ハルside
「大体は回り終えましたね」
「そうですね」
「他に部活とかオススメは分からないし」
そう廊下でイオリさん、レーア、ミサが話す。それにしても次はあのイベントか、それにしても原作と比べると今は人数が多すぎる。この後、一体どうなることなら。
そう思いながらエクストリームの入っていたガンプラケースに手を当てる。まぁ、お前とならアイツは簡単に倒せるだろうけど。
その時だ、少し先から人の話す声……いや頼み込むような声とそれを突っぱねるような声やその他におそらくその周囲の人の話し声。
「なんだか騒がしいですね」
「何かあったのかしら?」
「ねぇ、見に行ってみようよ!」
そう言ってミサがボクの手を引いて騒ぎの聞こえる方向へと走っていく。
「わ、分かったから!手を引っ張ら無くても行くよ!」
「あぁ、ごめんごめん!」
そう言ってミサが手を離し、ボクは騒ぎ声を聞きながら話の元と思われる場所へとミサを追いかけて走る。廊下を走るのは駄目だろうけど、まぁ大丈夫だろう。
「あぁ?なんか文句あんのかよ」
「だ、だからそのパーツはボクの……」
「ここに落ちてたもんだろ?それを俺が拾った、なんだ?これがお前のだってっつー証拠でもあんのか?」
そう考えて向かった先では一人の男子が金髪?いや夕陽のようなオレンジ色の髪の男が、ガンプラのパーツと思われる何かを持っていた。近くに何人か仲間のような人がおり反対側にはパーツを取られたと思われる生徒がいた。
思わず、そんな彼らのやり取りを見て目を伏せる。
「む、無理やりぶつかってきたのはそっちじゃないか!それでボクはパーツを」
なるほど、原作通りか。
でも、今のボクはこの現状をゲームの時の様に楽しめなかった。これは、ボクがガンプラバトルに触れてから変わったんじゃない。
戦争を経験して、世界を掛けたバトルを何度もして、悪事を働くような敵は許さないと言う感情を覚えてしまった。
『この世界には、戦いが満ちている。』
あの時見せられたモビルスーツ同士の戦闘のビジョン。死が次々と訪れる風景は酷く悲しく思えた。
だからボクはあの世界を、人の可能性を信じて、戦った。シーナさんが信じているから、いつか争いの無い世界を人々が作り上げることを。
そしてボクは知っている、この事件を通して生徒会を無事倒しこの学園をもっと良い方向へと導いていける事を。
だから、ボクはその為に戦う。もっと、この場所がより良いと思える場所にするために。
「なんかアイツ、タイガーみたい……」
「あの調子に乗っている男は三年のモリタ・ショウゴです。生徒会傘下のチーム『ラプラスの盾』のメンバーです。」
「全く、何処にもあのような人がいるのですね……」
ミサの呟きが聞こえた後に後ろから声が聞こえ振り返ると、追い付いたのかレーアとイオリさんが立っていた。
「ガンプラの実力は大したこと無いんですけど、あのように群がられるからみんな文句が言えないんです。」
悪いけど、人のパーツを奪うのは正直見てられない。原作の主人公もこの場で動こうとした、だからボクも動く。そう思い、ショウゴの元へと向かおうとして、手を捕まれて止められる。
「ちょっと待って!!」
イオリが手を掴み心配そうに此方を見る。いやあの、後ろのミサとレーアが睨んできて怖いんですけど。
「ハル!貴方の気持ちは分かるけど、生徒会関係者に手を出したら……この学園じゃ」
「覚悟は、ある。ボクは」
不安そうに呟く彼女、動くために手を振り払おうとしたとき、レーアが口を開いた。
「思いだけじゃ変わらない。踏み出さないと、手を伸ばさないと、変われない。」
そう言ってレーアがボクの手を掴むイオリさんの手を掴んで離す。
「は、ハイゼンベルグさん!?何故!?」
「いい加減に、そろそろ生徒会に対して反撃しようと思っていたの。彼も、ハルもこの学園に来てくれた。なら、勝利は確定しているわ」
「行くんでしょ?今動かないと、あの人のパーツ持ってかれちゃうよ」
誇らしそうに、勝利を確信した自信の伝わるように話すレーアと、背中を押してくれるように話しかけ、笑うミサ。
さっきのセリフや、彼女達がボクの事を知っている様に話している。もしかさて、二人ともあの時の記憶を持って?いや、それは後で考えれば良い。
「ありがとう、ミサ。それにレーア」
そう言ってボクは、男へと話しかける為に再び歩く。少し先ではボクの幼馴染みであるユイがショウゴへと敵対している様子で話していた。
「上等だぁ!そこまで言うなら俺らと勝負だ!ちょうど近くにバトルルームがあるしな!万が一負けたら、このパーツは返してやるよ」
その声にパーツを取られた生徒は僅かにだが希望を見いだした様な表情を浮かべる。だが、ショウゴはまるで悪役のようなニヤニヤとした笑みを浮かべながら、更に口を開いた。
「ただし、俺らが買ったらお前にはすーぱーふみなのコスプレで俺の言う事を何でも聞いて貰う」
「……分かったわ。その代わり、約束は守ってよ」
その一言にユイは悔しそうに顔を歪め、僅かにだが恥ずかしそうに頬を赤くしながら決意していた。
「うわぁ、あんな悪役みたいなの本当にいるんだ……なんか、これならタイガーやカマセくんの方がマシかも」
「確かに……」
「ティターンズVer.か、それともアクシズエンジェルVer.にするか、今から楽しみだぜぇ。へっへっへへ………」
そんなショウゴの言葉に、周囲の男子は僅かだが、期待の眼差しを向けている奴がいる気がする。いや、男子としては分からん訳では無いのだけど。その一方でレーアとイオリさんや他の女子生徒はまるでゴミを見るような目でショウゴを見ている。
「……斬るわ」
「いいえ、潰しましょうハイゼンベルグさん。」
「い、委員長にレーア?ガンプラの事だよね?ガンプラバトルでの事だよね??」
なんか別の奴をって意味じゃないよね?なんか、今さらシリアスは無理な気がしてきた。
取り敢えず話の様子を見る限り、3VS3でのバトルを挑まれてすぐにバトルしなければならないらしい。
「ただし、ルールは『G-cube』だ。それ以外は認めねぇ!」
「!?」
えっと、『G-cube』ってなんだっけ?大体の原作ストーリーは覚えてるけど、詳しい語録はあまり無いんだよなぁ。
「『G-cube』は3on3、つーまーりー。誰か他におめぇのチームメイトが必要ってこった。この条件が飲めなきゃ俺様の不戦勝だな。もちろん、今すぐだぜ?俺は気が短いからな」
「クッ!?」
え、ユイちゃん友だちとか呼べばすぐに集まってきそうなんだけど。まさか友だちがいない、訳ないよな。生徒会に歯向かうような意志がないから、彼女のバトルに味方出来ない人が多いだけか。
「アイツ、汚すぎる。ユイ先輩に味方する人がいないと知ってて」
そんな様子のイオリさんを他所に、ボクはユイの元へと向かおうとして、イオリさんの言葉に足を止めた。
「ハルも、お二人とも行くんですね……生徒会に手を度したら学園じゃどうなるか分からないのに」
今だに不安そうに顔を曇らせる彼女にボクは脳内に?を浮かべる。原作なら覚悟を決めて共に行くと言うはずだけど、この世界はゲームじゃない。彼女もキャラクターではなく人間だ、怖くて踏み出せないんだろう。だからボクは少し芝居がかった感じで口を開いた。
「『明日が欲しいんだ、どんなに苦しい世界でも、変わらない世界は嫌なんだ!』」
「え?」
「ボクの好きなガンダムのセリフ。今を変えずに、明日も変わらない日々を過ごすより、今を変えて、楽しい未来を作る方がボクは良いと思うんだ」
それはボクが知る大好きなガンダムのパイロットの名言。そして今の言葉から伝えられるのは、こんな学園を変えたいと言う意志。
「分かりました……私も覚悟を決める!」
イオリさんは覚悟を決めたようだ、でもどうしてレーアとミサまで?
「チームに、エースパイロットの私がいなきゃでしょ?」
「私も、貴方と一緒に行くわ。」
三人にありがとう、そう言ってから俺はユイの元へと向かい、口を開く。
「そのガンプラバトル、ボクらが参加させて貰う!」
そう明確な意思を感じさせる声で宣言する。
「ハル君!?、それに貴方達………」
「ケッ、そんな即席のチームで勝てっかよ」
いや、そうでも無いぞ?ユイとは小さい頃に何度か一緒にバトルした事があるし、レーアは一緒に戦争を生き抜いた中、ミサとは何度も世界大会へと共に挑んだチームメイトだったし。
『さーぁッ!ついに始まります旧生徒会ミカグラ・ユイ率いる急造レジスタンスチームVS現生徒会傘下の実力派チームラプラスの盾モリタ・ショウゴとの因縁のバトル!』
突如として廊下のスピーカーから放送が鳴り響いた。
「この声は……」
イオリさんがこの声はって言うくらいこの声は有名人なのだろうか?
『バトルあるところにリンコあり!この場はワタクシ、放送部部長のシャクノ・リンコが実況をつとめさせていただきます!!』
うーん、何だろう?放送部とはいえこんなに急に放送とか使って大丈夫なのかなこの学園。ルールとかどうなってるんだ?
「あぁ!?お前ら、本当にお前ら何処にでも出没するよな………」
いや出没て……しかも何処にでも……ちょっと前例が気になる。どんな状態の時に出てきたんだろ?まさか先生同士のガンプラバトルとか?いやそれはさすがに……。
「しゃあねぇ、俺らがこいつらをぶっ倒す所、しっかり放送しやがれ」
『言われなくとも!バッチリ動画で全校に配信いたします!』
え?そ、そこまでなるなんて聞いてないよ……
そういえば、こんな風に調子に乗っている奴に、彼ならきっと、ウィルならこう返すだろうな。
「調子に乗って強い言葉を使わない方が良いですよ先輩、弱く見える」
若干彼に似せながら話したからか、ミサが「凄い、ウィルそっくり……」と呟いており、ショウゴは顔を歪め、怒っている様に見える。こんなに安い挑発に乗るなんて、あの世界じゃ命とりだ。
「テメェ、言うじゃねぇか。俺よりランキングしたの奴がよ。」
少なくとも、ランキングは今のボクには無いから分からない。でもそんなもの気にしてガンプラバトルをするなんてしない。
『さぁ、それでは白熱するガンプラバトルニィー……レディ……ゴー!!』
バトルルームに移動したボク達は沢山の人達が見てくる中で、それぞれシュミレータへと入る。チームはボク、ユイ、そしてレーアだ。
ミサは「3on3なら私は見てるよ、まだアザレア調整中だからバトルはごめん!」とバトル出来ず、イオリさんは「私よりランキングは高いハイゼンベルグさんの方が勝率が高いので、今回は観戦することにします」そう説明し今回は高いを観戦する側へと回ってくれた。
シュミレータにガンプラ、エクストリームガンダムをセットしてパイロット席に座る。
この戦いは負けられない、ユイの為にも。この後の物語の為にも、ここで勝たないと。そう気合いを入れ直し、操縦席に付いている操縦桿を握りしめる。機体に付いていた機体を固定していた物が外側に開き、機体がカタパルトへと移動する。
目の前に広がる風景を写す画面の端にはレーアとユイのガンプラの機体名とプレイヤーの名前が描かれている。
1PLAYER NAME:ハル
GANPLA NAME:エクストリームガンダム
2PLAYER NAME:ユイ
GANPLA NAME:ガンダム・リリィ
3 PLAYER NAME:レーア
GANPLA NAME:ガンダム00クアンタ
どうやらレーアはクアンタを使ってるらしい、あとユイのガンプラはシャイニングガンダムとウイングガンダムを会わせたような感じだ。
リリィ………何故だろうか?頭に細いレイピアのような剣を持った白いドレスの少女が頭に浮かんだ。
「ハヤマ・ハル、エクストリームガンダム。行きます!」
その声と機体のツインアイが輝き機体が射出され、バックパックのバーニアが火を吹き宙に浮かぶワープゲートを突き抜け、最初と同じようなステージへと転送された。
そして床へと降りると二人は既にその場で待機していた。
「お待たせ、二人とも」
そう言うと画面から二人から返事が帰ってきた。一応3と同じように敵や味方とのボイスチャットは可能だな。
「赤……」
「どうかした?」
「やっぱり、貴方が赤い機体に乗るのなんだか新鮮で……」
確かにボクはガンダムブレイカー2の世界だと、ボクはストライク……トリコロールカラーで胴体が青の機体に乗っていたから、そう思われても仕方ない。もしかして、レーアはこの世界に生まれ変わったあの世界のレーアなのかな?
「えっと、ハルくん?はあの子と知り合いなの?」
「えっと、何と言ったら良いのか……」
さすがに前世の知り合い、とかは言えないだろうし一緒に戦った事があると言えば不自然では無いのかな?
その時だ、接近警報がなり即座に周囲を見渡すと上からマシンガンと思われる射撃が放たれボクの足元に弾痕を作る。
『モリタ・ショウゴ三年だ。ラプラスの盾に歯向かったら、ただじゃおかねぇ』
見上げるとザクマシンガンを持ったザクやゲルググといった機体を合わせたオリジナルの機体と、その仲間と思われるガンダムMk-IIティターンズカラーと青いジムと陸戦型ガンダムを会わせたような機体、ブルーディスティニー1号機。
ファンネル戦にはならなさそうだ、なら心配せずに攻められる。
「レーアにユイ!ファンネルの心配はない。一応、ブルー・ディスティニー1号機のエグザムシステムに注意。ユイはあのMk-IIを!レーアはブルーディスティニーを押さえてくれ、出来るならユイのフォローもお願い!」
「う、うん!」
「貴方の指示で戦うのも久しぶりね、任せて」
そう言うと二人がそれぞれの機体へと向かっていき、レーアはGNソードⅤを構え、ユイは腕がシャイニングガンダムだからか、格闘の構えを取っていた。
そしてボクは、ショウゴの乗る機体へと拳銃型のビームライフル、ヴァリアブル・ガンの銃口を向ける。
「さぁ、やりましょうか先輩。」
「ハッ!この俺に楯突いて、後悔するんじゃねぇぞ!!」
ザクマシンを此方へ向け無数の銃弾が此方へと放たれる。ボクは即座にバーニアで機体を中に浮かせ、側転しながらヴァリアブル・ガンを撃ち牽制する。
「ビームダガー!」
そして即座にシールドを持つ方の手にヴァリアブルガンを移し、ビームダガーを投擲する。ビームダガーが回転し円を描きながら、ショウゴの機体へと向かっていく。そしてそれを宙へ飛び上がる事で避けたショウゴはその手を構え此方へと向かってくる。
恐らくこの人は、ザクの持つヒートホークではなく格闘なのか。容姿のチンピラっぽさから、全く違和感を感じなかった。
そんなザクへと俺もシールドを構えながらビームサーベルを構えて操縦席に付いている足元のペダルを踏み、バックパックのバーニアを吹かせ、ショウゴの機体へと向かう。
「当たれ!」
一方、レーアはブルーディスティニー1号機の持つライフルを全て避けながら高速で飛行し敵へと接近していく。
「当たれ!当たれ!当たれよ!!う、うわぁぁぁぁぁぁあ!?」
ブルーディスティニーを使うショウゴの取り巻きは慌てて陸戦型のシールドを構える。
「GNソードビット、展開。やぁぁぁあ!!!」
だがその盾ごと、GNソードⅤにGNソードビットをを装備し大剣となった剣で胴体を切り抜け上半身下半身に真っ二つにした。
そして、着地と同時にGNソードⅤからソードビットが離れ肩のGNシールドへと戻しGNソードⅤを振り払う。それはまるで戦い終えた戦士が剣に付いた血を払うように。
「弱いわ、ショウマやエイナルの方がまだ戦えるわね。」
そう呟き、ランキングと関係なしにバトルしていた仲間を思い出すレーアは懐かしむ様子で笑う、彼がみんなに再会したらきっと驚くだろうから。その為にも、早くこの戦いを終わらせる。
そう思い、レーアはユイの援護の為にその場から離れる。
きっと負けたブルーディスティニーを使っていたショウゴ取り巻きのプレイヤーは呆然としていただろう。
彼の射撃は精度はガンダムダブルオーのロックオンとまでは言わないが自信のある物だった。それを彼女は僅かに機体をずらし、時には反らして掠りもせずに避けきり、さらには一撃で倒された。
あくまでもこれは彼女が本物の戦争を経験しており、さらにはモビルスーツ。それもエクシア、ダブルオーライザー、クアンタの順で搭乗していた経験者であるからこそ出来た事である。
一方、ユイも元生徒会としての意地か、はたまたすーぱーふみなのコスプレが嫌なのか苦戦はしたものの、シャイニングフィンガーでガンダムMk-Ⅱを沈めていた。終えたばかりなのか、ガンダム・リリィの片手からは煙が上がっている、恐らくはシャイニングフィンガーを使った事による演出が起こっているらしい。
「ユイさんも終わったようね」
肩で息をして操縦桿を握るユイにチャットで話しかけるレーア。
「レーアさん?えぇ、たった今。あ!早くハルくんのサポートに行かないと!!」
「きっと大丈夫です、彼なら」
そう言ったタイミングで、彼とショウゴの戦っていた場所と思われるから光の柱が登った。
『おおーっと!?これはどういう事でしょうか!レジスタンスチーム二人が、ラプラスの盾メンバー二人を討ち取った!!残りは転入生と戦闘中のショウゴのみとなりました!!』
「は、はぁ!?どういう事だよ!?」
その放送を聞き、ショウゴは慌てた様子でそう叫びあげた。ボクはそれを聞き、レーアとユイが勝ったことがわかり、自分も早く決着をつける為に操縦桿を握り直す。
「先輩、あとは貴方だけだ。」
「くそ!例え俺一人だって!」
ハルは本気を出し勝つと言う思いまま、瞳を閉じた。
脳に浮かび上がるのは『EXA』の『X』。
そして機動武闘伝Gガンダムの主役機ゴッドガンダムから繰り出される『爆熱ゴッドフィンガー』や『ゴッドスラッシュタイフーン』『真流星胡蝶剣』等の技の数々、そしてあの時にショウマと共に、あの人から戦闘訓練を施された時の事。
『良いか、ハル?お前の機体はアタシのような戦いをしないが、武装が壊されたとしても諦めるんじゃ無いよ』
『は、はい……』
『ハァ!?何言ってるんだよ先生、武器がなきゃ俺やハルの機体は捕虜になるしか無いだろ……殺されるよりはマシだし』
『甘ったれるなッ!』
『痛っ!?なんだよ先生、なにも殴る事はないだろ!?』
『すぐに諦めんじゃないよショウマ、武器ならまだ残ってるじゃないか。』
『え?』
『この手がね!』
そう言って彼女が自身の腕をパシンと叩き笑う。彼女教えてくれた近接格闘技術がその後の戦闘や今の俺を救ってくれている。
体を、使い馴れたあの
『おおっと!?ど、どういう事でしょうか!?転入生の機体が淡く光輝いています!?』
覚醒、その淡い輝きを放つエクストリームガンダムは機体の各部装甲に装着されている発光装甲が光輝き、まるでゲームのバグ。無から有が製作される真逆のようにエクストリームガンダムの持っていたシールドとヴァリアブル・ライフルが消滅していく。
「な、何が起こって……」
『どういう事でしょう!?転入生の機体が変形?していきます!?』
機体の各部に更に装甲が追加され、両腕の前腕部を側面から覆うようにシャイニングバンカー・ユニットが形成されて行き、両足には追加バーニアが脚部を覆うように形成される。
全ての装甲が装着されたエクストリームガンダムは両腕を胸の前でクロスさせ、一気に振り払った。
「格闘進化!ゼノン・フェースッ!!!」
そして右手を握りしめて引き、左手を開いた状態でショウゴの機体へと向け構える。
エクストリームガンダムtypeレオス ゼノン・フェース。
エクストリームガンダムtypeレオスの進化形態の一つ。格闘に特化した世界、モビルファイター等との戦闘のデータにより進化した姿であり、原作のパイロットであるレオスは学んだ人達の影響か、ドモンのような激しい気性に変貌していた。
そしてボクのエクストリームはボクの覚醒と想像をエネルギーに機体を進化させてくれる。それに気付いたのは以前に戦ったガンプラバトルの大会で、覚醒した時だ。
「このガンダムならお互いに武器は己の拳のみです。行きますよ先輩、ボクのゼノンがあんたの機体を叩き潰す。」
「ハッ!例え姿が変わったくらいじゃあ俺には敵うわけねぇだろうが!」
そう言って先輩の機体がボクへとバーニアで加速しながら向かってくる。恐らくはそのまま一度振りかぶってパンチするだけ、なら。
ボクはエクストリームを足のバーニアを展開する、脚部のバーニアが開き黄金に輝く何枚かの羽のような何かが展開される。それで俺は振りかぶって此方へと向けられた拳を右足で横に回し蹴りの要領で蹴り飛ばす。
今エクストリームは進化ではなく極限進化形態、覚醒まで発動している。故にショウゴの機体の左手が遠くへと簡単には吹き飛んでいく。
「俺のパーツが!?」
「はぁ!」
そのままショウゴの機体へと連続で拳を振るい、最後にアッパーカットで上へと吹き飛ばす。
そして吹き飛んだ機体へと向けてエクストリームも跳躍しながら右手を振りかぶる。
「極!限!全!力!シャァアイニングバンカァァァァァア!!」
エクストリームの右手がまるでシャイニングガンダムやゴッドガンダムと同じように高熱により光輝き始める。そしてその右手をショウゴのガンプラへと向け、体へとぶつける。でもまだだ、これじゃあまだ機体は倒せない。
そのまま空中でショウゴの機体を真上へと右手で持ち上げ、掌から高熱エネルギーを機体の中核へと流し込む。
「嘘だろ、この俺様が!?」
「これで終わりだ。パイルッ!ピリオド!!」
その声と共にショウゴの機体が爆散し、それと同時に空中に勝者を告げる文章が投影された。
『ミッションコンプリート!勝者はなんとレジスタンスチームだ!どちらも良い勝負でしたが、転入生のあの光は一体……とにかく!実況は放送部部長シャクノ・リンコがお送りしました!』
勝利したことにより目の前よ画面が消えたのを確認して、セットされていたエクストリームガンダムを手に持つ。
「お疲れ様、相棒」
そう呟き、ケースに入れてガンプラバトルシュミレータから出るとバトルを見ていた沢山の人たちが歓声を上げて手を叩き拍手していた。
「くそッ!くそッ!くそッ!こんなの認めねぇ!それにお前!なんだよあの光、それに急に機体が変形するなんて、シュミレータを改造したんだろ!チートだ!この勝負は無効だ!」
あぁ、なんか大会でも同じことを言われなぁ。ふとそんなことを考えつつ、どう返すものかと考える。一応、ガンダムブレイカー3ではカドマツさんが、覚醒したから使える。覚醒はゼームののシステムに備わったサポートシステム。
誰でも使えると言う訳ではなく、覚醒したから使えると言う物だ。
「認められないのは、貴方の弱い心。勝負は私たちの勝ちよ。」
「ぐっ、ぬぅ………」
ユイの言葉を受けてショウゴさんは悔しそうに唸る。
「約束よ、パーツを返して」
そう言ってユイはショウゴへと掌を向ける。
「ケッ、要るかこんなもん。ほらよ!」
そう言ってガンプラのパーツを投げて渡すのをユイが受け取る。
「てめぇらラプラスの盾に、生徒会に刃向かってこのまま住むと思ってんじゃねぇぞ?あぁ?」
そう言ってボクを睨み付けるショウゴにボクは真剣な顔で逆に見つめ口を開いた。
「覚悟ならある。例えどんな相手だろうと、ボクは戦う。そして勝つ」
「………チッ。おいお前ら!撤退だ!」
「「ヘイ!」」
そう言ってショウゴ達がバトルルームを出ていった事を確認し、ボクは深く息を吐いた。
疲れた、そう感じながら緊張していた体を落ち着かせる。
「ハル、やっぱり
「うん。使えるみたい、あの時みたいに周りをゆっくりにしたりは出来ないみたいだけどね」
「そう、相変わらず不思議な力ね。」
聞いてきたレーアにそう返しながら、ボクは思い出す。彼女との戦いで使えるようになったこの覚醒、これが何なのかは結局分かっていない。
ゲームでも覚醒について明確に触れられたのは3のみで、2やモバイルでもあまり語られていなかったような気がする。
「ハル、今日この後の事なんだけど……」
「二人とも、何をしてるんですか?」
見るとバトルルームの出口から此方を見つめるユイやイオリさんにミサがいた。
「「え?」」
「もう、聞いてなかったの二人とも?なんで生徒会と学園がこんな風になったのかユイ先輩が教えてくれるって言うから第08ガンプラ部の部室に行くって事になったでしょ、ほらいくよ!」
そう言ってミサがまたボクの手を掴んで走りだし、ボクも釣られて走り出す。
「うわっ!ミサ、ボクは自分で歩けるって───」
一方レーアはため息を付くと仕方ないといった様子で呟いた。
「まぁ、また後日でいいわ。」
そう呟き、引っ張られていくハル達を追いかけてレーアも歩きだしたのだった。
ご愛読ありがとうございます
感想、お気に入り登録、高評価
お待ちしています