ユダの黙示録   作:神代リナ

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第四十八話 前線基地での日常Ⅰ

 5月4日 10:47 D-3地区前線基地自室

 Side:宵月瑠奈

 

「あの庭は一体……? 」

 

 もう、何がなんだか分からない。

 何故、知らない情報を知ってるのだろうか?

 私は……なんなの?

 

 そんな考えが頭をぐるぐると回り続ける。

 もちろん、永遠に同じ考えがループするだけで、何も進展はなかったけれど。

 

 私は……私の記憶は……。

 

 ……待って。私は宵月の養子、そして養子になる前の記憶は一切ない。

 もしかして、この覚えのない記憶は本当の家族の手がかりにならないかしら?

 もし、そうなら……。

 

 

 

 

 5月4日 11:45 D-3地区前線基地自室

 Side:蒼山氷華

 

「えーと、あれ? 起きてたんですか」

 

 やる事はとりあえずやり終えた私は、時間もいい感じだったので恐らく寝てるであろう宵月先輩を起こしに部屋に戻って来たのだが……彼女は、私の置いた例の書類をベッドに腰掛けながら眺めていた。

 

「ん? ……あぁ、うん。そうなのよ!」

 

 ……元気そうに振る舞う彼女。

 だが、それが空元気である事を私は知っている。

 だって、彼女の欠落している過去を私は教えてもらっているから。

 ま、空元気に乗るとしよう。変に聞かれたくないし。

 

「そうですか。にしても、その書類はなんですか? そんなもの昨日とか見た覚えがないのですが」

 

 あくまで、私は知らないという(てい)で話を進める。

 

「あ、あぁ、そう……だね。うん、まぁそんな大した書類ではないよ」

 

「そうですか。それと宵月先輩、そろそろお昼の時間なので食料配給をしているところに行きませんか?」

 

「そうね、行きましょうか」

 

 ……明らかに食欲なんて微塵も無さそうな顔色だが。

 少し……いやかなり申し訳ない気持ちで胸がいっぱいだが、これは必要な過程だ。

 私は、まだ見守るしか出来ない。

 

「……頑張ってください、宵月先輩」

 

 

 

 

 

 Side:宵月瑠奈

 

 自室を出てから基地内を歩く事、約5分。

 この前線基地の中心地にある大きめの天幕が張られている場所。

 そこで、兵士達に食料を配っていた。

 

「にしても、かなりの長さね」

 

 食料配給所に長蛇の列が出来ていたのだが……こんなに人がいたんだと思うくらいには長い。

 まぁ、大してお腹が空いているわけではない私にはちょうどありがたいっちゃありがたい。

 

 そして、並んで待つこと20分。

 ようやく私たちの番だ。

 

「こちらが本日の配給分となります」

 

 そう言って、食料を配っていた兵士から手渡されたものは……エネルギーバーみたいな見た目をしている軍用レーション2本だった。

 

 ……まぁ、前線基地だしね。そもそも連合皇国に物資も大してないし。仕方ないか。

 ちょっと期待してたけど。

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