ユダの黙示録   作:神代リナ

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第四十六話 D-3地区機密文書

 5月4日 05:48 D-3地区前線基地

 Side:宵月瑠奈

 

「……眠い」

 

 シャワーを浴びた後、私たちは自室へと戻って来た。

 ……朝早くから作戦を開始したのもあって、私は今睡魔との戦いに負けかけている。

 

「宵月先輩、もう午前にやることはないので、昼まで寝てもいいんじゃないですか?」

 

「それも……そうね」

 

 そして、今睡魔に完敗した。

 もう、瞼も半分閉じちゃってるし……無理に我慢するのも良くないだろう。

 そう言い訳をしながら、簡易ベッドに横たわって瞼を閉じる。

 

「あ、時間になったら起こしますね」

 

「う……ん。……スー、スー」

 

 基地の人に貸してもらっている、軍属魔術師専用の黒いローブを着ているから寝にくいかな?

 なんていう些細な心配を消しとばして、無事私の意識は途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 Side:蒼山氷華

 

 さて……宵月先輩は寝ちゃったし、ちょっとやる事をやりに行こうか。

 

 ……うん、ここが指定された建物だ。

 コンコン、と扉をノックしながら。

 

「失礼します。この基地に派遣された秋風武装学園一年生、蒼山氷華です。用事があって来ました」

 

 とちょっと大きな声でそういう。

 そうして、数秒の間が空いたあと。

 

「……入りなさい」

 

 と、女性の声が扉越しに聞こえる。

 許可は貰ったので、目の前のかなり小ぶりの建物に入る。

 そして、私は入ってすぐのところに置かれていた椅子に足を組んで座っていた、軍服を着ている黒髪の少女に敬礼をする。

 

 しばらくの時間、彼女は無表情のままじっとその金色の瞳で私の目を見つめる。

 

「……操られてはない、と。やぁ蒼山氷華、2ヶ月ぶりだね」

 

 じっくりと私の瞳を観察し終わったあと、若干の微笑みを浮かべながら彼女は口を開いた。

 

「そうですね、お久しぶりです……魔女様」

 

 そう、この少女こそが本州連合魔術省トップである13番目の魔女。その人である。

 

「ふーん、まだその瞳の調整は要らなさそうだね」

 

「はい、問題ありません」

 

「じゃ、この書類を使いなさいな」

 

 と言うと、彼女は何もない空間からとある書類を取り出して、私に手渡す。

 ……これは、原初派占領前のD-3地区にあった国防軍施設に関する資料だ。

 

 もちろん、機密文書だ。

 機密のランクは……極秘。

 上から3番目か。

 

「では、私はこれで。黙示録派に栄光あれ!」

 

「うん、頑張ってねー」

 

 書類をローブで隠しながら、私は自分の部屋へと戻った。

 この書類が、どれだけ宵月先輩に効果があるかな?

 少なくとも、大事な記憶の一部を取り返すぐらいの効果は期待したいところだけど。

 

 ま、あとは上手くいく事を……祈りましょう。

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