今回は、多数の設定を盛り込んだ説明回。
あくまでも、ここの設定はここ独自のものです。
第三十四話 Q、日々のお仕事は順調だと思っていますか? ぱーと2
今年もまた年々温度が急激に上がっている季節の夏に入った。
最初にあのスレを見つけ星晶神社に行ってから、3度目の夏である。
この数年で自分の周囲だけでなく、日本全体や世界の情勢もまるで急ぐかのように激しく変化してきている。
世界的にも既にアフリカとヨーロッパは落ち、イギリス、北欧、インド方面にまでメシア教過激派の侵略は進んでいる。
パナマ運河以南の南米は、ゲリラと麻薬マフィアとメシア教と政府軍とケツアルコアトル信者とテスカトリポカ信者の混沌とした乱戦中である。
アメリカ国内でもメシア教過激派による軍や天使を伴った過激としか言えない統制が行われているが、内戦の様相を呈し始めているとアメリカからの避難民から口々に言われている。
最初のエジプトからの避難民を始めとした外様の神々の避難民からもその酷さの訴えからも、徐々に世界は終末へと時計の針を進めているのが知らされたのである。
ただし、これらの事実は一般には知らされることはなく、ガイア連合員か一部の関係者にのみ知らされているだけであるが。
そして日本の自衛隊もこの時期中東へ派遣され、改良型デモニカの試験運用でデモニカのアナライズでは解析不能、つまりレベル30以上の天使の個体が戦地にて確認されたという凶報がゴトウ陸将から知らされた。
先日行われたショタオジと自衛隊の大決戦もクーデターを持ちかけたこのゴトウ氏の頭を冷やすためだったとの事で、協議の結果、自衛隊と共同路線を取り国内の霊地と異界を合同で攻略することが発表されガイア連合とデモニカ隊で行われる事で、転生者用の掲示板は議論や参加の申込み等々で大賑わいである。
もちろん我々神戸の面々も参加の要請があり、関西や中国、四国方面のこれに参加した。
久しく顔を会わせていなかった義父のレスラーニキこと関本さんとも会い、母の様子を聞くことも出来た。
20歳以上下の弟は順調のようで、今度の秋に産まれるという。姓に関しては、母と弟は関本にして花蓮は間藤のままでいると聞いた。
もっとも、花蓮たちと関本さんはともかく自分は高レベルの幹部クラスということもあり、あまり話す暇もなく別々に攻略に参加することになった。
そして、8月も半ばの盆の時期に6月から始まった自衛隊合同での早急に何とかしなくてはいけなかった国有地にある大型異界や日本神の封印霊地の攻略も一通り終わり、山梨第2セクターで行われた成功祝賀会の片隅に自分はいた。
久々にショタオジと顔を合わせたので「以前にも言ったけど、アリスと大淫婦バビロンと契約したよ」と軽く報告だけしてジャネットが取り皿に大盛りで食べているテーブルに戻ろうとしたら、「待て待て待て」と慌てて呼び止められたので座って話すことにした。
「詳細は確かに聞いたけど、言い方軽いね!?
仮にも、魔人と2体も契約しているんだよ? 何とも無いのかい?
……直接見ても、何ともないね。人間のままだよ」
「それは基本的にあの4人の娘たちしか使っていませんし、彼女らのデータも合わせて伝えましたよね?
アリスは他の4人の娘たちと同じ様にいい子ですし、バビロンも『魔人マザーハーロット』でなくもう完全に大淫婦(笑)な可愛い『魔神赤王ちゃま』ですよ。
それに、夢の中で頻繁に会って話し合いはしていますから大丈夫ですよ」
「夢の中で何を話し合っているんだい?
頻繁にそういう夢を見るのは良くないんだけど」
「娘の凛と桜もいますから、普通のことですね。
その日何があったとか、現実の凛と桜がこんな事をしたよとか、最近ではこういうのが流行っているよとか、お母さんたちがこんな事をしたよとか、おじいさんやおばあさんたちはこうだよとか……」
「わかった。わかったから、既婚者ムーブは止めてくれないか?」
「霊視ニキもお相手が見つかったんだし、ショタオジも後継者問題抱えているんだし早く見つけた方がいいですよ?
ほら、あそこにいる恐山の巫女の彼女とかいいと思いますけど?」
ガイア連合という組織が出来て順調に軌道に乗り始めた時に、誰かが言った「ショタオジがいなくなったらどうするの?」という問いに「後継者を造らせればいいんじゃね?」という冴えた答えが返ってきてから程なくして秘密裏に始まった「ショタオジ結婚トトカルチョ」は、幹部クラスのノリのいい奴は皆それに大枚を叩いているのは彼には内緒である。
ちなみに、自分も倍率ではど本命の「日本霊場の女性幹部」に大口投資している為、どこかの霊地の良さげな女性とぜひ彼も結ばれて欲しいものである。
逃げようとしているショタオジに、こんなチャンスは滅多に無いのだからと滾々と家族がいる良さを語ろうとした時に彼らは話しかけてきた。
「神主殿と歓談中に失礼するがよろしいか? 婿殿」
「婿殿?」
「重要なお話みたいだから、失礼するね!」
それは男女の二人連れで男性の方は日本の昔の衣装を着た岩のような大男であり、女性は緑の髪をした胸の大きい同じ様に昔の衣装を着た美少女である。
そちらに振り向いた瞬間にショタオジには逃げられてしまったが、自分としては重要な方々の様なので改めて座って話すことにした。
「神主殿は、お忙しい方のようじゃの。
改めて、ワシは国津神の【大山津見神】で、こっちにいるのが…」
「こうして話すのは初めてですね、婿殿。
わらわは、あなた方の家の祭神【鹿屋野比売神】です」
「ああ、初めまして。
それと婿殿呼びは、出来ればあっちにいるDQNの前では絡まれたくないので止めて下さいね。
祭祀に関しては妻たちに任せきりなので解りませんが、何か御用で?」
「どきゅん、ですか? どのような意味で?」
「『性格の悪い暴れん坊』ですよ。
ほら、向こうにいるだいたい鬼神とか破壊神で呼ばれるあの人です」
「「ああ」」
ほぼ同時に二人して納得したと言う様に手を打っている。
やっぱり、あの人はこの人たちからもそういう認識なのか。
そう思っていると、二人とも居住まいを正して軽く頭を下げてきた。
「婿殿を助けるためとは言え、妻が婿殿の娘を利用したのは悪手であった。すまぬ。
決して悪意からしたことではないと、それだけは理解して欲しいのじゃ」
「神主殿が立会の上で貴方の正室とも約定しました故、過干渉はもうしませぬのでよしなに頼みます。
何せ近頃稀に見る素質の氏子の娘が生まれたので、思わずクシナダとどちらの氏子が良いか話してしまうほどよい気分がしていたのです。
これからは見守るだけに致します」
「わかりました。
良き祖父や祖母としてであれば、子どもたちにも話しかけてあげて下さい。
助けてくださったのには感謝しますが、【家族は自分の全て】ですので、忘れないで下さい」
「うむ、ワシとしてもあやつのように容姿で選り好みせずに姉妹共に閨に連れ込むような好き者ならば、子も多くなりカヤノヒメの氏子も安泰よな。
今回ワシも封印より解き放たれた上に、加護を授けるに値する見込みのある者も見つかり愉快愉快」
「それでは、わらわ達も他に挨拶もする所がある故、また」
そう言うと機嫌も良さそうに連れ立って、他の所に談笑しに行ったようだ。
あの数々のはっちゃけていたようなイメージの伝言の数々からは、想像できないくらい楚々とした御婦人だったカヤノヒメ。
日本の神さまらしいと言えばらしいが、神さまも孫のことでハイになるとは思わなかったなぁ。
それと、自分は容姿で奥さんを区別せずに等しく相手をするだけであって、好き者という訳では無いんだよなぁと考えつつジャネットの元に戻って行った。
さて今、ガイア連合では自衛隊との協力で国内の地固めと共に、メシア教への妨害のために国外の反メシア団体への物資の援助を大規模で始めている。
もちろん、ガイア連合は民間組織であるから表向きには「災害支援」の形をとっており、その中には食料も含まれている。
そして今回、わざわざ山梨まで来たのは祝賀会に出るだけでなく商談のためでもあった。
現在の月城家の収入は、ガイア連合からの給料と依頼の報酬の大半、副業のプロマイド【悪魔っ娘倶楽部】のモデル収入、【カヤノ漬け】の販売収入が主である。
ちなみに、この間赤城さんに送って大絶賛されたアリスの写真データとこちらに来て撮った新規の物は、新プロマイドとしてかなりの売り上げを記録した。
このカヤノ漬けであるが、元々は邸内の家庭菜園でヒランヤキャベツやカエレルダイコンにミガワリナスの栽培に挑戦したのだが、栽培は出来たものの想定の効果はなく苗を増やすことしか出来なかったため、試しに漬物にしてみたら毒消しと回復効果のある漬物になった偶然の産物である。
うちの中庭では栽培しても苗を増やすことしか出来ないのであればと、漬物担当の雫が逆の発想をし考えついた。
そこで自分が、微々たる量ではあるがうちでの苗の増産を売り込みに来たのである。
本当は漬物の方を売り込みたかったが、糠漬けはぬか床から出すと足が早いため断念せざるを得なかった。
施設の建設ラッシュが続く星晶神社付近では大規模農場も殆ど無いため商談の方はうまく行き、事前に葵たちと話し邸内の中庭の半分以上を菜園にする事を決めていたので手が足りなくなることも考え、作業用の農業スキル持ちの小型シキガミも購入できた。
髭を生やした白人男性でブルーのシャツとジーパンを履いた身長1mほどの全身が四角いシキガミである。
名前は【スティーブ】と言うらしい。
このような姿でも作業には問題がなく、一般人には普通の人に見える偽装もあるらしい。
昔やったゲームか何か、どこかで見た記憶がある。
「よろしく、スティーブ。
こっちは先輩のシキガミのジャネットだよ」
「よろしくお願いね」
「…………(コクコク)」
「無口なんだね」
『意思表示はこれでします』
そう返答を書いた木の立て札を、スティーブはどこからか取り出した。
やっぱり見覚えがあるので気になるが、そろそろお土産も買ってホテルに戻るとしよう。
用事も終わり、一泊してからの帰りの電車内で掲示板をチェックする。
『★ガイア連合対メシア教対策総合雑談スレ その17』
自分は商談があるのと家族の顔を早く見たかったために会場を抜け出していたが、そこでとても聞き流してはならない内容が話されていたと書いてあった。
花蓮にも見るように言おうと思ったが、またガチャで爆死したのか隣の席で真っ白になりダウンしているので後で言うことにしよう。
それによると、【俺たち】こと転生者はメシア教に封印される直前の日本神たちが悪あがきで呼び出されたのが原因らしい。
【高レベルの素質を持つ愛国心のある日本の人間】を対象に【この世界とそれなりに似た平行異世界の地球の冥界】から、対象や時間を無作為ランダムに日本周辺限定で呼び出したのだと言うことだ。
つまり、アメリカで生活していた自分と花蓮は、日本出身の母が費用が安く済んで安全だと日本で出産していなければここにいなかったという事になる。
これは今度生まれる弟の祝いも兼ねて良いものを、葵と相談して贈らないといけない。
続きを見る。
そこには、俺らを呼び出したことが霊地の急激な活性化とゲートパワーの上昇を起こした大元の原因だと書かれている。その上に、天使が大量に溢れ出していることで魔界とこちらの行き来を妨げる壁は、もう壊れかけで終末を防ぐのではなく軟着陸させる段階にもうなっているそうだ。
自分でももう生き残ることを目的にしているので、そういうものかと思い次を読む。
次には日本メシア教と正面から交渉を行い内容の承諾を得て、今回の大規模攻略に必要な詳細な情報を貰ってメシア教の黙認の上で行われたとある。
日本の霊地は【既に管轄外なのであくまで人間主導で霊地管理を続けるなら問題ない】と黙認する代わりに、【日本メシア教への過激な迫害の禁止と信仰の自由の保障】を要求されたとある。
ただ、日本神たちもこの件は認めているのでガイア連合の上層部も飲むようである。
それはそれとして、上層部は【国津神と天津神の仲違い】と【日本神の恨みから来る根願寺への突撃】を宥めるので忙しいらしい。
この場合、自分は国津神の側になるのだろうか?
道理で、オオヤマツミに話しかけられた後で好奇の視線と疑心の視線を感じたので、両陣営からそういう風に見られた事になるのだろう。
そういえば、シスターギャビーも6月は忙しくなると言っていたが、ジューンブライドの準備などではなくこの交渉の事だったのだろう。もしかしたら、5月に会ったのも事前の情報を探っていたのかもしれない。
情報が多く考えることが多すぎる。個人的には、トトカルチョ的な意味でショタオジをロックオンしたイタコがいたという情報も気になるが、頭痛もしてきたのでこの辺で読むの止めた。
考えすぎてもしょうがない。
まずは家に帰って出来ることをしよう。
家に帰って2日後、本邸に近い所と祠の周辺以外の日当たりの良い所にはきれいな畑が広がっていた。
それも、スティーブのおかげである。
家族に紹介してこの辺からこの辺を畑にしてくれと頼むと、作業台とつるはしとシャベルをどこからか取り出すと処分する予定だった枯れた木の部分も含めてみるみる内に整地して畑へと変えてしまった。そして、そこの隅の一角に豆腐のような小さい家を建てると自分の家として扉に『すてぃーぶ』と名札を付けて住んでしまった。
食事は渡したもので一人で済ましているようだが、畑で作業をしている家族と仲良くやれているようで安心である。
何せ彼が加わったことにより、子どもたちの世話や家事に外での仕事もあり家族だけでは常に管理するのが難しかった畑を安心して任せることが出来るのである。
彼には頑張ってもらいたい。
畑が出来上がった日の夜、その日は葵だけが寝室に来る日で彼女が満足するまで相手をした後に、寝物語で土産話ではしなかった直接カヤノヒメと会ったことを話した。
「なあ、葵。
山梨でオオヤマツミ様とカヤノヒメ様に直接会ったよ」
「どうでしたか、あなた。話してみて」
「カヤノヒメ様は、以前送られてきたはっちゃけたイメージとは大違いだったよ。
楚々とした美人で、葵や忍さんみたいな雰囲気だった。
オオヤマツミ様には、神話の婿と違って姉も寝所に連れ込む好き者だと言われたよ」
自分の腕に頭を乗せ、こちらを向いて微笑む葵。
その状態から顔をこちらに寄せると、どこかカヤノヒメに似た嫣然と微笑みを浮かべて話し出す。
「好き者でいいじゃないですか。わたし達はそれを是としているのですから。
カヤノヒメ様は山野の野草の神ですが、一度荒ぶると全てを飲み込む大蛇の神【野槌】となります。
わたしも雫も白乃もあの方の血族であるなら、あなたの全身に絡みつく3匹の翡翠色の蛇になるかも知れませんよ。うふふ」
「自分もそれを承知で受け入れたんだよ。
それに、蛇の交尾は情熱的だとも言うしなぁ。
その3匹に、黒蛇と白蛇も加えたら傍目にはブリーディングボールだろうなぁ」
「他の女性のことを言うのはいけませんよ。
あなたを一番愛しているのは、わたしとあの娘たちなのですから」
「そうまでは言われては目の前にいる可愛い奥様を愛さなくてはダメですね。
まだまだ家族を増やさないといけないのだから」
「あ♪」
蛇が絡み合うような行為をする好き者とまで言われたのなら、せいぜいご期待に添えるように少し本気でやるとしよう。
まだ、夜は長いのだから。
あとがきと設定解説
・【悪魔っ娘倶楽部】
変身後の姿を見たある制作班の男性陣と立ち上げたプロマイドのレーベル。
ホームページからのWEB販売も実施中。
アリスの物は爆発的な売り上げを上げたらしい。
HN「レッドアンクル」の各プロマイドの適切な紹介レビューは、売り上げを伸ばす一因になっている。
・【スティーブ】
某ゲームの彼そっくりの小型シキガミ。
当然、戦闘もこなせる。わりと義理堅い性格のようだ。
・ブリーディングボール
多数の蛇が乱交のために絡み合った様がボールのように見える所から出来た単語。
画像を検索する際は注意。
5/22・指摘を受け、台詞を一部改定。
次回は、次の事件へ。
もし、読んでくださった方がいるならありがとうございます。