カオス転生異聞 デビルズシフター   作:塵塚怪翁

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コロナで仕事が休みで、わりと早く続きました。

今回は、会話文の練習も兼ねた現状把握回。
設定や状況を固めて、頭の中で会話させて出力するとするするとかける不思議。


第二話 Q、死にたくないのならば努力はしたのか?

 

 

 第二話 Q、死にたくないのならば努力はしたのか?

 

 

 

 デスクトップの画面に現れる『★転生者のデビルサマナーだけど何か質問ある?』などの転生者関係の掲示板を妹の花蓮と見ること1時間、さすがに目が疲れたため休憩することにした。

 途中で用意した麦茶を二人で飲んで一息つく。

 

 

「大体のことはわかりました。父のこともありましたし。

 だけど、お兄様? その、『大破壊』とか『核戦争による終末』とか本当にありえますの?

 9歳の時に『転生者』だとバレて『生き残りたいなら来い』と引っ張り出されて、異界巡りをさせられたので『悪魔』についてはもう十分理解していますけど。

 それと、私に化けて『来ないなら裸で表を歩き廻る』と脅した件は忘れていませんよ」

 

 

 一応、頭を下げてそれに答える。そして、冷房は残念ながら無いため扇風機を強めにする。

 

 

「脅したことは許してくれないか?

 あの時は一人では行き詰まっていて焦っていたんだから。

 そもそも、ファミ○ンのBGMの話をしている時に、存在しない乙女ゲーの声優陣を熱く語りだした花蓮のほうが悪いと思うんだけど。

 それに強くなったことで健康にもなって、そこらの運動部の子たちよりも走るスピードとかすごいじゃないか。勧誘されたんだっけ、陸上部に」

 

「新入生だからって、部活には入りませんよ。

 12の頃から続けてる教会のお手伝いだってあるんですし。

 もっとも、大きい教会はメシア教が専有しているので、他の宗派が管理してる結婚式場付きの小さい教会ですけど。他にシスターらしいシスターもいませんし」

 

 

 そう言って、麦茶を飲み干す花蓮。もう、3杯目である。暑いから仕方ないが。

 

 

「……その、メシア教のこともあるし、一神教のシスターを続けるのか?」

 

「今世の父がアレなことになりましたけど、その前はまっとうな神父でしたしそれくらいは受け継いでもいいかな、と思ったので」

 

「そっか。何かあったら、知らせてくれよ。これでも兄貴なんだし。

 もっとも、ぶん殴るか、相手に化けて社会的に殴るしか出来ないが」

 

「十分ですというか、しないで下さい。葵さんにも迷惑がかかりますし。

 そうなると、友人の雫にも影響があるんですよ。妹さんなんですから」

 

 

 月城葵(つきしろあおい)。

 表向きは短大卒業後、地元の福祉NPO団体の事務をしている。

 裏向きには、ヤタガラスの系列の霊能者組織だったがほとんど福祉団体と化した今の組織の唯一の能力者らしい。

 5年前に妹と修行代わりに地元の中小異界を潰して回っているときに知り合ったが、異界の見廻りをしていて悪魔に襲われているのを助けたのが切っ掛けだった。

 呪いがけとお祓いは得意だと言っていたが、たぶん【ムド】と【ハマ】だろう。

 そして、妹の花蓮の同級生である雫(しずく)ちゃんのお姉さんでもある。

 

 

「……彼女、なにか言っていたのか?」

 

「裏向きは特に何も。……ただ、一人暮らしを始めたのなら何か家事で困ってませんか、とだけ。うふふふ」

 

 

 視線を外して含み笑いをする花蓮。何か寒気を感じるが、咳払いをして話を続ける。

 

 

「話をもとに戻すが、『大破壊』や『核戦争による終末』は充分に起こり得ると思うぞ。

 ただ、自分の知識は不完全でね。

 公式でやり込んだのは南極の巨大異界に軍の一員として乗り込む話で、他は小説やや○夫スレの2次創作の知識でしかないんだ。

 そもそもこの『前世の知識』が誰かに刷り込まれた物かもしれないのが、『女神転生』の世界なんだ。

 花蓮の方は、何か知らないのか?」

 

 

 含み笑いを止め、真顔で話し出す花蓮。

 

 

「花の20代を、仕事と家の家事と癒やしの乙女ゲーだけですり潰して死んだ私にそれを言うのですか?」

 

「正直、すまなかった。でも、知らないというのは分かった」

 

 

 ふと、時計を見る。お昼を廻っている。

 

 

「もう、お昼か。昨日の残りのカレーがあるが食うか?

 レンジで温めれば、すぐに食えるけど」

 

「夏場だけど、大丈夫なのですか?」

 

 

 その質問に、指を指しながら得意げに答える。

 

 

「一人暮らしをするから貯金をはたいて、冷蔵庫、電話、レンジ、デスクトップ、原付きバイクを新しく買って、駅前の新築1DKアパートに入居としたんだ。大丈夫だ。

 貯金の残高は、正直、怖すぎるが」

 

「何でそんなに得意げなのか」

 

「前世の生活を思えば、まだ足りないぞ家電。エアコンと掃除機は諦めたし。

 それより、食べるのか?」

 

「食べますよ。お腹空いたし、お兄様のカレーは何故か美味しいですし」

 

「そこは、長年の市販カレールーの組み合わせの研究の結果だな。

 苦労したんぞ、これ」

 

「いつ研究したんです?」

 

「前世で。個人情報はもうほぼ忘れたのに、こういうのや趣味のことだけはしっかり憶えているんだよなぁ。本当に不思議だ」

 

 

 冷蔵庫からカレーを入れたタッパーと一人分をサランラップで冷凍にしたご飯を出し、客用の皿も用意して二人分のカレーライスを用意する。

 

 

「ほんと、こういうのマメですね。お兄様」

 

「こういう事は好きなところは拘らないと。

 食事と餌は違うんだし。

 あ、皿とかは流しに置いといてくれ」

 

「後片付けの洗いくらい、私がしますよ。やらせて下さい」

 

「分かった。頼む」

 

 

 

 

 

 

 

 

 食事が終わり、一息ついてからまた相談を始める。

 

 

「さて、今日は俺には予定がないから大丈夫だが、続けるか?」

 

「日曜ですし、大丈夫です。緊急事態なのだから、一日くらい掃除しなくても大丈夫ですよ。小さい教会ですし」

 

「……まあ、いいか。続けるよ」

 

 

 引き出しから、神戸市の地図出して広げる。

 いくつかの地点、神戸に来てから自分で見つけたものや月城さんに聞いて判って潰した異界の地点が記されたものを指差す。

 

 

「この9年間で、神戸・明石・姫路市内の中小の知っている異界は粗方潰し終えている。

 あと、記録に残っているのはロープウェイのある山の頂上近くのものと、姫路城の天守閣と花蓮の行っている学園のものしか無い。

 天守閣のは個人的に潰したくないし、山や学園のは何かの封印だから接触禁止になっている。

 記録を見せてもらった月城さんのご先祖が残した修行方法も、強い霊地がないと役に立たない」

 

「霊地って、受け継ぐものではありませんの?」

 

「戦後すぐに曽祖父母と祖父母が米軍に連れて行かれて、何も知らない両親が買取に応じて屋敷ごと売り飛ばしたんだと。

 月城さんが悔しそうに言っていたな」

 

 

 本当に悔しそうに言っていた月城さんの顔を思い出す。

 

 

「それで、その霊地は今はどこに?」

 

「メシア教会のある所在地」

 

「………ええっ!?」

 

「まあ、そういう事なんだろう」

 

 

 何か思い当たる節があるのだろう。引きつった笑みで話し出す花蓮。

 

 

「お、大阪の方や淡路島の方には行けませんの?」

 

「俺たちは一応月城さんの所の組織に異界侵入の許可をもらって活動しているから、そっちの方は別の組織のもので、その組織とは規模的に交渉もできないんだって。

 だから、管轄外で無断でやるとヤタガラスに睨まれるんだと」

 

「ヤタガラスって、確か……葵さんによると、護国機関でしたっけ?」

 

「中心は、帝都の結界を管理している築地根願寺らしいけど。

 まあ、メシア教の手下みたいだけど」

 

 

 さらに、引きつった顔で話す花蓮。気持ちはわかる。

 

 

「……日本自体が詰んでいるのでは?」

 

「うん、状況証拠を見るだけでも詰んでる。

 たぶん最悪だと、数十年後には花蓮は天使の子どもをぼこぼこ産まされて、俺はうつろな目で神を称える唄を歌う尖兵になってる」

 

 

 バンと両手でテーブルを叩き、立ち上がり大声で話す花蓮。

 

 

「駄目じゃないですか!」

 

「駄目なんだよ。

 状況を覆すのに強くならないといけないのに、これ以上は今のままでは強くなれない。

 だからこそ、初回は逃したけどこれに参加してみないといけない。

 この、【富士山覚醒体験オフ会】に。花蓮も一緒に」

 

「ええ、解りましたわ。絶対に生き残って、またあの乙女ゲーを遊ぶのですから!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 自分たちを転生させた神様がいるのなら、こう言いたい。

 

 

「生き残る努力をさせたいなら、努力のできる環境くらい残しておけよ」、と。

 

 




あとがきと設定解説


なお、数十年どころか、十年もしない内に核ミサイルが飛んできて世紀末な未来。
あと、地方の霊能者組織もこういうところはいくつもあるだろうなと言う筆者の独自の設定です。
もし、神戸にお住まいで気分を悪くされた方がいたら、申し訳ありません。



勢いで設定をもりもり作り、勢いで続きも投下してしまいました。
もし、読んでくださった方がいるならありがとうございます。
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