数年前
拳藤一佳は何人かの女性と一緒に並ばされている。周りには多くの人がいた。ここは奴隷市場。皆首に爆弾が仕掛けられた首輪をつけている。そして拳藤も奴隷としてここで売られていたのだ。ヒーロー社会が崩れ、スーパーマンが帝国を築き上げる少し前のことだった。
奴隷商「さぁさぁよってらっしゃい見てらっしゃい!今回の奴隷は上者だよぉ!!」
多くの人が拳藤や周りの女性のことを見る。すると一人の男が拳藤を見て奴隷商に問いかける。
「なぁ!このオレンジ髪の子、、、中々いいじゃあねぇの!」
その言葉を聞いて無感情だった拳藤の体がビクッと動く。
奴隷商「お客さん!中々いい目で!この女は元雄英生でしてね!中々の美貌とプロポーションでしょう!」
奴隷商や客の男はニヤニヤと話を進める。拳藤の心拍はどくどくと上がっていく。
奴隷商「何でもしますよこの奴隷は!元雄英生ということで戦闘もできる!しかも優秀で家事なども出来るでしょう!そして、、、、なんと処女!」
客からオオオ!!!という声が上がる。周りの他の客も興味を見せてきているようだ。
奴隷商「労働奴隷としても戦闘奴隷としても性奴隷としても一級品だと保証しましょう!」
すると最初の客が言う。
「買ったぜ!その子買うよ!」
そうして拳藤はその男に買われた。するとその奴隷はとんでもないことを言う。
「よし!じゃあ今ここで本当に処女か確かめるぜ奴隷商さん!もし違ったら金は一部返してもらうぜッ!」
その瞬間拳藤の頭はサァァァァっと真っ白になる。そして地面に押さえつけられる。対抗しようとするが
「おっとやめときな!首の爆弾が爆発するぜぇ!」
そう脅されどうにも出来なくなる。拳藤は息を荒くして目に涙を浮かべる。そして男のベルトを緩まる音が聞こえる。その時!!
ドッゴォォォォォォォォォォォォン!!
背後でそんな轟音が鳴り響く。そして次の時には拳藤は血まみれだった。それは拳藤の血ではなかった。自分を辱めようとした男の切断された首から飛び散ったものだった。その時拳藤の目にはこちらに手を差し伸べる復習するべき憎き悪魔が天使のように見えたのだった。
「ねぇお母さん!ねぇ!!お母さん!!」
壊理「お母さん!!!」
拳藤は目をパチパチさせて目の前の壊理を見る。すると壊理は頬を膨らませて言う。
壊理「ずっと呼んでたのに何で無視したの!」
すると拳藤は『ごめんごめん!』と壊理を宥めた。
拳藤「ちょっと色々昔を思い出してたんだ、、、」
拳藤がそういうと壊理は笑みを浮かべてウキウキで聞いてくる。
壊理「ねぇねぇ!それってお父さんとのこと?ねぇ!聞かせてよー」
壊理は拳藤にそう言い寄った。その時拳藤はスーパーマンのことを思い出す。そして顔を青ざめさせた。
壊理「どう、、、したの?お母さん?」
そんな拳藤を見て壊理はそう心配そうに問いかけた。拳藤はすぐに笑みを浮かべて言う。
拳藤「大丈夫!ただちょっと、、、気分が悪くなっただけだから!」
すると壊理は心配そうに『本当?』と言う。拳藤は頷いて笑みを浮かべた。
壊理「それじゃあさぁ、、教えてよー二人の話ー」
壊理がまたそう問いかける。拳藤は拳を強く握りしめてからゆっくりと話出した。
拳藤「お父さんと私は、、、、、、」
壊理「いつ好きになったのぉ!告白したのはどっちぃー?どんなとこが好きなのぉ?」
無邪気なその質問に拳藤は苦しむ。そして握っていた拳からは血が流れ出していた。思い出すのが辛いのだ。それは今の自分を苦しめるもの、、、、その幸せを蝕むもの、、、、彼女はカルを愛してはいない。だが今の生活には幸せを感じている。だからこそ、、、、この記憶は辛いものなのだ。だが、、
拳藤「告白したのは、、、お父さん、、」
カル「私の、、、、妻にならないか。」
カルは自分の城で使用人として働かせていた拳藤にそう問いかけた。
拳藤「それは、、、どういうことで?」
カル「いや、、、そのままの意味だ。君がいやなら、、、」
拳藤「いえ。私は使用人なので、、、、カル様が言うなら。」
だが拳藤はその時も拳を強く握りしめ流血していた。
壊理「それでぇ?それからぁ?!お父さんの好きな所はぁ?」
拳藤「お父さんの、、、好きな、所は、、、」
拳藤の頭の中でカル=エルの姿とスーパーマンの姿が何度も交差する。友達やヒーローを惨殺する悪魔と、家族に優しい面倒見のいい夫。そして自分は、、
拳藤「優しい、、、所、、かな、、、」
あんな悪魔が本当はいい人、、、心の根幹はいい人間だと思っていた。そう信じているのだった。すると
カル「二人共!ご飯出来たぞ!」
壊理「は〜〜い!お母さんも早く!」
そして壊理はカルの方に走っていく。拳藤は地面に座りながらカルを見る。すると彼は笑みを浮かべ
カル「一佳!食べよ!」
そう言ったのだ。
緑谷(これだけ探してるのに、、、、、やっぱり殆どの人はもう、、、)
そう緑谷達は今スーパーマンシティで仲間を集めていた。だが緑谷は未だ誰も見つけられていない。そう思っていた時だった。
マイク「レディィィスアンドジェントルメェェェン!!!」
そんな声がスーパーマンシティに響き渡る。その声は誰だかすぐにわかった。いつも聞いていた声だった。
テレビ局
「プレゼントマイク!これ次の予定です。」
マイク「あぁ、、、わかった。ちょっと外の風浴びてくる。」
マイクはそう言って屋上に行った。そして手すりを掴みタバコを吸う。すると
緑谷「プレゼントマイク。」
背後からそんな声が聞こえ出した。マイクはすぐに後ろを向く。そして持っていたタバコを落とした。
マイク「お、、、、おめぇは、、」
すると緑谷はマイクの方に歩いていく。そして隣の手すりを掴む。
マイク「お、、、お前、、スーパーマンにバレたら、、」
緑谷「いや。その心配は無い。色々用意はしてある。」
そうして緑谷はマイクの方を見た。そして語り出す。
緑谷「単刀直入に言う。レジスタンスに参加してくれ。」
するとマイクは鼻で笑って別のタバコを取り出す。そして火をつけ吸って口から離し言う。
マイク「んなもん無理に決まってんだろ緑谷。俺はもうこの世界で生きてくんだよ。」
その言葉を聞いて緑谷はマイクを睨んだ。だがマイクはそんなの気にせず続ける。
マイク「確かに元ヒーローとして、、、仲間を殺されたこと、、それは悔しいしずっとあいつを恨んでる。だけど今、、、、俺は生きてる。ヒーローの時よりも裕福にな。テレビにも出てる。ヒーローの次にやりたかった仕事が出来てるってわけだ。」
すると緑谷はマイクを掴んでフェンスにマイクを叩きつける。
緑谷「なんで、、、なんでそんなこと言えるんですか?あなた、、、ヒーローで先生でしょ!!」
するとマイクは言う。
マイク「人間はなぁ、、、緑谷。世界の変化に対応するしかないんだよ、、、、」
緑谷はそれを聞くと歯を食いしばり手を離した。
マイク「お前も、、、もう諦めるこった、、」
マイクがそう言って顔を上げた時にはもう緑谷はその場にはいなかった。マイクはため息をついてタバコに火をつける。
マイク(白雲ぉ、、、お前は俺達をどう思ってんだ、、)
マイクは夜空を眺めながらそう心の中で死んだ友にそう語りかけた。
とある建築現場
セメントス「俺はもうやめたんだ、、、、昔の俺はもういない。」
泡瀬「でも、、先生!」
取蔭「このままでいいんですか?!」
背中を向けたセメントスに泡瀬と取蔭が訴えかける。するとセメントスは歩みを止めていった。
セメントス「もうこのままでいさせてくれ、、、、」
そうして歩みを続けた。2人は何も言えなかった。ただその場で立ち尽くすだけだった。
「じゃあこれねルミちゃん!また来週ねぇ〜」
ルミ「ありがとうございました。」
元ヒーローミルコは夜の仕事を終え家に帰っている。途中色々な店を見て子供の誕生日に何を買ってあげようか考える。
ルミ(今日は給料出たし、、、、何か買って帰ってやっか!)
そして娘と夫の為にちょっとしたものでもプレゼントを買いルミは家に帰ってきた。だがその時何かに気づいた。
ルミ(なんだ、、、、誰かいる、、)
ルミは匂いと音で誰かが自分達の家に入ってきていることを察知する。そして
バァァァン!!!
ルミ「2人共!!大丈夫、、、、」
そして一気に扉を開けて入ってきたルミは目の前に広がる光景に言葉を失う。そこにいたのは昔のヒーロー仲間だった。そしてその目の前には椅子に座ってホークスと話していたであろう夫がいた。
ホークス「ミルコさん。久しぶりっす。」
ルミ「やめろその呼び方、、、私はもうただのルミだ。」
ルミは荷物を置くと夫に聞く。
ルミ「こいつに何か言われた?」
「いや、、、ちょうど今訪ねてきた所で、、、、だからまだ何も。」
するとルミは『そう、、、』と呟いてから夫に娘の部屋に行ってもらうことにした。この男と2人で話す為に、、、、
ホークス「すいませんねぇ急におしかけちゃって!」
ホークスは机にある端末を置いてから笑みを浮かべてそう言った。ルミが『これは?』と問うとどうやら会話を聞かれない為の物らしい。あのスーパーマンから、、、、
ホークス「それじゃあ話といきたいんですが、、、」
ルミ「私は行かないぞ、、、ホークス。」
ルミは先程の笑みの裏にあった考えを感じ取ってそう答えた。するとホークスの目が変わる。笑みも消してルミを見た。
ホークス「計画は完璧だし人員も集まってきてる、、、今なら勝てるかもしれないんだぞ。」
そしてそう言う。だがルミは逆に笑みを見せて言い返した。
ルミ「人員って?片方の翼しかない鳥さんとボロボロの元雄英生が?どうせ他の人員なんて集まってねぇんだろ?」
そこまで言われるとホークスは拳を握りしめるだけで何も言わない。ルミは続ける。
ルミ「それに作戦?どんな?作戦を立てた所で勝てない、、、、勝てなかったろ?前も!結局同じなんだよ、、、」
ホークス「あんた、、、本当に変わりましたね。」
ホークスはそう小さく言った。するとルミは言う。
ルミ「あぁ変わったよ。そうじゃあねぇと生きてけないんだよ、、、、こっちの世界じゃ。」
ルミがそういうとホークスは写真を出す。それはルミが良く相手する客の昔の写真だった。
ホークス「見覚えありますよね?あんたがよく相手する客です。世界がこうなる前は未成年の子を誘拐して売っていた。自分で楽しんでからな、、、、、」
ホークスがそこまで言うとルミはホークスを見て一言言った。
ルミ「で?」
それを言われホークスは何も言えなくなってしまった。するとルミは続ける。
ルミ「そいつがどんなクズかはどうでもいいんだよ、、、それにもう過去の話だしな。だけど今は私の常連、、、、いい客なんだよ。正直助かってるぜ、、体使わせてやるだけで金を恵んでくれるんだ。今ならわかるよ、、お客さまは神様だ!!ってね、、、お前知ってっか?あのおっさんマジ神だぜ!口でするだけでr『もういいやめろ!!』
するとホークスが話の途中でそう叫んだ。ルミは口を閉じてホークスを見る。するとホークスは言った。
ホークス「わかりましたよ、、、、、一応決行は明日の夜です。来るならイーストサイドの33番街の電話ボックスに来てください。それじゃあ、、」
そしてリビングから廊下への扉に触れる。その時ルミは言った。
ルミ「私だって好きでやってんじゃねぇんだよ。生きる為に、、、家族養う為にやってんだ、、だから無理なんだよ、、もう絶望に自分から突っ込んで死ぬかもしれない、、いや確実に死ぬとわかってるような戦いに足を踏み入れられないんだよ。夫を、、、娘を、、愛してるから、、」
ルミは拳を握りしめ頭を下げて机を見ながらそういった。その机には涙が落ちていた。ホークスは何も言わず、、、、いや何も言えず家を出ていった。
とある路地裏
切島(波動先輩!!いったいどこなんだ?!)
切島は1人街を駆け巡り波動先輩を探していた。だが一向にして波動先輩を見つけられないでいた。その時
「おい!てめぇ何そこで寝てんだ?ここはベッドじゃあねぇんだよ!」
「す、、、すみません、、」
切島は何人かの男に怒鳴られているホームレスを見た。最初は何も思わなかった。ただのホームレス、、昔の世の中にもいた。誰も助けようとはしない、、、今も昔も、、、、、だが
「住む場所、、、ないんです、、」
切島の耳にはその人物の声に聞き覚えがあった。ゆえに見てしまう。その方向を、、、、そして見えたのは水色の髪の美女だった。
「お前さん、、、、顔も体もいいんだから体売っちまえよ!それなら住む場所出来るんじゃあねぇか?」
「い、、、いや、、そういうのは、、、、」
「あぁ?往生際が悪ぃ女だなぁ!」
そして男が暴力を振るおうとした時
切島「やめとけよ、、、、その辺で。」
切島がそう言って男の腕を掴んだ。男は『あぁん?』と言って切島を見る。だが、、、、
切島「やめろよ。」
切島に睨まれ男達は怖気付きその場から離れていった。そして、、、
切島「久しぶりですね、、、波動先輩!」
切島は笑みを浮かべて波動先輩にそう言った。だが波動先輩は何も返さない。目は虚で無気力だった。
切島「は、、、波動、、先輩?」
そして切島は波動の肩に軽く触れる。その時
波動「やだ!やめて!!ご、、ごめんなさい!ごめんなさい!ぼ、、暴力は、、やめ、、て、、、、」
急にそう大声を上げた。切島は余りの豹変に驚き手を下げる。波動は息を荒くして目からは涙が流れていた。
切島「ど、、、どうしたんですか、、波動先輩、、、俺のこと、、忘れちゃいました?」
切島がそう問うと波動は顔を上げる。その時切島は全てを理解した。波動はさっきから虚を見ていたと思っていた、、、だが違った。本当の虚を見ていた。そう、、、、、
波動「誰、、、なの?私、、何も、、、見えないの、、」
そう彼女は失明していたのだ。ショックだった。だが切島は波動に語りかける。
切島「波動先輩、、、俺は、、切島です。雄英の、、後輩です。」
波動「切島、、、くん?あの、、硬い?」
切島は『そうです。』と一言言った。すると波動の目からは涙が溢れ出し、そして切島に抱きついた。
波動「やっと、、、やっと会えた!知ってる、、、人に、、、、、」
泣きながらそう言う波動に切島は何も言わずただただ抱き返した。
その後波動先輩を秘密基地まで連れて行き、一体何があったのかを聞いた。彼女は最初言いたげではなかったが段々話し始めてくれた。
波動「最初の戦いの時、、、、皆んなと別れた後すぐに凄まじい光が発せられて、、私は光を失った。そこから、、、、彷徨って彷徨って、、一度施設に入れられた。でもそこの施設が満員になると、、、、私は一人暮らしを強要された。でも、、、そう簡単にいかないよ!だって一人暮らしもしたことなかったし、、、目も見えないんだよ?だから、、、そのまま家も追い出されて、、、、今だよ、、」
波動はそこまで言うと淹れてもらった紅茶を飲む。波動は涙を浮かべる。
波動「久しぶりだ、、、、こんな美味しくて温かい飲み物、、、」
すると波動がそういえばと切島に聞いた。
波動「どうして私を探しにきてくれたの?」
切島は少しの間何も言えなかった。どう言っていいかわからなかった。だが諦めて口を開く。
切島「天喰先輩が、、、、」
波動「環くんが?!!」
その時波動は体を乗り出してそう聞いた。そして続けて聞く。
波動「環くんがいるの?!どこに?!!環くんは生きてたんだね!」
だが切島は何も答えない。ただ目に手を当て下を見ている。その沈黙に波動は嫌な予感を察知した。
波動「ね、、、ねぇ切島くん?なんで、、、、、なんで何も言わないの?た、、環君は?いるん、、だよね?ここに、、、いる、、、生きてるんだよね?!」
だが切島は中々答えない。波動は見えないながら切島のいるだろう方に手をやって切島を掴む。そしてゆすりながら言う。
波動「ねぇ、、生きて、、るんだよね!」
切島「波動先輩、、、、」
切島はやっと口を開いて波動の手を握った。そして言う。
切島「天喰先輩は、、、、もう、、」
その瞬間波動の動きは止まった。手から力は抜け声も出さなかった。いや出せなかった。ただ涙を流すことしか今の彼女には出来なかったのだ。切島も涙を流しながら波動を抱きしめた。
とある賃貸
トゥワイス「なぁおいスピナー!話聞いてくれって!」
伊口「話しかけるな!スピナーは死んだ!ステインとともにな!」
トゥワイスは階段を登っていくスピナーを見ながらその場で足を止める。いや今は伊口と言った所か、、、
トゥワイス「また、、、引きこもりに逆戻りか?」
そう言うと伊口は足を止めた。そしてこちらを振り向いて言う。
伊口「俺達は、、、何か出来る。世界を変えれるって思ってた、、だけどそんなのはただの夢だったのさ。俺らには何も出来ない。」
トゥワイス「だけど!俺たちは、、、生きてんじゃあねぇか!天が生かしてくれたんだよ!何かを成し遂げろって!お前はそう思わねぇのか?!今こそ俺達が変えるんじゃあねぇのか?!」
トゥワイスはそう返した。だが伊口は止まることなく自分の部屋の前に来て鍵をポケットから出しながら言う。
伊口「俺たちは
そして伊口は鍵を開けて部屋に入っていった。トゥワイスは何も言えなかった。ただ部屋に入っていく伊口を見ていることしか、、、、、、
伊口「はぁ、、なんなんだよ、、、」
伊口は自分の部屋に上がりふととある押し入れを見る。そこには昔の自分のコスチュームがあった。
マイクの家
マイクは1人酒を飲みながら緑谷に会ったことを思い出す。そしてその手には酒の入ったグラスだけでなく昔の友と3人で写る写真があった。
ルミの家
「機嫌、、、、悪そうじゃないかルミ。」
夫はルミを見てそう言った。そして紅茶を一杯手渡す。ルミは『ありがとう』といってそれを飲み干した。
「昔の、、友達なんだろ?」
ルミ「いや、、、、友達ってまでじゃない、、、、同業者だっただけだよ。」
すると夫は椅子に座りルミのことを見て聞く。
「それで?彼は君になんて言ったんだい?」
夫は優しい顔でそう聞いてきた。ルミはその顔を見てため息をついてから話出す。
ルミ「バカなことだよ、、、復讐したいんだってよ、、この国の王様に。」
ルミがそういうと夫は『そうか、、、、』と一言だけ言った。夫は続けて聞いてきた。
「ルミは、、、、もし僕達がいなかったら行くのかい?」
ルミはその言葉を聞いて口を紡ぐ。そして夫の方を見た。
ルミ「わからない、、、、でも、、行ってるかもね。少なくとも、、ヒーローに戻りたいって、、、、どっかで思ってるかもな、、、」
ルミは自分の拳を握りしめ開きその掌を眺めた。すると夫はその手を握ってルミに言う。
「僕は、、、君に惚れた。兎山ルミに、、、、、」
ルミ「ば!何言ってんだよ、、、」
ルミは頬を赤らめて恥ずかしがる。だが夫は真面目な表情で続ける。
「でも君は、、兎山ルミであるのと同時にヒーローミルコなんだ。それをずっと忘れてた、、、」
ルミ「な、、、何言ってんだよ、、ミルコはもう、、、」
「生きてるよ。君の中でずっと。」
そう言われルミの心が揺れる。そして思い出す。街で暴力を振られている人がいたら助けに行こうと毎回思うこと、、、、たまに蹴りの練習をしていること、、、そしてたまにヒーロースーツを取り出してそれを眺めていたこと、、、
「だから君がミルコになりたいなら、、、、僕は応援する。」
ルミ「何、、、言ってんだよ!もし私がミルコに戻ったら、、、、お前も、、あの娘も、、、皆んな死ぬかもしんないんだぞ!!」
ルミは目に涙を浮かべながらそう怒鳴った。すると夫は優しい目で、だが強い意志を持つ目で言った。
「ラミは、、、僕が命に変えても守り抜く。僕は何があっても君についていくって、、、そう思って君と結婚したんだ。だからもし、、、君がミルコになって戦うというのなら、、僕は君を止めないよ。その代わり、、、、絶対生きて帰って来てもらうけどね!」
夫は笑みを浮かべてそういった。ルミは何も言わずただ涙を流すことしか出来なかった。どこまで私はこの人に助けられるのだろうか、、、、、そう思っていたのだ。
ルミ「私は、、、、私は、、」
ルミの頭の中に色々な情景が浮かぶ。スーパーマンに挑んで敗北したこと、友や知り合い、家族が奴に殺されたこと、、、、そしてそれによって生まれた今の生活の幸せと苦痛を、、、、すると
ラミ「ママ?」
娘がルミの服を掴んでいた。どうやらさっき怒鳴ったせいで起きてしまったようだ。
ラミ「なんで泣いてるの?大丈夫?」
ルミは涙を拭って笑みを浮かべる。そしてラミの頭を撫でた。
ルミ「大丈夫、、、、ママちょっと、、考え事しててね、、」
そして娘を見て思う。自分は本当にミルコになっていいのだろうか?ミルコになれば生活は苦しくなるだろうし最悪皆んなが死ぬことになる。もし死ぬのが自分だけでも娘には悲しみを与えてしまう。自分がヒーローだった時は家族なんて考えていなかったから死地に飛び込めた。だがやはり今は違う、、、、だがその時
ラミ「ママ、、、後悔はしちゃやぁよ?」
娘にそう言われたのだ。それはたまに自分が娘に言っている言葉。そしてヒーローの時からの信念だった。後悔はするな私のモットー そしてその時ルミは頭の中に変わった世界を思い描く。全てを変えて夜の仕事もせず娘と今までより一緒にいられる世界を、、、、そして笑みを浮かべたのだ。
決行日 夜
「やっぱ似合ってるなルミ、、、」
「やめろ恥ずかしい///」
ラミ「ママカッコいい!!」
ルミは昔のヒーロースーツを着ている。出産して少し太ったからか昔よりムチっとしている。だが流石の着こなしだった。そして扉を開けて言う。
ミルコ「ヒーローミルコ、、、一夜限りの復活だ!!」
ということで4話です!後3話ぐらいあるかもです!