カオス転生異聞 デビルズシフター   作:塵塚怪翁

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続きです。

今回は、久々の研究所でのお話。
そろそろ加速をつけていかなくては。


閑話
第四十一話 幕間その八・悪魔の娘達といろいろ話した事の記録


 

 

  第四十一話 幕間その八・悪魔の娘達といろいろ話した事の記録

 

 

 

 もう今年もあと少しで終わりとなる12月になった。

 

 クリスマスと大晦日から3が日にかけて、体力の限界に挑む毎年恒例の夜が来る月でもある。もう既に有給は取る前提でいつ誰が側にいるのかを決めてあるスケジュールが、ニコニコしている葵たちから伝えられて申請済みである。終末が来るかもしれないが、これはこれそれはそれである。

 そのためにも、子どもたちに顔を忘れられない程度に仕事を受けて稼ぎを良くしないといけない。

 

 そんな休日のある日、最初は秘書役を期待されていたのに最近は守衛かおさんどんか子守りばかりをしている仲魔だという事を忘れられつつある文香が話しかけてきた。

 

 

「……あの、カズマ様。最近、私、家の見回りや食事の支度や本を読んでいるしかしていないんですが、書物に関する付喪神の鬼女の文車妖妃なんですよ。

 ……皆さんに、白乃さんと同じように妾に扱われるの少しおかしくありません?」

 

「いや、『少し変わった体質の妻の一人』って立ち位置に不満でもあるの?

 自分なりに大事な家族の一人だと思って接していたんだけど」

 

「……不満はありませんが、アイデンティティの問題です。

 だって、例の『真言立川詠天流解説ノ書』の房中術の部分を解読してカズマさん相手に実践してレベルが4も上がったら、ジャネットから夜魔呼ばわりですよ。

 ……ひどいと思いませんか?」

 

「日頃、家にいる時に見る文香はいつアナライズで種族が変わってもおかしくないと思う。

 あの寝室にあるあれこれ、ほとんど文香が購入したものじゃないか?」

 

「……あ、あれはそのいろいろと有用な知識を手に入れて、他の方のためにも良かれと思って?

 ……ほ、ほら、先日生まれたカズマ様のかなり年下の弟の『慎二』くん、あの子だって葵さん経由で色々とご両親にお伝えしてご夫婦で頑張ったからなんですよ」

 

「古今東西の薄い本系のHENTAIムダ知識を無駄に手に入れているだけじゃないか。

 それで、何が言いたいのかな?」

 

「……そ、そうでした。

 カズマ様、一昨日まで長期の仕事に出ていたじゃないですか。

 帰られたその後は休暇を取って、皆さんが代わる代わる出入りして寝室に籠られていたので今日の朝まで伝える雰囲気じゃ無かったんですよ。

 ……一度死にかけたあの時から長時間姿を見ないと、葵さんは娘さん達がいるからまだ大丈夫ですけど雫さんと白乃さんの2人は情緒不安定なんですよ」

 

「長期で家を空ける度に3人が満足するまで相手をするのは、もう慣れたしそれが当たり前だからなぁ。

 まぁこっちから攻めないと、白乃の全裸で庭でお散歩でとか、雫の予備の制服を破いてとか、葵の赤ちゃんみたいにとか話し合いが必要になるけど」

 

「……何であんなに性癖が拗れたんでしょうね。

 じゃなくて、私が対応できるお客様は対応しているんですけど、赤城さんでしたか菓子折りと一緒に御出でになって、時間が出来たらぜひ研究所の方に来て欲しいと伝言を受けました」

 

「赤城さんが直々にか、何だろう? これから行ってみるか」

 

 

 研究所に行くのはずいぶん久しぶりな気がする。

 最後に行ったのが、今年の年始の挨拶のときだったはずだ。

 ちょうどいいから、ショタオジの助言で先日の仕事の報酬の一部をスポンサーのコレクションから、『響30年』や『山崎18年』に、『マッカラン12年』、『バランタイン17年』、『クルボアジェXO』といろいろ貰ったが、ウチの人間は誰も飲まないので贈答用に何本か持っていこう。

 専用のケース入りでお高そうなこれらをいくつか持って、ジャネットと人類娯楽史研究所に出かけて行った。

 

 

 

 昼過ぎだというのに12月の空気も冷え冷えとした細い山道を車で登り、狭い駐車場に車を停めて中に入る。

 いつものように受付席で積まれた少女漫画を読んでいたゴモリーこと森さんが、こちらに気づいて歩いてくる。

 

 

「あら、久しぶりね。いらっしゃい。

 そっちから来たという事は例の変態共の件ね」

 

「お久しぶりです。

 赤城さんからこちらに伺うようにとの事で来ましたが、変態共?」 

 

「ああ、気にしないで。

 今は地獄の業務外の時間だけど、私の担当が女性の愛情についてだからちょっとね。

 円場博士には知らせたから案内するわ」

 

 

 こちらの先に立って案内を始める森さんだが、付いていく自分たちを見てクスリと笑う。

 何だろうか?

 

 

「相変わらずそっちの聖女の娘は、ご主人さまと違って警戒を止めないのね?」

 

「当たり前です。それが私の意義ですから」

 

「うんうん、それが貴女の愛情なのだから頑張りなさいな。

 ほら、もう着いたわ」

 

 

 気がつくと、マルバスこと特撮オタクの円場博士の部屋の前だった。

 森さんと別れ、ノックをして入る。

 今日はいつもよりかなり広い倉庫のような金属製の壁と床の部屋である。入り口の横に接客用のソファセットがあり、部屋の奥には大きな機械があり部屋のあちこちには光る丸いメーターのような装飾がついている変わった様子の部屋だった。

 すると、円場博士と赤城さん、それに見慣れない人物がいる。

 黒いスーツを着た白髪の痩せぎすの若い男である。

 円場博士がこちらに気が付き、声をかけてくれた。

 

 

「おお、よく来たな。今日はゲストが来ておってな。

 ほれ、挨拶せんか。お主らの娘の預かり主じゃぞ」

 

「やあ、本当に久しぶりだね、カズマくん。

 メシア教のクソ天使のお陰で、これ以上の海外のサブカル回収作業が出来なくなって戻って来れたんだよ。

 あの娘たちは元気にしているようだね。ああ、良いことだ。

 少女たちが活躍するさまは良いものだ。

 セー○ームーン、姫ちゃんの○ボン、ミラ○ル☆ガールズ、赤○きんチャチャ、ああ、変身少女物はいい!」

 

「ベリア…ああ、赤城、本当にお前はそればっかりだな。

 よう、初めましてだな。

 ようやくここ向きのアバターが出来たんで来たんだが、ネビロ…じゃなくて黒木だ。

 それと赤城、個人的には最初のやつは年齢上限は土星の娘だぞ。

 特に、他のはまだマシだが天王星と海王星と冥王星の奴はちょっとな」

 

「うむ、そうだな。その3人は妙な色気が出ていてちょっとな。

 色気と言えば、『ママは小○4年生』とかバブミの先駆者だと思う」

 

「少女は愛でるもんであって、母性を求めるのは難しいと思うが?」

 

「いやいや、そうでもないぞ。

 確かにカズマくんに預けたアリス以外のあの娘らは【JC】歳基準だったが、あの娘らとてふとした拍子に魅せる眼差しは充分にあったぞ」

 

「お主ら、いい加減にせんか。本題に入れんじゃないか!

 すまんが、そこのソファに座って話すとしよう」

 

 

 そういえば、呆気にとられて立ったままだった。

 円場博士に促されたソファにジャネットと座った。正面には、円場博士が座り赤城さん達は部屋の大型機材の準備をしている。

 そういえばと渡し忘れていたお土産の酒類とアブゾーバーのケースをテーブルに置く。 

 

 

「円場博士、これ、お土産のウィスキーです。

 自分は飲まないので、上司の方と皆さんで召し上がって下さい」

 

「ほう? ほうほうほう。なかなかに良いものが多いじゃないか。

 うむうむ、これは後で楽しませてもらおうか。

 さて、わざわざ来てもらった上にこんな物まで土産に貰ったのでは、少々本気で掛からんとな。

 わざわざ来てもらったのは、あそこにいる保護者の2人がようやく必要なマッカとフォルマとデビルソースを集め終わってな。

 悪魔合体でアリスを強化する予定なのじゃよ」

 

「今のままでも、あの娘は充分に役に立っていますけど?」

 

「お主、先日ようやくあのバビロンにも姿を変えれるレベル50になれたじゃろう?

 お主がそこまで強くなると、最初に渡したあの娘らでは力不足よ。

 特に、あの大淫婦バビロンの対抗馬となるような仲魔がおらんのが問題だ。

 そこでだ、当初の予定通り合体をするつもりだったのだがなぁ。

 あやつらが1年以上も凝りに凝って時間を掛けよってからに」

 

 

 部屋の奥に動力源と思われる大型機械とチューブで繋がれた魔法陣の書かれた台座が中央に一つある。そして、その横の台の上に合体で使うものだろう金貨や羽根やら角やら尻尾やら雑多なものや、所謂写せ身やデビルソースと思われる水晶がごろごろと山のように置いてある。

 これが全部悪魔合体で使うものだとすると、どれだけアリスに過保護なのだろうこの2人は。

 あと、自慢げに勝ち誇って見られるのは少しムカつく。うちの凛と桜も可愛いんだぞ。

 その様子を呆れた顔で見ていた円場博士が話しかけてくる。

 

 

「さて、見てもらった通り合体にはお主に預けて忠誠度も最高にまでなっている5人全員を使う。

 最高の結果を出すには犠牲がいるものだからな。

 あと、費用はあの保護者の2人が全部持つから心配はいらん」

 

「でも、あの娘達も今でも役に立っていますよ。それを突然言われても!」

 

「もともと悪魔合体とはそういうものじゃ。

 一つになって新しい姿になっても、その意志は残るものだよ。

 それに、何か勘違いしていないかな? 

 お主の本質はデビルシフターじゃ。サバトマで仲間を呼び出すのは余技に過ぎん。

 お主の強みは、わしが作ったデビルズアブゾーバーで単一の姿でなく多数の姿に変われることだ。忘れるな」

 

「そうですね。4人とお別れくらいはいいですか?」

 

「もちろんじゃ。サバトマで呼び出してするといい」

 

 

 サバトマで4人を呼び出し、別れを告げることになった。

 

 マーメイドが言う。

 

『大事にしてくれてありがとう。童話の人魚姫とは違うけど嬉しかった』

 

 モー・ショボーが言う。

 

『一番呼び出してくれなかったのは不満があるけど、嫌いじゃないから。さよなら』

 

 ナジャが言う。

 

『あんな事までされて許したのは、あなたが希望だったからだよ。またどこかで』

 

 ユキジョロウが言う。

 

『力不足は悔しいですけど、雪女はしつこいんですから忘れないで下さいね。さようなら』

 

 大事な家族ではあった彼女たちとの別れは本当に悲しいが、これから来る終末と天使の軍勢を思えば家族を守るためにも立ち止まってもいられない。横にいたジャネットにも肩を借り少し泣いてしまった。

 その様子を満足気に見ていた円場博士がケースからアリスのカードを取り、同じく自分から渡された4人娘のカードを持ち均等になるように五芒星に並べている。そして、赤城さんと黒木さんは陣の中央にせっせと台の上のものを積み上げている。

 操作台の計器を見ながら、円場博士が言う。

 

 

「本来なら、お主に渡した5人で変身用の姿は終わりにするはずだった。

 だが、大淫婦バビロンのカードが来て、お主が見せようとせん他のカードがあり、何かに追い立てられるかのように急速にお主は強くなった。

 もともとこの保養所を管理するだけの我々と違い、お主の活躍を見ておったあの方はお出かけになられた。

 後に疲労困憊して動けなくなったオーナーとサタナキアを残してな。

 何が起きるかは判らぬが、魔人と魔神の姿の二つなら生き残れようて」

 

「あの」

 

「何じゃ?」

 

「あれ、大丈夫ですか?」

 

 

 カードを乗せた直径1メートルほどの五芒星の魔法陣だが、赤城さんと黒木さんが積み上げたものが溢れて零れそうになりカードが埋まっている。

 近くでいい仕事をしたと満足げの2人が、はよはよと博士に視線を送っている。

 ため息を付いた博士はそれを無視しておもむろにスイッチを入れた。

 

 

 

 魔法陣に閃光が走り、光が薄れると陣の中央には一人の少女が立っていた。

 背丈や姿は15歳くらいだろうか。ウェーブの掛かった肩で切り揃えた金髪に、赤いヘアバンドのようなリボンで髪を纏めている。青いワンピースの服にロングスカートは変わらないが、足元は革のブーツ、肩には白いケープを羽織り首元は赤いリボンで腰は白いリボンで飾られている。

 左手には、『ALICE IN WONDERLAND』と書かれた少女が表紙の絵本を持っている。

 そして、こちらを見るとニッコリと笑って話し出す。

 

 

「改めまして、こんにちは。わたしのマスター。

 5人の少女が1人になって、新しいわたしが生まれたの。

 わたしは、【魔人アリス・キャロル】。

 恋しいあなたと寂しいわたし、一つの夢を繋ぎましょう」

 

「よろしく、アリス。これからも、力を貸してくれ」

 

「違うわ、マスター。あなたはわたしで、わたしはあなた。

 2人でハッピーエンドを見つけるの」

 

「あああっ、アリスが……あの娘がこんな立派な乙女になるなんて!」

 

「おおおっ、我らが悲願は果たされた!」

 

 

 アリスと話している横で、ジャンヌを見つけたジルドレイのように号泣している赤城さんと黒木さん。ジャネットと博士も距離を開けている。

 そちらを見たアリスは笑みを深くし、栞のように挟んでいた自分のカードをこちらに渡し宣言した。

 

 

「これで、わたしも大人で立候補できるわ。

 今までのわたしは子ども過ぎて、そうとは見て貰えなかったもの。

 マーメイドは、自分の恋に命をかけたわ。

 モー・ショボーは、愛も知らずに男の人を誘惑するの。

 ナジャは、愛する人のためその人の恋人と魂を同じくしたの。

 ユキジョロウは、愛する人との約束はずっと守り続けたの。

 わたしたちは、そこの聖女にも、あの赤い痴女にも、あの鎧痴女にも、あの変な本ばかり読む人にも負けないんだから!」

 

「む、む。これは難題だ。

 アリスを預けるくらいにはカズマくんを信用していたが、アリスからこう来るとは!?」

 

「お、おい、赤城よ。この男は大丈夫なのか?

 由々しき問題だぞ。

 とりあえず、この男の家族構成や資産、性癖など詳しい情報を精査して、場合によっては考えなくてはならないぞ!」

 

「ねえ、赤のおじさま、黒のおじさま。黙ってみていて下さいね?

 ずうっとお話したくなくなるかもしれないので」

 

「「はい」」

 

 

 アリスはそう言うと、自分の頬にキスをするとカードに消えていった。

 硬直している2人を見ながら博士が言う。

 

 

「この2人は嫌だがこちらで片付けておくから、帰ると良い。

 わしは、お主が大切なもののために生き残って戦うのを楽しみにしておるからの。

 また、何かあったら来るといい。それではの」

 

「はい、では失礼します」

 

 

 そう言って自分たちは、もうすぐ夕暮れになる山道を車で神戸まで帰ることになった。

 引きつった笑みのジャネットが、助手席でぶつぶつと言っている。

 

 

「迂闊でした。

 てっきりあの娘らは子どもだから、マスターの射程範囲外だと思っていたのに。

 あのアリスは、目算でも上がC寄りのBで下も安産型。

 隠してある趣味の本の通りなら、充分にいけますね。

 これは、文香にも相談しないと」

 

 

 これは聞かなかったことにして、帰ったら個人的なお宝本は別に移すとしよう。

 そう決めて自分は家路についたのだった。

 

 

 

 

 

 こうしてドタバタとした12月も過ぎ、年末と年始に自分が休みを取り増員もされた体力の限界に挑む毎年恒例になった夜に挑戦している間に、アメリカからの移民船『ギガンテック号』が神戸ポートアイランド港に寄港した事から次の事件が始まることになる。




あとがきと設定解説


・『響30年』、『山崎18年』、『マッカラン12年』、『バランタイン17年』、『クルボアジェXO』

ゲームの龍が如くで知って検索して驚いた1本5、6桁するウィスキー。
もちろん、利根川は号泣した。

・セー○ームーン、姫ちゃんの○ボン、ミラ○ル☆ガールズ、赤○きんチャチャ、ママは小○4年生

当時、実際に放映していたアニメ。
ジャンプの作品とこれらが当時のコスプレの全盛だったことは薄っすら憶えている。

・【魔人アリス・キャロル】

初期から彼と一緒にいた彼女たちが5体合体した姿。
2人の保護者が大量にボコじゃかと加えた物により、色々と特別製のアリスになった。
容姿は、FGOのナーサリー・ライムの本を持ったに○もん式アリス。
レベルは、50。耐性は、破魔弱点、呪殺反射、全状態異常無効。
スキルは、死んでくれる?、マハムドオン、絶対零度、ソウルドレイン、サバトマ、破魔反射。


次回から、最終章の第五部の開始。
もし、読んでくださった方がいるならありがとうございます。
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