カオス転生異聞 デビルズシフター   作:塵塚怪翁

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今回は、初のアイテム戦闘回。

戦闘場面の描写が難しい。
切りが良いところまでなので少し短いです。


第十四話 Q、便利な道具はただ便利なだけだと思っていませんか?

  第十四話 Q、便利な道具はただ便利なだけだと思っていませんか?

 

 

「それじゃ、わたしは一旦戻るから。頑張ってくれ」

 

 

 そう言って、そのまま車で戻っていく恭也さんを見送る。

 左腕に【デビルズアブゾーバー】を付けたはいいが、使い方が分からないので説明書を見ながら起動することにする。新品の物は、必ず説明書を読んでからでないと落ち着かない。

 周りも見ている中、不思議そうに花蓮が聞いてくる。

 

 

「それは何ですの? お兄様。

 力は感じますが、特撮の成り切り玩具にしか見えませんが」

 

「よく話していた赤城さんが持ってきた自分の能力を向上してくれるものらしい。

 ほら、以前、金髪少女の油絵を贈ってきたあの人だよ。

 怪しげで胡散臭い人だとも思っていたけど、こっちの業界の人なら納得できるな」

 

「……大丈夫なのですか、カズマ様。不安しかない方のようですが?」

 

「趣味以外は、仕事もできて頼りになる真面目な人なんだ。趣味以外は」

 

「本当に大丈夫なのか、それ。

 オレもいるんだ。殴った方が早くないか?」

 

「とりあえず、使ってみよう。

 かなり、厄介な連携をしてくるからバット以外の手段は多い方がいいし」

 

 

 口々に、不安だと言われる。

 もっともだとは思うが、最悪、全員動けなくなって火あぶりよりはいいだろう。

 説明書と付属品をケースから取り出す。

 

 

「まず、『専用アクセスカードのプレートを最初にはめて下さい』、と。

 装飾の派手なプレートだなぁ。下地が赤の金色のハートの模様とか。

 次は、『システム音声の仕様は無理だったので、ピッと音が鳴り上部のLEDが青く点灯していれば大丈夫です』、と。

 システム音声とか何を喋らす気だったんだろう?

 えーと、『右側のカードスライダーを展開するため、手前の押しボタンを押して下さい』?

 これかな?」

 

 

 カード差込口の下にあるボタンを押すと、右側の出っ張った部分からガシャっという音と共に3枚のカードの入ったスライダーが展開する。

 裏側は下地が赤く黄色い星のような模様で、表には、白い着物を来た少女、浅黒い肌で動きやすそうな白い服を来た少女、髪の毛が翼になっている赤い服の少女の姿がそれぞれ描かれている。

 カードの左上には赤でハートと「FG」の文字が、絵の下の部分に【ユキジョロウ】【ナジャ】【モー・ショボー】の名が記されている。

 

 メッセージに【赤城特選悪魔カードセット】と記されていたので覚悟はしていたが、『容姿とスキルには熟選を重ねた』とか趣味に走り過ぎてはいないだろうか?

 もっとも本人に聞いたとしても、「性能がいいなら、男やBBAよりはいい」と言うのは分かっているのでカードについてはもう聞かないが、この機械自体にはこの件が終わったら聞くことにしよう。

 

 とりあえず、この場で一番有用そうな【ユキジョロウ】のカードを取り出し、プレートの下の隙間にカードを差し込むとLEDが点滅しピッピッと音が鳴るといつもの変わる感覚がして、サバゲー専門店で買った型落ちしたアメリカ軍の迷彩服と防弾チョッキを着た男が、白い着物を着た10代前半の少女の姿に変わっていた。

 しげしげと興味深そうに集まる周囲のメンバー。

 

 

「お兄様がえらく可愛らしくなったわ。高さもちょうどいいし、頭も撫で心地が良い」

 

「止めてくれ。頭を撫でるな」

 

「……少しヒンヤリしていますね。この時期なら、抱きまくらにいいかも」

 

「文香さんも撫でないで。あと、冷房機じゃない」

 

「旦那、声まで可愛らしくなってんのな。ククク」

 

「うちの興行で、歌ったり踊ってくれないかのぅ」

 

「クーフーリンやレスラーニキまで変なことは言わない!

 この姿なら強い氷結系魔法も使えそうだから、作戦を立てて突入するよ!」

 

 

 微笑ましげにこちらを見る面々に考えた作戦を言い、撫でようとする女性陣の手を避けながらようやく突入を再開するのだった。

 

 

 作戦自体は単純である。

 移動力の落ちた自分と花蓮を両脇に抱えたレスラーニキとクーフーリンが突っ込み、出会いざまに魔法をぶっ放して、二人を手放したらレスラーニキはモラクスを、クーフーリンがオリアスを仕留める作戦である。

 

 作戦は上手くいった。

 

 こちらが逃げ帰ったと思っていたのだろう。

 エクソシストの腕らしき残骸をカソたちに与えている所に、クーフーリンと2m近い体格の両腕に女性を抱えた白い半袖シャツとGパンの男が突っ込んで来たのだから。

 呆気にとられる顔を見ながら、花蓮はモラクスに自分は全体にぶっ放す。

 

 

「喰らいなさい、【ブフ】!」

 

「【マハブフーラ】!」

 

「がああああ!」

 

 

 自分の方は【氷結ブースタ】付きである弱点の氷結魔法を喰らい、全滅するカソと悲鳴をあげるモラクス。

 先ほどのダメージがまだ残っていたらしい重傷のオリアスが魔法を放つ。

 

 

「おのれ、ニンゲンごときが!【プリン…」

 

「【チャージ】、もう言わせねぇよ。死ね、【突撃】!」

 

「ぐほっ」

 

 

 【チャージ】を掛けながら走り寄ったクーフーリンの槍に頭を刺し抜かれ、消滅するオリアス。

 そして、自分と花蓮を手放したレスラーニキとモラクスが激突する。

 モラクスの攻撃を全部受け止め、角を叩き折るレスラーニキ。

 

 

「死ぬがいい!【巨角の連撃】!」

 

「効かん!レスラーを舐めるな!【牙折り】!」

 

 

 そして、そのまま慌てるモラクスの後ろに回り両腕でがっちりロックすると、暴れる巨体をそのまま持ち上げ後ろに叩きつけた。

 

 

「何をする!止めろ!我はかの偉大な…」

 

「お前など知らん!【気合】!ふんぬぅぅ、【渾身脳天割り】!」

 

 

 きれいなブリッジのニキと頭頂から鮮血を出し通路の石畳に沈むモラクス。

 そのまま塵になって消えかけた時、スキルが働く感覚がして、緑の光に包まれてモラクスがカードと化し自分の手元に飛んできたので掴んでそのまま仕舞う。

 

 わりとあっけなく戦闘が終了した。

 周りを見渡すと、レスラーニキが怪我を負ったくらいで被害は少ない。

 花蓮が治療している間に周囲を調べるが何もなく、あとは門を固く閉めた3階建ての本丸があるだけだった。

 門をぶち破れないか試したが、レスラーニキの全力の飛び蹴りでも無理だった。

 あとは、よじ登って窓から入るくらいだろう。

 

 

「クーフーリン、行けるか?」

 

「登れるが、あそこの窓は小さすぎて俺じゃ入れねぇ。

 嬢ちゃんはもちろん、今の旦那でも無理じゃないか?」

 

「これなら行けるんじゃ?」

 

 

 【ユキジョロウ】のカードと【ナジャ】のカードを入れ替える。

 カードを入れてLEDが青く点滅した途端、浅黒い肌に骨のペンダントをして白い服を着た少女に姿が変わる。

 いつもの自分より素早くて体重もかなり軽いので、しばらく動かしてから周りに合図を送り登りだす。

 

 

「中に潜り込んで扉を開けるから、突入の準備はよろしく。

 じゃあ、行ってくる」  

 

「こっちもこっちで可愛らしいですわ」

 

「中身が旦那じゃなきゃ、心配しかしねぇ格好だな」

 

「うむ、こっちも興行で受けるだろうな」

 

「だから、容姿の寸評はいらないんだけど」

 

 

 まるで、手慣れたようにスルスルと登っていく。

 それにしても、この姿の【ナジャ】という悪魔はどこの伝説や伝承のものなのか、まるで見当がつかなく知識にない。

 赤城さんはその趣味から来る情熱でどこで見つけてきたのだろう?

 不思議でならない。

 

 

 そして、そんなことを考えながらも最上階のベランダにたどり着き、隙間から中に潜り込んだのだった。

 




あとがきと設定解説


・【赤城特選悪魔カードセット】

彼の趣味が特別に反映されまくったカード群。
主に、従来の同名の悪魔よりイラストレーターが違うレベルで容姿に力を入れている。

・【レスラーニキ】

主に、関西で過激な興行をしているプロレス団体の古参のヒールレスラーで選手のまとめ役。
レベルは16。耐性は、物理耐性、火炎耐性、衝撃耐性、破魔無効、呪殺無効(装備)。
スキルは、牙折り(関節技)、渾身脳天割り(投げ技)、デスバウンド(ジャイアントスイング)、気合、挑発。

・【鬼女ユキジョロウ】

赤城の趣味の入りまくった悪魔カードの一つ。
レベルは26。耐性は、火炎弱点、氷結吸収。
スキルは、ブフーラ、マハブフーラ、ドルミナー、永眠への誘い、氷結ブースタ、火炎耐性。


次回は、異界のボスとの戦闘。

もし、読んでくださった方がいるならありがとうございます。


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