2022年 5月4日 05:29 D-3地区前線基地
Side:宵月瑠奈
……帰還し始めてから1時間半ぴったりのところで私たちは基地へと戻って来た。
5時になってからは、最低限の視界確保分の自然光が降り注ぐようになったので、既に暗視装置は外している。
「着いたわね……うーん、朝から疲れた」
「はは。確かに朝のランニングにしては負荷が大きいですもんね」
「まったくよ。もっと気軽な運動がしたいわ」
そんな事を言いながら、私たちが自分達に割り振られた部屋へ歩いていると、1人の迷彩服を着た青年が私たちの元へと駆け寄ってくる。
「宵月瑠奈さん、蒼山氷華さん、お疲れ様でした。暗視装置とあと……貴女たちの武器を一時的に預からせていただきます」
「あら、どうして自分の武器まで?」
M4やM9A3の整備とかしたいのだが……。
「お恥ずかしながら……当基地は未だに設営中であり、呪いの浄化用結界が設置が未だに行われていないのです。なので、武器は我々が浄化させていただきます」
あぁ、なるほど……今までちゃんと結界がある施設(学園とか)ばっか使ってたから完全にある前提だった。
即席の軍事基地にはこういう事もあるのね。
「そういう事なら……はい、装備一式です」
私は、軍人さんの持っていたケースに自身の装備やマガジンポーチなどを入れていく。
「これが私の分です」
氷華も抵抗なく装備を入れていく。
……そういえば、結界がないという事は身体や服の方も。
「はい、ご協力ありがとうございます。それでは、次は身体の方を洗っていただきます。あ、服の方は置いてある洗濯カゴの方に入れていただければ女性隊員の方が後ほど回収し、専用の溶液を用いて洗浄させていただきます。では、僕に着いて来てくださいね」
あら、ちゃんと配慮されてる。
なら安心ね。
私たちは、彼の後を素直に着いていった。
軍人さんに着いて行って着いた先は……プライバシーとかそれ以前にそもそもの耐久性とかそこら辺に多大な疑問を抱かざるを得ない仮設感満載のそれなりに大きな建物だった。
「……ここ、ですか?」
思わず、尋ねてしまう氷華。
「はい、こちら基地建設中の隊員用の仮説シャワー室です。あ、ちゃんとお湯は出ますし、男女で分かれてますよ」
「……それは、ありがたいです」
ひょっとしたら、お湯出ないんじゃない?
とか思ってたんだけど許された。
……許された? それでいいのか、私……。
「では、ごゆっくり。女性隊員が後から衣類の回収及び着替えの用意を行いますのでご安心ください」
彼が去って行ったのを見送った後、建物に入る前に氷華が呟く。
「……なんで服のサイズとか分かるんですか?」
「そりゃ、私たち魔術師のあらゆるデータは軍や政府のデータサーバに保存されて、共有されているもの。それこそ、身長とかバストとかまで」
「……プライバシー保護とかって考え、ないんですか?」
「ある訳ないじゃない。魔術師なんてそんなもんよ」
はぁ、とため息をついてから、諦めたように氷華はドアを開けて中へと入る。
……まぁ、頑張れ。