カオス転生異聞 デビルズシフター   作:塵塚怪翁

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続きです。

今回から、第五部開始。終わりの序章。


第五部
第四十二話 終わりの始まり


 

 

  第四十二話 終わりの始まり

 

 

 年が明け、1月になった。

 

 うちでは新年のお参りは中庭の祭神さまの祠で済ますので、まだ子どもたちも小さいし遠出は余りせずに近場に皆で遊びに行く位だろうしか出来ないのが残念でならない。また、子どもたちの世話の殆どを夜の間は文香にお願いするのは本当に助かっている。

 

 そういえば、年末年始の1週間で体重が3キロ近く落ちてまた絞られた感じがする。

 確かに、原因はあれだと判ってはいる。しかし、彼女たちに突き合うのは旦那の務めだろうと思っている。

 もっともこういう話題は夢の中では、アリスとパールバティーは顔を真っ赤にして停止するし、イシュタルは聞こえないふりをして耳をこちらに向けているし、バビロンはもっと過激なやり方を提案するし、ベルセルクが一番聞き入っているはで一度だけバビロンに問われた時から禁句にしている。

 同じ悪魔でも、嬉々として実践に参加するジャネットと文香より清楚なのは面白いところではある。

 変な考えになりそうなのでこの思考はもう終わりにしてすぐに出勤するとしよう。

 

 

 

 さて目下、この神戸セクターが一番追われているのは神戸港に停まっている大型タンカーの『ギガンテック』であろう。

 この船は航行用の燃料を除いて空だったタンカーを、メシア教に追われていた一団が強奪して日本まで逃げてきたのだという。もちろん、船室など足りないので200人ほどの避難民は全長約340m幅60mあるこの船の甲板にテントを張って暮らすという無茶苦茶なやり方で海を越えてきたので、神戸の自衛隊の人たちや移民担当のガイア連合の担当者も交えて対応に追われている。

 

 ただ、追われているのは事務方や医師や現場で動く人たちであって、過剰戦力になる自分は待機である。一度、リーダーの元アメリカ軍人のライアン大尉には交渉の席で会った時には、部下の人たちもこちらの実力が判ったらしく始終警戒されて交渉の席には出れなくなってしまった。実質、事務処理関係を一手に引き受けている赤羽根さんと音無さんが無難に救助物資や健康診断などの手配を済ませているので出番は無いわけだが。

 

 さて、暇になるならバビロンとアリスの変身の慣らしをしたいのであるが、それをやる場所が近場にない。いまいちスキルを把握し切れていないアリスに、赤いスリングショット水着で万能全体魔法をばら撒く大淫婦バビロンである。

 ベルセルクの姿はまだコスチュームのようでもあるので我慢はできるが、動くと色々見えてしまうこの水着の姿はあまり人前では勘弁してもらいたい。

 こうなると思いつくのは、最近できたばかりの大阪城近くのあの場所に行くことにしよう。

 さっそく、暇そうにお菓子をぱくついていたジャネットを連れ車で向かうことにした。

 

 

 

 

 そこは表向きには、大阪城近くの公園内にある廃墟でもともとは戦前の化学工廠だったが、唯一残ったこの建物が異界化しガイア連合の転生者たちがアクセスの良いこの場所を気に入り制圧後に訓練用の異界とした通称『大阪裏ホール』である。

 

 基本的に出てくる悪魔は、妖鬼のオニやモムノフ、妖獣カクエン、邪鬼イッポンダタラ、妖鳥コカクチョウ、幽鬼ガキ、妖虫オキクムシなどのレベル10前後の連中が出て来て、中は広大なダンジョンと化しておりどこまでも続く廊下を進み最奥の広間まで行きそこに出るボス悪魔を倒すと、強い武具やマッカが得られる仕組みになっている。

 

 近くの駐車場に止め偽装された入り口に近づくと、入場係の金髪碧眼美少女シキガミ体の【妖鬼キンキ】がいる。もうすっかり自分たちとは顔見知りのため、挨拶をする。

 

 

「よう、こんにちは。また利用させてもらうよ。

 これ、入場料の2人分の20マッカ」

 

「げ、マスオニキじゃない。

 レベルが違いすぎるんやから、鳥取砂丘や四国のうどんランドに行きなさいな」

 

「仮にもお客なんだから、それはないだろう。

 自分もジャネットもスキルカードや手に入れたもので新しくしたから、慣らしに来たんだよ」

 

「やり過ぎないでな?

 ここはガイア連合でも有数の管理異界にするんだってオンギョウキ様も張り切っているんやから。

 あと、マスオニキも気をつけや。

 ガイア連合内の黒板持ちでも何人か消えたらしいんよ」

 

「異界で死んだじゃなく消えたって、どういう?」

 

「帝都の方で、小学生の足立透って子とオリンピックが期待されていた鴨志田卓って大学生に、赤根沢偉出夫って中学生の子が行方不明になった事件があったんよ。

 この人らはガイア連合の方で何故かマークしていた人物で、色々とこの人らに便宜を図っていた未覚醒で金のある黒板持ちが同時に消えたって情報がね。

 これ、幹部クラスの人だけに知らせるように緘口令が出ているから、リストは帰る時に渡すかんで宜しゅう」

 

「いろいろと情報をありがとう。

 それじゃ、中にはいるよ」

 

「ええ、気いつけて」

 

 

 かなり気になる情報を渡してくれたキンキと別れ、異界の中に入る。

 中は薄暗いホールになっていて、ここから各々が扉を開けて進むと途中で誰にも会わずに行けるようになっている。

 休憩していたと思しき連合員がちらほらと見えるが、気にせず奥に行こうとすると女性が数人ほど近づいて話しかけてきた。

 

 

「そこの強そうなお兄さん、これから行くなら一緒に行ってもいいかしら?

 わたし達、ここ初めて来たのよ」

 

「そうそう。一緒に行ってくれるなら、色々と後でサービスしてもいいわよ?」

 

「そうよ。こんなに大勢の女の子に囲まれるなんて嬉しいでしょ?」

 

 

 首元を開けて胸元を強調したり腕を組んで胸の大きさを強調したりとやたら甘い声で同行していくれと言ってくるが、こんな露骨な美人局で成功すると思っているのだろうか?

 呆れた顔で見ていると、ジャネットが持っていた鉄棒でドゴンッと辺りに響く大きさで床を打ち不機嫌そうに前に出る。

 

 

「ひっ!」

 

「ハッ。

 うちのマスターにそんなちゃちな色気で釣るやり方が通用する訳がないです。

 せめて、プロのキャバ嬢に教えを請いてから来て下さい」

 

 

 ジャネットが彼女らの誘い方を鼻で笑い、シッシッと手を振って向こうに行けと言っている。

 確かに転生者か現地民かは知らないが、レベルも大きく違うし着いて来られると色々と迷惑である。

 しばらくこちらを見ていた彼女らだが、こちらに目がないと分かると舌打ちをして去っていった。

 

 

「ちっ。あ~あ、強そうだけど女のシキガミ連れた陰キャだし上手くいくと思ったのに」

 

「次探そ、次。陰キャの非モテ君なら大勢いるんだしさ。カモなら他にもいるっしょ?」

 

「ほんと、ガイア連合の男って、みんな『理想の嫁』ってシキガミに走るんだよねぇ。最低」

 

「あれ、あのシキガミって、もしかして?」

 

「じゃーねー、陰キャくん。そこのお人形のおっぱいでもしゃぶってなよ。アハハ」

 

 

 どうせ変身するからと、黒の上下のスウェットにスニーカーで来たが陰キャに見えるのだろうか?これでも背は175はある上に、最近は腹筋だって6つになっているんだがなぁ。 

 これからという所で気分が削がれてしまった。

 ジャネットも不愉快だったようで早く行こうと腕を引いてくる。

 これは中の悪魔には悪いが、気分転換に付き合ってもらおう。

 扉を開け進むと自動的に扉が閉まり、大きなホール会場の廊下が続いている。

 自分たちで最後までクリアするか救助役のオンギョウキに助けを求める仕様になっているので安心して試すことにしよう。

 ケースからデビルズアブゾーバーを取り出し、カードを入れ変身する。

 

『ABSORB DEVIL』『Warning,Warning.EMERGENCY FUSION』

 

 王冠をし片手に宝石を散りばめた黄金の盃を持ち、赤いサンダルと透き通った白いケープを羽織り赤いスリングショット水着の大淫婦バビロンである。

 彼女は両手を腰にやり、得意げに胸を揺らして高らかに言った。

 

 

「うむ! ようやく華麗なる余の爆誕である!

 見よ! この美しくも淫らな装いと完璧なボディの結晶を!

 マスターといるイシュタルにもパールバティーにも出せぬこの色気よ。

 おお、そういえば一体となったのでマスターには見えぬな。あっはっは」

 

(主導権が彼女主体となるのか。ふむ?)

 

「あうぅ。いきなり頬を引っ張るのは何故だ? マスター」

 

(ベルセルクと同じで自分でも動かせるようだな。ちゃんと言うことを聞くんだぞ、バビロン)

 

「もちろんだとも。余の姿になるのが恥ずかしいとか言うからこうしたのだぞ。

 完全に身体を乗っ取るなどして何が楽しいのだ?

 マスターがいるこの状態だからこそ、見物も出来て余は楽しいのだ」

 

「マスター!? 大丈夫ですか?」

 

「おお、お主がジャネットか。

 こうして話すのは初めてだな。こほん。

 余こそが、マスターの最強の写し身にしてマスターだけの魔神、大淫婦バビロンである!

 ちなみに、マスターにだけ大淫婦の予定である!」

 

「マスターの意志はどうしたんです?」

 

「怖い顔をするでない。

 マスターがこの姿でいるのは流石に恥ずかしいと言うので、同一になる時は余が主導権を握るだけの事よ。

 ちゃんと今も見聞きしておるぞ、主にジャネットの胸とか……!?

 すまぬ、謝るからマスター、腹をつまむのは止めてくれ!」

 

「確かに、演技じゃないようですね。それじゃ、初めましてバビロン。

 私は、シキガミにして造魔でもあるジャンヌ・ダルクにしてマスターに名付けて頂いたジャネットです。

 ちなみに、もう未通じゃありませんし、終末が来たらマスターの子を産む予定です」

 

(自分はそんな事は聞いていないのだけど)

 

「ほう、それは羨ましい。本体も出産はそうそう経験はないようだしな。

 まあ、マスターの同胞のシキガミ嫁は今は1000体を越えるそうだが、そのうち約3%が余と同じ姿でこの間知り合いのリリスに自慢して楽しかったと本体から聞いたぞ。

 そっちの方の余が経験するであろうよ」

 

 

 こうして彼女らの話を聞いていて気分は良くなったが、目的の試し撃ちを忘れてはいけない。

 的には、出来るだけ判りやすく大勢で来て欲しいものである。

 こうしてそろそろ奥に行くように指示を出すと、バビロンとジャネットは楽しくおしゃべりしながら奥に向かい出した。

 

 途中の有り様はまさに蹂躙であった。

 バビロンの杯は威力過多なので無しにしたが、魅了を付与する女帝のリピドーも付与することもなく万能魔法の威力で吹き飛びマハジオダインも多数を黒焦げにする。

 おまけに、物理反射もあるので物理耐性持ちの鬼たちやイッポンダタラは、気の毒なことにジャネットと一緒に体の良いサンドバックとしていた。

 まあ、いつも来ては同じような事をしていたので、ジャネットの顔を見て「ああ、またか」という顔をして消えていく奴がいるのは笑えばいいのだろうか?

 

 そうこうするうちに廊下の最奥まで来たようだ。

 廊下の奥の壁には両開きの扉があり、中から強い悪魔の気配が漂ってくる。

 ここで前と同じように入り口まで戻りもう一周して来ようと思ったが、一匹のオニが悲壮な表情で目の前に立て札を立てると逃げていった。

 そこには、こう書かれていた。

 

『いつもお世話になっております。

 当ホール主催のオンギョウキと申します。

 この度は当ホールをご利用いただき誠にありがとうございます。

 本日は誠に残念ながら、このまま奥に進まれるように伏してお願い致します。

 マスオニキ様のご利用のお役に立てるように全力で当たり、

 本日のご利用に関する課題を取り組ませていただきたいと思います。

 立て札にて恐縮ですが、

 どうぞ、今後ともよろしくお願い申し上げます』

 

 どうやら今日は許容量を越えて殺り過ぎてしまったようだ。

 もともとここには戦い方の研究のために来ていたから、出てきたマッカやフォルマは全部出口で渡していたので出禁にされてはいなかったが、今日のことは後日に何かお返ししなければならないだろう。

 

 

「ううむ、詰まらぬな。まだ、余は暴れ足りぬぞ。

 盃でさえまだ使っておらぬのだが?」

 

「オニたちは物理耐性持ちですから殴りがいがありましたけど?」

 

「うむ、あれは楽しかったな。

 殴り方一つでも工夫して変えるとあんなにも吹き飛ぶのは面白かった!

 『車田落ち』とやらも見れてまたやりたいな」

 

「あれは良かったですねぇ。

 多数に囲まれてどう捌くかのいい練習になります。

 マスターは何か言っていますか?」

 

(今日は終わり。MP回復してボス部屋へ)

 

「マスターも本日は終わりにせよとの事だ。

 チャクラポッドはくれぬか?」

 

「今日のは、『缶入りメロンソーダ味チャクラドリンク』ですね。どうぞ」

 

「うむ。甘くて美味しいな。さて、回復も出来たし奥へ進もうか」

 

 

 チャクラドリンクを飲んで回復した2人は扉を開け、奥へと進んだ。

 奥へ進むと、大きいホールに出て目の前には小さなリングが置いてある。

 ネットもロープもないがボクシングのものに近い。

 リングの周囲には衝立のような壁があり他とは隔絶しているが、遥か高くの天上には空いた部分があり衝立で何個にも区分けしているのだろう。

 だが、いつもなら対戦相手がいるはずだが見えない。

 

 他所からは戦いの音や爆発音、殺される悪魔や人間の断末魔が響いている。

 ここで修練している人たちの声だろう。

 まあ、死んだら回収されて、蘇生の後にリカーム代を請求されるだけだが。

 リングに登り周りを見ていると、不意に強い気配が上から降ってきた。

 

 

「ふおぉぉぉぉぉ!」

 

「「きゃあああああ」」

 

「おおおお、…………ふう」

 

 

 自分の口から出たとは思えない女性らしい悲鳴がジャネットと共に辺りに響く。

 それは、バビロンも驚くだろう。

 上からプロレスのマスクを被ったムキムキの変態が奇声を上げながら飛び降りてきた挙げ句、更に奇声を上げながら服を破いた所でこちらを凝視して動きを止めているのだから。

 そして、そいつは向こうを向き前かがみになって何やらゴソゴソとしている。

 ピンときたらしいバビロンは、ニヤリと笑って声をかける。

 

 

「お主、余の身体に見惚れて欲情したのか。ククッ。

 仮にも、挑戦者にその態度は失礼ではないか?

 あと早すぎるのはいささか問題があると思うが」

 

「ぐふっ」

 

「ああ、そういう事ですか。確かに、早すぎるのは男性としてどうかと思います」

 

「ぐほっ」

 

 

 自分を見て欲情されるのは気持ち悪いが、それはそれとしてその発言は同じ男として止めてあげて欲しい。

 そいつは、ふらふらとこちらに振り向くとまだやや前かがみになって話し始めた。

 

 

「よ、よく来たな、挑戦者たちよ。

 我が名は、【怪異シットマスク】! アベックを打ち砕くもの!

 アベックの挑戦者の前には必ず現れるのだが??」

 

「うむうむ。余が挑戦者なのは間違いないぞ。

 それに余は男女両方イケるし、マスターとジャネットもいるのでアベックでも間違いではないぞ」

 

「えーと、【怪異シットマスク】。物理、火炎、電撃耐性で、呪殺無効、氷結弱点ですか。

 まあ、初めての相手ですが、いつものように殺りますか」

 

「エロい痴女と女性シキガミのアベックとでも言うのか!?

 ならば良し!それならば戦うまで、【暴れまくり】!」

 

 

 敵全体にランダムに複数回攻撃するスキルであるが、ここは現実で相手は一人である。

 ジャネットの前に立ち、全部の攻撃を受け止めるように位置を変える。

 ボスを務めるだけはあり、かなりの威力を込めていたのだろう。

 それを全部反射して返し、大ダメージを受けている。

 

 

「どうした? 余の胸に触れることも出来ぬぞ。

 残念だが、余は物理反射である。

 他の攻撃は無いのか?」

 

「な、ならば、怒りの一撃、【シットフレイム】!」

 

 

 今度はマスクでよく分からないが、焦った表情で炎をまとった拳で殴りかかってくる。 

 その剛腕の一撃を今度は腕でガードして受ける。

 火炎耐性はあるが、それなりのダメージを受けた。

 しかし、ジャネットの回復ハイブースタの乗った【メディラマ】ですぐに治してしまう。

 自分は黙ってみているだけだが、今連載中の漫画のキャラが悪魔化して召喚されてこれからひどい目に合うのはすこし可哀想でもある。

 考えを読んだのだろうか、バビロンが突き出されたシットマスクの右手を左手で優しく掴む。

 混乱している相手に、胸を強調し優しげに話しかける。

 

 

「余の姿を見て充分満足したであろう、童貞の悪魔よ。

 後は冥府にて自慰でもするがよい。【コンセントレイト】」

 

「あっ、それなら私の新スキルからいきますよ。

 【天罰】改め、【ラスタキャンディ】」

 

「あ、スミマセン。次の挑戦者が来るので失礼します」

 

「もう遅い。ではな、さらばだ。【バビロンの杯】」

 

「アイ、シャル、リターーン!」

 

 

 傾けた右手の盃から零れ出た万色の虹のような光が、リングごとシットマスクを爆発的な勢いで包み消し飛ばした。

 後に残っていたのは、床ごと削れたクレーターのみである。

 むふんと自慢気に腕を広げて、高らかに言うバビロン。

 

 

「余のデビュー戦としては、いささか華のない相手ではあったが気持ちよく放てて満足である!

 余は何時でもよいので、次の出番も早めに頼むぞ。マスター」

 

 

 そう言って彼女自身がカードを抜き取り、変身を解除した。

 一息ついていると、いつの間にかロッカーが無数に立ち並ぶロッカールームらしき広間にいた。

 ロッカーの反対側にはズラッと自動販売機が並んでいて、ここで休憩も出来るようになっている。 

 壁を見ると、『攻略お疲れ様でした。またのお越しをお待ちしています。出口→』という看板が掛かっている。日に日に、アトラクション化が進んでいる。

 周りには自分と同じようにくぐり抜けた挑戦者たちが何人もいて、手に入れた武器や傷を癒やしている。自分も自動販売機でお茶を買い、ジャネットと休憩をして聞きたいことがあったのでベンチで話し始める。

 

 

「なあ、ジャネット。

 いつの間にスキルの入れ替えを?」

 

「マスターももう色々と強力な攻撃魔法を放てるようですし、いまいち威力の小さい攻撃魔法より強力な支援魔法の方がいいと思って変えました。

 あ、入手先は本霊を煽ってカジャ系でなく【ラスタキャンディ】を手に入れました。

 元ネタ的に、旗の宝具ってこれにそっくりですし」

 

「あんまりそういう事はしちゃ駄目だよ。

 あの人はいろいろと不幸な最期を遂げたんだし」

 

「いいんですよ。あんな恋人なし=年齢の恋愛クソザコの本霊なんか。

 私の話に興味津々のむっつりですし」

 

 

 そんな聖女のあることないこと本霊の事を語って休憩を終え、そろそろ夕方になるので神戸に帰ることにした。

 

 

 

 

 

 車を停めた駐車場の向こうの方で、入る前に絡んできた女性達とある女性が話し込んでいた。

 あの女性は自分と同じ転生者で覚醒はしたもののトラブルを起こしまくり、ショタオジ直々に山梨への出禁になったその筋では有名な女性である。

 確か、『新党・女性維新』を立ち上げて関西の何処かから国政に立候補する予定の【幸原みずき】だったはずだ。

 彼女らにバレない内に出発しようとしたが見つかってしまったようだ。

 彼女たちの中の1人がこちらを指差し、急ぎ足で近づいてくる。

 

 どうしようかと思った瞬間、足元が大きく揺るぎ周りを飲み込むように立っていられない程の大地の震えが起きた。

 そして、駐車場の横にあった古い雑居ビルが自分たちに向けて倒れてきた。

 逃げられない体勢の自分には、やけに向こうのビルの電光掲示板がはっきり見えていた。

 

 そこにはこう写っていた。『1996・01・17 17:46』と。




あとがきと設定解説


・【大阪裏ホール】

関西方面の訓練場として整備された異界。
だいたい10~20レベルの敵が用意されている。
ここの管理悪魔のキンキやオンギョウキは、星晶神社の守護をしているオンギョウキから株分けされた個体。

・【妖鬼キンキ】

シキガミ体を貰って張り切っているここの管理悪魔の一人。
他にも、スイキやフウキもいる。
キャラ付けの個性を出すため、変な方言で話している。

・『缶入りメロンソーダ味チャクラドリンク』

技術部が作ったチャクラポッドやチャクラドロップの廉価製品。
主に缶入りドリンクの形で販売され、偶に『スポーツドリンク風俺の汗・レモンヨーグルト味』や『国産牛カルビキムチ味』や『おでんスカッシュ味』などのゲテモノ味がガチャによく排出されて怨嗟の声が聞かれている。

・【怪異シットマスク】

出版社にガイア連合系企業のテコ入れがあり、いち早く一躍有名になった挙げ句に悪魔化した。
レベルは、10~30。耐性は、物理耐性、火炎耐性、氷結弱点、電撃耐性、呪殺無効。
スキルは、暴れまくり、モータルジハード、食いしばり、シットフレイム(力依存の火炎攻撃)、しっとの心は父心!押せば命の泉沸く!(パッシブ。アベック(百合あり)相手だと、ダメージと被ダメージが30%増減。男だけだとステータス30%減)。


日付は間違いではありません。

次回から、最終回へ加速開始です。
もし、読んでくださった方がいるならありがとうございます。
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