今回は、妹の花蓮の視点で地方支部の開設に関するお話。
設定のあれこれはふわっとしたものなのでご了承ください。
オリジナルさまの時系列で、だいたい7~8話頃の想定です。
第十話 幕間・とある地方のガイア連合地方セクターの関係者の記録
私は、間藤花蓮。私立蛍原学園に通う高校2年生の16歳の乙女です。
他の方と違う所と言えば、ロシア人の血を引くため銀髪の日本人離れした容姿と【ガイア連合所属の転生者】というところでしょうか?
あとは同じ転生者である実の兄の【間藤…ではなく、【月城カズマ】お兄様がいることでしょう。
現在のお兄様はかなり忙しく動き回っておられます。
この春に完成した表向きは【ガイア人材派遣神戸支社】の社屋となる、地下二階地上三階の【ガイア連合神戸セクター】内の稼働準備が忙しいためです。
この建物はかなり大きい建物です。
何しろ、私の元実家を含む一戸建ての4件分くらいの広さですから。
もっとも、月城邸にも近い古くからの住宅街でもともと「この辺は出る」と言われていたので、不動産会社との交渉は楽だったそうです。
外観は既存の目立たないビルにして、看板には「(有)ガイア人材派遣」、地下一階に各種倉庫と回復施設、地下二階に簡易シェルターと結界の中枢やラボがあり、一階が事務室と一般売店、二階が宿泊施設、三階が会議室などのレンタルルームなのだそうです。
ちなみにこの建物の設計は【派出所】の雛形であり、ここの建設内容から【支部】の施設の設計をブラッシュアップするそうなので、お兄様たちは報告書の作成に苦労されていました。
ただ、苦労されているはずなのにときどきこの忙しい中で、葵さんたちと仲良くしすぎているのはもう注意するのも諦めました。
そんなだから役職ではなく後々に【初代マスオニキ】なんて呼ばれるんですよ、お兄様?
もちろん、私もここの人材派遣に登録したという形で出入りしています。
職員としては、私とお兄様の他に、山梨から来てここの事務を取り仕切る音無さん、内勤を希望されている派遣されてきた方々の取りまとめをされている日下さん、地下の重要区画の技術関係担当の六堂さんと氷室さんと他、臨時で来られる方たちが転生者で、現地の方は葵さんと葵さんの母の忍さんが事務で、施設外の結界の点検などをする葵さんの父の恭也さんが常勤しています。
あとは、厳選して契約した宿泊関係の掃除や洗濯などの業者さんなどでしょうか?
音無さんはここの転生者に関する事務のほとんどを管理されていて、機密の低いものは葵さんたちに任されているようです。
その手腕には尊敬していますが、「心の癒やし」とかでお腐れも含んだ自分の趣味の周囲への布教は止めて下さい。
覚醒修行の厳しさに折れて事務に転向したけど、シキガミの恋人は諦めていないのではないのですか?
日下さんは、マシュマロ型のシキガミを連れた温和な男性で膝を悪くされているようですが、ご家族を大事になさっているとても良い方です。
派遣されてくる中のどうしようもない人たちのトラブルも、平和に解決されているのは本当に助かっています。
ただ、しきりと四国の現地霊能組織のことを気にされているのは何故でしょう?
六堂さんと氷室さんは地下にある結界の中枢、装備庫内の装備、回復施設のお風呂、簡易シェルター、非常用の電源といった試作部品も混じった複雑な技術関連を担当されています。
山梨で頂いた【呪殺無効】のこの服を造れるくらいの技術者で、何でもお二人は向こうでは【オネロリネェ】と【オネショタネェ】と呼ばれ、理想の銀髪ロリのシキガミとピンク髪男の娘のシキガミを作ろうとしてやらかして、ショタオジ様にこちらに出向させられたそうです。
理想の娘と理想の彼氏を創るのが夢とのことですが、容姿もスタイルも男性が向こうからたくさん来そうですのにどうしてこうなんでしょう?
恭也さんと忍さんは非転生者の覚醒者ですが、現場でのことや他の組織との交渉の際に間に入られたりと経験を活かされて本当に助かっています。
ですが、兄の子どもの命名や誰かいい人はいないのかなど聞かれても困ります。
今は、私の専用のシキガミの【クーフーリン】の育成で手一杯なのですから。
シキガミの【クーフーリン】は、女神転生でも有名なイギリスの英雄なのだそうです。
兄からはスキル構成が、デザインは同僚の女性技術者が主導した「型月プロジェクト」?の雛形から六堂さんたちが私の好みに合わせてプロト?にしてくれて、私はショタオジ様に言われ髪を一房提供しました。
そして、初めて出会った時こう言われました。
「よう、お前さんが俺のマスターか? そうか。
いや何、なんかお前さんとはこうシキガミとしてではなく、別の繋がりがあるんじゃねえかと思ってな?
まあ、気にしないでくれ。これからよろしくな、マスター」
ああああ、笑顔であんなことを言われたらあの癒やしの時間を思い出して限界化しちゃうじゃないですかぁ!
それを用意してくださった皆さんが優しい笑顔で見ていらしたのは、顔から火が出る思いでした。でも、後悔しない。
そして、緑の服の事務員の方はどこかネットリとした笑顔でこうもおっしゃいました。
「近いうちに彼も使える素晴らしい装備やスキルカード、他にも便利なグッズが手に入れられる【ガイア連合ガチャ】を開始するからたくさん稼いでね」
「ガ、ガチャですか?」
「そう。当たり装備やスキルなら彼にあげれるし、外れ装備や消費アイテムでも周囲の気に入った方に渡せば、ほら、無駄がない」
「む、無駄がない?」
「それにガチャだけでないの。
人の体により近くなり、強くなる有料のシキガミアップデートもあるんですよ。
愛しの彼を魅力的に強くするには効果的なのですから、頑張らないと」
ガ、ガチャ。ガチャは悪い文明だと誰かが言っていましたが、私には関係ない大丈夫だとその時は思っていました。
が、それが始まった数ヶ月後、見事に沼にハマり、かなりの散財をして彼自身に苦言を呈される羽目になったのは黒歴史というものでしょう。
でも、大丈夫。
今後は、計画的に上限を決めて余裕のあるときにしかしませんから!
理想のシキガミを追い求める同志である音無さんや六堂さんに氷室さん、彼女らと共に進んでいくのですから。
メンバーに不安しかない? 気にしないで下さい、クーフーリンとお兄様。
私は気にしませんので。
そして、しばらく立ちもうすぐ夏になりそうな頃、山梨から2つ連絡が来ました。
一つは、先日、異界が抑えきれなくなっていた【恐山】がガイア連合の精鋭によって沈静化し、ガイア連合と同盟を結び最初の【大型地方セクター】になるとの知らせです。
私たちは、こちらでの業務や生活と試験項目の実施などで忙しく参加する暇もありませんでしたが、霊視ニキさんの婚約と言い嬉しいお知らせでした。
そして、次の作戦として【瀬戸内鬼ヶ島】の異界攻略が決定されました。
物資と攻略人員をここ神戸と新たに派出所を作った四国の【大社】に集め、船に乗り込み夜襲をかけ私や日下さんも参加する橋頭堡部隊が陸上地点を確保し、夜明けを待ちお兄様も参加する精鋭を集めた切り込み隊が異界に殴り込む作戦でした。
作戦は熾烈を極めました。
基本、【鬼ヶ島】の名の通りに襲ってくるのは【妖鬼】たちでした。
持ち込んだ【アナライズ】の出来る装備で、ほぼ全ての敵が物理スキルの攻撃技のみであるのと同時に物理耐性を備えていたと分かり、徐々に進みながら攻撃魔法で掃討することを繰り返して山の洞窟までたどり着いた後、切り込み隊が乗り込みました。
上陸地点を守っていたこちらには、正面から【妖鬼オニ】の群れとそれを率いる【妖鬼モムノフ】が、水中から船を破壊するべく【妖鬼アズミ】の群れが来て私も貴重な【チャクラドロップ】を使い切るまで魔法を放ち、ようやく撃退できていました。
後で聞いた話ですが、異界の内部には鬼ではなくアズミを大量に従えた【龍神】がいて激戦だったそうです。
質はともかく数的にはこちらは不利で、兄を含めた決死隊が活路を開き、倒した竜神のその霊器を利用して豊穣神を降臨させ一気に壊滅に追い込んだそうです。
こちらとしては、疲弊して次の襲撃に備えていた時に島が一面の水田に変わっていくのは忘れることの出来ない思い出になりました。
そこで、やっと終わったのだと分かり周りの皆と喜びました。
そこからは、めぐるましく時間が立ちました。
降臨された豊穣の日本の女神様が異界のボスとなったため、【ヒノエ島】と名前が変わりました。
そして、異界の中まで水田と変わっていたこの島は貴重な霊的な質もある米を産出することが分かり、二番目に出来た【大型地方セクター】となってしまいました。
隣の地区の我々も日常の業務に加え、ここの開設のお手伝いもあり忙しい毎日が続いていました。
そして、星晶神社に向かった夏のあの日から一年後、その事件は起きたのでした。
あとがきと設定解説
・【初代マスオニキ】
かなり初期のこの頃に、婿入りを堂々と宣言して実行してのけた勇者に後に贈られた称号。
外様神や穏健派がガイア連合員の取り込みを積極的に始める前だから、【初代】。
・【オネロリネェ】こと六堂さん
某作品の銀髪ロリ暗殺者といた女性にそっくりの覚醒転生者の技術者。
理想のパートナーシキガミを生み出すのを至上命題にしている変態。
銀髪なので、花蓮に絡んだ。
・【オネショタネェ】こと氷室さん
某作品のピンク髪の男の娘に執着していた女性にそっくりの覚醒転生者の技術者。
理想のパートナーシキガミと結婚を夢見るアラサー。
やらかしで飛ばされた件の主犯。
ちなみに、友人であり同志とは思っているけど、お互いの性癖には内心少し引いている。
次回から、第二部の予定。
ストックは尽きているので、リアルの都合と合わせて時間がかかります。
もし、読んでくださった方がいるならありがとうございます。