カオス転生異聞 デビルズシフター   作:塵塚怪翁

45 / 53
続きです。

今回から、ラストダンジョンへ。


暑さとうちに帰ってからアプデでPCが使えなくなるのが辛い。


第四十五話 メシア教と堕天使と妖精と

 

 

  第四十五話 メシア教と堕天使と妖精と

 

 

「はあああ??」

 

 

 めったに聞かない困惑に満ちた彼の声がする。

 彼女の発言には自分もジャネットも困惑している。

 今は自分の身体でもあるが、彼女が楽しげに笑みを浮かべ話す。

 

 

『ほら、先日メシア教日本支部の代表団の一員としてお会いしたシスターギャビーです。

 この度、色々ありましてシスターも大天使も辞めて堕天したので、マイロードに養って頂こうかと。

 こうして、この人と一つになれる契約も結んで姿を同じにもしていますし、もう離れるつもりは無いのですから覚悟してくださいね、マイロード』

 

「ちょっと待ってください、マスターには私の他にも先約があるんですよ?」

 

「ジャネット。今は少しだけ待ってくれ」

 

「うん、君の女性の趣味にはもう何も言わないけど、君は人間で家で帰りを待つ人間の奥さんたちがいる事も忘れないでよ、マスオニキ。

 声が一緒で紛らわしいけど、ほら説明して」

 

 

 改めて一からショタオジに説明を始める。

 大阪の訓練場での出来事、地震の事、一度帰って自宅と神戸セクターの安全を確認した事、騒ぎを聞きつけてメシア教会に急行した事、教会の惨状と死にかけていた彼女らが堕天し自分の仲魔になっている事、今は近くに隠れて連絡している事とジャネットも交えて説明した。

 電話の向こうのショタオジが難しい顔をしているのが分かる声で話す。

 

 

「そちらの状況はだいたい分かったよ。

 状況を整理しようか。

 まず、君と一つになっている彼女に分かることを全部説明してもらおう」

 

「そうですね。ガブリエラ、頼む」

 

『ではもう黙っている義理もないので、簡単に。

 私は元々は四大天使降臨計画で用意された大天使ガブリエルの依代ですが、降臨直後の狙撃で分霊が変質しこの姿へと変わりミカエルに殺されかけたので日本に逃げました。

 力は大きく失いましたが、告知天使なので神とメールをやり取りできるスキルが残っていたので今までやって来れました。

 私も、私と一緒に逃げて来た改造されていたシスターたちも襲撃で死にかけていたので、このまま死ぬよりは良いと思って皆も同意し一緒の堕天使になって彼の仲魔になりました。

 こんな感じの三行でいいですか?』

 

「待って。待ってくれないかな。

 まず、【四大天使降臨計画】とか【降臨直後の狙撃で分霊が変質】とか何?」

 

『そうですね。

 スティーブンという技術者の協力で天使を降ろすことに特化したプログラムが出来たので、数年前に厳選した依代を用意して四大天使を降臨させたのが、四大天使降臨計画。

 避けたミカエル以外の三大天使が美少女に変質したのは、狙撃に使われたライフル弾に何か仕掛けがあったのでしょうか?

 私たちが日本に逃げるのをミカエルと敵対していたマンセマットが協力してくれたので、狙撃も彼の手引だと思います』

 

「天使長が何故あなたを狙う必要が?」

 

『それは、天使長に素直に従わない者は大天使でも必要無いようで、公然と反論したらこのガブリエルは出来損ないだと罵られて教団員に作り直せと命じていたので逃げたのです。

 今回、こうやって殺しに来たのは新しいガブリエルが何かの理由で必要になったのでしょう』

 

 

 自分の口から語られる彼女の知るメシア教の闇のあれこれに、開いた口が塞がらない思いである。

 実際にジャネットはポカンとしている。

 ショタオジは話を続ける。

 

 

「あと、堕天して彼の仲魔になったとかどうやったの?」

 

「自分にはシステム的な事はさっぱり」

 

『大雑把な事でよいなら説明できますが?』

 

「じゃあ、お願い」

 

『はい、マイロード。

 まず、あの3人の彼女たちは孤児院で育った天使の依代兼聖母候補として身体改造されていたシスターたちです。

 襲撃された時、体内に埋め込まれていた【天使の羽根】が何かの影響で暴走し、天使に成りかかっていたのを部屋で治療できないか試していました。

 そして、私は襲撃者に特製の毒の弾丸で撃たれた上に、襲撃者の部下たちの自爆で死にかかっていました。

 マイロードが私たちに血を舐めさせた事で、お持ちになっていたカードの霊装とほぼ強制的に契約のパスが結ばれ、私が失った力を補うように彼女らと一つになり堕天しこの姿に成りました。

 彼女らの魂は今は私と共にいます』

 

「そうか、じゃあ彼女らもこれで良いのなら一緒に来てくれ」

 

『はい。幾久しく、マイロード』

 

 

 ジャネットはメシア教にかこちらの会話に対してか不機嫌な顔でいる。

 こちらが話している間、黙って聞いていたショタオジが周囲の人に何か指示を出してからもう一度話し出す。

 

 

「ああ、なるほどねぇ。堕天は別として、事態がだいたい見えてきたよ。

 10隻を超える大型の移民を乗せた船、一度に来たので各地で受け入れの検査や準備に手を取られていたけどそれが目的みたいだね。

 本命は、神戸にある船『ギガンテック』だったみたいだね。

 まったくどこであの地震の事を知ったのかは分からないが、地脈を押さえているのはこっちだよ。

 馬鹿にしないで欲しいなぁ。同じ規模で起こさせるわけがないじゃないか。

 マスオニキ。

 今、あの船にオカルト案件の臨検名目で現地のデモニカ隊を中心に踏み込んだみたいなんだ。

 神戸市内と教会の方はこっちで人を出すから、君もそれに同行できるかい?」

 

「わかった。問題はないからこれから行きますよ、ショタオジ。

 他には何かあります?」

 

「そうだね。

 流していたけど、その二重に話せる事とかも合わせてこの一件が全て終わったら、こっちでとことんまで調べるつもりだから。

 必ず山梨セクターへ出頭するように。いいね?」

 

 

 その色々と抑えた声に冷や汗が出て、思わず答えずに通話を切り電源を切ってバッグに携帯をしまう。

 かなり、時間が立っていたようだ。遠くから教会の方で、幾つものサイレンが聞こえる。

 ジャネットの方を向くと、またですかという顔をしている。

 早く行くためにはそうするしかないのだからしょうがない。

 

 

「ジャネット。翼があるから首の後ろに手を回して。

 そう、その辺。荷物はもうちょっとこっちで」

 

「マスター。こうですか?

 お互いに胸が大きいとこういう時は困りますね」

 

 

 大阪から来た時のように空を飛んで行こうとしたが、お互いに標準よりかなり大きい胸のために抱きついて飛び上がるのに少し手間取ってしまった。

 どこからかイシュタルの抗議の声が聞こえたような気がするが、今は急ぐことにしよう。

 ジャネットをしっかりと抱き上げると、翼を広げ上空へと舞い上がり港へ向かった。

 

 

 

 消防や警察、マスコミなどのヘリが飛び回っているので、それに注意をしつつ港の方向へと飛んでいく。

 大型タンカーのギガンテックが見えてくる。

 桟橋にある船の横にあるタラップの所で、戦闘が起きている。

 逃げ惑う難民、その難民から体の一部が天使に変わって暴れている者、人を襲う翼の生えたスライム、それを避難誘導をしつつ苦戦しているデモニカ隊と新人らしいガイア連合のメンバー達が見える。

 援護するべく、そこに着地する。

 ジャネットは降りるとそのまま背中からいつもの鉄杖を持ち、それを振るってスライムを片付け始める。

 自分は天使化し狂気のまま暴れている者にスキルを放つ。

 【まどろみの渦】。敵全体に睡眠と幻惑をかけるスキルである。

 動きの鈍くなった彼らを鎮圧していく彼ら。

 ここのガイア連合メンバーのリーダーらしい男性が話しかけてくる。

 

 

「えーと、助けてくれてありがとう。すっげぇエロい堕天使さん。

 どっかのメンバーのシキガミすか?」

 

「ああ、うん。そんなところです。

 ところで、あなたは何でそんな格好を?」

 

 

 彼は腰まですっぽりと覆うダンボール箱を上から被り、それ以外には黒い水着のブーメランパンツのみである。 

 さっきまでは、足技で戦っていたようだが、地元でこんな人は見た事がない。

 

 

「ああ、これっすか?

 格好はこんなでも『状態異常耐性』と『全門耐性』が付くすげぇ霊装なんす。

 防御も視界も大丈夫ですけど、他の服着ると効果が無くなるんすよね。

 性能目当てで安かったから買ったんすけど、今は愛用しているっす」

 

「そうなんだ。まあいいや。

 自分たちは船内に行くけど、ここを頼める?」

 

「任せて下さいッス。それじゃ」

 

 

 そう言うと彼はそのまま別の場所へと走って行った。

 スライムを粗方片付けたジャネットと合流し、艦橋の入り口へと向かう。

 そして、扉の前に着くと蹴り開けた。

 

 

 

 扉の中は、異界と化し船のそれではなかった。

 今いる場所はビルの屋上で、広いが森と化しており来た扉はそのビルの階下への入り口と同化している。

 周囲を見ると、自分たちの立つ場所を含め無数の白い高層ビルが乱立し、空はオレンジ色になり赤く燃える雲がたなびきビルの下には黒く光のない海が広がっている。

 それならばとジャネットと共に奥と思われる方向に飛ぼうとすると、声を掛けられた。

 

 

「ちょっとちょっと、迂闊に飛ばないほうがいいわよ。

 どこかに消えて戻って来られなくなるから」

 

「誰だ?」

 

「誰って、そこの金髪女に歌の練習していたら殴り倒されたローレライよ」

 

 

 よく見ると、それはいつぞやの異界で奇襲し倒した音痴のローレライのようだった。

 何故、ここにいるのだろうか? 復讐にでも来たのだろうか?

 そう思い身構えると、彼女はワタワタと手を振って慌て出した。

 

 

「ちょっと、止めてよ。戦う気なんて無いのよ。

 むしろこの異界を何とかしてくれないと帰れないの」

 

「ふうん、じゃあすぐにでも教えて下さいね?」

 

「ひいっ、ちょっとそこの堕天使の人! 

 教えるから、そこの鉄の棒をぶんぶん振り回すの止めさせて!」

 

 

 わざとやっていたジャネットの威嚇を止めさせて、続きを促す。

 ホッとしたのかローレライは話し出した。

 

 

「ここの異界を作った奴は、ここを【疑似フォルナクス】って呼んでいたわ。

 飛んでいったピクシーが消えたから、ここの空って空間がグチャグチャみたいなのよ。

 そして、私を勝手に召喚した上に一方的に言ったのよ。

 『貴様らは最奥の真理へと続く扉の番人である。

  貴様らに縁深き奥への道を臨む者が来たなら、番人としての役目を果たせ。

  もし、貴様らも奥への道を望むなら番人より鍵を奪うがよい』って」

 

「番人なのに戦わないんですね、ローレライ」

 

「だから、私は歌の練習に忙しいの。

 はいこれ、鍵ね。扉は森の奥にあるから」

 

「ああ、どうも」

 

 

 こちらに鍵を渡すと、もう興味はないという風に「あ、あ~」と声の調子を確かめている。

 どうするとこちらを見るジャネットに首を振り、急いで森の奥へと向かう。

 程なくして見つけた木製の扉に貰った柄がクローバーの金の鍵を差して開け、すぐに次の場所へと向かう。

 背後に、「ホゲ~~~~~~」という歌声を聞きながら。

 

 

 

 

 

 異界の最奥で両開きの扉の前でその男は扉の装飾の一部である石細工に腰掛け、わざわざ召喚した者たちと中に入り込んできた者の争いを楽しそうに見物している。

 そして新たに入ってきた目当ての人物が、よく知る女性の堕天使になった姿をしているのを見て舌打ちをして呟く。

 

 

「チッ。見物をするだけと言いながら相変わらず余計な真似をする、あのクソ上司。

 これは、私が始めた物なのだから手を出すな。

 あんたは別の場所で、黙って地母の晩餐を喰らうかライドウに真っ二つにされるか女装していてくれ」




あとがきと設定解説


・【堕天使ガブリエラ】

レベル20の劣化したスキルのガブリエルだった彼女と、過激派ネームド天使に成りかけていた彼女たちが一緒になり堕天した姿。
レベルは、60。耐性は、火炎耐性、氷結耐性、電撃耐性、衝撃弱点、呪殺耐性。
スキルは、魅惑の雷撃、メギドラ、まどろみの渦、エナジードレイン、リカームドラ、破魔無効。

・【ダンボールアーマー】

ガイア連合の変態技術者たちの考案した作品。
通常は、裸(パンツあり)で身につけると、「状態異常耐性」と「全門耐性」のスキルを発揮する。
極秘だが、もし美少女(18歳以下)が全裸(下着なし)で身につけると、「状態異常無効」と「真・全門耐性」に「耐万能」となる。
視界と保温性と防御力は問題なし。


次回は、ダンジョンアタックの続き。
もし、読んでくださった方がいるならありがとうございます。






  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。