エスカルゴン閣下presents ~陛下をディスカバリー~ 作:海老の尻尾
・アニメ星のカービィの要素を多分に含みます
・ネタバレ注意です
・キャラクターの性格等はアニメ基準です(カービィは喋らずデデデは畜生路線)
・キャラ崩壊ありです
以上の項目に『環境破壊は気持ちいいゾイ!』と言ってくれる愚かなる人民共諸君は見ることを許可するゾイ!
エスカルゴンとカービィは一旦最初の浜辺に戻ってきた。ゴルルムンバに次は浜辺に行くように言われたのもあるがデデデのハンマーを回収する目的もあった。この島に来てすぐに中に入っていったため気が回っていなかった。来た道を引き返すとしっかりと残っていた。
「あったあった。ちゃんと持っておかないとでゲスね。っとと重っ!」
このハンマーがデデデがここにいるという確かな証。砂に埋まった無駄に重いハンマーを引き抜き、潜水艦の中に置いておくことにした。カービィに吸い込ませればハンマーカービィとして大いに戦力になるがこんな重いものをずっと持ち歩いておくわけにもいかなかった。
「じゃあひとまず連絡するでゲスか」
潜水艦に戻ったエスカルゴンはスマートフォンを取り出してカスタマーに近況報告をすることにした。電子機器に疎いデデデとは違い機械に強いエスカルゴンはササッと操作していた。こう見えて自分そっくりのロボを作ったり、マイクロチップからエネルギーブースターを構築するほど博学多才である。
「こちらカスタマーサービスでございます。エスカルゴン閣下、何か変わったことはございましたか?」
「あー色々あったでゲス。とりあえず順を追って話しますかね」
エスカルゴンはこれまでの出来事を話した。人間がいない土地に何故か置いてあったデデデのハンマーに始まり、ショッピングモールにはビースト軍団のゴルルムンバというゴリラが根城にしていたこと。しかし決して悪い奴ではなかったことを大雑把であるが伝えた。
「なるほど。興味深い連中がその土地にいるようですね」
「しかも実際強かったでゲス。お前のところのザコ魔獣なんかとは比べ物にならないレベルでゲス」
「ホホホ、これは手厳しいお言葉で。未納分の魔獣料金のお支払いをしていただければランクアップも可能でございますが」
「ヤでゲス。というかそれは陛下に直接言ってくれでゲス。私は不干渉でゲス」
実際魔獣をダウンロードしているのはデデデでありエスカルゴン自体はほとんど注文したことはない。責められる筋合いはないという暴論である。
「では催促は次回ということで。それで次はどちらに行かれるおつもりで?」
「この浜辺にもっと詳しい者がいるらしいから島の周辺を探すでゲス。あと食料も分けてもらいたいでゲスね」
フライパンを消費してしまい、いざというときのコックの能力が使えなくなってしまった。それでなくてもカービィが十分な蓄えを全て食べ尽くしてしまったため、安定した食料確保が急がれた。浜辺の辺りを縄張りにしている幹部は農場の主であり、ゴルルムンバの大事にしていたバナナもそこから頂戴したものだった。
「かしこまりました。それでは何か進展がございましたら再びご連絡ください」
「了解」
電話を終えるとエスカルゴンはカービィの方を向いた。カービィは長電話している間幸せそうな顔をして居眠りをしていた。先程たくさん食べたのといい天気なのも相まって寝息を立てていた。
「じゃ早速っと……起きるでゲス! カービィ」
「……ぽよぉ?」
頬をペシペシと叩いて眠りから覚まさせた。意識が朦朧としたままのカービィはホバリングをしてエスカルゴンの殻の上に着地した。
「あ、コラ。降りるでゲス! ……はぁ、全く」
しかしいくら振っても全く降りる気配のないカービィはそのまま再び就眠した。降り下ろすのを諦めたエスカルゴンはため息をひとつつき、潜水艦の扉を開けた。あまりゆっくりしているわけにもいかずさっさと食料確保とデデデの探索に向かった。
潜水艦から視認できる位置には特に何も見えないため海岸を歩いて回ることにした。今いる位置から時計回りに回っていき、農場を探すことにした。ゴルルムンバが言うにはかなり分かりやすい上にまあまあの広さもあることからどうやら潜水艦が到着した位置の真向かいにあると思われた。
「それにしても遠いでゲスね……ん? おっ! あれでゲスね」
歩くこと数十分、まだかまだかと思いながらようやくそれらしき施設が見つかった。レン村長の牧場並みの広さのあるプランテーションが見えた。今現在は所々錆びついているが思ったよりも汚くはなかった。誰かいるのはほぼ確実であり、二人は施設の扉を開けて何かないか探索した。
「ぽはぁ~ ムニュムニュ」
「お、起きたでゲスか。お前も一緒に探すの……」
「ぽよぽ!」
「どうしたでゲスか?」
ようやく目覚めたカービィは目をこすりながらも向かって右奥の一角を指差した。よく目を凝らすとそこにはサツマイモやマキシムトマトなどたくさんの野菜や果物が育てられていた。
「こりゃ立派でゲスなー! へへへ、誰もいないようですし少し持って帰っても……」
「スイカーぽよ!」
「あ! 食べちゃダメでゲス!」
農場にはカービィの大好物スイカもいくつかあった。目に入ったカービィはエスカルゴンの静止も聞かずに満面の笑顔で一直線に走っていった。緑と黒の縞々で彩られたスイカはカービィとほぼ同じサイズであるがそれをカービィは丸呑みした。
「ぽぅよ~!」
ここのスイカはプププランドのものに比べて糖度が高いらしく、カービィダンスするほど喜びを全身で表現していた。随分気に入ったのか他のスイカもどんどん食べていた。悪意をもって盗もうと考えていたエスカルゴンよりも純粋な気持ちで食べたカービィの方が罪が大きいかもしれない。気が付くと一帯のスイカは全て消え失せてしまった。
「あわわ……や、やりすぎてしまったでゲス。とりあえず少し食料を盗んで逃げ……」
トントン
「うるせぇな……えっ」
何かに肩を叩かれたエスカルゴンは思わず後ろを振り向いてしまった。ここには誰もいなかったはず。しかしここに現れたということは彼の正体がここの長ということはおおよそ見当がついた。目をパチクリしながら見たその顔はエスカルゴンだけでなくカービィも何故か見覚えがあった。
「お、おおおお前は!」
「ぽよ!」
トントンと叩いたのは手ではなく根。その自然味溢れる様相、というか大木そのものに顔が張り付いているその姿はプププランドに生息する森の王、ウィスピーウッズにそっくりだった。違うのは知っているウィスピーウッズよりも数倍大きく、明るい黄色をしているということだった。
「私の名はトロピカルウッズ。この農場の長である。して、お前たちは何者だ?」
大きさは恐怖。ただでさえ普通のウィスピーウッズに何回もボコボコにされているのにこんな強そうな相手を前にして再び凍り付いた。南国風の鮮やかな色合いに合わない厳格な喋り口調。そこは既知のウィスピーウッズと同じだった。
「えーっと、そのあの私どもめはですね……」
「無理に話さなくてもよい。最初から見ていた」
「ギクゥ!!」
エスカルゴンは気配を全く感じなかったがどうやら一部始終を目撃されていたようだ。これは言い逃れができない。エスカルゴンはカービィに助けを求めようとチラリと見るが全然ピンと来ている様子がなかった。星の戦士といえどもまだ赤ちゃんなのだから悪いという判断がついていない。いつもはフームやブンが傍にいてくれるから真っ当に動けているのである。
「そこの丸い者よ」
「ぽよ?」
「スイカ全部食べたのだな」
「ぽよ!」
「あーそれダメよ!!」
馬鹿正直に言ってしまったカービィについツッコんだエスカルゴン。この場合下手に言い訳しない方がいいのであるが……先程のゴルルムンバの件もあったからだ。カービィが食べ物を勝手に食べて怒られるというときと全く同じ状況になってしまった。
「そうか……ならば……」
「ひぎぃ!!」
トロピカルウッズの根っこは大きく躍動してカービィの方に向かった。それを見たエスカルゴンは思わず目をつぶった。きっと目を開けたら今頃ボロボロになったカービィの姿が……
「ぽよぽよ」
「これもオススメだぞ」
「あ、あれ?」
目の前に見えたのは籠に入った別の種類のスイカを手渡すトロピカルウッズの姿だった。喜んで頂戴するカービィのその姿に怒りの感情は一切伝わって来なかった。あるのはただ美味しく食べてくれてありがとうという気持ちだけだった。ゴルルムンバ同様見た目に騙されるところだった。
「あ、あの。お、怒らないのでゲスか?」
「本来ならば一言言って欲しかったがな。まあここには最近来た一人を除いてあまり来ないものだからな。客は歓迎するぞ」
南国の無人島という地理がおおらかにさせるのか何とも寛容な心の持ち主だった。トロピカルウッズは木の根っこで器用に生っている野菜を収穫し、それをカービィはまた美味しそうに食べていた。好き嫌いのないカービィだがこの野菜たちの新鮮さと甘さに舌鼓を打っていた。
「そ、そうでゲスか。それは助かったでゲス」
また戦いになったら困るのはエスカルゴン側である。カービィがいるとは言えできることならば戦いは避けておきたいかった。
「そうだ。お前たちに一つ頼みごとをしてもよいか?」
「頼み事?」
「ああ。私の頭の葉っぱを少し切ってくれないか」
トロピカルウッズの頭には青々とした葉が生い茂っている。人間でいう散髪をして欲しいという依頼だそうだ。とはいえトロピカルウッズの体長は20mは優に超えている。飛べないエスカルゴンはもとよりカービィでさえホバリングできない高さであった。
「何だそんなことでゲスか。お安い御用でゲス」
「本当か!?」
「お礼も兼ねてでゲス。あと少し食料分けてもらってもいいでゲしょうかね?」
「構わない。早速頼む」
「任せるでゲス。な、カービィ」
「ぽよぉ!」
カービィは腕を上げてやる気満々だった。エスカルゴンはリュックからカッターナイフを取り出してカービィに放り投げた。吸い込んだカービィは見事にカッターカービィに変身した。装着している黄色い帽子には銀色に輝くカッターが取り付けられておりブーメランのように飛ばすことができる。切れ味も抜群なので綺麗に切ることができるだろう。
「じゃあお願いするでゲス!」
「カッターブーメラン!(心の声)」
クルクルと回転しながらカッターの刃が飛んで行った。しかし体長20mはあまりにも遠すぎたためか目的の葉っぱに到達する前に帰ってきてしまった。
「あ、あらー?」
「ぽよ! ぽよ! ぽよ!」
何度も頑張って飛ばすも全て空振りに終わってしまった。届かせるにはパワーが足りないと思い目一杯力を込めるも全然届いていなかった。しばらくすると疲れたのかペタリと座り込んでしまった。
「んー、困ったでゲスね……あれ? もしかして」
妙案を閃いたエスカルゴンはカービィの元に近寄り帽子を取り上げた。
「ぽよぽよ!」
「分かっているでゲス。ちょっと借りるだけでゲス」
カービィはムッとしているが別に盗むつもりではなかった。エスカルゴンはリュックから工具を取り出してカンカンと打ち始めた。
「一体何をするつもりだ……?」
トロピカルウッズも訝しげに見ておりその作業はおよそ30分続いた。完成した帽子をエスカルゴンはカービィの頭に装着させた。
「よし、でけた!」
カッターの帽子は先程のものとスタイル自体は変わっていないが、刃が大きく変わった。何といっても一つだけだった刃が二つに変わった。それに加えて刃の形状が線状だったのが円状に変化した。それはさながら武器であるチャクラムのようだった。以前よりも持ちやすくなっただけでなく攻撃力も増した。
「さあこれでもう一度チャレンジするでゲス!」
「ぽよ! チャクラムカッターブーメラン!(心の声)」
カービィは両手でカッターを投げ飛ばした。先程よりもグングン飛距離が伸びていき、今度は見事に狙った位置に命中した。しかもそれだけではなく戻ってくるブーメランの軌道は真っすぐではなく曲がって戻ってきたため、次に切ろうと思った箇所までも一度に切ることができた。つまり一発でトロピカルウッズの散髪が終了したのであった。
「うむ。見事なものだ。感謝するぞ」
「ぽよ!」
「ふー、これで終わりでゲスな……ってああ! 何カービィパワーアップさせてるんでゲスか私は!?」
夢中で武器を作っていたため敵であるカービィを図らずしも強化させてしまった。世界で二番目に間抜けだと落ち込んだエスカルゴンをよそにトロピカルウッズは目の前に大量の食料を置いた。
「さあ、これは褒美だ。遠慮なく受け取るがよい」
「……まあいいか。ありがとうでゲス」
一段落ついたところでお互いに自己紹介を行った。このトロピカルウッズはもちろんビースト軍団の幹部であり並々ならぬパワーを持っていた。しかし性格は温厚そのものであり、ゴルルムンバとも仲が良いらしい。ここのバナナをよく持っていくらしい。
「エスカルゴンとカービィだったか。お前たちはどこから来たんだ?」
「プププランドというところでゲス。モロ田舎な土地でゲスよ」
「プププランド……? ハッ!」
「どうかしたでゲスか?」
トロピカルウッズはその言葉に聞き覚えがあったようだ。器用に根っこを使い頭から何かを取り出した。それは一通の封筒のようだった。
「本当はこの者に葉を整えてもらいたかったのだがな。丁度剣も持っていたことだし」
「何でゲスか? ……こ、これは!」
差出人の名前にはMeta Knightと書かれており、識字率の低いプププランドでは読める人間は限られていた。これはそれが読める者に向けて書かれていた。
「メタナイト? 何でこんなところに……」
カービィのチャクラムカッターをペーパーナイフ代わりに用いて封筒を開いた。そこに冒頭にはこう書かれていた。
『これを読んでいるのはエスカルゴン殿、フーム、ワドルドゥ殿、キュリオ氏のいずれかだと思います。単刀直入に言います』
予想通り手紙を読んでいるのはエスカルゴンであった。しかし次の文言にエスカルゴンの目は大きく開いた。
『デデデ陛下が失踪した原因は……私です』
読んでいただきありがとうございます。三月中に三本仕上げることができて一安心です。これからもドンドン書いていきますね。感想もドンドン送ってください。励みになります。
今回ディスカバリー要素としてチャクラムカッターを入れてみました。ゲームで中々上手く使いこなせなくて困ってます。
ところで皆さんは今回のカービィのコピー能力でどれが一番好きですか? 私はジャンクニードルですね。64勢の古参ファンなもので。その次はドラゴニックファイアです。攻撃力とデザインがいいです。