リーフとペリュトン   作:endoooo

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天翔ける絆 中編

 空。

 それは常人ならば踏み込むことのない超常の魔境。

 空中戦に特化した亜竜級、純竜級のモンスターが跋扈する人類未開の地。

 しかし、その只中を進む者達がいる。

 

「十四時の方向に怪鳥型モンスターを確認。亜竜級と推定。《翼は飛翔の資格に非ず( イ カ )天への畏敬が資格なり( ロ ス )》、起動」

 

 巨大な鳥の姿をした従魔に乗る男が何事かを発すると、彼の頭上に『太陽』が現れた。

 次の瞬間には敵も男の率いる一団を発見する。

 男はこちらに向かってくる敵の姿を見つめながら、親指でサムズアップの形を作り……

 

「一四〇〇……一五〇〇。『ジャッジ』」

 

 手を翻して親指を下に向け、宣言する。

 

 次の瞬間、相対する怪鳥は視界から喪失していた。

 遥か遠くの地面から、何かが激突したような音がして……空には再び静寂が訪れた。

 それを成したのは<ウェルキン・アライアンス>の航空戦闘管制官、【閃光術師】フォールのエンブリオである【天空審判 イカロス】の能力である。

 イカロスが起動したとき、その周辺の飛行生物の座標を記録。

 その初期位置から一五〇〇メテルだけイカロスに近づいた存在を、【飛行禁止】の付与により強制的に地に堕とす。

 それは下級職のパーティーと同程度の戦力とされる亜竜級の怪鳥であっても関係ない。

 アジャニを出発してからの旅路でも何回かモンスターを視認したが、ただの一度として交戦にまで至っていないという事実が、フォールとイカロスの優秀さを物語っている。

 

「アリソン様、聞こえますでしょうか」

 

 フォールが竜車の内部に呼びかける。

 

「はい、聞こえています」

「本日の航行は以上として、オアシスに着陸して一泊の休憩を取ります。着陸に備えて下さい」

 

 旅程は一日目を終え、<ウェルキン・アライアンス>一行は中間地点であるカルディナ内のオアシスへと到着した。

 

 ――――――――――――――――――――――

 

 二十六番オアシスと呼称されるその村落には、カルディナらしく金が物を言うような豪華絢爛な雰囲気はない。

 一行が宿泊する宿も簡素な造りをしており、交易を行う商人や旅人にとって最低限の宿泊施設のみが備えられている。

 案内役を名乗る少女が一行をそれぞれの部屋へと案内した。

 彼らはそれぞれ部屋の確認を済ませたのち、夕食を摂るべく宿に備え付けられた食堂に集まったのだった。

 

「フォールさんのイカロスは凄いです! 一度も戦闘することなく一日を終えることができました!」

 

 リーフが興奮気味に話を切り出した。

 それぞれがオンリーワンの能力を持つエンブリオであるが、フォールのイカロスは特定条件においてその力を十分に発揮するエンブリオと言える。

 使用できる状況が限られる分、エンブリオとしての出力を向上させるタイプである。

 こうしたタイプは概して『ハマれば強い』と評価される。

 

「こうした状況でしか活躍出来ない、ということですよ。 だからこそ、私の能力を活かしてくれたオーナーには頭が上がりませんね」

 

 そのことを自分でもわかっているフォールは、謙遜しながらも自らの力に自信を持っているように話す。

 

「この分であれば、明日も恐らく大丈夫でしょう」

「フォールさん、そういうのってフラグって言うんすよ?」

 

 スライドが横から軽口を叩くが、空中におけるイカロスの能力は絶対的である。

 だからこそオーナーであるケイデンスも、自身の同行しない初めてのクエストに彼を抜擢したのだ。

 

「何にせよ、気を抜かないようにするべきだな。空では何が起こるか分からない」

 

 七眼がそう言うと、メンバー達もそれぞれ頷いてお互いを見つめる。

 

「アリソン様も、初めての空の旅で心身ともにお疲れだろうと思います。今日はゆっくりとお休みください」

 

 フォールが顧客であるアリソンを労うように言葉を掛け、アリソンもそれに答える。

 

「確かに緊張で疲労を感じますが……不思議と怖くはありませんでした。リーフさんと、皆さんを信頼しています。明日も、よろしくお願いします!」

 

 アリソンはそう言って一礼をする。

 ティアンがモンスターへ感じる脅威は、マスターと比べれば段違いに大きい。

 モンスターの存在が自らの命に直結する生活をしている、という理由は勿論、日常生活を営むティアンのほとんどは非戦闘職であることも寄与している。

 空という未知のフィールドを進んできた今日一日は、アリソンにとって不安に満ちた時間であったであろうが……リーフが、彼女の心の支えになっていた。

 

「はい! 私たちに任せてください! アリーちゃんを安全に送り届けて見せます!」

 

 リーフが笑顔で宣言すると、アリソンもまた微笑んで頷いた。

 

 翌朝、一行は宿屋の一家に見送られながら再び空へと旅立ったのだった。

 

 ――――――――――――――――――――――

 

 〈ウェルキン・アライアンス〉一行、そしてそのクライアント、アリソン・コルドーは高度三〇〇〇メテル付近を維持しつつ飛行を続けていた。

 パーティーにおいて管制官を務めるフォールは、同時にメインの索敵役も担当している。

 敵を観測すると同時にイカロスを起動し、潰すためである。

 <Infinite Dendrogram>の飛行生物はその戦力こそ強大であれど、イカロスの効果範囲である三〇〇〇メテルを超える長距離攻撃を持つ者は少ない。

 フォールをはじめとするメンバー達は、己の目から水平方向を注視しつつ索敵を続ける。

 モンスターが現れるのならば、常識的に考えてその方向しかあり得ないからだ。

 

 だからこそ……常識外からの襲撃には、遅れをとってしまう。

 

「っ!? 敵影、()()一〇〇〇メテルっす! こっちに向けて突進してきてるっすよ!」

 

 初めに発見したのはスライドだった。

 しかし、全てが遅かった。

 

「何だと!? 《翼は飛翔の(イカロ)》……」

 

 フォールが必殺スキルを発動させるよりも早く、その敵はフォールの乗る怪鳥へと体当たりを敢行した。

 フォールは寸前で怪鳥型従魔を僅かにずらし、直撃を避ける。

 しかし敵と高速で衝突した衝撃により、怪鳥は翼に傷を負ってしまう。

 

「きゃあっ!?」

 

 竜車内にいたアリソンにもその衝撃は伝わり、大きく体を揺すられる。

 

「手すりにしっかりと捕まって! 身をかがめて下さい!」

 

 フォールの警告に、アリソンは状況を理解する。

 ついに空の脅威が、牙を剥いたのだと。

 

「スライド、分断を!」

 

 しかし、航空戦闘管制官の状況把握は早かった。

 翼に傷を負い、少しずつ高度を下げる怪鳥と、初めと位置を逆転して今は一行の直上にある敵影。

 その真ん中にスライドは座標を設定して……必殺スキルを宣言する。

 

「《雨樋は天地の狭間に(ガルグイユ)》っ!」

 

 それこそはスライドのエンブリオである【一異帯水 ガルグイユ】の必殺スキル。

 空中に水面を発生させ、空間を強制的に分断するスキルである。

 今回の発動では、水面によってフォールとアリソンを守りつつ、他の戦闘特化メンバーが敵と戦うためのフィールドを作り出すことに成功した。

 そして、戦闘特化メンバーであるリーフ、スライド、七眼の三人は、初めて敵の姿を確認することになる。

 

「あれは……! トンボ、でしょうか!」

 

 リーフの言う通り、敵手は蜻蛉のカタチをしていた。

 大きな二つの複眼と、四枚の翅。

 そして特徴的な細長い体。

 まさしく蜻蛉の姿をしていると言えるだろう。

 しかし、先程フォールの怪鳥と衝突しても傷一つない装甲を持ち、尾の先には刀のようなを武器を備えている。

 そして、人が捕まれば間違いなく絶命するだろう大きさの顎が、獲物を見つけた喜びでわなわなと震えている。

 現実と大きく乖離したそれらを持ち合わせた蜻蛉は、異様な威圧感を放ちながら滞空を続けていた。

 敵手の名は、【ハイ・ドラグフライヤー】

 上位純竜級のボスモンスターである。

 群れを作らず、時に共喰いにすら及ぶその凶暴性と、現実の蜻蛉を忠実に、もしくはそれ以上に再現した空中戦闘力で知られている魔蟲モンスターの上位種である。

 

 「【ハイ・ドラグフライヤー】がカルディナに生息している情報は入っていなかった……。どこから飛んできた」

 

 フォールは意識外からの奇襲に頭を抱える。

 彼の言うように、蜻蛉型の魔虫種は本来カルディナには生息していない。

 蜻蛉とは、常に水と共にある生物である。

 産卵は水中で行われ、幼虫期を()()として水中で過ごす蜻蛉という種は、その国土をほぼ砂漠が占めるカルディナは生育に向いていないのである。

 そのため、水資源が豊富な天地やレジェンダリアの空域では猛威を振るう種であるが、この砂の国に蜻蛉型魔虫種、それも上位種が生息しているなどという状況は、異常事態といえる。

 

 空のフィールドに於いて、非常に脅威となるモンスターと接敵した一行であるが……優位は未だ<ウェルキン・アライアンス>側にある。

 その理由はスライドというマスターにある。

 スライドは、魔術師系統の中でも電気を操ることに長けた上級職、【金雷術師】であり……その真骨頂は、エンブリオとジョブのシナジーにある。

 ガルグイユの必殺スキルにより発生した通電性の高い液体、そしてジョブスキルによる放電。

 これらを組み合わせることにより、『一度相手を水面に墜落させれば、高威力の雷属性魔法を確実に当てることができる』状況を作り出すことができる。

 

「七眼さん! 行けそうっすか?」

「無論。羽虫の如く撃ち落としてみせる」

 

 そして、アタッカーを務めるのは七眼というマスターであった。

 七眼は大型の和弓を構え、大トンボへと矢を放つ。

 その大弓こそ七眼のエンブリオ、【上射下奪 アメノカゴユミ】 である。

 自らより上にある存在に矢を射る時、そのダメージを五〇倍するスキルを持つ。

 もし自らより下にある存在を攻撃したならば、そのダメージは全て自分に返ってくることになるが、七眼は【疾風弓兵】。その一矢は音速を越え、射手は必ずや一撃を敵手に命中せしめるだろう。

 上位純竜級の【ハイ・ドラグフライヤー】といえど、直撃すればそのHPを大きく減らすことなるその一撃。

 もし翅に命中すれば、スライドの待つ水面に真っ逆さまである。

 ジョブスキルにより超音速にまで加速した矢は、旋回しながら一行の周りを飛行する【ハイ・ドラグフライヤー】まで真っ直ぐ飛んでゆく。

 

 『Grrrrrr……』

 

 しかしその一矢が敵手に命中する直前……【ハイ・ドラグフライヤー】は物理法則を超えた挙動で減速し、急停止した。

 その結果、超音速かつ必殺の一撃は、弱点である頭から少し外れてその顎に命中し……()()()()()()()()()()()()()()()()()

 【ハイ・ドラグフライヤー】は七眼による必殺の一矢を、顎部装甲の強度だけで無力化したのだ。

 その強度は……推定、()()()

 

「アメノカゴユミの一撃を耐えた……だと……?」

 

 七眼は目の前で起きた現象を理解する。

 【ハイ・ドラグフライヤー】の持つ、大きな二つの複眼。

 上下左右の視覚を極限までカバーするその複眼と、現実同様に現実離れした制動能力により、致命傷を避けてわざと顎に命中させたのだ。

 【ハイ・ドラグフライヤー】は、加速後であればそのAGI値は超音速に達することが知られている。

 しかし、トップスピードに達した状態からの急停止は、他の亜竜、純竜級モンスターと数多くの交戦経験を有する【ウェルキン・アライアンス】の一行であっても驚きを隠せない。

 

「七眼の矢がただでは通用しないとなると、かなり厳しい戦いになる……。撤退戦を視野に入れるべきか」

 

 フォールは冷静に現状を分析する。

 七眼は、パーティーにおいて最も高いダメージを出すことができるマスターである。

 その七眼が機能しないとなると、彼らがダメージレースで敵手に打ち勝つことは難しいだろう。

 

 だが、彼らのアタッカーは一人ではない。

 

「はい! 私の出番というわけですね!」

 

 リーフが鬨の声を上げ、敵手への突撃を開始する。

 

「トンボさん! こちらですよ!」

 

 リーフは【ハイ・ドラグフライヤー】のヘイトを集め、自身に注意を向かせる。

 ペリュトンを翔け、突撃してくる敵手と一定の距離を保ちながら飛行する。

 リーフは座した姿勢で短弓を構え、敵手を狙い……その矢を放つ。

 先ほどの七眼を見ればただ矢を放つだけでは回避されることはわかる。

 しかしリーフは、単純であれど愚かではない。

 リーフの放つ矢は、弓から射出されると同時にその数を百に増やした。

 それこそは天地の上級職、【強弓武者】の奥義、《五月雨矢羽》である。

 <超級>を含む多くの強者が用いるスキルであるが、天地固有のジョブであるために、王国では<K&R>のメンバーなどの少数しか保有していないジョブである。

 空輸クランである<ウェルキン・アライアンス>は国家を越えて移動することも珍しくなく、そのメリットを利用してリーフのように東方のジョブに就く者も少なくない。

 

 リーフは一矢を放ったのち、人間離れした早技で次なる矢を射る。

 初めに放った百の矢が敵手に降りかかるより早く、リーフは次いで九本の矢を放つ。

 それらももちろん百の矢に分身し……結果として、計一〇〇〇にも上る矢が一瞬にして【ハイ・ドラグフライヤー】の周りを囲んでいた。

 それを為したのは、同じく天地の下級職、【弓武者】のスキル、《座射》である。

 『座っていること』を条件に弓の扱いを向上させ、射出モーション時に限りAGI(敏捷性)の値を三倍するスキルである。

 リーフの場合、ペリュトンの上に座ることで、『移動できない』という事実上のデメリットを克服している。

 

 さらに、彼女が装備する短弓も通常のものではない。

 <Infinite Dendrogram>には、固有の特殊技術、例えばアイテムボックスやジェムなどの作成に関する技術が存在する。

 それらの技術に長けた工房の存在するレジェンダリアに赴いた際、特注の短弓をオーダーしていたのだ。

 その短弓の銘は【永遠の短弓(エターナル・ショートボウ)】。

 小型のアイテムボックスを内蔵し、可能な限り間断なく矢を番えることを可能にした装備である。

 《座射》により引き延ばされた体感時間と組み合わせることで、《瞬間装備》に限りなく近い挙動を実現した。

 《瞬間装備》で弓矢を番える場合と比べてSPを消費することがないため、リーフは使える限りのSPをすべて《五月雨矢羽》に充てることができるのだ。

 

 このビルドについて、オーナーである【嵐王】ケイデンスはこう語る。

 

 ――――――――――――――――――――――

 

「普段の彼女から考えて、脳筋ビルドが合ってるのは明確なんだよねー。なるべく強くなるように知り合いの伝手なんかも借りながら整えたけど……『完全』ではないかなー。確かに強力ではあるけれど『普通』の領域を出ない。エンブリオとジョブのシナジーに至っては、ほぼ活かせてないと言っても過言ではないからねー。だから、彼女がこれよりも強くなるかどうかは……彼女次第かなー」

 

 ――――――――――――――――――――――

 

『多くの矢で弾幕を貼る』

 

 言ってしまえばそれだけのビルドであるが、単純であるが故に今ここで猛威を振るうのであった。

 

「さぁ! トンボさんは避けることができますか!」

 

 【ハイ・ドラグフライヤー】は身をくねらせながら弾幕の中を翔け抜けるが……被弾を抑えることは出来ない。

 リーフの放った矢のうち数本が、堅固な装甲の間隙を縫うように【ハイ・ドラグフライヤー】の肉体に命中する。

 

 そしてその数本が……致命傷だ。

 

『!?』

 

 【ハイ・ドラグフライヤー】は体に異常を察知する。

 翅が十分に動かせず、身体が麻痺している。

 それもそのはずである。

 何故ならば、リーフの放った矢は、毒矢なのだから。

 そもそも短弓は、その操作性や取り回しの良さの代わりに威力を大きく落とした代物である。

 その威力を補うべく毒矢を用いることは大昔から行われており、この場合であってもそれは有効であった。

 【ハイ・ドラグフライヤー】は飛行機能を一時的に麻痺させて、重力に誘われるがまま自由落下を始める。

 その先は、ガルグイユに乗るスライドの待つ水面である。

 

 【ハイ・ドラグフライヤー】は上位純竜級にまで上り詰めたその経験と頭脳から考える。

 あの水面はただ分断に用いている訳ではない。何か仕掛けがあると考えるのが当然で、このままでは自分に絶命の危機が迫っている、と。

 そしてそれを回避するべく……切り札を切った。

 

『《Emerald・Burst》』

 

 それは風属性魔法を操るジョブ、【翡翠術師】の奥義《エメラルド・バースト》。

 モンスターの中でも上位の、ボスモンスターと呼ばれる種の中にはジョブスキルを用いる個体も存在する。

 この【ハイ・ドラグフライヤー】も、そうした個体のうちの一体であった。

 これまでくぐり抜けてきた数多の死線。

 その積み重ねののち、【ハイ・ドラグフライヤー】は風属性魔法を操るようになっていた。

 敵対者の動きを魔法により感知して回避に応用したり、自分の制動能力の補助としての使用がメインではあるが、それは攻撃に用いないという意味ではない。

 その大きな顎で敵を食い千切り、喰い殺すことが【ハイ・ドラグフライヤー】にとっての幸福であり、それが最もダメージの高い攻撃方法だったから、これまで用いてこなかっただけなのである。

 突如放たれた上級職奥義魔法。

 それは、ターゲットした対象に真っ直ぐ飛んでいき、直撃した。

 

 そのターゲットとは、先程水面を生成した、ガルグイユである。

 

「ガルグイユ!!」

 

 スライドの叫びが響き渡る。

 ガルグイユはその身体を盾にしてスライドと七眼を守り、上級職奥義の直撃を受けて……再起不能に陥った。

 

「ッ! 《影の友達(イマジナリー)》!」

 

 リーフはすぐさまペリュトンの第一スキルを発動。

 本体と同じサイズの影鳥を召喚し、空中に放り出されたニ人を何とか掬い上げる。

 

「お二人とも! 大丈夫ですか!」

「た、助かったっす……」

 

 リーフの機転によりニ人が地面に激突する事態は避けられた。

 しかし、ガルグイユの消失により分断を為していた水面はすでに存在しない。

 【ハイ・ドラグフライヤー】は既にその高いステータスによって一時的な状態異常から復帰し、その顎を震わせる。

 リーフは狩人系統に就いているわけではないため、一時的な麻痺が性能をアイテムそのものに依存する毒矢の限界であった。

 

 ここにきて、立場は逆転する。

 

 <ウェルキン・アライアンス>一行は一転して窮地に立たされることになったのであった。

 

 ――――――――――――――――――――――

 

 リーフは考える。

 

 アリソンは、勇気を出して新天地へと旅立つことを決めた。

 

 リーフにはわかる。

 

 自分の周りの環境がガラリと変わって、孤独感や、寂しさを感じるその感覚が。

 アリソンはそれを乗り越える覚悟を決めて、旅立ちを決めたのだ。

 

 だからこそ、リーフも決意する。

 そんなアリソンの健気な勇気を無駄にしないために。

 

「アリーちゃんは! 私の大切な、大切な友達です! 絶対に無事に送り届けて見せます!」

 

 リーフは頭上の大蜻蛉を睨みながら、その意思を吠えるのであった。




次回、後編は翌日投稿します。
読んでくださると幸いです。
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