カオス転生異聞 デビルズシフター   作:塵塚怪翁

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続きです。

今回は、幕間で神戸でのとある日常?のお話。

会話文の書き分けが上手く出来ているだろうか。


閑話
第二十一話 幕間その四・とある地方の男と女それぞれの会合


  第二十一話 幕間その四・とある地方の男と女それぞれの会合

 

 

 ケース1:ある男同士の飲み会

 

 

 色々あったあの夏からしばらく立ち秋になった頃、事業所の方も稼働し我が神戸セクターの事務状況も改善していた。最初は山梨の方も注意深く見ていたようだが、主に『ガイア出版』や『ガイアアニメスタジオ』の作品や本、DVD、果てはカセットブックやフィギュア、プラモデルまでここぞとばかりに貪欲に買い集める様を見て、逆に資金の方をこちらが心配する有様である。

 赤羽根さん達と田中さんもその注文を捌くのに先週までデスマーチだったらしい。

 

 それも落ち着いた事業所の休みの日、異界の探索依頼も片付いたため、ちょうど暇にしていた【レスラーニキ】こと関本さんと赤羽根さんを飲みに誘うのだった。

 ちなみに、覚醒者は並の酒では酔えなくなるので飯の旨い居酒屋に向かった。

 奥の個室を取り、各々の注文した料理が届くとそれぞれに話しながら食べ始めた。

 

 

「お疲れ様でした、赤羽根さん。すごい量だったなぁ。

 大手を振って手に入れられるからってあの注文量はないわぁ」

 

「そうですよ。田中さんと抜けが無いかチェックして、車が一台分しか通れない山道を小型トラックで何度も往復してと、あれ、大型一台分はありましたよ。

 途中で支払いにドルやポンドも出たので、両替もしなきゃいけませんでした」

 

「何でもオーナー曰く、『今まで貯めていた分を大放出した』とかですので出処が少し怪しいですけどね?

 『綺麗にはしたから大丈夫だぞ』とか自慢してましたし」

 

「前に、ニュースで海外の強奪された大金を誰かが盗んだのでないとかやっていたのはそれかのぅ?

 よし、唐揚げ取り分けるぞ」

 

「それかもなぁ。あ、唐揚げにレモンのネタは無しで」

 

「定番ですけど、本当にはしませんよねー。刺し身の取り分けの方はこれで」

 

「それじゃ、乾杯で」

 

「「乾杯」」

 

 

 2m近い筋肉の三十代の大男の関本さん、メガネを掛けた二十代の真面目なサラリーマン風の赤羽根さん、普通の大学生風の自分の三人で、各々、好きな味の酒を飲み食べて男同士のバカな話が始まる。 

 

 

「そういや何で、支部長は二十歳の身空で婿入して結婚までしたのか不思議なんだが。

 シキガミの注文が待てんかったのか?」

 

「十代の性欲に負けてポロッと喰われたとか?

 最近でも、時々喰われているようですし」

 

「喰われたとか言わないでくれるかな?

 子供の時分に覚醒して、いつ南極のアレに巻き込まれるか分からないから我武者羅に強くなろうとしていた時に、近所の儚げで綺麗なお姉さんが非力ながら悪魔をなんとかしようとしているんだぞ。

 勘違いしていたバカが助けたいと思わないほうがおかしいだろう?

 向こうからの申し出で覚悟を決めて婚約して星晶神社に行ったら、いろいろと解って悟ったけどね」

 

「子どもも出来たようだし、支部長がそれならそれでいいんだがな」

 

「まあ、そうですね。

 義妹の雫ちゃんに妖怪の彼女も加わったみたいですけど」

 

「不義理なことはしないよ。

 まあ、文香さんは行為を楽しむというより、エネルギー補給の方が優先らしいよ。

 積極的になるのも箱で本が来たときで、この間、ペリー○ーダンとかグ○ンサーガが全巻来た時はかなりすごかったし」

 

「その辺は悪魔っぽい感覚なのか?

 でも結局、女子高生の義妹にも喰われてるなら節操はないんじゃないか?」

 

「そっち方面では流されそうなカズマさんですし、喰われたのほうが合っていますね」

 

 

 そっと視線を外して、別の話題になるように答える。

 

 

「……責任はとるから。

 そういう赤羽根さんだって、音無さんと氷室さんには露骨にアピールされてるみたいですが?」

 

「甲斐甲斐しくアピールしている様は、何というかこう何も言えなくなるな。

 うん、職場で修羅場だけはゴメンだぞ」

 

「はは、その辺は上手くやりますよ。前職で慣れていますし」

 

「確か、前職って悪魔事件で倒産したんでしたっけ?」

 

「女性慣れする会社で悪魔事件で倒産とかいまいちピンと来ないが?」

 

 

 不思議そうな顔をする関本さんに、遠い目をした赤羽根さんが一気にグイッと飲み干すと話し出す。

 

 

「自分としては真っ当なアイドル事務所だと思っていたんですよ。

 でも、一族経営の社長や専務がいわゆるダークサマナーでしてね。

 グレーな人身売買染みたことをしていて、顧客とトラブった際に相手が炎を放って暴れられまして延焼と人死が出てそれっきりですよ。

 そして、そこにガイア連合の人がトラブル処理に来て話を聞いてここに来たんです」

 

「それは運がいいのか悪いのか」

 

「非覚醒のままなら命があっただけ良かったのかものぅ。

 それで、話は戻るがどちらが好みなのだ?」

 

「上手くやりますから。

 それより、聞きましたよ? 関本さんこそシキガミどうするんです?」

 

 

 少し慌てたように、今度は赤羽根さんが話題を変える。

 

 

「妖精国の女王陛下のデザインは駄目だから、誰にするんです?」

 

「ネミッサだ」

 

「ソウルハッカーズのヒロインの彼女ですか?

 確かに魅力的な女性ですけど」

 

「資料だと、悪魔に憑依された女性で銀髪で胸元が露わな黒い服を来た美少女ですよね?」

 

「気づいたんだがな。俺は銀髪が好きだったらしい。

 だから、理想の嫁には彼女のデザインが最適だと思うのだ!」

 

「……まあ、頑張ってください。そろそろ追加注文しますか」

 

「そうだね。自分はこの焼鳥にするかな」

 

 

 この夜はこうして更けていった。

 なお後日、デザイン申請した関本さんの所に、憑依元の女性と同じ容姿と名前の人物が確認されトラブル防止のため却下する旨の知らせが届いたそうだ。

 

 

 

 ケース2:ある女性同士の食事風景

 

 

 カズマさんが飲み会を主催していたのとほぼ同時刻の月城邸の離れ。

 もともとは古い平屋建ての木造建築だったそこもリフォームされて、地下にシェルターにもなる地下室を備えた2階建ての新築の建物に変わっています。

 

 本邸から中庭を通って行った先にある建物の横には家庭菜園が広がっているのですが、この中庭にはもともと草の神である祭神さまの祠がある霊地であり、最近カズマさんの会社の本社から送られた霊力のあるキャベツと大根の苗が栽培されており、神戸セクターにて回復効果のある漬物として買い取られ家計の足しにされているのです。

 

 今日は仕事先の人と飲んで帰るとの連絡を受けたので、あたしこと雫と葵お姉ちゃんと最近ここに来た文香さんと食事をしています。

 本来、食事を必要としない彼女ですが、ここの菜園の野菜の漬物は美味しそうに食べています。

 食べ終わり、お茶を飲んでいるとその彼女が聞いてきました。

 

 

「……雫さん、カズマ様に聞いた限りではあなたは覚醒されていないはずなのに、何故こちらの姿が見えるのですか?」

 

「ん? んーー、言ってなかったっけ? 最近、出来るようになったんだよ」

 

「祭神様の御神託で、あの人と何度か深く交わることで覚醒できると言われたんですよ。

 わたしも交わることで魂の階梯も上がり、身ごもることが出来ましたもの」

 

 

 そういうと、嬉しそうに下腹部を撫でているお姉ちゃん。

 あたしも最近ははっきり聞こえるようになった祭神さまによると、祭神さまの加護のある野菜を食べてカズマさんとすることで同期?して神話再現?して強くなれるのです。

 実際に、学校の生活でも胸が大きくて運動の苦手だったあたしが、花蓮も驚くくらい体力が付いたのはとても助かりました。

 

 

「……それで、いつまで私の封魔管は葵さんがお持ちになるのですか?

 懐妊されているのに、負担になるような事は避けたほうがよろしいのでは?」

 

「あの人は、わたし達の身を案じて預けると仰言っていたのですよ。

 文香さん、もしかして、あの人の側にいてつまみ食いをするつもりではありませんよね?」

 

 

 お姉ちゃんと二人で見つめると、ついと視線をそらす文香さん。

 本を長時間読むのにたびたびそんな事をされたんではこっちが困ります。

 ただでさえ、独占する時間やお姉ちゃんと一緒にする時間が減っているのに。

 

 

「しばらく、あなたのこれはわたしが預かります。

 文香さんも、あの人が私に信頼して預けるという言葉は違えませんよね?」

 

「……それは大丈夫です。

 それはそれとして、直接に許可を貰いに行きますから」

 

「ごちそうさま。部屋で勉強するね」

 

 

 お腹をなでてアピールするお姉ちゃんとお姉ちゃんより大きい胸を誇示している文香さんのバチバチと視線を交わす二人に巻き込まれないように、食器を下げて部屋に逃げ込むあたし。

 

 部屋につくと鍵をかけて、ベッドに倒れ込む。

 そして、枕の下からもう彼の写真だけを撮りだしてから3冊目になるアルバムを取り出す。

 花蓮のお兄さんとして出会って、変な男から助けてもらってから集めだした隠し撮りも含めた大事な大事なお姉ちゃんも知らない『宝物』をゆっくり見返す。

 見ていると、彼のことを思い出し体の奥が切なくなってくる。

 

 でも、周囲にはこの事はバレないようにしないといけない。

 祭神さまとした約束を思い出す。

 高校にいる間は何があっても身ごもることはないが、卒業後にする時は必ずあたしも身ごもるようにすると。

 そして代わりに、氏子となりお姉ちゃんと同じ様に安全な加護のもとで彼の子を産むと。

 やがて、子どもたちの写真も増えてアルバムも増え、『宝物』も増えていくのだろう。

 この部屋でするその日が楽しみでたまらない。荒い息と笑みが浮かんでくる。

 

 

「その日を待っていてね。カズマさん、…ううん『お兄ちゃん』!」

 

 

 

 

 

 飲み会も終わり、帰路につく自分に悪寒が走る。

 周囲を見るが何もいない。

 葵や雫が待っている。早く帰らないと。

 




あとがきと設定解説


・月城雫の『宝物』

意識してから撮り続けたカズマの写真集。3冊ある。
隠蔽率を高めるためにアルバムに仕舞っている。
初期は隠し撮りが多く、最近は2ショットなど記念写真が増えた。
満たされるが早かったので写真の収集しかしていません。


守護神さまの見守りと愛があるから大丈夫。

次回も、幕間の予定。

もし、読んでくださった方がいるならありがとうございます。
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