鉄血のウマ娘!   作:すろー

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 一応新章です


#22 一触即発、新ライバル!

 

「とっ…とんでもないことが起こってしまいました…!いったいこの結果を誰が予想したというのでしょう…!このレースを制したのは…っ!」

 

 

「ご苦労だったな」

「はい…大義のため、ですから」

「ああ、お前の脚は他のウマ娘をはるかにしのげるものを持っていると私は信じている…次のレースもあてにしているぞ、ジュリエッタ」

「このジュリアジュリス、ラスタル様のため、必ず勝ちます」

 

 

「何?ラスタル・エリオンだと!?」

 三月某日。電話口のマクギリスから告げられた人名は俺を大いに驚かせた。

「ああ、間違いない。アリアンロッド艦隊司令ラスタル・エリオン…奴の存在が確認された」

「アイツもこっちに来てたってのか…!」

「…そして」

 

「奴もこのトレセン学園に来ることが判明した」

「なっ!?」

 あのラスタルがか…俺やミカ、マクギリスの命を間接的にとはいえ奪った相手。今更どんな面して対面すりゃあいいんだ…

「というわけで君とともにラスタルと相対したいと思う…承諾、できるな」

「当然だ」

「では日時は後で指定する…それと」

「?」

「ミカヅキ・オーガスも同伴してもらって構わない。」

 

 

 数日後。俺たちはラスタルに合うため学園近くの喫茶店にて集合した。ミカを連れて行くかどうか迷ったがミカを殺したのも奴だというのもまた事実。連れて行くことにした。できるだけ隠密に、という条件付きで。

「悪い、待たせたか」

「いや…問題ない」

 喫茶店の奥のテーブル席にはマクギリスと石動も座っていた。かなり横に長いテーブル席で、四人座っても余裕があると見てその横にミカと並んだ。

 

「ラスタルもトレーナーだってのか?」

「おそらくな。誘いには快諾してくれたよ。『先輩トレーナーの話には興味がある』と言ってな…どこまでが真実か、だが」

「…きたよ」

 

 ミカに言われ入口の方へ顔を向けると大柄なスーツの男とウマ娘が二人、こちらに向かって歩いてくるのが見えた。

「待たせましたかな。私がラスタル・エリオン…初めましてですな。ファリド公、イツカ公」

 

 

「コーヒーを六つ頼む」

「はい、お持ちしますね。ごゆっくりどうぞ」

 マクギリスがとりあえずと注文する。店員が行くとその勢いで話を切り出した。

「はじめまして…とおっしゃるか、エリオン公、いやラスタル・エリオントレーナー」

「おや、どこかで会いましたかな」

 マクギリスの腕に力がこもるのが見える。

「ラスタルさんよ…それはもう『前』のことは忘れようって意味か?俺たちゃそう簡単に忘れられねぇんだがな」

 俺がそう言うとラスタルは首をかしげる。

「…何のことですかな、何かの勘違いでは…」

 

「とぼけてもらっては困るなっ!ラスタル・エリオンっ!」

 マクギリスの語気が強まる。今にも殴り掛かりそうな勢い…普段の冷静さが嘘のようだ。

「…やはり人違いなのではありませんかな」

「この…っ!」

 

「ねぇ、あんたさ」

 マクギリスを制したのはミカの声だった。

「火星で俺たちにあの鉄棒撃ったの、あんた?」

「かせい…?さっきから何のことだか」

「ふーん…」

 

 するとミカは俺たちに向き直っていった。

「嘘じゃないよ。こいつは俺たちと違う…『前の記憶』がないんだ、たぶん」

「そりゃあ…」

「待てよ…なるほど、そうか」

「マクギリス?いったいどういう…」

 

「…私や君たち鉄華団はあの時死んだ、しかしラスタルは死んでいない…私が殺し損ねたからな。つまりあの時点で死んだ人間だけがこの世界で記憶を保持しているという仮説が成り立つのは何らおかしいことではない」

「つまり」

「このラスタルはただのトレーナー・ラスタル・エリオンだったということさ」

 

「ふっ…はははっ!ははははっ!」

 そう思うと笑いが込み上げてきた。それに釣られマクギリスの頬も次第にゆがむ。

「…フッ…フフフ…!」

 ラスタルだけがきょとんとしていた。

「ははは…っ!わりぃ、簡単に言うとな、俺とこのマクギリスが見た妙な夢の中であんたが俺たちを殺したんだよ…それをこっちの世界で引きずっちまっただけのことさ、笑ってくれ」

 

「…ふっ…はは、愉快な人たちだ」

「すまなかったな、ラスタル・エリオン…改めてよろしく頼む」

「いつの間にか呼び捨てとは失礼だな」

「!…すまない、癖で」

「…よろしく頼むぞ、マクギリス!オルガ・イツカ!」

 俺とマクギリスは顔を見合わせ、そのお互いのバカ面にまた笑った。

 

「ははは、いい人たちであったなジュリエッタ!お前もトレセン学園での日々が楽しみであろう」

「そうです…かね…」

 ジュリエッタと呼ばれたウマ娘は笑う俺たちを怪訝な顔で見た。

 

「ラスタル、飯いかねぇか!この後…マクギリスお前も」

「そうだな…どうだ?ラスタル」

「ぜひ頼もう…肉を食って帰るぞ!」

 

 喫茶店を出て俺たち三人で笑いながら街に歩いて行くのを後ろから見ていたのはミカと石動とジュリエッタ。

 

「…なんだか、その、楽しそうで何よりだ」

「肉ならおれも付いてこっと」

「肉!私も大好物であります!」

 

 トレーナー、ラスタル・エリオンとウマ娘、ジュリエッタ。一体これからどういう風が吹くのか少し楽しみに思えた。

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