エスカルゴン閣下presents ~陛下をディスカバリー~   作:海老の尻尾

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・この小説はゲーム星のカービィディスカバリーの二次小説です
・アニメ星のカービィの要素を多分に含みます
・ネタバレ注意です
・キャラクターの性格等はアニメ基準です(カービィは喋らずデデデは畜生路線)
・キャラ崩壊ありです


以上の項目に『死んだんじゃないのぉ~?』と言ってくれる愚かなる人民共諸君は見ることを許可するゾイ!


ステージ2 ショッピングモールの戦い

 エスカルゴン閣下とカービィはデデデ陛下のいるであろうここ新世界へと降り立った。しかし新世界とは名ばかりの荒れ果てた大地だった。それはカスタマーサービスから言われていた通りであった。

 

「うはぁ……こりゃ、プププランドと、いい勝負でゲスね」

 

 浜辺から島の中心に向かうと辺りは鬱蒼とした森に囲まれており、ウィスピーウッズの森のようだった。太陽の光も入らず生物の気配すらない。カービィは楽しんで歩いていたがエスカルゴンは既に疲労が溜まっていた。何しろ必要な荷物を背負って歩いているのだから無理もない。手ぶらのカービィに持って貰おうとも思ったが吸い込んでしまう恐れがあったため止めにした。

 

「ぽよぉ!」

「お前は呑気でゲスね……う、眩し!」

 

 ようやく森を抜けて日光が差し込む空間にやって来るとそこは開けた土地であった。それと同時に無人島には似つかわしくないものがあった。

 

「ここは……何かのレジャー施設でゲしょうか?」

 

 目の前に見えたのは大型のショッピングモールだった。しかし看板はボロボロ、辺りには不法投棄されたドラム缶らしきものが散らばっていた。長年人の手が介入していないため荒れ放題になっており今にも崩壊しそうだった。

 

「ぽよ! ぽよぴぃ!」

「あ、コラ! 勝手に行くでないでゲス!」

 

 見たことのない建物にカービィは興味津々。エスカルゴンの制止も聞かず入ってしまった。

 シャッターは開いており二人は許可なく侵入した。中は案の定寂れているが中央の吹き抜けのお陰でそれほど薄暗くはなかった。各店は当時の様子のままであり今にも誰か出てきそうな感じがあった。

 

「カービィ、どこに行ったでゲス!」

 

 既に稼働せずに階段となっているエスカレーターをかけ上がる。二階に上がる姿が見えたので何とかして追いかけた。行方不明者をこれ以上増やすのは面倒極まりなかった。

 

「全く……あ、いたでゲスね」

「ぽよ~♪」

 

 カービィは部屋の奥隅で背を向けて立ち止まっていた。エスカルゴンの方を振り向くと、両手を上げていつもより声のトーン高くして喜んでいた。何をしていたか分からないがずいぶんご機嫌な様子だった。

 

「いいから、陛下を探すでゲスよ。ここに何かヒントが……」

 

グラグラララララ…………ドゴォォォオオーン!!!!

 

「な、何でゲスか!?」

 

 突如背後から鳴り響く轟音。吹き抜けの方面から巨大な破壊音が聞こえ、エスカルゴンたちは思わずその方向を向いた。そこには何と自分達の体の何倍もの大きさの生物の目が光っていた。

 鋭い眼光は何かを探しており、キョロキョロしていた。何もやましいことはしていないはずだが、危険を感じ隠れようとした瞬間だった。

 

「ギィエェーー!!」

 

 目と目が合ってしまい思わず悲鳴を上げてしまった。巨大な腕がモールのガラスの壁を突き破り、二人を握り込んだ。

 

「ぐ、ぐるじいでゲス……」

「ぽ、ぽよぉ……」

 

 その生物は握力が凄まじく片腕でガッチリと握られていた。カービィも吸い込みができず、エスカルゴンも殻が割れてナメクジ閣下になる可能性があった。このままではマズイと思ったエスカルゴンは背負っていたリュックから何かないかと探した。

 

「確かここに……あったでゲス!」

 

 ガサゴソとリュックの中身を漁り、今この状況で有用そうな武器を探す。この腕の厚さでは物理的攻撃は効きにくいだろうと思ったので、取り出したのは小さなクラッカーだった。その名もミニテッポードーン。以前ププビレッジ花火大会で製作した大筒花火、テッポードーンの簡略化したものだった。手のひらサイズのこのクラッカーは殺傷能力はないものの爆音で相手を怯ませることができる。どんな生物も原始的な音への恐怖は存在しているため効果覿面と思い準備してきたのだった。

 

ドゴォオオオオオオオオンンンンンン!!!!

 

 耳の蝸牛が粉々になりそうな音が鳴り響いた。エスカルゴンもカービィもモロに音を聞いてしまったためクラクラしていたがそれは相手も同様だった。握られた腕の力が緩み二人は地面に落とされる。轟音の中に薄っすらと悲鳴が聞こえていた。悶え苦しんでいるようだった。

 

「い、一体誰でゲスか!」

 

 背後から握られて姿を見ていなかったエスカルゴンたちはその生物の正体を確認した。

 

「ボ、ボンカース⁉ ……じゃないでゲスね」

 

 ムキムキの骨格に毛むくじゃらの体。ゴリラのような見た目からボンカースかと思ったがよく見ると違っていた。体の色も灰色でしかもボンカースと違いハンマーを持っていなかった。そもそもカービィのファンであるボンカースがカービィを襲うわけがなかった。

 

「き、貴様……よくもやってくれたな!!」

 

 目が赤く光りこちらを睨みつける。いきなり爆音を聞かされてかなりご立腹のようだ。目の前のゴリラはミニテッポードーンに負けず劣らずの叫び声を放った。声は怒気を孕んでおり、ボロボロのモール内のガラスもピキピキと言っている。胸を叩いて威嚇するドラミングでは大地が大きくうなり、振動がカービィたちに伝わった。

 

「ひ、ひぇええー-!!」

「ぽ、ぽよ!!」

「待ちやがれー!」

 

 逃げ回る二人を追いかけるゴリラは二人めがけて真上から拳骨を降らせた。間一髪避けたものの地面は拳の跡でボコっと凹んでいた。一発でも喰らえばアウトだろう。ここはやられる前にやるしかなかった。相手のゴリラは近くにあった岩を手に取りこちらに投げつけた。

 

「カービィ、吸い込みよ~」

 

 エスカルゴンはフームの真似をしてカービィに指示を出した。カービィは助走を付けてゴリラの投げつけた岩を頑張って吸い込み始めた。吸い込むのに時間がかかり頬張った状態みたいになったがなんとか飲み込んだ。カービィの特殊能力、コピー能力は相手の力を我が物にする能力である。炎を吸い込めばファイアカービィに、剣を吸い込めばソードカービィになれる。岩を吸い込んだカービィは頭に星付きの紺色の帽子を装着した。

 

「やったでゲス、あれぞストーンカービィ!」

 

 ストーンカービィに変身すると自身の体を岩のように固くすることができる。上空高くから落下すれば相手を踏み潰すこともできる攻防優れたコピー能力である。

 

「こざかしい! これでも喰らえ!」

 

 再び岩を投げつけるゴリラだったがストーンカービィは巨石に変身し、転がる岩をいともたやすく砕いた。防御力に関してストーンの能力は目を見張るものがあった。攻撃が通じなかったゴリラはまたドラミングで大気を震わせて体を回転させ始めた。巨体だが機敏に動けるゴリラのトルネードスピンはヘビー級のカービィの体を軽く吹き飛ばした。ストーンカービィ自慢の防御力が一切通用しなかった。

 

「ぽよぉ~!」

「許さんぞ貴様!!」

 

 コピー能力が解除されたカービィは再び逃げ回るしかなかった。再び巨大な腕がカービィを襲い始めた。

 

「マ、マズイでゲス……!」

 

 いつもはカービィを倒すよう画策しているエスカルゴンだが今このときはカービィに負けてもらっては困る。いつ自分が襲われるか分からないからと考えていた。しかしここでとある異変に気付いた。

 

(あれ……? 私は何で襲われていないんでゲスかね?)

 

 ミニテッポードーンを鳴らしたのはエスカルゴンである。ならばヘイトはこちらに向いてもおかしくないが何故か執拗にカービィだけを狙っていた。二人だけしかいないため存在を忘れられていることはないだろう。意図してカービィに怒りの矛先を向けていることになる。

 

(もしかして……じゃあその対策として……)

 

 エスカルゴンは原因の追究を行い、一つの仮説を立てた。そしてこれに対する対応策が何かないかと辺りを見回した。この付近は目の前のゴリラしかいないように思えたが遠くにとある物体が見えた。

 

「これでゲス!!」

 

 希望が見えたエスカルゴンはその物体めがけて走り出した。今のままではいずれカービィがやられてしまうのでエスカルゴンはひた走った。案外近くはない距離であり間に合うか間に合わないかの瀬戸際だった。

 

 

 

「まだくたばらんか。しぶとい奴め」

「ぽ、ぽよ……ハァ、ハァ」

 

 逃げ回ってカービィの息切れも激しくなってきた。周辺にコピーできるものもなくまさに絶体絶命の状況下にあった。ゴリラの体力は十分にありとうとうモールの奥地に追い込まれた。観念したかと思いきやゴリラの背後から叫び声が聞こえた。

 

「ひ、ひぃいい~! 来ないでくれでゲス~!」

 

 エスカルゴンはカービィに接近しつつ何かに追われて向かってきた。三匹の犬っぽい見た目の生き物に追われながら逃げていた。可愛い見た目とは裏腹に全速力でエスカルゴンを狙っていた。食料にしか思われていないのだろう。

 

「カービィ! 吸い込むでゲス!」

 

 そう言ってエスカルゴンは何かをカービィに投げつけた。それを吸い込むためカービィは力を振り絞ってゴリラの股下をスライディングでくぐり抜けた。巨体ゆえに空間も十分に広く、驚いた表情を見せたゴリラを尻目に圧迫感から解放された。投げつけられた何かをカービィが吸い込むと空から細長い白い帽子が舞い降りたと同時に右手に鉄の盤が宿った。

 

「コックカービィになったでゲスね! じゃ早くしてくれでゲス!」

 

 エスカルゴンはカスタマーに言われたフライパンを投げつけてコックカービィに変身させた。エスカルゴンの言われた通り早速調理に取り掛かった。どこからともなく出現した大鍋からは巨大な引力が発生しており三匹の犬はその鍋へと吸収されていった。ゴリラは体重が重すぎて影響はなく、逃げ惑うエスカルゴンはデデデに食い物にされそうになった経験があるからか必死に建物にしがみついていた。

 

「ぽよぽよぽよぽよ……」

 

 火にかけた鍋に調味料を加えコトコト煮込む。コックカービィは一見すると隙だらけの能力だが目の前のゴリラは何故か一歩も動こうとしなかった。先程の引力を受けたから一旦様子を見るためだろうか……

 

「ぽよぉー-!!」

 

 鍋が光り輝き料理が完成した。カービィは今までに食べたものを再現して作り出すことができ、気合を入れて作ったためか巨大な料理が三品出来上がった。一品目はコックナゴヤの味噌煮込みうどん、二品目はコックオオサカの酢豚。そして三品目はコックカワサキのカワサキホットスペシャルカレーであった。ちなみにコピー能力のおかげでどれもカワサキとは比べ物にならないくらい美味である。ちなみにあの三匹だけでこからこれほどの量がでてきたのかは謎である。

 

「ほー、どれも美味しそうでゲスね……ってこうしてる場合じゃなかったでゲス」

 

 エスカルゴンは目を輝かせて料理に飛びつこうとしたがそれよりも先にするべきことがあった。先程まで死闘を繰り広げていたゴリラの目の前に危険を承知で前に出た。ゴリラは険しい顔をしてこちらを睨んでいた。冷や汗が止まらないが言うしかなかった。生唾をゴクリと飲み込み口を開いた。

 

「すまなかったでゲス! こっちのピンクボールが大事なもの食べちゃったようで」

 

 エスカルゴンのその言葉にゴリラの眉間の間隔が幾ばくか開いた。虚を突かれたようで再びジロジロと見ていた。

 そもそもカービィにしか怒っていないというのは明らかであるのは不自然だった。ならばカービィが何かしでかしたというのは容易に想像できた。エスカルゴンが目を離した瞬間、あのときにこのゴリラが有していた食べ物を吸い込んでしまったからと予想が立てられた。そのための補填としてコックカービィで料理を作らせたというわけだった。

 

(ど、どうでゲスか……?)

 

 しかし懸念点はいくつかあった。まず本当に食料なのかということだ。食べ物でなくても珍しいものならば口にしてしまうためそもそも的外れの可能性があった。次にこの料理が口に合わなかったり替えの利かないものならば意味がない。貴重な食料ならば決して許してくれないだろう。後は単純に話の通用しない相手ということもあった。ゴリラだし。

 

「…………」

 

 沈黙。二者の間には先程とは打って変わって静かな緊張感が走っていた。約十秒間だろうか、頭を下げ続けていたエスカルゴンは滝のような汗が止まらず永遠の時間のように思えた。するといきなりエスカルゴンの耳にドスンという音が聞こえた。何事かと思いふと頭を上げるとゴリラは足を地面につけて胡坐をかいていた。握りしめられていた両手は大きく開かれ手のひら同士が合わさった。

 

「いただきます」

 

 行儀よく挨拶をしたゴリラは近くに落ちていた木の枝を二本用いて箸代わりにして酢豚を食した。続いて味噌煮込みうどん。そしてスプーンがないためカレーは直接手ですくって食べた。

 

「うむ。俺好みの味で美味いな。そこの桃色の、一緒に喰わんか?」

「ぽよ? ぽよぉ!」

 

 ゴリラに誘われたカービィはコックの能力を捨てて一緒に食べることにした。大きな口のゴリラに負けない量を食べるカービィも自分の作った料理を味わっていた。特にカレーは激辛のため食べると口から火を吹いていた。辛味耐性のあるゴリラはその様子を見て大笑いしていた。先程までの激闘がまるで嘘のように和やかな雰囲気になっていた。段々緊張がほぐれたエスカルゴンは味噌煮込みうどんをツルツルとすすっていた。

 

 

「ごちそうさまでした」

「ぽよぽーぽよぽよぴ!」

 

 満足に食べて一息ついたところでエスカルゴンはとうとう尋ねてみた。

 

「あの……」

「ん? ああ、そう言えば名乗ってなかったな。俺の名前は剛腕獣ゴルルムンバ。よろしくな」

「よ、よろしくでゲス。私の名前はエスカルゴン。プププランドの閣下の役職に就いているでゲス。こっちはカービィで私のお供でゲス」

「ぽよ?」

 

 両者ともに挨拶をした上でエスカルゴンはゴルルムンバから詳しい話を聞いた。大方は予想通りのものだった。ゴルルムンバが大事にとってあったバナナをカービィが食べてしまったというものだった。満面の笑みはそういう理由だった。そして空腹で怒り狂っていたというわけだった。

 

「それは本当に悪かったでゲスね」

「まあちゃんと謝ったから許してやるよ。美味い料理も食えたことだしな。ガッハッハ」

 

 ゴリラだから話が通じないだろうと判断したのは間違いだった。むしろものすごく話の通じる人間、いやゴリラだった。どこかのペンギンも見習ってほしいものだとエスカルゴンは考えた。

 

「あ! 忘れるところでゲシた。ゴルルムンバ、聞きたいことがあるんでゲスが……」

 

 ここに来た目的をすっかり見失っていた。ゴルルムンバとは真反対の性格のデデデ陛下を探しに来たのだった。デデデの特徴(悪口含む)を詳細に伝えこの辺りで見たかどうか尋ねた。

 

「そんな奇妙な生物見たことないな。そもそもここは人間のいない土地だからな。いるのは俺たちビースト軍団だけだぞ」

「ビースト軍団?」

 

 エスカルゴンはその軍団について詳しく教えてもらった。どうやらこの新世界を縄張りにしている軍団らしく皆獣たちで構成されている。ゴルルムンバはここショッピングモールを縄張りにしている幹部であった。とはいっても侵略したりせずに平和に暮らしているため危ない組織ではない。

 

「ま、お前たちはその屁以下って奴を探しにきただけなんだろ? じゃあ俺たちの敵じゃないんだな」

「漢字が違った気がするがその通りでゲス」

 

 幹部に話が通るとこの先進みやすくなる。これならばデデデ陛下が見つかるのも時間の問題かもしれない。

 

「俺は知らないが……詳しい奴が浜辺にいるから聞いてみな」

「分かったでゲス」

「それとカービィ……だったか?」

「ぽよ?」

「面白い変身能力だな。俺は気に入ったぞ。また危なくなったら俺を呼べ!」

「ぽよー!」

 

 最初は敵かと思ったゴルルムンバだったがこれまでのどの魔獣よりもいい奴だった。ホーリーナイトメア社の安い魔獣はダメだと思いながら二人は浜辺へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

「ふーん。面白そうじゃん」

 

 上空高く見上げる影は突如現れた灰色とピンクの訪問者を眺めていた。




 読んでいただきありがとうございます。今日一日であらかたのストーリーはクリアしました。これである程度の方針は決まったかなと思います。ネタバレは伏せますがデデデ陛下の扱いどうしようかと迷っています。明日は多分投稿できないのと思いますがご了承くださいませ。新作が面白くてのめり込んでます。でもすぐに投稿しますね。
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