日本社会主義共和国召喚   作:おは

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蜂起

中央歴1639年5月9日 ロウリア 王都ジン・ハーク

町中がざわついていた。反乱というものに慣れっこである王都の住民であっても

プロレタリアート解放という名目で起こっている艦隊の反乱には衝撃を受けている。

 

だが衝撃といっても貴族や大商人たちと、王都の陰で生きる庶民とでは衝撃の受け取りようが違う。

方や反乱の目的に自分たちの排除が含まれいるのを知り、あらゆる手段を取ってでも資産や生き方を守ろうという意思を持つ者。方やこれまでの苦渋に満ちた生活を変えるという約束。彼らのそばにいつの間にかやってきて、反乱に参加する意義と武器を与える謎の人々に勇気づけられる者。

 

王都は艦隊を待っている。

 

ハーク城では忠誠派の人々が城の守りを固めている。その多くが貴族や大商人など反乱軍から名指しで排除することを告げられた人々だ。人の数が増えた王場内で、王国の行く末に関する会議がされていた。

排除することを告げられた人々だ。人の数が増えた場内で王国の行く末に関する会議がされていた。

 

「反乱軍はロウリア人民共和国を名乗り、我々を民衆の盗賊であり征伐すると宣言しております。」

 

「ぶ、無礼な」

 

反乱軍に盗賊呼ばわりされるなど屈辱の極みでしかないだろう。

 

「また、反乱軍に日本、クイラ、クワ・トイネの三カ国が軍勢を送った模様です。」

 

 

「クイラ、クワ・トイネの崩壊を考えますと最近の出来事のすべては日本によって仕組まれた

仕業である可能性が高いです。」

 

「馬鹿な、あの国がロデニウス大陸に現れてから半年もたっていないぞ。それが、この大陸の最近の出来事にほとんどかかわっていたのか!まさか、貴様も!!!」

 

ハークは腰に下げていた剣を引き抜くと、パーパルディアから派遣された使者の首を刎ねた。

しかし、使者は陰謀に参加していない。

 

「パタジン、侵攻軍の状況はどうなっておる。」

 

「侵攻軍はクワ・トイネ領内の奥深くに侵入し、連合軍に対抗するために兵力の集中を図っているところです。」

 

パタジンは本当のことを言えなかった。現在の侵攻軍は連合軍に波を打って降伏の連鎖を始め、ほとんど消失した。挙句の果てには連合軍に加わって王政の転覆に加わるものまでいること。そのうえ諸侯軍は各地の反乱に加わる始末で、とても王都に来れる状況ではなかった。

 

この惨状は国力を大きく超えた64万人もの大軍をかき集めるために強制的な徴集と

それだけの兵士に配給する食事を欠いたことが原因だ。

 

 

「では、パタジン将軍。侵攻軍は現在も優勢ということですね、侵攻軍の一部をこちらに回すことはできないですか?」

 

「もちろん、王都の救援に向かわせることができる。」

 

パタジンは半ばやけくそで約束してしまった。確かに侵攻軍の一部は王都に向かって進んでいる。仰いでいる旗は赤旗であったが。

 

 

パタジンの宣言によって、会議の主題は救援軍が来るまでいかにして王都を守り切るかという話に移り変わった。

 

 

中央歴1639年5月10日 ロウリア 王都ジン・ハーク 一キロ海上

 

共和国海軍陸戦隊は祖国統一戦争の戦訓から生まれた。米軍の上陸作戦による統一失敗の経験は共和国に上陸作戦の重要性を教え、停戦後すぐに海軍陸戦隊が創設されることとなった。

彼らは宿敵の日本国に上陸するために牙を研ぎ続け、本来上陸する対象が消えた異世界で戦うこととなった。

 

 

 

「連中を敵に回さないでよかった。」

 

反乱軍の首魁となった男ギノスは日本の揚陸艦から出てくると、水陸両用戦車群を眺めつぶやいた。

共和国側の指揮官との会談によれば、水陸両用戦車は反乱艦隊の戦闘支援のために出撃したそうだ。

 

「見ろ、あの速さを。俺たちの船の三倍は早いぞ。」

 

水陸両用戦車は上陸を試みている船団の間を避けるように進んでいった。反乱兵たちは鋼鉄の獣が泳ぐ様に感嘆の声を上げてゆく。

 

 

「同志ギノス。あなた方ロウリア人民もいずれはあの戦車を作れるようになるでしょう。いえ、作れるようにさせます。我々プロレタリアートは敵に団結する必要がありますからな」

我々プロレタリアートは敵に団結する必要がありますからな。」

 

共和国は異様だ。ギノスは確信している。この世界の国々は技術輸出に否定的なはずだ。なぜなら、貴重な技術を海外に出せばその分だけほかの国が強くなり、いずれは攻めてくるという考えだからだ。その結果が国ごとの文明力の著しい違いに現れている。だが、この転移国家は無償で産業、軍事の技術を提供するという。なぜ提供するのかという疑問は、彼の中で晴れていない。

 

 

共和国の答えは明白だった。世界政府が地方に技術規制などするわけがない、という純粋さだった

 

 

同日 王都ジン・ハーク 北側港

 

上陸に合わせて蜂起した民衆と軍との血まみれの市街地戦は遠く煙となって部隊に状況を伝えていた。

 

「・・・こちら一号車。当初の作戦通り城壁を突破し、蜂起した民衆の救援に向かう。いいか、赤い鉢巻をした奴らは味方だ。もう一度言う。赤い鉢巻をした奴らは味方だ」

 

戦車部隊の指揮官は、情報部からの事前情報をもとに旗下の部隊に命令を下す。進みだす戦車部隊の後ろからは、反乱軍の部隊が上陸に向かっている。

 

 

同日 王都ジン・ハーク

 

「行くぞぁぁぁぁぁ!!!!くそったれの貴族どもをブチころすぇぇぇ!」

無数の蜂起軍の兵士たちが軍の戦列に突撃してゆく。彼らが持つ武器は、共和国からの支給品から、ただの棒切れまでまちまちであった。しかし運のいいことに、その男の持つ武器は30式小銃だ。それを狙いをつけることもなく、ただ単純に弾をばらまく。低い命中精度で有名な銃であっても、相手が密集していたら当たるものだ。崩れた戦列に蜂起軍は群がり、白兵戦へと変わってゆく。今の王都のどこにでもある風景だ。

 

王都の混乱は空にまで及んでいる。赤く塗られた防具を着る竜騎兵達が、何も塗られていない防具を着る竜騎兵と空中格闘をしている。あろうことか、王都の防衛を担う竜騎士すらも蜂起に加わっていた。彼らはクワ・トイネ沖合での味方の惨状とそれにも関わずに有効な対策もなしに共和国の戦闘機と戦えという無茶な命令から逃れるために行動を起こした地上と同じように、混乱する空に80機の戦闘機が乱入する。

している。

 

あの竜騎士たちも同じ機体ならばうまく戦えるのだな。ロデニウス3か国に人民空軍が出来た頃に彼らと同じ装備で戦ってみるのもいいだろう。

彼らと同じ装備で戦ってみるのもいいだろう

 

上空を哨戒するマルクスレゲエは、竜騎士同士の戦いを見て自らの偏見を見つめなおした。

あの海上での勝利は自らの腕ではなく、機体性能の圧倒的差からくるものだと知ったのだ。

 

 

「赤い甲冑をしたものを助けろ、一人でも多くの竜騎士を助けるのだ。」

 

レゲエはそう命令を下すと、旗下の部隊と共に戦いに参加する。共和国航空部隊は敵味方の区別に苦労しながらも目的を遂げ、蜂起側の竜騎士と共に王都の制空権を確保した。

 

「見てください。城壁にだーれもいませんよ」

 

若い操縦手が指揮官に状況を伝える。この状況は、あまりにも多すぎる蜂起軍に対応するためロウリア軍が王都外延部を放棄し、ハーク城につながる通りを重点的に固める戦術を取った結果だった。

 

「ああ、そうだな。だがどんな状況でも後続部隊のために城門を破壊しなくては」

 

指揮官は旗下の戦車隊に城門への集中砲火を命令した。戦車隊の105ミリライフル砲から放たれた砲弾は、城門を軽々と突き抜け、瞬く間に城門を残骸へと変えた。

は城門を軽々と突き抜け瞬く間に残骸に変えた。

 

「よし、これで上陸部隊を王都に入れられる」

 

「まずは上陸部隊と蜂起軍との連絡手段確立から始めなくては」

 

1時間後、双方の代表の会談により、上陸部隊と蜂起軍は統一戦線を形成。ハーク城への統一作戦を始めることになる。この会談に先立ち、共和国軍はハーク城に対する航空攻撃を敢行。王城を囲む三重城壁を無力化し、あとはロウリア中枢部の攻略を残すのみとなった。

 

 

同日 ハーク城 王の寝室

 

国力限界までの軍拡や屈辱的な外交的譲歩。6年間のロウリアの努力は、3か月前に現れた日本の策謀によってすべて打ち砕かれた。あの国は戦闘らしい戦闘もなしにロデニウス大陸統一を成し遂げたのだ。

自身の寝室でハーク・ロウリア34世は覚悟を決めた。虐殺されたクイラ、クワ・トイネの貴族たちと同じように、私がおとなしく処刑台に送られることはない。

 

甲冑に身を包んだハークは、近衛兵らと共に無数の蜂起軍を倒し、その後に近衛兵の手を借りて自害した。

彼の死によってロデニウス大陸人民革命戦争は終わりを告げる。

 

戦後共和国はロウリア・クワ・トイネ・クイラと共に社会主義連盟を樹立。

連盟は将来的に共和国と共に世界政府となることを期待されている。

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