鉄血のウマ娘!   作:すろー

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#10 前夜!

「こちらとこちらと…はい、完了です!お手続きご苦労様でした」

「ああ、俺のために、わざわざありがとうございます」

 俺はたづなから受け取った書類たちを軽く整え、頭を下げた。

「いえいえ…これで晴れてチーム結成ですね、おめでとうございます!」

 

 そう。今日彼女に手伝ってもらっていたのはチーム〈鉄華団〉の正式な結成を受理してもらうための書類の作成。五人目の加入でついに正式チームとして認めてもらえるようになったってわけだ!

「これでついにアイツらをデビューさせてあげられる…!」

「ふふ…鉄華団の活躍、楽しみにしています」

 俺は手元の暫定メンバー表に目を落とす。

 

 

チーム〈鉄華団〉

 

【担当トレーナー】

  オルガ・イツカ

 

【チームメンバー】

  ミカヅキオーガス

  ハルウララ

  ファインモーション

  アドマイヤベガ

  マヤノトップガン

 

 

「で、トゥインクルシリーズって何なんだ?」

「は?」

 翌日。食堂でたまたま(ほんとに)出会ったマクギリスに質問するとおおよそアイツの口からは出ないだろう返答が返ってきた。

「仕方ねぇだろ知らねぇんだから」

 我ながらひどい開き直り方である。

「ふっ…」

 ふってなんだふって。そのあとにしっかり教えて貰いましたよ!

 

 それをそっくりそのままミカに話した。

「ふーん…まあオルガの言うレースに出て勝てばいいんだね」

「お、おう…」

 相変わらずのミカにたじたじする。まあ極論言えばそうなんだろうが…

「で、デビュー戦なんだが…」

 顔を上げてミカだけじゃなくそこにいるメンバーにも声を張る。デビューと聞いた彼女たちの表情が変わるのを確かに見た。

「…どの距離がいい?」

 

「わたし、みじかいダートが得意だよ!」

「そうね…マイルが一番走りやすいかな♪」

「…中距離でいい。今までもそれで走ってきたから」

「マヤはどれでもいいけど…折角だから長い距離走りたい!」

 

「ミカは?」

「俺?…走るのなら短い距離の方が速く走れるでしょ?」

 身もふたもない言い方…と思ったがミカがそういうならそうなんだろ。アイツの直感というかそういうのには今まで助けてもらった節もある。ここでもそれに頼ることにするか。

 レーススケジュールを確認する。これは…

 

「ミカ、来週走れるか?」

「え?うん…オルガが言うなら走るよ」

 

「え~!いいな~!トレーナー!わたしのレースは!?」「頑張ってね!応援に参りますから!」「来週?…早すぎない?」「ずるーい!マヤもマヤも~!」

 

「うるせぇうるせぇ!一斉に喋んな!」

 俺が一喝!…するがやがてチーム小屋は笑いの渦になり、やがてミカを囲むと応援の言葉をかけ始めた。まったく、にぎやかなチームになったもんだ…

 

「で?ライブは?」

「はぇ?」

 アヤベの言葉に変な声が出た。らいぶ、らいぶ…ウイニングライブ!?

「…その調子だと頭になかったようね、まったく」

「オルガ、ライブって何?」

 ウイニングライブ。勝利したウマ娘がその勝利の証として立つステージだ。

「ミカお前、歌えるか?…いや歌えねぇよな」

「うた…?」

 すっかり忘れていたことに頭を抱えていた俺は、その後ろで誰かに電話するファインに気が付いていなかった。

「はい、はい、じゃあよろしくお願いします…トレーナー!予約とれたよ!」

「何だファイン…予約?」

「ふっふーん!こんな時は皆さん、『からおけ』に行くんだよね♪私も始めて行くんだ~!」

「からおけ…ってなんだ?」「オルガ、おれ、からあげは食えないよ…肉だから」

 アヤベがこめかみを押さえるのを、確かに見た。

 

「勝ち取りたい、物もない、無力なばーかにはなれない」

「なんだよ…結構歌えんじゃねぇか…」

 結局そのあとファインの予約したカラオケに行った(なんかおそらく最上級の部屋に案内されたのはファインの予約のせいだろう)。ミカはやっぱりすげぇよ…歌も歌えるなんてよ。

「この歌はなんか知ってるから歌える…どっかで聞いたんだと思う」

 俺もそんな気がする。

 

 いっぱい歌った。最後はなぜか俺まで歌わされたが、ミカが人並みかそれ以上に歌えるのは収穫だった。

 帰り道。

「ミカ、お疲れさん…ついにデビューだな」

「うん…オルガをおれが連れて行くよ…その向こうまで」

「ああ、頼むぜ…この世界での、俺たちのたどり着く場所ヘな!」

 

 ついに、トゥインクルシリーズがはじまる…!

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