中央歴1639年8月25日 日本社会主義共和国 仙台
異世界移転の影響で開幕が延期されていた全日本人民大会、通称全人大の幕が上がった。
組合側は大会の開幕は共和国政治の正常化を意味するものとして歓迎した(組合側の議長が誕生することも大きな要因である。)新しい参加者として結合派が小さな議席ではあるが参加を許されている。
開幕の演説として小林が自身最後の務めとして旧世界にも魔法があったという衝撃的な告白から始まった。告白の中で共和国が過去行っていた巫女など霊能力者の迫害について誤りがあった内容と迫害の当事者に謝罪と特別配給を実施するという結論は会場中をざわめかせ特に同じ派閥の世界革命派の動揺は大きかった。
「同志の皆さん。動揺は確かに分かります。しかしこれは進歩の結果に過ぎないのです。かつて我々は地球が宇宙の中心だと思っていました。しかし技術の進歩により宇宙における我々の正しい場所が分かりました。それと同じです。我々も魔法を知りませんでした、移転で得た新たな同志たちの協力によって魔法を見つけたそれだけのことです。」
魔法の発見はあくまでも進歩によって得た知見であり共産主義の唯物論に当てはまる内容だと小林はさらに話を続ける。
「我々は、世界を変えるためにここに集結しています。ですが世界を変えるためには世界がいかにして出来ているかを知らなくてはなりません。世界の構成の一面が現れているにもかかわらずそれを否定することは共産主義の価値を貶めるになるでしょう。それとも神がいた可能性に恐れおののいているのでしょうか?神は我々より下です。神は貧困や飢え差別のある世界を作りました。我々はそれを正します共産主義の下で!!!」
世界革命派の少数を除いて組合派(哲学論議はどうでもよいと考えている)結合派(小林個人の崇敬の念も交じっている)から盛大な拍手が送られることになった。その影響は歴史の見直しや日本古来の魔法の再発見につながることになる。
次の演説は組合派の次期議長候補たちの演説である。それぞれ自分の組合の生産能力が向上した事や
向上の配給の増加や余暇の増加を口々に言っている。全人大は議長候補の選挙会場でもあるのだ。
その中で有田は多くの組合からの支持と旧世界におけるアフリカ連合の支援の実績を評価した世界革命派からの支持を得ることに成功し次期議長としての立場を確固たるものとした。一年後には新しい議長として
共和国を指導することになる。
結合派からは新しい社会主義の仲間として魔力食いのベラとアジ・ダハーカ(バグラ火山の麓から遠隔中継)がそれぞれ演説することになった。
手のひらサイズの木箱が演説台にのってマイクを向けられている姿はコメディの一場面のようだが会場の人々は真剣なまなざしで彼女を見ていた。
「マスターいえ同志でしたけ?ベラは共産主義ってよくわからないですけど演説していいですか?」
結合派からベラちゃん大丈夫だよ後押しを受けて演説を続ける
「ベラはマスター達のことを不思議な人たちだと思っています。ベラは道具なのにマスター達は人として見ている。ほかのマスターはきちんと道具として扱ってくれるのに・・・・でもそれが嫌っていうことじゃない、ただ不思議な感じがするの。だからマスター達は不思議な人たち。」
ベラの演説は会場にいる人々を困惑させた。これまで共和国人が関わってきたのは人に近い生き物だった。
姿形そして初めから仕えさせるために生まれた生命を相手にすることは初めてだったのだ。
その中で西野達結合派は違っていた。これから作り上げるサイバネティックス計画経済には人工知能が必要不可欠である。その彼ら人と姿形そして使えるために作られた生命との共同して物事を成し遂げる世界を成し遂げるためには人と彼らの違いを知る必要がある。そのためのベラの演説だった。
次のアジ・ダハーカの演説(ベラのように目的があるというわけではなくアジ・ダハーカがやりたいと駄々こねた結果)がスクリーン映像と共に始まった。
「俺様用のタブレットを作れ!小さすぎてよく見えないぞ!!!!」
演説の始めの言葉に会場はなんだこいつ?という空気が流れる組合派からは失笑が漏れ世界革命派は
困惑をし結合派は凍り付いた。
「西野わりぃわりぃそんな空気にする気はなかったぞ。いま小さくなるから。」
そういうとアジ・ダハーカの体に黒いもやがかかるそして靄が晴れるとそこから光り輝く羽をもち銀髪をした金に輝く目を持つ男が現れた。再び会場は絶句。今度は魔法という新しい力がいかに無限の可能性を持つのかを目の当たりにしたからだ。
「俺様はお前らを気に入ったぞ。うん、お前らさぁあの魔道具に演説させたじゃん。普通の国はそんなことしねぇ。だから普通の世界が見たくねぇ俺様も協力するぜ。じゃあ」
こうして会場をかき乱した演説は終わり。二つの演説から結合派という派閥の性質『未来を夢見る空想人』とほかの派閥から見られることになる。その彼らといか関わるかが今後の共和国の行く末を握ることとなるだろう
三つの派閥の演説が終わり今日の全人大は幕を閉じ。翌日から実務内容が決められるのだ
中央歴1639年8月26日 日本社会主義共和国 仙台
「・・・・共産党員でありながら堕落した寄生虫は友好国にもいます。一例としてロウリアでは獣人の人身売買組織と地元の共産党組織がが結託をしていました。もちろんすでに処置は終わり人身売買組織に関してギノス大統領に報告。裏切り共産党組織の壊滅および対象者の再処理施設への移送を完了しました。」
説明をしている彼は共産党員に恐れられている倫理委員会のメンバーである。倫理委員会とは共産党員のみを対象とする汚職や職権乱用の監視処罰を行うために作られた組織だ。彼らは共産党員の名誉を汚す行為を憎み処罰対象者には拷問や処刑を独自に行っている。説明の中の再処理施設は処刑対象者の臓器を摘出し医療に回す場所だ。普通ならば派閥争いに利用される組織であるが、彼ら自身もお互いに相互に監視し合いそのような行為を犯すことが無いようにしている。
本来ならば共和国外では活動をしないのだが異世界の共産党組織は未熟であるためにその国独自の倫理委員会ができるまで活動することなった。彼らの登場は友好諸国に共和国が求めている共に新世界を作りあげる友に何が必要かを知る機会となった。
「・・・ロウリア、クワ・トイネ間のパイプラインの工事の中断の件ですがクワ・トイネ側が工事に関して
許可を出しました。また両国間の文化交流の実施を行うことを明言しています。」
外交部は粘り強くクワ・トイネとロウリアの和解を説得し続けクワ・トイネ側の了承を得ることに成功した。
これによってロデニウス大陸の経済一体化は進むことなる。
友好国の外交の次は敵対国の外交の話が続く
「・・・・パーパルディア政府は属領からの撤退をすでに始めており、現在各属領の食料備蓄を燃やしている模様です。情報部としては直ちに属領に進駐を行い食料・医療支援を行うこと薦めます」
提案をすると情報部はパーパルディアがなぜ属領を放棄しているかについての話に映った。
パーパルディアが属領を放棄するのは本国の治安がディバル派による都市ゲリラ活動によって急速に悪化していること、活動に下層市民が同調を始め革命が起こる寸前であるために、属領から兵を引き彼らの蜂起を引き起こし。国内をまとめる必要性に駆られたと盗聴した会議音声を流しながら説明をした。
この報告を受けて会議の出席者は進駐の是非の投票を開始。満場一致で進駐を行うことを決定した。
この決定のあとに小林は『第三文明圏の解放戦争への是非を問う投票も行いましょう』と提案
すぐさま投票が行われこれもまた満場一致となった。
「・・・・我々労働組合としては土木組合員の動員について支持を表明します。すでに動員が行われている国鉄鉄道軍と共に南部戦線北部戦線の兵站工事を行い革命の支援を行います。」
戦争を行うことが正式に決まり各組合がそれぞれ戦争への協力を明言した。もはや共和国を止められるものはないだろう。
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