カオス転生異聞 デビルズシフター   作:塵塚怪翁

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続きです。

今回は、神戸側のいろいろ、研究所と教会のお話。

他の三次創作の方のキャラがちらっと出ます。


第二十話 Q、悪魔と天使と人間の内どうしようもないのはどれだと思っていますか?

  第二十話 Q、悪魔と天使と人間の内どうしようもないのはどれだと思っていますか?

 

 

 例の夫婦間の事件の数日後、体調が戻った自分は書類と荷物を持ちケーブルカーを経由して徒歩で【人類娯楽史研究所】に向かっていた。

 一応、取引先に当たるので菓子折りを数個とヱ○スビールを1ダース用意して渡したのが良かったのか、玄関ロビーに置いてある来客用のソファーで、自分に向けてご機嫌のオーナーが身振り手振り付きでショタオジが来訪した時のことを語っている。

 

 

「君らの盟主、彼は凄まじいね。彼一人でも我々は殺されていただろう。

 だから、全て答えたのだよ!

 親善の手紙の意味とは? 取り引きがしたいからさ!

 このガバガバの契約書は? ただの業務提携の契約書に何かしかける訳がないぞ!

 今まで何をしていた? サブカルチャーを集めて楽しんでいたとも!

 この仕様説明書は? 贈答品の詳細な目録だとも!

 カズマくんに目をつけたのは? たまたま見つけただけだとも!

 支払いは? 財テクは得意だから、マッカでなく現金で頼むと!

 何を企んでいるのか? 引き籠って娯楽に耽溺したいだけだとも!

 【終末】? サブカルチャーが失われるので御免だとも!

 メシア教? サブカルチャーを理解しない神の下僕共は嫌いだとも!

 『あの方』はどうしたのか? 私の楽しむ時間が減るので私もお帰り頂きたぁあっ!」

 

 

 どこからかすごい勢いで飛んできた中身入りの缶ビールが後頭部に炸裂し、悶絶して床を転がるオーナー。高そうな紫のスーツとドクロマークの模様のネクタイが汚れていく。

 横にいた円場博士が迷惑そうに飛び散った液体を拭きながらそれを横目で見て、チェックの終わったアブゾーバーを渡してくれる。

 

 

「それで、色々と聞き終えた彼は、向こうの業務の交渉役との話が纏まって帰るまで黙っていたのは印象的だったな。

 そういえば、ここが天使共に見つからないように密閉構造にして地脈からは切り離して閉じ籠もっているのを聞いた時が一番驚いていたぞ。

 まあ、流石にそれに関する技術のことは偶然の産物だから教えられないがね。

 代わりに、彼らが欲しがるであろう【悪魔召喚プログラム】関連のアプリ技術や【GUMP】を提供したのだから。

 ふむ、問題もないようだな。持って行きたまえ」

 

「それじゃあ、【悪魔合体】をここでやってくれとか言われないんですか?

 このカードたちもそうやって作っているんですよね?」

 

「もちろん、出来るできないで言えば出来るがね。

 君は自宅に昼夜問わず、不特定多数の他人を招きたいと思うのかね?

 わしはゴメンだ。技術開発はわしの趣味であって、商売にするつもりはない」

 

「それじゃ、もうカードは作らないんですか?

 あの赤城さんなら、有名な『あの娘』を作らないはずがないんですが」

 

「今は本人がアメリカにいるから中断しているが、もちろん開発中だとも。

 ただ、『究極の美少女』にするつもりでいるから時間とマッカが足りんようだがね。

 あと、オーナーが『乳が足りん』と言っていたから他にも作るんじゃないか」

 

 

 そう言って、森さんに出された冷たいお茶を飲む円場博士。

 いつの間にか座ってホコリを払い、お茶を飲んでいたオーナーが続ける。

 

 

「『ボリュームに欠ける』とは言ったが、人聞きの悪い事は言わないでくれるかな?

 赤城くんの趣味には外れるが、ボリューミーな知人が興味を示しているのでね。

 この間、その知人がデザインしたイラストも込みのものが大元から送られて来てね。

 それを試しに創ろうかというだけの話だとも。うん」

 

「それになるかは約束できませんよ。

 どうせ、スケベな格好の高位の知悪魔なのでしょう?」

 

「創って飾るだけだとも。間違って来られでもしたら大迷惑な痴人なのでね。

 私だって、脳筋でトラブルメーカーの部下は呼んでいないのだから」

 

 

 自分も出されていたお茶を飲む。

 オーナーのボリューミーな知人というと、夜魔にしろ地母神にしろ心当たりが多い。

 ふと、我に返って思う。

 なんで自分は魔王と差し向かいでお茶を飲んでいるんだろう?

 聞きたいことも聞けたし、深く考えるのは止めて仕事の事を考えよう。

 

 

「渡した書類の通り、実働は秋になります。

 こっちの事業所の担当が田中さんの所に伺うので、購入品目のリストと支払用の口座とかその辺はお願いします。

 それでは、他にも伺う所があるので失礼しますね」

 

「そうかね。では、また様子を見て来たまえ。

 赤城くんが戻ってきたら知らせるよ」

 

「はい、それでは失礼します。

 森さんもいずれまた」

 

 

 こちらを見るオーナーと手を振る森さんにそう言って一礼し、後にする。

 

 人のない下りのケーブルカーの座席に座って思う。

 友好的ではあるけれど、自分も彼らの娯楽の一部なのだろう。

 まあ、それならそれでもいいので力をくれるなら協力しようと思う。

 子沢山の祭神様の加護多き血筋の葵と雫のことだから、いずれ彼女たちも子沢山になるかも知れない。

 【終末】が来てお金が紙切れになることを考えると貯蓄が足りない。

 父親になるのだから、強くなって稼がなければならない。

 ただ、祭神のカヤノヒメ様って、双子を4回産んで計8柱のお子さんがいるんだよな。

 そんな、まさかな。

 ある意味幸せだけど怖い想像を振り払い、神戸セクターに帰った。

 

 

 

 友好的な魔王の次は、今度は翌々日の怖い天の御遣いである。 

 

 前回の依頼は報告書の提出と報酬の払い込みで終わりとなったはずだが、今度はシスターギャビー直々の異界攻略の護衛依頼で、しかも名指しのご指名である。

 怖いので多忙を理由に断ろうかと考えたが、行き先の地点がこちらでも把握していなかった廃村の場所であることから受けた方がいいと音無さんから言われた。

 

 ガイア連合の支部やメシア教会のある地域は地脈がそこに集中し、異界の発生が発生しにくくなり野良悪魔の出現が無くなるが外れている地域はそうではない。

 件の山岳部の廃村にある異界は、こちらが把握していないメシア教だけが知っている可能性が高く情報の収集のためにも受けていいのではとの山梨側の見解らしい。

 

 そういう訳で単独は怖いがメシア教関連なので花蓮を連れて行くのは避けようと思い、今回は【レスラーニキ】こと関本さんに同行をお願いし車で移動した。すでに、シスターたちは車で村の入口で待っていた。

 

 現地で集合した自分たちとシスターギャビーたちとで異界に入る打ち合わせをする。

 いつものサバゲー服装で霊木を削り出して作った新バットの【ミスターマイケル】を右手に持ち、アブゾーバーはケースごとアナライズの機械も入った大型背嚢に入れた自分が一番最後に、白い半袖シャツにジーパンのいつもの格好の関本さんが前衛に立ち、真ん中にシスターギャビーと同行している3人のシスターの順番でと決まる。

 移動中、ねっとりとこちらを見るおっぱいシスターと巨乳シスターたちが話しかけてくる。

 

 

「お久しぶりですね、カズマさん。

 まあ、またお強くなっている上に、今日はとても凛々しい格好をなさっているのですね?

 お会いしてお話したいと連絡したのに、お仕事でないと来て下さらないのですのね。

 前回はとても上手く達成されたようで、救出されたこの子たちもお礼が言いたいと言っていましたのよ。

 ほら、皆さんもお礼を言いなさい」

 

「マリーです。助けてくれてありがとうございました」

 

「メアリーです。ありがとうございます」

 

「モイラだよ。ありがとう」

 

「仕事でしたし、ここにいるレスラーニキや他の人も協力してくれたので、既婚者の自分に過分なお礼はいりませんよ。

 なあ、レスラーニキ?」

 

「お、おう。もっとも一番活躍したのは支部長だがな!」

 

 

 視線で関本さんと押し付け合っていると、異界の入り口である洞窟が見えてくる。

 一度立ち止まって、もう一度確認する。

 

 

「ここの異界は戦後にそちらが封印したもので、今回は攻略して消去します。

 前衛にレスラーニキが行き、自分は後ろを警護し、シスターたちが魔法で援護する。

 これでいいですか?」

 

「ええ、それでよろしいですわ。いいですね?」

 

「「「はい!」」」

 

 

 その返事を聞き、シスターギャビーが入り口の封印に聖書の文言を唱え結界が消えたので、決めていた順番で入っていく。

 

 自分は最後をそっと取り出したゴーグルを付けながら歩く。

 機械のスイッチを入れ、確認する。

 この間、異界で全裸で助けた子たちは皆同じく、レベル5、破魔無効、【ハマ】【ジオ】【ディア】が使えると出る。

 後遺症らしきものもないので魔法で治療されたのだろう。

 

 さて本命のギャビーだが、レベル20、他は『unknown』としか出ない。

 不思議に思っていると、こちらを見て薄く笑っているのが見える。

 事前に気づいて対策済みだったのは想定内ではあるが、情報が抜けなくて残念だ。

 

 異界の攻略は順調に進んでいる。

 出てくるのも【悪霊ディプク】や【幽鬼ガキ】に【凶鳥オンモラキ】、たまに【妖虫ウブ】や【邪鬼イッポンダタラ】が出るくらいで、こちらが抑えている間に【ハマ】や【ジオ】の援護ですぐに殺られていくので非常に楽である。

 一度だけ集団で来られ危なかった時にシスターギャビーが【マハンマオン】で蹴散らしたのと、後ろからのいろいろと揺れ動く光景が道中の収穫である。

 そして、数時間とかからない内に最奥までたどり着いた。

 

 そこにはかつて何かがいたであろう破壊された祭壇とその前に異界のボスであろう金属の鎧と錫杖を持った【天使プリンシパリティ】がいた。

 こちらに気づき話しかけてくるのにシスターギャビーが返答する。

 関本さんと自分はいつでも飛び出せるように身構えている。

 

 

「ここは我が使命により封印を見守る地。立ち去れ。

 ……ふむ。同じ神の使徒か、何用か?」

 

「この地を見守った天使よ、ご苦労様でした。

 この地での使命は終わり、貴方は海の外の聖なる戦いに赴いて下さい。

 私たちがそこまで送り届けましょう」

 

「…………」

 

 

 黙ってそれを聞いていた天使は少し考え込んだ後、ニヤリと笑うと錫杖をふるいここの地のマグネタイトを使い【天使エンジェル】の群れを呼び出した。

 そして、錫杖をかかげ宣言する。

 

 

「伝言役、ご苦労。

 しかし、いかに貴女とてこのように零落し受肉した威の無き貴女に従う義務はありませんな。

 ここは男どもは殉教者となり、女性方は我々のマリア候補となって頂くのが一番良いですな。

 貴女もよい次代の御子を育まれるがよろしかろう!」

 

「その言、承りましたわ。愚か者。

 主の威を受けなさい!【マハブフダイン】!」

 

「「「【ジオ】!」」」

 

 

 シスターギャビーの極低温の氷嵐と彼女たちの雷撃が天使たちに降り注ぐ。

 そこに、関本さんは近くにいた残りの天使共に、自分は変身しプリン何とかに突撃する。

 関本さんが転倒していたエンジェルの両足を掴みグルグルと回転すると、【デスバウンド】の掛け声と共にエンジェルが飛んで行きビリヤードのように次々と当たって天使たちが消えていく。

 呆気にとられて見るシスターたちの視線の先で、プリなんとかにぶち当たるとそのエンジェルは消滅した。

 ちょうど自分もバランスを崩したその天使に組み付き、地面へと引き釣り落とす。

 上手く上に落ちることが出来、左足で錫杖を踏み右足と左手で相手を抑えると右手に持った【ミスターマイケル】で頭を中心に殴り続ける。

 

 

「【マカラカーン】。オラッ、死ねやっ!オラッ、オラッ!」

 

「ぐへっ、ぐほっ。おのれぇ、【ジオンガ】!がぁぁぁぁ!

 ぐ、が、ニンゲンなど殴り殺してぇ。ぐほぉ、何故我がぁぁ」

 

「支部長、そのままだ!喰らえ、【渾身脳天割り】!」

 

 

 関本さんの声に振り向くと宙を舞う彼の姿が見え、慌てて飛び退くと全体重を掛けたエルボードロップがプリなんとかに突き刺さる。

 驚愕の表情のまま消えてゆくプリなんとか。そして、困惑の表情でそれを見るシスターたち。

 シスターたちはそのままに周囲を探り、全て消えた後のマッカや魔石を回収する。

 そして、どうしていいかわからない表情のままの皆を連れ異界を出るのだった。

 

 シスターギャビーが我に返ったのは異界を出てからのことだった。

 異界が消えるのを確認していると、大きく深呼吸をしてから話しかけてきた。

 

 

「このあと、いろいろとお話しするつもりだったけど帰りましょう。

 それでは、失礼しますわ。……状態異常の回復魔法でも無理ね、この気分」

 

「「「えーと、失礼します。カズマ様」」」

 

「あ、はい。報酬の払い込みは同じ口座でお願いしますね」

 

 

 そういうと、彼女たちは待っていた車に乗って帰っていった。

 戦力的にも後のお誘い的にも関本さんを連れてきてよかったと、心から思った。

 そして、自分たちも帰るべく車に移動する。

 

 

「関本さん、今日は本当にありがとう。

 報酬の山分け、多めに回すね。理想の嫁を注文するために貯めているんでしょう?」

 

「そいつはありがたいな。

 山梨で見かけた、あの可愛くて色っぽい妖精国の女王陛下のシキガミが欲しいからなぁ」

 

「六堂さんによると、あれはシキガミじゃなくてそっくりの転生者らしいよ。

 しかも、抜群の腕の開発班らしくて『肖像権の侵害』を盾にして、自分と同じ顔のシキガミ制作依頼を尽く握り潰しているから別の人にした方がいいって」

 

「そ、そんな馬鹿な!理想の嫁に出会えたと思っていたのに!」

 

「それから、本人も既婚者で大きい娘さんもいるから口説くのも無理だよ」

 

「むうう、なら支部長。

 今日は変身していないし、あの可愛らしい姿に変わって和ましてくれんか?」

 

「嫌だよ!

 手札を彼女らに見せたくないから、今日は使わなかったのに変われるかっ!」

 

「なら、彼女らの胸や尻を見ていたことは嫁さんたちには黙っておくから、な?」

 

「な? じゃないが? エロいのだからしょうがない」

 

「うむ、色々と得体が知れないのもあったが、確かにエロかったなぁ。

 ああ、理想のシキガミの嫁が欲しい」

 

 

 

 

 

 そんな馬鹿な会話をしながら神戸へと帰るのだった。

 




あとがきと設定解説


・妖精国の女王陛下そっくりの転生者

同じ三次作品の謎の食通氏作の「終末が来たりし世に英傑の旗を掲げよ」より。
この作品の辣腕開発者美人人妻さんのことです。
六堂さんと氷室さんには、技術者の腕と寿退社的な意味で羨望の対象です。


馬鹿なことを言い合える同性の友人はとても貴重。


一応、今回で第二部おしまいです。
次回は、幕間の予定。

もし、読んでくださった方がいるならありがとうございます。
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