日本社会主義共和国召喚   作:おは

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戦争の計画 パーパルディア編

中央歴1639年7月2日 パーパルディア皇国 エストシラント 皇宮パラディス城

 

ワルシャワ労働歌の意味を知り共和国との戦争は避けられないことを悟った皇帝は

最高司令官であるアルデに戦争計画書を作るように命じたのだが

その内容が常識からかけ離れたものが現状の会議の騒動の下だった。

 

「アルデ!貴様気でも狂ったのか!」

 

アルデが皇帝に提出した対共和国戦争計画このように記されていた。

 

・全属領からの撤退

・皇族の首都疎開

・全戦列歩兵の散兵化

・海軍戦力の歩兵化

・民間人の動員

・集めた戦力で本土でのゲリラ戦

 

この内容が実施されればパーパルディアは戦わずして列強の座を失うだろう

 

アルデとしては共和国の内応戦術によって反乱を起こすであろう属領から兵を引抜くことで兵力の温存を目的とした。皇族の避難は首都攻撃によって国の柱である皇族を失う危険性を避けるためだ。

 

敵の攻撃を受けやすい戦列歩兵を散兵化して一度の攻撃による死傷者を減らし。オミ沖海戦のようになすすべもなく海没させる代わりに装備や人員を陸軍に回して兵力を有効に活用する。

 

民間人の動員によって予備兵力を確保する。

 

通常戦で敗れても地理を知り尽くした本土で遊撃隊規模の戦力で戦い長期戦を強いる。

 

共和国の軍部がこの計画を知れば畏敬される戦略だった。

 

 

「アルデ、そこまでやる必要があるのか?」

 

戦争計画を命じたのは皇帝であったが返答の内容は命じた本人がたじろぐものだったのだ

この計画を実行するということはパーパルディアの国家機構を大幅に変える必要があるからだ。

 

「陛下、本官に勝てと命じられました。これが勝つ可能性の最も高い戦法です」

 

この戦法のみが皇国を救うとアルデは見ているが共和国の軍事力の高さを認識している軍部ですら

反対派が多い。だからこそ皇帝の支持を得て反対派を抑えたかった。

 

「可能性が高いと言ったがどのようにして敵を打ち負かすのだ?」

 

「最低10年、いえ15年戦争を長引かせ戦争をする意欲を失わせるのです」

 

最低で15年!?この異常な戦い方をそれほどまでに戦うと提言にアルデは本当に狂ったと誰もが思ったそこまでの戦争を続けることなど財政的にも政治的にも不可能だ。

 

「陛下、共和国が大使を派遣したのは戦争行うつもりでも今はしないということではないでしょうか?」

 

エルトが外交官としての予測を皇帝に伝える。(アルデの過激な戦争計画から話をそらしたい意図の方が大きいのだが)

 

「時間的余裕はまだあるというわけだな」

 

「そこまでの余裕があるかどうかはわかりません、しかしこの猶予を利用してミリシアル、ムーの協力を得られるかもしれません。両国ともに共和国を脅威と考えているとのことなので」

 

ほう、それはよいと皇帝は思ったミリシアル、ムーがパーパルディアの側に世界中からの支援を得られることができる。そうすれば共和国の戦争行為すら止められるかもしれない。

 

「よろしい、両国に働きかけてみよ」

 

「それはよい判断です陛下、両国からの支援がなければ15年物長期にわたって戦争することは到底できません」

 

アルデも外交で両国の支援を求めることに賛成した。もちろん両国の支援のもと国を持たせるのだから戦後のパーパルディアはどちらかの勢力圏に入っているだろう。

 

 

外交での打開策を実行することを命じた皇帝はアルデの戦争計画に対応するためには現状の国内情勢を知る必要がある。まず初めに属領の現状だろうアルデの言うように属領を放棄する必要があるのかどうかがこれでわかるだろう。

 

「パーラスよ、属領の現状はどうなっている?」

 

皇帝の質問に答えるパーラスであったが回りくどい説明を長々と始めただ時間だけが浪費されていく

その理由はオミ沖海戦の衝撃的な敗北によって皇国の力が揺らいでいること感じ始めた圧制下での住民の反発が強まっているからだ。そして現状をありのまま話せば皇帝からの不興を買うを恐れてのことだった。

 

「パーラス!はっきりと申せ!!どうなっているのだ!!!!」

 

「は、はい陛下!属領の内情は平穏そのものであり反乱の恐れなどみじんもありません!」

 

バーラス自身も言い終えた後に言ってしまったと後悔した発言はもちろんほかの閣僚からの属領から不穏な知らせが相次いでいるとの意見が続出する結果となってしまった。

 

「パーラス、皇国の一大事におのが保身を優先するとは」

 

皇帝は近衛兵にバーラスを議会から追い出すように命じた。(臣民統治機構の長からの解任も含まれる)近衛兵に引きずられていくパーラスは保身から解放されて最後の言葉を残した。

 

「陛下!!皇国は属領なしでは食料生産成り立ちません!!!アルデの計画では飢餓が引き起こされます!!!!」

 

 

「お前たちも知っていたように属領から兵を引き上げるのは理にかなっているようだな」

 

皇帝はパーラスの最後の言葉を無視した。それまでの保身に満ちた発言が原因だ。しかし最後の言葉は事実である。農場奴隷によって支えられている属領の農園に本土の中小農家は太刀打ちできずにその多くが廃業していった。その現状で属領を放棄することは穀物の入手先を失うことと同義だ。

 

アルデはその現状を知っていたが彼の戦略では数か月以内に共和国が皇国を占領下においていると想定しているため無視しているのだ。

 

 

「陛下、不穏分子は本土にもいます」

 

パーラスの副官だった男が国内情勢について報告を始めた。元々パーパルディア皇国はパールネウス共和国という民主的な政体だった。しかし北方との闘いが熾烈を極めていく中、一人の将軍のクーデターによって共和制から帝政に変わった経緯がある。そのため皇帝の支配が長年にわたっても体制に不満を持つ人々による共和制復興を目指す勢力が水面下に常に存在していた。

 

「・・・・・現在の共和勢力の指導者フランソワ・ディバルはディロ市内の監獄に捕えていますが共和国が利用するのは確実です。処刑の準備は済ませていますがいかがなさいます?」

 

フランソワ・ディバル。彼の政治思想は地球でのエベール派に近く皇国の下層民特に工業都市デュロの下層階級からの絶大な支持を集めている、彼の移転が出来ないのも下層民の暴発を警戒してのことだ。仮に処刑すればデュロの下層民の蜂起が起こるだろう。

 

「デュロの下層民が気がかりだ。騒乱が起これば必ずや共和国は乗じるはずだ」

 

皇帝の言った通り国内情勢の悪化に共和国が乗じ人民共和国を創設した例は両手で数えられないほどだ。

 

「・・・・陛下、秘密裏に処刑するのはいかがでしょう?外部には生きていると思わせれば混乱が起こることもありません」

 

皇帝を含めて出席者たちはそれはよい提案だと感心していた。公開処刑をしなければいずれ伝説の男としてディロの下層民に言い伝えられていくだろう。だが皇国の現在直面している危機にいずれという言葉はない共和国が侵攻してくる期限までだまし続ければいいだけなのだ。

 

内政と外交を決めた皇帝は本題である戦争計画について検討を再び始めた。共和国の圧倒的な軍事力に対抗するためには、第一第二文明圏の支援が実用不可欠だろう。そのためには皇国が戦い続ける能力を示すための時間が必要だ。アルデの戦略はその時間を稼ぐことに特化している。もちろん実施には多大な努力と戦後の影響も甚大だろう。しかし、この計画でしか皇国を救う策が今ないのも確かだ。

 

「アルデよ、余は決めたぞお前の提案通りやろうではないか!共和国の連中にパーパルディアの力強さを見せつけるのだ」

 

皇帝の鶴の一声によってアルデの計画に疑問を持っていた出席者も計画をいかに実施することに考えを変え最後にパーパルディア万歳の斉唱によって会議は終了した。

 

この会議の内容は共和国情報部の協力者による盗聴器による盗聴によってすべてが筒抜けだったのだ。

それを踏まえて共和国はパーパルディアがアフガニスタンと変わることを阻止するための戦略を策定することを決定した。

 

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