エスカルゴン閣下presents ~陛下をディスカバリー~ 作:海老の尻尾
・アニメ星のカービィの要素を多分に含みます
・ネタバレ注意です
・キャラクターの性格等はアニメ基準です(カービィは喋らずデデデは畜生路線)
・キャラ崩壊ありです
以上の項目に『ダンシングキングゾイ! 今日も楽しいお笑いコントショー!』と言ってくれる愚かなる人民共諸君は見ることを許可するゾイ!
「はー、こりゃまた見事でゲスなぁ」
エスカルゴン一行は生い茂る木々の森を抜けてここワンダリア跡地へとやってきた。獣道ばかりだった道を抜けるとそこは立派な遊園地があった。一見しただけでもメリーゴーランドからお化け屋敷、はたまたジェットコースターまであった。
「ぽぉよ~♪」
「コラカービィ。ここへは遊びに来たんじゃないでゲスよ」
「ぽぉよ……」
目の前に広がる魅惑的なアトラクション施設にカービィは目を奪われていた。しかしそんなことをしている暇はないためエスカルゴンに止められた。悲しそうな顔をしているカービィだがそもそも遊ぼうと思っても人がいないため操作することができない。どちらにせよ目的の場所へと向かうことにした。
「確か一番奥のサーカス小屋みたいなところと言っていたでゲスね」
トロピカルウッズから聞いた情報によるとここワンダリア跡地にはサーカスハウスがあるらしく、団長はそこがお気に入りで大抵の時間帯はいるという。目立つのですぐ分かると言っていたが遊園地は広く若干距離がある。かなり長時間歩くことになり疲れも溜まっていた。
「それにしても遠いでゲスな、カービィ……あれ?」
ふと隣を見ると隣にいるはずのカービィが忽然と姿を消していた。どこに行ったかと辺りをキョロキョロしていると遠くにピンクボールが見え、ぽよぽよという声が聞こえた。
「カービィ! どこに行っているでゲスか。ったくもう!」
カービィはジェットコースター乗り場の入り口に立っていた。人がいないため待ち時間はゼロ分。エスカルゴンが追いかけるもグングンと中に進んでいった。エスカルゴンも受付に入るも既にカービィはジェットコースターに乗り、安全バーまできちんと下ろしており楽しむ準備万端だった。
「ここにいたんでゲスね。さ、早く降りるでゲス」
「ぽぉよ! ぽよぽよ」
エスカルゴンはコースターから降ろそうと腕を引っ張った。しかしカービィは首を横に振り安全バーから手を離そうとしなかった。珍しくダダをこねていたのだった。
以前デデベガスを開催したときにカービィはフームたちと一緒にジェットコースターに乗ったことがあった。しかしあのときはコーヒーカップの遠心力で偶々ジェットコースターに着地しただけでありちゃんと楽しめてはいなかった。こうして再び見ることができてどうしても乗りたくなっていた。
「ぽよぽよじゃないでゲスよ」
「ム……」
カービィの表情が険しくなる。エスカルゴンにそっぽを向いていたカービィだったがくるっと振り向くと頬を大きく膨らませて照準を定めていた。
「あ、あら……?」
ポンッ!!
「ギャァー! ァアーー、空飛ぶエスカルグォン! ア、アゲゲ……」
カービィが口に溜めていたのは空気弾だった。ザコ敵ならば一撃で跡形もなく粉砕できる空気弾をエスカルゴンは真正面から受け、錐もみ回転しながらレンガの壁に叩きつけられた。レンガは砕かれてエスカルゴンの体の形に綺麗に窪んでいた。全身に骨が折れるような(軟体動物に骨折はない)痛みを感じながらも何とか殻にヒビは入っていなかった。
「ぽよー!」 ポンポン
「わ、分かったでゲス……あ痛たた」
カービィは隣の席に来るようにエスカルゴンを呼んでいた。これ以上喰らったら命がいくつあっても足りない。カービィの機嫌を損ねないようにここは大人しく従うことにした。カービィの隣に座り、安全バーを下げた。
「ぽぅよ~!」
「随分嬉しそうでゲスな……さてどうするでゲスかね」
カービィは諸手を上げて出発するのは今か今かと楽しみにしていた。しかしいくら待ったとしてもそれを動かす人間がいないため動くはずがなかった。カービィは理解していなかったためエスカルゴンはこれからどうしようかと悩んでいた。
ガコンッ!
「ん?」
「ぽよ~!」
ジェットコースターの底から聞こえてはいけない物音が聞こえた。その音と同時に二人の目の前の景色は後ろへと下がっていった。誰も動かしていないはずのジェットコースターが動いてしまったのであった。おそらく経年劣化によるシステムの故障でエスカルゴンが乗って重さが車体に伝わったことで勝手に動き出したのだろう。
「マ、マズイでゲス!」
そう、普通のジェットコースターならばきちんと制御されているのだがここは無人の遊園地。安全を保障してくれる者などいない。加速、減速の利かない暴走車両に乗り合わせてしまったのである。路線はあと数秒で急勾配のループを描く。そうなれば上昇するときに遠心力で吹き飛ばされてしまう。飛べるカービィならばいざ知らず、飛べないエスカルゴンはただのナメクジ閣下。大怪我は必至だった。
「どどど、どうしましょ……⁉」
「ぽーよ! ぽーよ!」
「カ、カービィ吸い込みよー!」
能天気なカービィにエスカルゴンは無我夢中で吸い込みを命じた。後から考えればこんな空中で吸い込めるものなんて何もなかった。しかしこのときは何とかしてほしいの一心で上機嫌なカービィに頼んだ。恐怖から目をつぶっていたエスカルゴンはカービィの吸い込み音を耳で聞きながら祈っていた。
「……と、止まったでゲス……か!?」
肌に当たる風圧が無くなり、無事止まったのかと目を恐る恐る開けた。そこには見たことのない姿があった。
「ほぁひぃ~!(ぽよぴぃ~!)」
「な、何ですとー!」
隣にいたはずのカービィはいつの間にかジェットコースターの車体と一体化していた。車体はカービィの肌のピンク色に覆われてエスカルゴンはその上に乗っていた。より正確に言うと車体を飲み込んだわけではなく口に入れて頬張っていた。流石のカービィも大きすぎて飲み込むことはできなかったようである。頬張った状態では上手く話せない様子だった。
「ふー、これで一安心っと」
「……!」
「ちょ、やめろよ。なんだよ」
このジェットコースターの車体はカービィが頬張っている。それすなわちカービィの意のままに操れるということだ。さて、このテンション上がった状態でカービィは元居た場所に引き返すでしょうか? 答えは火を見るより明らかですね。
「ほほー!(ぽよー!)」
「ギィヤァーー!! 誰か止めてぇー!!」
ジェットコースターに乗るどころか成ることができたカービィ。嬉しくなったその勢いのまま真っ逆さまに下って行った。エスカルゴンの悲鳴とともに上昇下降を繰り返し、一回転まで行った。グネグネ曲がる道もなんのその。遠心力で首が持っていかれそうになるも既に気絶していた。ジェットコースターの時速は240kmを超えて尚も加速していた。
バキッ
「ほぉ?(ぽよ?)」
しかし耐えられないのはジェットコースターの路線の方だった。耐久力は時速180kmまでであり、それ以上耐えうるようには設計されていなかった。激しい振動がカーブする先の路線に伝わり、ドカンと崩落してしまった。車は急には止まれない。空を飛び、地面に広がる楽しそうな遊具を置き去りにドンドン中心地から離れていった。
グァッシャァアアーーンン!
大事故を引き起こした車体はどこかの建物に激突した。激突寸前で頬張りを解除したためカービィ、およびエスカルゴンに怪我はなかった。しかし衝突した建物とジェットコースターはぐちゃぐちゃになってしまった。
「な、何事で……ど、どっへぇー!?」
衝突音で目を覚ましたエスカルゴンは目の前に広がる凄惨な光景に目玉を飛ばしていた。無事であったことに安堵しつつもそのぶつかった建物が問題だった。
「こ、これ……サーカスのテントじゃないでゲスか!?」
今回の目的はワンダリア跡地奥のサーカスハウスに住むレオンガルフに会うこと。そしてそれに激突したジェットコースター。相手はめちゃつよ。これは終わった。
「…………」
呆然と立ち尽くしているとテントからガラガラと崩れる音が聞こえた。瓦礫の中から何か、誰かが這い出てきた。
「痛た……もう、一体何なのよ」
団長と呼ばれる者が出てくるかと思い緊張が走った。頭を押さえながら出てきたのは華奢な女爪豹だった。黄色と茶色の斑点を持つ体に切れ長の目が特徴的だった。綺麗な顔に抜群のスタイルを持つ彼女とエスカルゴンは目が合ってしまった。
「あ」
「もしかしてあなたたちかしら?」
十分な距離を一瞬で詰めてきて鋭い爪を喉元に突き付けた。スピードに特化しているようで残像さえ見えなかった。少しでも動くと刺身になってしまい、汗をダラダラ垂らすしかできなかった。
「えっと……その、あの……」
「疑うには十分よね?」
テロリズムのような行為が起きた後に今まで見たことのない生物が現れた。彼女にとってはこれだけで十分な証拠に成りえた。何か弁明をするまでこの爪をどかすつもりはなかった。
「……あ! わ、私じゃないでゲス! あれでゲス! あのピンクボールがやったんでゲス!」
「ぽよ?」
「…………」
彼女は咄嗟の出まかせだと思っているようだが実は嘘は何一つ言っていない。エスカルゴンの差した方向にいるカービィを見た。彼女は無言でカービィに近づき、その手をゆっくりと伸ばした。
ポニュン
「ぽよ~!」
切り裂かれるかと思いきや爪はコンパクトに収納されて掌の肉球でカービィの柔らかな頬を突っついた。カービィはなすがままの状態で無邪気な笑顔を振り撒いており、何度もポニュンと触られる感覚にくすぐったく思っていた。
「あ、あの~」
「ハッ! な、何かしら!?」
「私めではなくカービィがやったんでゲスが……」
数分間夢中でムニムニしていた彼女はエスカルゴンの呼びかけでようやく我に返った。
「そうか、カービィというのね……ってそんなわけないでしょう! こんな可愛い子が」
いつの間にか両手で抱っこしておりまるで我が子のように大事に撫でていた。状況を理解していないカービィは赤ん坊のように揺られていた。彼女はまさかこんな小さな子があれだけの事故を引き起こした張本人だとは微塵も思っていないようだった。
「でも、その……」
「罪を擦り付けるなんて最低ね。この爪で始末してあげるわ」
「お、おおお助け~!」
弁解するどころか返って逆鱗に触れたようであった。再び爪が伸びて切っ先をエスカルゴンに向けた。一目散に逃げるも標的を完全に捉えた彼女はロックオンを決めた。しかし発射してカタツムリの塩焼きが完成することはなかった。
「ぽよぽよ」
「ん? どうしたのカービィ?」
彼女の胸の中から飛び出したカービィは草花の生えた区画へと向かった。カービィの挙動が気になる彼女はエスカルゴンのことは置いておいた。しばらくすると再び彼女の元に戻ってきて何かを手渡した。
「ぽよ」
「あら、私にくれるの? ありがとう」
カービィはシロツメクサで編んだ草の冠を作り、それを彼女に被せてあげた。カービィと同じ目線まで腰を下げてカービィの頭をナデナデした。先程の怒った顔から一変して優しい顔になっていた。カービィの無垢な笑顔に怒りも収まったようだった。
「そ、それであの……」
「……話くらいなら聞いてあげるわ」
ようやくエスカルゴンは肩の荷を下ろして話すことができた。
エスカルゴンはまずカービィの能力について説明した。いくら自分じゃないと言っても仕方ないのでカービィが行ったという証拠を見せることにした。吸い込んだものを我が物にするコピー能力、先程の事件はジェットコースターを吸い込んだことによるものだったと説明した。再現として近くに置いてあった自動販売機、三角コーンなど頬張って見せた。その光景を見た彼女もようやくエスカルゴンの仕業ではないと納得してくれたようだった。
「そうだったのね。本当にカービィがやったのね……コーラ、こんなことしちゃメッでしょ!」
「ぽよ……」
怒られて反省するカービィ。自分もよくおっかさんに小さいころ叱られたなと思い出すエスカルゴンであった。と、ここで大事なことを思い出した。
「ところであなたが獣王レオンガルフさんでゲスか? まさか女性だとは……」
「ん、私? 違うわよ。私はキャロライン、一応ビースト軍団の副団長をしているわ」
トロピカルウッズの話からここサーカスハウスにいるとのことだった。しかし話が違ったようだ。彼女によるとどうやらいつもここにいるわけではなく、時々来るとのことだった。ここワンダリア跡地を統括しているのはキャロラインだった。
「団長に何か用かしら?」
「ええ、実は困ったことが起きて……」
「な、何じゃこりゃぁああ!!」
エスカルゴンが話そうとした瞬間、近くで大きな叫び声が響いた。何事かと慌てふためくもキャロラインは平気な様子をしていた。
「あら、ちょうどいいところに」
キャロラインは少し歩き声の聞こえたテントまで近寄った。声が気になったので当然エスカルゴンたちも付いていった。そこには瓦礫と化したサーカスハウスに向かって吠える一匹のライオンがいた。
「ん? おお、キャロライン。無事だったか!?」
「ええ、平気よ」
彼女は彼の元に近寄り、そしてこちらを向いた。
「紹介するわね。彼が私たちビースト軍団の団長、獣王レオンガルフよ」
エスカルゴンはフェクトエフィリスと対峙したときと同様、またそれ以上のプレッシャーを浴びていた。
読んでいただきありがとうございます。ようやくキャロラインを出すことができました。そしてカービィやらかしてしまいましたね~! 被害を受けるのはエスカルゴンなのはお約束。
最初はキャロラインとカービィを戦わせるつもりだったんですけどキャロラインの母性本能が顔を出してしまいこんな風になってしまいました。バトルシーンが見たかった人は申し訳ないです。まあフェクトエフィリス戦で嫌ほどバトルするし許してください。
そして頬張り変形も出ましたね。ディスカバリー要素なので出したかったんですけど入れどころが難しかったです。電球やみずふうせんは別のコピー能力がありますし、ロッカーや階段は吸い込む意味がないですからね。頬張り変形はあまり出ないかもです。
~カービィインタビュー~
今回は頬張り変形が出ましたね。そこで皆さまに質問です。
Question3.好きな頬張り変形は何ですか?
(私はくるま頬張りです)