カオス転生異聞 デビルズシフター   作:塵塚怪翁

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早くできました。
キーアイテム登場に合わせて、正式な題名にしました。

今回は、異界攻略の前哨戦と伏線にしていたつもりのアイテム登場回。
そろそろ、主人公にも戦闘で活躍できる力がないと表現が難しい。


第十三話 Q、すんなり攻略が終わると思っていませんか?

  第十三話 Q、すんなり攻略が終わると思っていませんか?

 

 

 暗い山道を行くのは危険なので、現地へは日が暮れる前に行くべきだろう。

 現場までは社用車のワンボックスで移動するとして、問題は今回のメンバーである。

 

 この間の鬼ヶ島攻略も含めいろいろ他の地の異界攻略にも参加しているため、レベル20になった自分とレベル12の花蓮、レベル9に成長したクーフーリンは決定であるし、文香さんは止めておいた車の番をしてもらうつもりである。

 

 葵は妊娠中だから駄目であるし、他のメンバーはセクターの要員だから駄目。

 日下さんは今、他の初心者グループの付き添いでいないし、メシア教絡みのため期待していた霊視ニキや鬼ヶ島攻略で一緒にいた人たち、【ヒノエ島セクター】の人たちも、各地のセクターが稼働したばかりであるため他の仕事や生活で応援には来れないらしい。

 おまけに、いつも逗留している人たちも今は手が空いていないらしい。

 

 とりあえず、この3人で入り口で一当てして様子を見るしか無いだろう。

 愚図る文香さんにいろいろとプレゼントする約束をしてなだめたり、葵と雫の二人に甘い雰囲気で見送られ周りの人を呆れさせたりしながら、現場の【鬼ノ城城跡】に向かったのだった。

 

 

 

 車でビジターセンターの観光用の駐車場まで移動し、文香さんに車を任せ下車する。

 行方不明者が出たということなので山道を警察が封鎖した跡があり、人が他にいないのはこちらとしては助かるというものだ。

 

 車から各種アイテムをポーチに入れ、自分とクーフーリンと分けて持つ。

 後衛の花蓮は、開設時山梨から送られてきた【試作型アナライズシステム】というごつい金属製のゴーグルとケーブルにつながった金属製のデータベースの入ったバックパックを身につける。

 最初は竹や木の槍だったクーフーリンも、金属製の槍を手にして感触を確かめている。

 

 文香さんに後を頼み、封鎖した脇から山道を登り、程なくして唯一再現復元された城門につく。

 門の下を覗くと向こう側が山裾が見えるはずなのに、古代の城の中の風景になっている。そして、チョロチョロといくつか動き回っているものが見える。

 

 

「【アナライズ】できましたわ。

 【魔獣カソ】、レベル4、耐性は火炎耐性と氷結弱点。スキルは、アギを使いますわ。

 鬼じゃありませんのね?」

 

「この程度の連中なら、群れてもメシアン共が殺られるのはおかしいぜ。

 大物が奥にいるんだろうさ。どうする、旦那?」

 

「どちらにせよ、異界に入るには門をくぐって入らないと行けないようだし、正面から一当てしてみよう」

 

「うし。じゃ、一番槍はもらうぜ」

 

 隠れながらこそこそ話していたが、合図と同時にクーフーリンを先頭になだれ込む。

 この辺には数匹しかいなく、攻撃される前に全部倒せた。

 周りを見ると、いつもの城跡ではなく奥に立つ本丸に続く石垣の塀に沿った道が続いている。

 慎重に進んでいくと、城の前庭らしい広場につくとそこには大量のカソと、ヒョウ頭の青い馬に乗った両腕が蛇になっている赤い服の男がいた。

 

 

「またニンゲンが来たのか。

 以前来た神の崇拝者たちとは違うようだが、何用か?

 立ち去れ、今はあの愚か者共の始末で忙しいのだ」

 

「【堕天使オリアス】。レベル7で、火炎が弱点ですわ!

 とりあえず、【ブフ】ですわ」

 

「大将首だろ、とりあえず死んどけや。【突撃】!」

 

「なし崩しだけど、とりあえず殴る」

 

 

 花蓮とクーフーリンが先制し、自分は変身して馬の脚をバットで殴る。

 それなりのダメージが入った所で、オリアスが動き出し馬の移動スピードで動き回りながら魔法をかけ始める。

 おまけに、物陰にいたらしい鉄の胸当てを付けた装飾の派手なミノタウロスまで出てきて魔法を放ってくる。

 

「この愚か者めが!まず、そこのシスターから惑うがいい、【プリンパ】!

 カソ共、一斉に攻撃しろ!」

 

「「「「「【アギ】」」」」」

 

「祭祀の準備の邪魔をしようというのか!

 喰らうがいい、【マハラギ】!」

 

「やばい、【マカラカーン】!

 クーフーリン、そこの混乱した花蓮を連れて撤退!」

 

「わかったぜ、旦那!

 おうりゃ、虎の子の【スタングレネード】だ」

 

 

 閃光と爆音を背に、迫りくる火炎から何とか逃れつつ城門を駆け抜け一気に駐車場まで駆け戻った。

 幸いなことに、多少の怪我はしたが深手は負わずに逃げ切れたようであるが、花蓮が正気に戻るまで少し時間がかかった。

 そして、怪我も花蓮のディアで治ったので相談を始める。

 

 

「状態異常で動きを止めて焼き払うとかひどい連携だ。

 たぶん、これで天使諸共にエクソシストはやられたんだろう。

 花蓮、オリアスのスキルとあのミノタウロスみたいなのは分かるか?」

 

「オリアスのスキルは、……【プリンパ】【ハピルマ】【ドルミナー】ですわ。

 牛男の方は、はっきり見てませんので分かりません」

 

「……たぶん、ミノタウロスではなく雄牛のような悪魔ですから、ミノタウロスではないのではないでしょうか?

 たぶん、牛頭人身ならば【魔王モラクス】だと思います」

 

「花蓮、モラクスのデータはある?」

 

「ちょっとお待ち下さい、お兄様。……ありましたわ。

 レベル15、耐性は、火炎反射、氷結弱点、呪殺無効。

 スキルは、物理技の【巨角の連撃】と状態異常の【ゲヘナ】ですわ。

 火炎呪文を使うのはデータにありませんわ」

 

「……そもそも鬼ではなく、何故、堕天使や魔王がいるのでしょう?」

 

「裏に何があるのかはっきりしないけど、今回の件、メシア教に騙し討ちされるような可能性は薄いんだよなぁ」

 

 

 文香さんも合流し、敵の正体や詳細を相談して対策を練る。クーフーリンは黙って周囲を警戒してくれているのは助かる。

 それにしても、この花蓮が付けているデータベースも付いているアナライズの機械には情報面では本当に便利で助かっている。いずれは、小型化するつもりのようだがハードがまだ追いついていないそうだ。

 いかに、ゲームの彼らはプレイヤーフレンドリーで助かっていたんだなぁと思う。

 さて、ボスクラスが二つでどうするか。できれば、若干脆い方の厄介な堕天使の方から落としたい。

 

 ああでもないこうでもないと相談していると、自分たち以外には来ないように話が通っているはずなのに山道を車が近づいて来るのが見えた。

 相談を一時止めて警戒していると、義父の恭也さんが運転している大型のバンが入ってくる。そして、近くに停まると恭也さんと2メートル近い体格の【レスラーニキ】が降りてきた。

 

 

「やあ、レスラーニキ。来てくれて助かるよ。

 よくここに来れたね?」

 

「ちょうど興行明けにメールに気づいて応援のために神戸支部に来たら、こっちの人がマス…じゃねぇ、支部長に荷物を届けに行くって言うんでな。

 乗せてって貰ったんだわ。で、まだ出番がありそうだな?」

 

「ニキが来てくれたんなら、打開できそうだ。

 待たせてすいません。恭也さん、荷物って何でしょう?」

 

「ああ、これだよ。

 君たちが出ていってしばらくした頃に、赤いスーツを着た【赤城】と名乗る男性が来てね。

 『やっと完成したのでぜひすぐにでも届けて欲しい』と必死に懇願されてね。

 まあ、ときどき取り引きもしている田中さんの所の人だとは聞いていたから、持ってきたんだけども何かまずかったのかい?」

 

 

 首を振ると、助手席に置いてあった金属製のアタッシュケースを渡してくる恭也さん。

 周りの人も興味深そうにしている中、手に取る。

 見ると、ケースの表面に【人類娯楽史研究所】の文字があり、ロックを外して中を見ると、全体は基本的には黒く銀色の金属部と金色の装飾がされた片腕に装着される様に作られたらしい精密機器が入っている。

 そして、説明書とは別に、同封されているメッセージにはこう書かれていた。

 

 

『カズマくん、完成させるのが遅れてしまってすまない。

 オーナーと開発者に無理を言って、ボクの趣味を全面的に反映させてしまったからなんだ。

 オーナーによると悪魔変身能力者は、悪魔の一部をその身に宿し単一の姿にしか変われない者と、契約した悪魔それぞれの複数の姿に変われる者の2種類いるそうだ。

 君は後者の素質が有るのだが、それには悪魔を契約・封印したカードと変身するためにカードを励起させるアイテムがないと不可能だという。

 そこで開発したのが、この【デビルズアブゾーバー】と【赤城特選悪魔カードセット】だ。

 せひ、君の戦いに役立たせて欲しい。

 そして、このアイテムは、必ず君の力になり我々の目的も果たしてくれることだろう』

 

 

 

 

 

 確かに1年前、赤城さんはこう言っていた。

 

『君にいいものをプレゼントするから、楽しみにしていてくれ。

 オーナーやボクが用意する素晴らしいものだからさ』

『物は出来上がっているので、微調整してカードの種類を決定したら完成だ』

 

 これが自分の力になるのなら、せっかく出来た大切なものを守れるなら、この先に起こるだろう【大破壊】で生き残れるなら、喜んで使わせてもらうことにする。

 そして、自分はその【デビルズアブゾーバー】を左腕に取り付けた。

 




あとがきと設定解説


・【鬼ノ城城跡】こと、鬼城山(鬼ノ城)

「日本100名城」のひとつ。大和朝廷によって国の防衛のために築かれたとされる古代山城。鬼ノ城は歴史書には一切記されておらず、その歴史は解明されずに謎のままです。
現在は史跡調査や整備、復元を行っており、角楼跡や城門跡を訪れることができます。
復元された西門から望むパノラマ風景は素晴らしい。
山頂の手前には復元の過程や遺跡が出土した時の様子を紹介した「総社市鬼ノ城ビジターセンター」があります。
城壁に沿って整備された全長2.8kmのウォーキングコースもおすすめです。 
(岡山県観光スポット案内より)

・【プリンパ】【ハピルマ】【ドルミナー】

いずれも敵単体に、混乱、快楽、睡眠の状態異常を付与する。

・【ゲヘナ】

敵全体に、恐怖の状態異常を付与する。


次回は、異界攻略の続き。
キーアイテムも活躍できればいいのだけど。

もし、読んでくださった方がいるならありがとうございます。
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