以上だ。他に分からないことが出来たら、携帯端末で連絡してくれ。では、さっそくD-3地区前線基地へと向かってくれ。健闘を祈る」

 

「「了解! 」」


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