カオス転生異聞 デビルズシフター   作:塵塚怪翁

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今回は、他の方だとさらっと流す覚醒修業前のショタオジとの面談回。

特異な事情の相手ならそれなりに注意してみるよねという設定。
ショタオジが上手く再現できていればいいが。



第五話 Q、すぐにでも修行で強くなれると勘違いしていませんか?

 

 第五話 Q、すぐにでも修行で強くなれると勘違いしていませんか?

 

 

 開口一番に変な二つ名で呼ばれたのは気になるが、まず宿舎に荷物を置いてからにしようとクスクスと笑いっぱなしの花蓮を連れ、緑色のどこかで見たような事務の女性に部屋まで案内される。

 着いた所がビジネスホテルの内装そのままで、隣り合う部屋にそれぞれ個室を用意してもらった。中も、シングルルームそのままである。

 はて? 掲示板で見たのとは違うような?

 

 

「すみません、事務員さん。聞いていた話と違うような気がするんですが?

 確か、宿舎に男女分けて大勢で集団部屋でと聞いていたのですが?」

 

「ああ、それは未覚醒の方が受けるコースの宿舎ですね。

 お二人はもう覚醒している上に、実力もあるじゃないですか。

 こちらは別のコースの方(の隔離)用ですので大丈夫です。

 あ、1時間後に神主との面談があるので用意しておいて下さい」

 

 

 そういうと事務員の女性は去っていった。ぽつんと取り残される二人。

 

 

「取り敢えず、ひと月近くここに泊まるんだ。

 一旦休憩して、荷物を置いて出れるようにしとくか、花蓮」

 

「そうですね。面談もするようですし、少し休みますわ」

 

 

 それぞれカードキーを使って部屋に入り、葵さんに「すごい神社に着いたよ」とメールを送りながら待つと、しばらくして【撲殺ニキご案内】と達筆で書かれた一反もめんに案内され、ツボに入って動けなくなった花蓮を引っ張って談話室に向かう。

 神主さん、天然か煽っているのかが分からない。どっちだろう?

 静かに境内の掃除をしたり、奇声を上げていて作業員に回収されたり、一反もめんに追われ擦り切れた格好で全力で走っていたりする人々を横目に見ながら本殿らしき建物に入る。

 カオスな風景である。

 

 談話室に入る。何か力の場のような空気の木の床の部屋である。

 正面に、先程の神主さん、横に緑の事務員の女性と白スーツのマルボウみたいな人がいる。こちらも、失礼します、と言って藁で編んだらしい座布団みたいなものに花蓮と腰を下ろす。

 すると、神主さんが話し出す。

 

 

「どうかな、案内の式神。分かり易かったと思うんだけど?

 別に、馬鹿にしているわけじゃないから勘違いしないでね。

 式神のデモンストレーションでもあるんだ。

 で、こっちの緑の子がピヨちゃんで、こっちのでかいのが霊視二キ。

 あと、神主でもショタオジでも好きに呼んで。

 それでそっちは?」

 

「自分のことは間藤カズマで、【撲殺ニキ】は止めて下さい。

 こっちのうずくまって動けなくなっているのは、妹の花蓮です」

 

 

 そういって、ペシペシと花蓮を叩く。

 微妙な表情の3人を尻目に、花蓮が復帰するまで10分少々掛かった。

 神主さんも忙しいでしょうからと説明を始め、復帰した花蓮も加わって今までの経緯を最初から順に思い出しながら話し始める。

 覚醒した時の話ではかなり驚かれ、9年間の異界巡りの話ではこの人は正気なのかと言わんばかりにドン引きされ、掲示板を見つけてここに来るまでの話には苦笑されてしまった。

 出してもらったお茶を飲んで一息ついてから、ここでどうするのかを話し始める。

 

 

「じゃ、妹ちゃんから始めよう。【アナライズ】をするんで、そのままね。

 霊視二キも頼むよ」

 

「ああ、すまないが視させてもらうぞ」

 

 

 息を呑んで待っている花蓮を横目に、紙を取り出して何か相談しながら書き込んでいる。

 これ、と渡された紙にはこう書かれていた。

 

 

・人間 間藤花蓮  レベル9

・ステータス:魔・運型

・耐性:破魔無効

・スキル:【ハマ】【ブフ】【ディア】【パトラ】

 

 

 思わず、「甘味とイケメン弱点がないですね」と言ってしまい花蓮に叩かれたのを笑われてしまったが、この年でなかなかすごいそうだ。

 学生なので土日や祭日に兄と走り回っていましたからと、得意げな花蓮。

 クスクスと、他の二人と笑いながら言う神主さん。

 

 

「うん、全体としては充分に強いね。

 再覚醒修行は、ノーマルコースで他の人と楽しみながらやるといいよ。

 ただ、話を聞く限りでは、妹ちゃんは座学にだけは真剣に取り組んで欲しい。

 危機感が足りないからね。

 じゃ、ピヨちゃん。妹ちゃんの案内お願い」

 

「そうだな。その辺は俺もフォローさせてもらう。

 【俺たち】のメシア教の被害者は、もうこれ以上出したくない」

 

「確かにそうだなぁ。

 花蓮のことだからとこの辺、甘やかしてなぁなぁにしていたのも悪いな」

 

 

 神主さん、霊視二キ、自分に続いて言われ、疑問符がいっぱいある表情のまま、じゃあ、こちらへ、とピヨちゃんさんに案内されて出ていく花蓮。

 手をひらひらとして合図して見送る自分。

 

 さて、と。出ていったあとで表情を変える神主さん。

 次は自分だと、視てもらう。難しい顔の二人。

 もう一度視るから変わって、というので手鏡を見ながら【変わる】。

 うーん、と微妙な表情で書き込みながら、もういいよ、というので戻って待つ。

 渡された紙にはこう書かれていた。

 

 

・人間? 間藤カズマ  レベル12

・ステータス:平均的(やや運寄り)

・耐性:破魔無効

・スキル:【悪魔変身】

 

・外道 ドッペルゲンガー(変身後) レベル25

・耐性:物理反射・銃反射・破魔弱点・呪殺弱点

・スキル:【サバトマ】【マカラカーン】【テトラジャ】

 

 

 どうかな、という顔でこちらを見る二人。

 自分でもある程度は検証できていたが、見せられてはっきり分かる。

 【破魔弱点】と【呪殺弱点】。

 ゲームではない以上、蘇生手段がないのでは悪魔の姿でも死ねば終わりである。

 今まで生きているのが幸運であり、いくつかのヒヤッとしていたかもしれない事を思い出して冷や汗がにじみ出て来る。

 

 

「自分が今まで随分と幸運に恵まれていたのかが、よく分かりました。

 【テトラジャ】が【呪い防御】ですね。【テトラカーン】と響きが似ているし。

 【サバトマ】というのは?」

 

「色々と自覚できたみたいだね。

 【テトラジャ】は、一度だけ味方全体を破魔と呪殺属性の魔法から防ぐ魔法だよ。

 【サバトマ】は、契約した悪魔を呼び出す魔法だ。悪魔が眷属を呼ぶのとは違って、今の君には使えないね。

 それにしても、ペルソナ能力者以上に珍しい悪魔変身能力者がまた見つかるなんてねぇ」

 

「ああ、珍しいものを見せてもらったな。まだ、数例しかいない貴重な能力だ。

 ぜひ、強くなって一緒に天使共をぶっ潰して欲しいが、【破魔弱点】では厳しいか」

 

「そうだね。その点も考えて修行プランを決めよう。

 あと、申し込み書にもあった攻撃能力を手に入れたいというのは何だい?

 攻撃スキルがないのはさっき解ったけど」

 

「今の自分達だと、花蓮の【ブフ】と【ハマ】に自分の特製バットくらいしか攻撃手段がないんです」

 

 

 そう言って携帯でバットの写真をいくつか見せる。

 金属製や木製、バットに付ける重りを応用した金属製の打撃部分などの、いくつもの銃刀法に負けない工夫をこらした自分の相棒のバット【マイケルくん】たちである。

 

 

「なるほど、これが神戸の悪魔たちを撲殺や殴殺して回ったという【撲殺鬼】の噂の出どころかぁ。

 これでどう殺ったんだい?」

 

「基本は、奇襲や石とかを投げて注意をそらして殴り掛かるやり方です。

 でも、今日来て今までかなり幸運に助けてもらっていたと、いろいろ分かったので相談させて下さい。

 それと、何でそんな噂が流れているんですか?」

 

 

 手元の書類入れから、資料らしい紙束を出して見ながら答える神主さん。

 

 

「もちろん、相談には乗るとも。

 噂についてだけどね。最近、うちに来る除霊依頼をメンバーにいくつか頼んでいるんだけど、関西に行ったメンバーからそういう退治屋がいるって聞いたんだよ。

 でも、聞いていた姿とは違うから化けていたのかな?」

 

「何かトラブルになった時、子どもだけでは危ないので大人の姿で行っていたんです。

 姿に関しては、頭に思いついたのが『まともだった頃の父』だったので」

 

 

 そこまで話すと、パンと手を打ってこちらを見る神主さん。

 それを見て引きつった顔で、スススとフェードアウトしていく霊視二キ。

 嫌な予感がして助けを求めて見るも、そっと視線を逸らされ消えていくニキ。

 

 

「よし、再覚醒修行に関しては聞きたいことは全部聞けた様だし、さっそく午後から始めよう。

 できるだけ強くなりたいとの要望らしいから、『死亡同意書』が必要ないギリギリのラインまでのスペシャルハードコースで行こう。

 郷里で美人の嫁さんが二人も待っているそうだし、婿入したらぜひうちの関西方面の伝手にもなって欲しいからね。

 自分か分身が直接指導するから、絶対に死なせるようなことはしないとも。

 ああ、他意はないから誤解しないでね。

 予定は一ヶ月だと聞いたから、上半期はペルソナの想起訓練とか変身後の破魔と呪殺の耐性訓練に、武器の取り扱いのために生身でうちの使い魔と戦闘訓練かな?

 下半期は、訓練用の異界も最近用意できたから試しがてら籠もれるだけ籠もってみようか。

 さあ、行こう」

 

 

 こちらに微笑みながら、ほぼ一息に話す神主さん。

 そして、楽しそうに青い顔で同意書にサインした自分を連れて、部屋をスキップで出ていく神主さん。

 

 

「あ、昼の時間だけど胃の中のものはどうせ全部吐くだろうから、このまま修行場に行くよ。

 いろいろと試したい新しい訓練もあるし、珍しい能力者の訓練だしなぁ。

 楽しみだなぁ」

 

 

 

 

 

 

 自分たちを転生させた神様がいるならこう言いたい。

 

 

「ショタオジって掲示板の噂のようにドSなのは間違いないようです」、と。

 

 

 

 

「何か面白いことを考えたみたいだから、すこし厳し目でいこう」

 

「止めて下さい」

 




あとがきと設定解説


・TRPG版デビルシフターの悪魔変身

 シーンまたは戦闘終了まで、レベルが(使用者の命運上限値+レベル)以下の契約している悪魔を自分の身体に顕現させる。能力値、スキル、各種数値、相性は顕現した悪魔のものを使用するが、HPとMPは元のまま変化しない。変身している間、本来の相性や装備している武器・防具の効果は失われる。

主人公の能力はこれを元にいろいろ改変しています。


次回は、幕間。某大赦とは違う地方の組織の事情です。

もし、読んでくださった方がいるならありがとうございます。
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