2022年 5月5日 05:07 D-3地区未探索区域
Side:蒼山氷華
「すごく嫌な感覚……これが神殺しのための兵器」
そう、宵月先輩が呟く。
私もコイツの実物を見るのは初めてだ。
肌が凄いピリピリする……やっぱり、
もし、コイツの砲撃を食らったら、擦り傷も私たちには致命傷になりうると思っといた方が良さそう。
「そうですね……っと、宵月先輩。巨大砲周辺を巡回している敵兵士3名を発見しました、どうしますか? 」
「……まだ、バレてはなさそうね。撤退しましょう」
「了解です」
この特殊砲台陣地の周辺写真を素早く携帯端末で撮影した後、敵にバレないよう司令部から指定されている地点へと私たちは撤退した。
2022年 5月5日 05:56 D-3地区内集合指定場所
Side:蒼山氷華
「……宵月先輩、ここが集合場所ですね」
「……え? あ、う、うん。そうね、うん。まだ、輸送車は来てないわね。ちょっと待ちましょうか」
「了解です」
……うーん、やっぱりあの砲を見てからというもの、宵月先輩の気分はかなり悪そうだ。
しかも、意識もどっかにとんじゃってる感じ。
戦闘の時とか、大丈夫かな?
まぁ、トラウマ持ちの私が言えたことでもないかもしれないけど。
個人的には、ゆっくり記憶を思い出して、緩やかに覚醒へと向かって欲しいのだけれど。
ただまぁ、さっさと覚醒させろっていうが
仕方ないし、私からアクションをするとしよう。
と、そんな事を考えていたら遠くから車のエンジン音が聞こえてきた。
エンジン音が聞こえた方は、連合皇国軍のD-3地区前線基地がある向きだから確実にこちらの迎えだろう。
さてさて……車内でちょっと仕込むとしましょうか。
もちろん、魔術で。
???
Side:宵月瑠奈(幼少期)
金髪の女性が、幼き頃の私に優しく語りかける。
「これから語るのは……そうね。人間が引き起こした……いや、この言い方は正しくないわね。神によって、起きることが定められた第三次世界大戦後の話し。あの頃の人間は、全面核戦争のせいで滅びかけていたのよね。だから、彼らは生き延びるために出来ることはなんでもした。まずは、人間総数の更なる削減、その次には地下施設の拡充、最後に……胡散臭い棺の研究。この研究のおかげで、私たち魔女と彼ら人間は出会うことが出来たのよ」
「そうなんだ! 良かったね、私たちが人と出会えて」
「そう、ね。人と出会えて……良かったわ」
あぁ、なんだろう。
この日常、この庭、この女性。
これらを眺めていると……すごく、すごく。
懐かしく感じてしまう。
不思議だ。
この記憶、突然頭に浮かんで来ただけなのに。