Side:■■■■
「ママー」
金髪に赤い瞳を持つ、純白のドレスに身を包んだ貴婦人の膝にちょこんと座っている幼い私が、彼女のことをそう呼ぶ。
「何かしら、■■」
「あれ、なーに? 」
私たちの座っている庭のすぐ横、そこには庭の横にあるしては不釣り合いなオブジェ……巨大な、近未来的なデザインの大砲が鎮座している。
私にとっては……すごくイヤな感じの雰囲気のする砲。
「あれ? アレは……そうね。ちょっと昔に、人と私たち魔女が一緒になって作り出した……」
そうして彼女は語り出した。
人がおこした……いや、おこしてしまった奇跡を。
神殺しの奇跡を。
5月4日 10:34 D-3地区前線基地自室
Side:宵月瑠奈
「……ん」
私が瞼を開くと、まず横の机に置いてあるデジタル時計の10時34分という文字が目に入る。
……意外と早く目覚めちゃった。はてさて、どう時間を潰したものか。
ん?
私の机の上に置いてあるファイル……なんだろう?
こんなもの持って来た覚えはないのだけれど。
とりあえず、毛布がわりに着ていたローブを脱ぎながら机に近づく。
どれどれ……表紙のタイトルは……旧D-3地区国防軍施設関連資料、ね。
さて、これをめくるかめくらないか。
どちらにしようか?
「……やっぱ、機密文書なんて言われたら開けるっきゃないわよね!」
そう言いながら、私はこの書類を手に取り、表紙をめくり中身を見ていく。
ふぅん、どちらかというと魔術及び魔術師の研究施設って感じでガッツリと戦闘部隊とかの駐留基地ではないって感じか。
そりゃ、原初派に即落とされるわね。
……割と人体実験とかもしてたっぽいけど、
そんな誰でもやってることをなんとなく分かっていることなんかじゃなくて、もっとヤバい禁止魔導兵器の類いでも研究してるかと思ってたのに。
ちょっと期待ハズレね。
そんな事を思いながら、最後のページを見た時……。
「……え?」
思わず声が出てしまった。
内容は……基地中央部に配備されているかつて神殺しを成し遂げた超兵器、対神魔砲ミストルティンの管理方法や整備について記載されていたものだった。
そして、ミストルティンの全体を映し出している写真が付属されていた。
この兵器……この、魔術師にとってよくない雰囲気……なんとなく見覚えがあるような……。
でも、D-3地区の奥地に入ったことなんて今まで……。
そんな思考に入り始めたところで、突如。
どこかの庭の光景が脳裏に浮かんだ。