鉄血のウマ娘!   作:すろー

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#15 函館ジュニアSにむけて・ラーメン!

 京王杯ジュニアステークス。

 ジュニア級GIIレースで、十一月に行われ、芝の短距離を走る。サクラバクシンオーが出走する予定のそのレースに、ミカを出す方針で予定を固めた。

 …しかし。

「十一月か…」

 ミカの様子とバクシンオーの様子を比べてみると、その『レース慣れ』というものか?そういう感じのアレが足りないような気がしてならない。

(確かにこの世界のウマ娘は小さい頃からレースに出て走るというのは結構よくある話なんだろうな…しかしミカはこの前が初のレースだった。勝ったとはいえ慣れたというわけにもいかんだろうし…)

 ふと手元の資料に目を通すと、出走登録の期限ギリギリのあるレースが目に入った。

「こりゃぁ…」

 

 

「函館ジュニアステークス?」

「ああ、時期的には割とすぐ近くのレースだがお前のレース慣れにうってつけのモンだと思う」

 その日のうちに練習場にいるミカを呼んで話をした。タオルを首にかけたミカは迷いなく答える。

「オルガが走れって言うなら、やるよ」

「できるか?」

「うん」

 ミカの顔を見る。こいつのことだから何言っても賛成はしたと思うが、その顔に特段疲れは見えなかった。

「なら決まりだ」

 

「いいな~函館」

 走り込みのノルマを終えたファインが興味深そうに近づいてきた。

「ミカヅキ、函館に行くの?」

「はこだて…ってどこ?オルガ」

「え?あー…その辺じゃねぇのか?」

 ファインが(上品に)笑って衝撃の事実を告げる。

「函館は北海道、そう…距離はだいたい八五〇キロくらいかな?」

「は?」

 

 

「ふい~やっぱ北の方はこん時期でも冷えんな~」

「そうだね」

「日本の四季ってなんて素敵なのかしら♪」

 

 そんなこんなあって俺とミカとファイン(北海道のラーメンが食いたいといって半ば強制的についてきた)は七月下旬、飛行機から北海道は函館に降り立った。

「レースは明後日、細かい調整…と行きてぇが俺もミカもそんなガラじゃねぇし…ラーメンでも食いに行くか!」

 ファインの目が輝いた。

 

 雑に駅前の『ほっかいどぉ亭』というとこに入った。ファイン曰く『こういうのは直感が大事』なんだそうだ。

「らっしゃっせー…おっまたウマ娘のねーちゃんかい!今日は客の入りがいいねぇ」

「また?」

 カウンターを見るとかなり大柄なウマ娘がラーメンをすすっていた。やがてこちらに気が付くと俺たちを(というよりミカを)睨むような目線で見た。

「ほう、アンタがミカヅキオーガスねぇ…明後日の、出ンだろ?」

「うん」

「お前…ミカを知ってんのか?」

 そのウマ娘はハ、と一笑を飛ばす。

「逆にアンタらはアタシを知んねーってわけかい…華々しいメイクデビューを飾ったミカヅキオーガス殿はGIIIなんかメじゃないようだ!少なくともリサーチをしないレベルにはね」

 彼女は残ったスープをすすりきると千円札をカウンターに置き、店主に「ごちそっさん、おいしかったよ」と告げ出口へ…去り際に首だけこちらを振り返った。

「キツイ言い方して悪かったね…まぁお互い明後日はきばろうって話さ…アタシはアンデイストロス」

「ミカヅキオーガス…です」

「ヘッ…知ってるよ」

 

 後で調べると今回の函館ジュニアSで優勝候補と目されていることが判明した…『寒冷地の突貫娘・アンデイストロス』…!

「ミカ…ズズズ…俺のリサーチ…ズズズ…不足だ、すまねぇ」

「うん、大丈夫…ズズズ…俺は勝つよ…ズズ」

「ズズ…函館ラーメン、美味しいね♪」

 

 俺たち三人はラーメンをすすりながら意気込むのだった。

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