カオス転生異聞 デビルズシフター   作:塵塚怪翁

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続きです。

一応、今回で一区切りの第三部の終了の回。


第三十話 八百万の神と悪魔は天と地にあり、人の世は全てこともなし

 

 

  第三十話 八百万の神と悪魔は天と地にあり、人の世は全てこともなし

 

 

 主人公が周囲の女性たちに搾り取られつつ療養していた頃、中東の某所に彼らの姿はあった。現地の案内人に連れられた3人の男女は、現地の装束で顔を隠しているが明らかに中東人ではなく一様に普通の人とは違う雰囲気を持っていた。

 少し前にエジプトの決戦で負けて以来、メシア教に対して多神連合の戦線はジリジリと後退し続けているが、今彼らがいるのはそこから少し外れた廃村になっている岩山に面した集落だった。

 既にメシアンの狂信者と天使の群れに襲撃され廃墟となったそこを、彼らは周囲を警戒しながら足早に進んで行く。そして村の一番奥の目的地に着くと、案内人が隠されていた仕掛けを動かして岩を退け地下の古代の墓所へ通じる階段が現れた。

 そして、案内人は振り返ると彼らにこう告げた。

 

 

「ここが、あんた方が探していた【隠されたファラオの墓所】だよ。

 この場所を守っていた部族は、大体はメシアン共に殺されるか連れ去られて少数が逃げ散ったらしいけどね。

 オレが案内できるのはここまでだよ」

 

「ありがとう。君は早く逃げた方がいいよ」

 

「うんじゃ、あんた方も気をつけてな。

 金は貰っているからな。ま、迎えの車は前の街に用意してあるからよ」

 

 

 彼らのリーダーらしい白髪の若い男は、フードを取り彼に笑いかけると仲間とともに地下に降りていった。

 それを見送り、貰った日本製のタバコに火をつけ案内人の男は来た道を戻り始めた。

 

 

「邪教崇拝していたカルトの住んでたこんな所にやって来るなんて正気じゃないな、あの連中。

 おお、怖い怖い」

 

 

 リーダーを先頭にライトをつけて地下墓所を進む彼ら。

 周囲の廊下はエジプトの独特の壁画に覆われていたが、奥に行くに連れて模様だけになっていった。そして最奥の玄室に着くと周囲が明るくなり、一人の男らしい人物が拍手をしながら出迎えていた

 その男は、褐色の肌に古代の王家の人物が着るような装束を身に纏い彼らを見ていた。ただ、その男の顔は目元が闇に覆われはっきりと表情が見えなかった。

 唯一見える口元に笑みを浮かべ、よく通る声で話し始めた。

 

 

「やあやあやあ、はるばる日本からようこそ探索者たちよ。

 ここが、かの有名なアメリカホラー小説のモデルになった場所だよ。

 それに合わして、【ネフレン=カ】と名乗ろうか」

 

「挨拶はいいよ。質問に答えてもらおうか。

 わざわざ、こんな事をした理由は?」

 

「やれやれ、せっかちだねぇ。

 どうやら、あの遊びは楽しんでもらえたようだね。

 計画はもちろん思いつき。

 ここにいた彼らを使ったのも偶然。

 宰相閣下の玩具を選んだのも偶然さ。

 ちなみにいまいち面白くなかったけど、今回の遊んだ内容は別のワタシが役に立てるんじゃないかな?」

 

「そうか、じゃあ始めるか。【ペルソナ】!」

 

「本当に、せっかちだねぇ。貴様らの生に意味などないと知るがいい!」

 

 

 強大な力が地下の玄室でぶつかり、激しい振動が付近を襲ったのだった。

 

 

 

 

 

 体重は若干落ちたが完全に回復し久々に出勤した神戸セクターの支部長室で、『~と、こうして事件の元凶は始末されたよ』と軽い口調のメールでショタオジから知らされた。

 これはどういうことなのか聞こうとして電話するも、『お呼びになった神主は電源が入っていないか電波が届かない所で仕事中です』と事務の人に返されてしまった。

 デスマーチに追われているなら、またの機会にするとしよう。

 それならば、また金策をしなければいけない。

 今回の事で自分も同意して白乃ちゃんを受け入れると決めた以上、また拐われないように彼女用のアガシオンの指輪を購入するべきだろう。

 そのためにも、一番儲かるのが異界の攻略なのだからと早速出発することにする。

 情報のあった異界へ出かける旨の連絡をして、花蓮たちやジャネットと共にまだ肌寒い外へと出かけていった。

 

 途中、日下さんが指導している新人転生者の一団とすれ違う。

 そして、彼らの趣味と性癖を余すことなく表現した色とりどり大小様々な女性型シキガミの数体が、こちらに挨拶してくる。

 全体の4割を占める女性型シキガミであるが、デザインの目や髪の色にカラフルなアニメ色を使う人はもう少し周囲を考えて欲しい。

 シスターたちも出入りしているおかげで、地元に本部のある日本最大のその筋の人たちから、「人材派遣の会社だが風俗の派遣もしているのか?」と抗議と問い合わせの連絡が来て対応した事はあまり思い出したくない出来事である。

 彼女らに軽く挨拶を返し、頭を振ってその場を後にした。

 

 

 

 場所は変わりその数日後、近隣にある大型異界【鳥取大砂漠地獄】や【スーパーうどんマウンテン】の付近に発生する小型異界の掃討や溢れ出た悪魔の退治をする遠征から帰ってきた。

 

 今回は金銭的なだけではなく、デビルズアブゾーバーは点検のため研究所に預けて色々と試す意味でも収穫があった。

 それは、今まで自分でもほとんど使うことのなかった【サバトマ】である。

 原作ではCOMP内の悪魔を他の悪魔が召喚する魔法だったため、自分は使えないものと思い込み使っていなかったが、先の事件で自分が呼んだことで介入を招いたと聞き、それならばと【ユキジョロウ】を呼んだら時間制限はあるが出てきたのである。

 やはり、数は力である。一度に一人だけとはいえ自立して行動してくれる彼女らを呼べるようになったので戦闘も楽になった。

 

 そして、帰ってきた日の夜の寝室。今日は葵や雫たちには遠慮してもらい、今後の仕事の話し合いをするべくここには文香さんとジャネットしかいない。

 二人もいつもの雰囲気とは違い、田中さん経由で研究所からデビルズアブゾーバーと共に送られてきた2枚のカードと手紙をどうするか悩んでいた。

 

 目の前のテーブルには2枚のカードが置いてある。

 一枚目は、白いリボンが特徴的な深い青色の服を着た金髪の少女の絵が描かれたカード。

 二枚目は、赤い紐のような露出の激しい水着を着た頭の後ろで髪を複雑に編み込んだ16歳位の豊満なスタイルの金髪の美少女の絵が描かれたカードである。

 

 手紙は円場博士からであり、一枚目のカードについてこう書かれていた。

 

 

「『外せない用事が出来てしまったので、手紙で失礼する。

 外部からのアクセスで妙な挙動をしたようだが、データが残っとらんのは残念だがもう干渉されんようにしておいたぞ。

 さて、一枚目のカードは見てわかるように、デザインの監修はまた海外に行かされた赤城くんが行なっておる【魔人アリス】じゃ。

 赤城くん曰く、

 【究極の美少女である彼女を創るため専用の分霊を用意し、魔人としての死と災厄をもたらすとかいうクソくだらない本能は破棄し純粋な無垢さをインストール!声に関しても、幾多の彼女のサンプルデータから選び抜いた珠玉の美声。さらに、ディテールを凝り未成熟な少女の体躯の完全黄金率を再現!彼女が着る素敵なドレスや靴も細かいデザインや着色から手を掛けた究極の一品物!髪に付ける白いリボンも数十種類に及ぶ候補の中から選びに選び抜いた物!スキル構成も彼女をイメージし選び抜いた厳選を重ねた構成!さあ、姿を変えてみよう。そして、究極のその姿を焼き付けた写真を送って欲しい!】との事じゃ』

 個人的なコメントは差し控える」

 

「マスター、やっぱり友人は選ぶべきだと思います」

 

 

 手紙を読み上げると、真顔のジャネットがそう提案してくる。

 隣の文香さんは、この欲望ダダ漏れの文章に何か思いがあるのか苦い表情をしている。

 趣味以外は仕事では頼りになったんだけどなぁ。

 まあ、ガイア連合の方で他の娘の姿で「悪魔ガールプロマイド」シリーズも売っていてぼちぼち収入もあることだし、それくらいならいいだろう。

 取り敢えず、後日に撮影データを田中さんに送って彼に渡すかと決める。

 そう話したら、向かいのジャネットが額に手を置いているのは無視することにする。

 

 さて、問題の二枚目である。手紙の続きを読む。

 

 

「『それは以前、オーナーが話していた厄介な依頼者の持ち込み作品じゃ。

 本当は作っても死蔵するつもりだったんじゃが、お主に使わせないと終末後に別の姿で文句を言いに来ると言われたのだ。

 カードの名称は、【魔神大淫婦バビロン】じゃ。

 依頼者曰く、

 【全ての女性の悪魔で一番の美と淫蕩さを誇る余であるが、それを知らしめるためにちょうどよい物を宰相閣下が作ったと聞き専用の分霊を用意して送ったのだ。

  何でも、日本では余のモデルとなった女性をパートナーとする強者がいるとも聞いたのでな。

  そのデザインを見て、余が一番ピンときた装いで作ったのだ。

  レベルも抑え、お主に配慮して種族もアライメントの良いものに変え、スキルは山盛りにしたのだぞ。

  しばらくは待つことにするが、終末後でも使わぬと言うのなら余の魅力を理解させるためこの分霊の姿で直々に向かうことにするので覚悟するが良い!】との事じゃが、本当にすまんのだが使用を検討して欲しい』、だって。

 これはまあ、終末が来るまで封印だな」

 

「……カズマさま、前から不思議に思っていましたが、それがCOMPだとしてそもそもその機械のレベル上限はどうなっているのです?」

 

「【サバトマ】の召喚が自分のレベル以下だとすると、変身する際は上限がだいたい10プラスされる感じだな。それ以上の強い悪魔だと、この間みたいにきつい反動が来る。

 だから、今だと変身はアリスは可能だがバビロンは無理だ」

 

 そう言って、アリスの姿に変わってみる。

 

『ABSORB DEVIL』『REVOLUTION GIRL』

 

 鏡で自分の姿を確認する。

 あの赤城さんが全力を注いだ渾身のデザインと言うのは間違いないだろう美少女が、そこにいた。これは犯罪性の高いその手の趣味の人の前に出たら、即行連れ去り一択だろう。

 すでに前にいる二人が、赤面して抱きつきたいと言わんばかりに構えている。

 それに、鈴が鳴るような非常に可愛らしい声で話しかける。

 

 

「触るのは無しだからな。

 真面目な話し合いをしているのだから落ち着きなさいって」

 

「……あの、口調をもっと可愛らしくして下さい。違和感が酷いです」

 

「そうです、そうです。マスター」

 

「変身できるのは分かったし、戻るわ」

 

「「ああーーっ」」

 

 

 二人が抗議の声を上げるが、許可して抱きつかれたら話し合いにならずに朝までになるので構わずに戻る。

 もとに戻り、話を続ける。

 

 

「さて、とにかく自分の強さとしては、今が35レベルだからこのバビロンのカードが使えるようになるレベル50が目標だ。だから、終末までにもっと強くならないといけない。

 かと言って、放りっぱなしにしないでここにいる家族も守らないといけない。

 そこで終末を見据えて、自分が今一番契約している仲間で信頼の置ける二人に意見が聞きたい」

 

「……はい」

 

「わかりました、マスター」

 

「じゃあ、ごほん。文香、まず現在のこの家の状況を説明してくれ」

 

「……はい!」

 

 

 嬉しそうに言った彼女は、彼女独自の【トラポート】を唱える。

 これは自分が所有する書物だけを手元に持ってくるもので、戻す時には自分で持っていかなくてならないという変な転移魔法である。

 取り寄せた分厚い日記帳にはこの家に関する記録があるらしい。

 

 

「備えとしましては、本邸と元離れのこちらの両方に核シェルターが完備済みです。

 中庭に祭神さまの祠があり、それを中心にこの邸宅自体はそこそこ強い霊地になっています。

 祭神さまの影響もあるので、中庭に畑を作り霊的作用のあるらしい大根、キャベツ、茄子の栽培をしています。

 ただ、本来の効能は発揮できていませんが、本家の女性陣が漬物に加工すると体力回復と一部の状態異常回復が可能なため少量ですがそこそこの売上になっています。

 防御としては、祭神さまの結界の他にカズマ様が買い漁ったアイテムでかなり堅牢だと思われます。

 家屋については以上です」

 

「マスター、わたしや文香もいる時は警護しているので、不在時でもレベルが二桁の集団の襲撃でもなければまず大丈夫です」

 

「まだ何かガイア連合から買い込んだほうがいいものはあるかな?」

 

「今はまだ過剰になり過ぎるので必要ありません、マスター」

 

 

 それなら、家屋については充分だろう。次は、人について聞いてみる。

 

 

「じゃあ、次は人について教えてくれ」

 

「……はい。まずカズマ様のご実家ですが、祖父の鶴弥さまは全額前払いでガイア連合系列の老人用マンションに入居済みです。

 お母さまの悠紀華さんは、懐妊が分かり連合員の関本様と正式に結婚され関西の家に引っ越されています」

 

「20歳以上年の離れた兄弟とかはちょっと複雑だけど、まあよしとしよう。

 うちの実家はこれで大丈夫と」

 

「……次に、妹の花蓮様。

 雫様と一緒に春には高校3年生になられ、カズマ様とのチームで順調に強くなっておいでです。

 シキガミでもあるクーフーリンとの仲は、外堀が全て埋められ卒業時には試合終了かと」

 

「マスター、現時点でお二人は共にレベル18。

 花蓮様のスキルは、ハマオン、ブフーラ、ディアムリタ、リカームだそうです。

 クーフーリンは、突撃、ヒートウェイブ、チャージ、食いしばり、かばうです。

 切り札があるそうですが、秘密にされています。

 これに、カズマ様と一緒に買われた指輪のアガシオン【エメラルド】が加わります」

 

「この二人も充分に強くなったなぁ。花蓮とか2年前の倍のレベルだ」

 

 

 花蓮が転生者の掲示板を見つけてきたのが、全ての転換点だったなぁ。

 それも、懐かしく感じる。

 喪女のお姉様方に諭され吹っ切ってからは、もう神戸ではエースコンビだろう。

 文香が別の日記帳を呼び寄せ、めくりながら続きに移る。

 

 

「……次に、月城家の方々です。

 先代当主夫妻の忍さんと恭也さんは、50歳を前にしてもう楽隠居に入るようです。

 先日、葵さんを当主に任命し、ガイア連合で働きながらのんびり過ごされています」

 

「当主の交代は聞いていないんだけど?」

 

「……はい。私の目の前で3人で楽しんでおられた前日に。

 これならすぐに次の娘も出来るだろうから頑張って、と軽い口調で」

 

「もしかして、あの日やたらと葵が行動的だったのはそれで?」

 

「……カズマ様が死にかけたのも含めて、危機感からああされたのかと」

 

 

 そう言われると改めて、ますます死ぬことは許されないなぁと考える。

 ある意味、自殺でない死を望んでいた前の生とは大違いだ。

 考え込むのを止めて、次を促す。

 

 

「……それでは、その月城葵さんです。

 年下の旦那様を迎え、当主に就任し家の舵取りを任させるようになり、子どもたちも順調に育っているという彼女にとっては今はとても幸せでしょう。

 事務関連の資格もいくつか所持し、覚醒者としても成長していますので能力は充分でしょう。

 閨に於いては、完全に正室として君臨しています。

 こんなに妻の方から女を増やして嫉妬や独占欲はないのかと聞いたら、

 『そういうのも確かにあるけれど、感情的になっても彼が逃げるだけでしょう?

  あの人はわたしに惚れているし、あの人の居場所を作るのはわたしなのよ。

  それに、一人で相手をして激しく続けられるのは天国と地獄なの』

 そう言って微笑みながら、だからわたしが選ぶのよ、と。

 分かりましたか? すけこまし」

 

「現状で、彼女のレベルは8。

 使える術は、簡易アナライズの見鬼の術、【ハマ】、【ムド】、【ディア】、【パトラ】。

 これに、カズマ様が贈られた指輪のアガシオン【ルビー】があります。

 すでに地方では一流の術者ですよ。ベッドヤクザのマスター」

 

「……………」

 

 

 基本的に誰が来るかや内容は女性側が決めているので、求められる物をしているだけなんだが自分も楽しんでいるので視線をそらして次を促す。

 

 

「……次に、月城雫ちゃんです。

 今度の春に高校3年生になり、卒業後は葵さんの補佐と彼女のように資格を取りつつ主婦になるそうです。

 最近は忍さんに漬物の秘伝を伝授されたらしく、霊的効能のある漬物作成では葵さんより上になっています。彼女はこっち方面に才能があるみたいですね。

 あと彼女にも、女が増えて嫉妬や独占欲はないのかと聞いたら、

 『そういうのも無いわけじゃないよ。

  みんな、そういう感情的にトラブルを起こす人ではないのは分かっているから何も言わないだけなんだよ。

  そういう人は、居なくなってもらうだけだし。

  そう、お兄ちゃんは皆のものなんだから』

 と、目のハイライトが消えていたのでこれ以上は止めました」

 

「術者としては、レベル5。

 使える術は、回復スキルの【実りの舞】と【パトラ】ですね。

 これに、同じくマスターが贈った指輪のアガシオン【サファイア】があります。

 地方の術者としては、まずまずですね」

 

 

 雫は家に居ての後方支援としては安定していているのは助かるなぁ。

 姉妹ともに愛が重いのはいつものことだから、次に行こう。

 

 

「……では、次に一番新しく加わった立花白乃さんです。

 先の事件の被害者で、現在はガイア連合の治療で傷は癒えています。

 しかし、心理的には何らかのトラウマがまだあるみたいですね。

 その性か葵さん曰く、以前は強かで独立的な娘だったのが、今では従順で誰かに従うのが当たり前になっているそうです。

 今は住んでいる所もこの家に戻り、前と同じくNPOの事務と家の家政婦をしています。

 あと彼女にも、女が多くて嫉妬や独占欲はないのかと聞いたら、

 『他の人は他の人だし、憶えてないけど、あの人に所有されていると思うと安心するの』

 と、顔を赤らめて答えていました。やばいですね」

 

「マスター、その彼女もアナライズしてみたんだが、レベル5でまだこれはいいんです。

 スキルですが、【アギ】、【自然治癒】、【狂乱の陶酔】なんですよ。

 やばいと思います」

 

「【狂乱の陶酔】?」

 

「……データによると、『敵の物理攻撃を受けた時、攻撃してきた敵を中程度の確率で魅了状態にする』とあります。

 彼女、変な覚醒をしたのだと思います」

 

 事件後のこれまでの白乃の事を思い出す。

 月城家の人や花蓮にこれまでと変わりなく付き合っている事。

 文香やジャネットともそれなりに打ち解けようとしている事。 

 アガシオンの【ガーネット】入りの指輪を贈った時の喜んでいた顔。

 依存気味だが、許容範囲内の好意。

 

 

「問題なし。家族として扱うように」

 

 

 そう言うと、二人は顔を見合わせて仕方がないなぁとでも言うように了承してくる。

 解せぬ。

 最後にと、ジャネットが文香をちらっと見てから話し出す。

 

 

「マスター、文香ですが現在レベルが16になり、【ラクカジャ】と変な【トラポート】を身に着けています。

 実戦にも出ずにここまで成長したので、彼女は【鬼女】でなく【夜魔】では?」

 

「……失礼なことを言わないでください。当然の報酬を貰っているだけです」

 

「楽しんでいるのだから、同じでしょ?」

 

 

 楽しそうに、喧嘩を始める二人。

 手を叩いて止めさせると、結論を述べる。

 

 

「はいはい、そこまでにして。現状の事はよく分かった。

 これなら、方針は変わらないよ。

 『終末になっても、強くなって皆で生き残る』

 二人とも、これからもよろしく」

 

「はい、マスター。いかなる戦場へでも付き従いあなたを護ります」

 

「……はい、カズマ様。幾久しく、お願い致します」

 

 

 最初の4人の変身したカードの娘たちも喜んでいるように感じる。

 大切なものを守るためにも、自分ももっともっと強くならないといけない。

 改めて、その決意を決める自分だった。

 

 

 

 

 

 翌朝、文香から葵が四国の知り合いの巫女と共同執筆した本を見せられて、決意が揺らいだのは横に置いておく事にするつもりだ。

 

『私はこれで某組織の誘致に成功した! あなただけにそっと教える、強くて頼りになるあの人を地元に繋ぎ止める必勝法』

 

 とりあえず、話を持ちかけた巫女の方に抗議を入れるとしよう。

 




あとがきと設定解説


・【カヤノ漬け】

神戸セクターでのみ販売されている回復効果のある漬物。
種類は、大根とキャベツと茄子のぬか漬け。
効果は、魔石+ポズムディ。

・【魔人アリス】

赤城が趣味を入れ込みまくった自称最高傑作の悪魔カード。
レベルは、39。耐性は、物理耐性、銃反射、破魔耐性、呪殺無効。
スキルは、死んでくれる?、エナジードレイン、子守唄、夢見針、永眠への誘い、破魔無効。

・【魔神 大淫婦バビロン】

オーナーの知り合いの女性が持ち込んだ作品。
容姿については、「あかいいなずま」を検索して欲しい。
レベルは、60。耐性は、物理反射、火炎耐性、雷撃吸収、衝撃弱点、破魔耐性、呪殺耐性。
スキルは、バビロンの杯、女帝のリピドー、マハジオダイン、コンセントレイト、デクンダ、精神異常無効

・『私はこれで某組織の誘致に成功した! あなただけにそっと教える、強くて頼りになるあの人を地元に繋ぎ止める必勝法』

漬け物石さんの作品「幼馴染が終末思想のヤバいカルト宗教にハマってしまった件」より、お借りしたネタ。
あの巫女さんならやりかねないと思うので。


プロットはありますが、次回は未定です。
もし、読んでくださった方がいるならありがとうございます。
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