カオス転生異聞 デビルズシフター   作:塵塚怪翁

46 / 53
続きです。

今回は、ダンジョンアタックの続きの回。


第四十六話 過去の縁から来た刺客

 

 

  第四十六話 過去の縁から来た刺客

 

 

 最初の扉を抜けると、そこは変わらずビルの屋上のようであるが周囲が機械のような装飾が刻まれた白い壁に囲まれている。エリアとしては中途半端に広く、10メートル程先の一番奥に大仰な機械の装飾が施された扉とその前に人型の者が何かを喚いている。

 近づいていくと、こちらに気づき振り向いた。 

 そいつは全身が肌色の無毛の人型であるが、両目の部分から1メートル程の管が伸びてその先にある目でこちらを見つめ、口から股間まで体の前面が鋭い牙の生えた口になっている姿だった。

 

 

「おオ、おおオオお、貴様はいツぞやの我らの悲願を潰した痴女レスラーとお付きの乱暴女ドもではなイか。

 仲間と運ばれてイた車が爆発で吹き飛んだと思ったラ、このような場所にいタのも我らが神が復讐の機会をくれたのダろうなぁ。

 おぉ、我が神ヨ!」

 

「その物の言い方は、洗脳装置をロボットにしてきた間抜け達か。

 警察に引き渡したはずなのに爆発?」

 

「経緯はどウでもいい! 今コの時、貴様らを倒シその肉を我が神に捧げヨう!」

 

 

 そいつが片手を上げこちらに振り落とすと、周囲から赤い人の顔をした煙の塊が湧き出てこちらに向かって来る。

 アナライズをしたジャネットが叫ぶ。

 

 

「マスター! 周囲のやつは、【幽鬼モウリョウ】です。電撃、疾風、破魔が弱点。

 あのリーダーは、【邪鬼ビシャーチャ】。火炎弱点です!」

 

「なら、【魅惑の雷撃】!」

 

「マた、電撃かァぁ!」

 

 

 敵全体を強烈な電撃が襲い、湧き出ていたモウリョウ達が消し飛ぶ。

 ビシャーチャがこちらに喚きながら走り寄り、スキルを使う。

 

 

「死ネ、【バイツァ・ダスト】!」

 

「何、これは!?」

 

 

 スキルを受けると、喉元に爆弾のような黒い球体を吊り下げた金属製の首輪が現れる。

 どこかの女性の手が好きな殺人鬼の技と同じ名前がするということは、これが爆発する?

 哄笑を上げ、こちらの首元を指差すビシャーチャ。

 

 

「さあ、我が部下たチよ。あレを狙え!」

 

「マスター、【静寂の祈り】です!」

 

「エ?」

 

「そっちが死になさい、【メギドラ】」

 

 

 再び湧いたモウリョウがこちらに攻撃する前にジャネットが状態異常を解き、こちらが放つ万能全体魔法が薙ぎ払う。

 薙ぎ払った後には、黒焦げたビシャーチャだけがふらふらと立っていた。

 

 

「お、オのれ異教徒共め。まタしても、我が神ヘの贄を拒否スr…」

 

「うるさい、【メギドラ】!」

 

「ああアああァぁァ……」

 

 

 再び叩き込んだ万能魔法により消し飛ぶビシャーチャ。

 そして、消えたその場に柄が歯車の形をした鍵が転がっていたので拾う。

 それにしても、腑に落ちない無いことを言っていたのが気になる。

 彼らは拘束して転がした後に警察に通報して回収されたはずなのに、その後に誰かに殺されたのだろうか?

 考えは尽きないが扉の前で姿を戻し少し休憩した後に、扉を抜け次の場所へと移動した。

 

 

 

 扉を抜けた先の様子は、またこれまでと違っていた。

 木の床板に木の柵があり、四隅には木の大きな柱が立ち瓦の屋根を支えている寺院のようである。巨大な象が暴れ回っても問題ないほどに広く、最奥の扉の前には大きな人型の何かが座っていた。 

 それは、自分が入って来たことに気づくと振り向いて立ち上がる。

 身の丈3メートル以上はある筋肉質な体に、3面6腕の濃い褐色の肌をしたインド神話風の服を着たその男は自分を見下ろしている。

 しばらくこちらを見た後に、彼のそれぞれの顔は話しかけてきた。

 

 

「我はこの扉を守る番人【魔王アスラ】なり」

 

「汝、奥へと進まんとする者か?」

 

「……? 汝らに見覚えがある。凶鳥と悪霊へとなった我を倒せし者か」

 

「それは本当か? 我よ」

 

「黒き邪神に玩具とされた時に見た。間違いないぞ、我」

 

「そこの男、黒き本で悪魔の姿になる者に憶えはないか?」

 

「心当たりはあるが、きっちり倒したはずだぞ?」

 

 

 そう答えると満足そうに頷き、身構えて答える。

 

 

「我ら三人、元は邪神の玩具として死した者なり」

 

「いかなる理由か、このようにして召喚されたり」

 

「なれば、今一度こそ日本の民に海の外の戦いに赴くように試練を課すが肝要」

 

「「「いざ、まず汝の魂を磨くとしようぞ」」」

 

「余計なお世話だ!」

 

 

 こちらも身構え、闘うことになった。

 ジャネットも鉄杖を構えて、アナライズをし叫ぶ。

 

 

「マスター、これは【魔王アスラ】。

 氷結弱点で、火炎と衝撃は反射します。気をつけて!」

 

「なら、【サバトマ】。アリス!」

 

「マスター、わたしの出番ね。

 じゃあ、みんなも一緒に踊りましょう。【サバトマ】」

 

 

 自分が呼び出したアリスがこちらを見てから身構えると、左手の絵本がめくれて子どもの大きさのとても既視感のある雪女の人形が現れた。よくみると、右手に人形繰りの指輪とそれと人形が繋がる糸が見える。

 その糸に手繰られるように、人形が【ブフーラ】をアスラに放つ。

 これが、彼女独自のあの4人を人形として呼び出せる【サバトマ】である。

 余裕の笑みを見せるアスラがこちらへと踏み込み、スキルを放つ。

 

 

「試練を与えよう! 【阿修羅】!」

 

「ちっ」

 

「ああっ」

 

「くっ」

 

 

 六本の腕を振るってこちらの全員を殴打するアスラ。

 しかし、自分への攻撃は反射されダメージを負うのは驚いている。

 こちらとてやられるばかりではない。

 

 

「【ラスタキャンディ】!」

 

「こっちは、【絶対零度】と【ブフーラ】よ!」

 

「小癪な真似を、【マハラギダイン】!」

 

「遅い、【マカラカーン】」

 

「我に炎は効かぬ。……ぬう!?」

 

 

 アスラは放った全体火炎魔法が全てマカラカーンで反射されるが、自身は火炎反射を持つので余裕で受け止めるもその炎が消え去るのを見て驚く。

 奴は知らなかったのだろう。

 ガイア連合では、現実となってある意味未知の技術になった魔法に関しては色々研究されているのだが、もし反射持ち同士がその属性の魔法を放ったらどうなるかの実験もあった。

 正解は、『一度放たれた魔法が反射された場合、反射される度に威力が減衰し最終的に消える』である。

 だから、強力な全体魔法でも2度目の単体の反射を経て少し強い単体魔法に威力が落ちたなら、投げたブフーラストーンで相殺できるのである。

 奴が驚く隙にも、ジャネットとアリスは2度目のバフと氷結魔法でダメージを与える。

 

 そして、傷を負わされたのと自慢の火炎魔法を妙な小細工で打ち消されたのが腹に据えかねたのか、6本の腕で妙な構えを持ってこちらを殺しにかかるようだ。

 火炎魔法が得意なら、こちらも手を変えるとしよう

 

 

「おのれ、我が与える試練にこのような手妻染みた手段を取るとは!

 本気を出してくれる! 【コンセントレイト】」

 

「もう一度、【ラスタキャンディ】!」

 

「もう、【絶対零度】! 【ブフーラ】!」

 

「『Warning,Warning. NON-REGULAR FUSION』。よし、アリスはジャネットと自分の後ろに!」

 

「はい!」

 

 

 カードを取り出し、腹部から胸元に背中まで肌を露わにした夜の色をした赤いラインのある全身金属鎧の女性の姿、サクラベルセルクに姿を変える。そして、ジャネットと共にアリスを庇うように前に出る。

 その様子をあざ笑うようにアスラは全部の腕を突き出し、複数の黒い火炎弾を放ってきた。

 

 

「何をしたのかは知らないが、そんな肌を露わにした格好で我の炎を防げると思うな! 【極炎の闇】!」

 

 

 2人でその複数の炎弾を受け止めるように防御する。  

 その様子を見ていたアスラは笑みを止め、自分の最強の技が簡単に防がれ驚愕しているようだ。

 それはそうだろう。ジャネットもサクラベルセルクも火炎反射なのだから。

 反射され見る間に威力が落ちて数が少なくなったのを見て、そのままアスラに突撃する。

 

 

「ジャネット、強化停止。アリス、攻撃継続! 【月影】!」

 

「ぐほっ。おのれ、まだだ! 【阿修羅】!」

 

「ぐっ」

 

「もう一度、【絶対零度】! 今度はこの子、【サバトマ】!」

 

「よし、【メディラマ】!」

 

 

 敵全体に乱打を与えるスキルで6腕のめった打ちを喰らうが、物理耐性とジャネットの回復で踏み留まり殴り返す。

 ここが勝負の決め所だろう。

 アリスがユキジョロウの人形をマーメイドの人形に変える。

 

 

「ここで、【ソウルドレイン】! この子は【嵐からの歌声】よ!」

 

「ぐおお、まだだ。まだ、負けぬ」

 

「勝機! 【月影】!」

 

「ぐぶっ、……ぐおお、お、卑怯な……がっ」

 

 

 万能属性の吸収魔法と弱点の氷結魔法のダメージを受け蓄積した負傷でふらついた隙をつき、スキルを込めて膝蹴りで股間を蹴り上げた。

 そして、ぐにゃりとした感触と共に横の二つの顔が白目をむき、前のめりに崩れ落ちるアスラ。

 慎重に後ろに一旦下がり、目の前に下りて来た後頭部に両手を組んで振りかぶって叩きつけるのと同時に顔面に膝蹴りを叩き込み、アスラにとどめを刺した。

 何も言えずマグネタイトになり消えたアスラのいた場所に、今度は柄が卍の形をした鍵が落ちていたので拾う。

 疲れたので、出口近くの仏教風祭壇の端に腰掛ける。

 そして、近寄って来たジャネットとアリスに声をかける。

 

 

「お疲れ様。二人とも、回復薬はたくさん用意してあるから飲んで。

 まだかなり先があるようだし、一息つこう。

 それにしても、アリスのサバトマはあの娘たちを操り人形の形で呼び出せるのか」

 

「そうよ、マスター。彼女たちの意志はわたしと一つになったからこういう形になったの。

 だって、バッドエンドはこりごりよ。もう見飽きてしまったわ」

 

「あー、こうして肉体を持っていると薬で回復はし易いですけど、お腹がポタポタになりますね」 

 

「あの娘たちとこういう形でも会えるのは嬉しいな。

 あと、トイレが近くなるから飲料薬は控えめにしないと」

 

「そうなんですよね。なまじ、元が造魔から出来ているのでこの体、ほぼ人間に近いのも良し悪しです」

 

「ふうん、わたしにはよく分からない感覚ね。

 おじさま達は、『アイドルはトイレになんて行かない』とか言っていたけど?」

 

 

 あの二人は何をアリスに吹き込んでいるんだろうか?

 それも気になるが、ここに出てくる敵対悪魔たちもおかしい。

 最初があのローレライ、次が印象の薄かった洗脳機械の男、そして邪神の本で悪魔になっていた多分中東人の男たち。

 今後も自分に縁がある奴が出てくるとなると、この異界の主は本当に性格が悪い。

 一休みできたので考えるのを止めて、2人に声を掛けて次の場所に移動するため扉をくぐるのだった。

 

 

 

 

 

 そして、くぐった先でもうあまり会いたくない連中にまた出会ってしまった。

 一面、ピンクの絨毯にピンクのカーテンの掛かった柱と柵、一番奥のピンクの金属の扉、天井はピンクのベッドの天蓋のような広場で、周りから湧いてくる20体以上の夜魔リリムと中央にいる緑色の巨大な卑猥なスライムがいたのである。

 アリスは帰しておけばよかったと後悔した。




あとがきと設定解説


・【邪鬼ピシャーチャ】

シスターギャビーと制圧した洗脳装置のダークサマナーのリーダーの変わり果てた姿。
レベルは、45。耐性は、火炎弱点、呪殺無効。
スキルは、毒ひっかき、ウィンドブレス、バイツァ・ダスト。

・【幽鬼モウリョウ】

シスターギャビーと制圧した洗脳装置のダークサマナーの手下たちの変わり果てた姿。
レベルは、17。耐性は、火炎耐性、氷結耐性、電撃弱点、衝撃弱点、破魔弱点、呪殺耐性。
スキルは、特攻、デクンダ。

・【魔王アスラ】

邪神の本で破滅した3人の中東人の男たちの変わり果てた姿。
レベルは、37。耐性は、火炎反射、氷結弱点、衝撃反射、破魔無効、呪殺無効。
スキルは、マハラギダイン、コンセントレイト、極炎の闇、阿修羅、デカジャ。

・アリスの【サバトマ】

彼女と一つになったマーメイド、モー・ショボー、ナジャ、ユキジョロウを操り人形の形で召喚する。
人形に自我はなく、人形のスキルの消費MPはアリスの物を消費減少して使う。


次回は、ダンジョンアタックの続き。
もし、読んでくださった方がいるならありがとうございます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。