エスカルゴン閣下presents ~陛下をディスカバリー~   作:海老の尻尾

7 / 7
・この小説はゲーム星のカービィディスカバリーの二次小説です
・アニメ星のカービィの要素を多分に含みます
・ネタバレ注意です
・キャラクターの性格等はアニメ基準です(カービィは喋らずデデデは畜生路線)
・キャラ崩壊ありです


以上の項目に『もっともっと痛めつけなければ……』と言ってくれる愚かなる人民共諸君は見ることを許可するゾイ!


ステージ7 獣王レオンガルフ

(あ、死んだでゲス)

 

 副団長キャロラインの隣に立っている者こそが真の団長、獣王レオンガルフだった。エスカルゴンの四倍は体格差があり、筋骨隆々で威厳もたっぷりだった。そして何よりも恐ろしいのが今現在こうして怒気を孕んでエスカルゴンの方を睨みつけていることだった。いくつもの修羅場を乗り越えてきたエスカルゴンもこのときばかりは鮮明な死のイメージが浮かび上がったという。あまりにも鮮明すぎて一周回って冷静になっていた。

 

「待ってレオン。私から話するわ」

「む……? そうか」

 

 目線がエスカルゴンから離れゲッソリとした。今日一日だけで寿命が数年縮んだ気がしたエスカルゴンだった。ここで暴れられたら手の付けようがないことを知っていたキャロラインはレオンの怒りの琴線に触れないように丁寧に説明した。

 

「だから私がすぐ復興させるからレオンが気に病むことはないわ」

「ここはお前の管轄だから別に文句はないが……それより一ついいか?」

「何かしら?」

「お前の手に持っているそれは何だ?」

 

 キャロラインは会話中ずっとカービィを抱きかかえており、レオンは気になって話にあまり集中できていなかった。レオンが触ろうとするとカービィは渡さないといった感じで距離をとった。振る舞いがお母さんそのものだった。

 

「さっきも言ったでしょ? この子がカービィちゃんよ。可愛いでしょ~! このまま持って帰りたいくらいだわ」

「な……コ、コイツが⁉ おい、貴様、本当なのか!?」

「ぽよ?」

「ちょっと、いきなり近づけないでよ。カービィちゃん怖がるじゃないの」

 

 レオンはポカンとしているカービィにその強面の顔を近づけた。ジロジロと見る彼にキャロラインは嫌がっていた。いつの間にかちゃん付けしており、カービィのことを大層気に入っていた。

 

「あ、あの……」

「ん、何だお前は」

「カ、カービィはまだ喋れないのでゲス。なのでわ、私めから紹介を、と」

 

 完全に存在を忘れられていたエスカルゴンは自身の気持ちが落ち着いたところでレオンに話しかけた。

 

「エスカルゴンと申すでゲス。私たちはプププランドというところから来まして。それであの……」

 

 本題はフェクトエフィリスについてだった。討伐するために団長の力を借りるというのが為すべきことであり、交渉を進めるためにやってきた。レオンはこちらを見て何かを考えていた。

 

「プププランド……もしかしてコイツの仲間か?」

 

 レオンもこの言葉に聞き覚えがあったようで、持っていた袋から何かを取り出してこちらに投げつけた。放り投げられた丸くて紺と銀色の球体はプププランドの人民共ならば誰もが知っていた。

 

「メ、メタナイト卿!?」

「ぽよ!?」

 

 メタナイト卿はボロボロの体をしておりぐったりとしていた。先程まで気を失っていたが投げられた衝撃で目を覚ました。

 

「ん……⁉ カービィ! それにエスカルゴン殿も⁉」

「ぽよぽよ!!」

「大丈夫でゲスか!? どうしたんでゲスかお前ともあろう者が!」

 

 エスカルゴンは慌てふためきレオンの方を見た。状況から言ってこの傷はレオンが付けたものに間違いなかった。決して悪い奴ではないと思っていたがイメージが崩れてしまった。カービィはキャロラインから飛び出し、怒った顔でレオンを凝視していた。それは彼にも伝わったようだった。

 

「何か勘違いしているようだが……メタナイト、お前の知り合いだろ。説明してくれ」

「ええ。カービィ、落ち着け。エスカルゴン殿もご心配なさらず」

 

 メタナイトはゆっくり立ち上がり二人を制止した。カービィは心配そうに見ており、メタナイトは優しく撫でて大丈夫だ、と小さな声で囁いた。カービィ側とレオン側に認識のズレがありそうに見えたのでメタナイトは説明し始めた。

 

「レオン殿は私を鍛えて下さっていたのです。私はまだまだ未熟なものですから」

「そ、そうだったんでゲスね。私てっきり……」

「いや、謝ることはない。俺もメタナイトにやり過ぎたと思っている」

 

 レオンは謝ろうとするエスカルゴンの顔を上げさせた。ボロボロになるまで稽古をつけてくれたとはむしろレオン自身が反省するくらいどこまでも良い者だった。

 

「でもメタナイト、お前がここまでやられるなんて凄い相手なんでゲスね」

 

 メタナイトは元銀河戦士団の一員。そう簡単にやられるような相手ではないのはエスカルゴンたちはよく知っていた。そんな彼をここまで追い詰めるほどの実力者。他の幹部たちが団長レオンガルフを慕うその力は深く聞かなくとも容易に理解できた。

 

「ええ、全く。ところでトロピカルウッズ殿からの伝言はお聞きになりましたか?」

「聞いたでゲス。何でもフェクトエフィリスとやらがどうとか。あ、そういえばそいつにさっき会ったでゲス」

「何だと⁉」「本当ですか!?」

 

 二人から詰め寄られて後ずさりするエスカルゴン。何に引っかかったのか聞いてみると、どうやら二人はフェクトエフィリス本体に会ったことはないらしい。あんな伝言をするからてっきり邂逅しているのかとエスカルゴンは思っていた。

 

「じゃああのとき会ったのは偶然で……えっ」

「うおりゃぁあ!!」

「アゲー!」

 

 レオンはいきなりエスカルゴンをぶん殴った。右ストレートが頬にクリーンヒットしてそのまま吹き飛んだ。カービィの空気弾以上の衝撃が体に伝わり、観覧車の車軸めがけて顔がめり込んだ。陛下じゃあるまいし、いきなり理由もなく殴られたことに頭の中がぐちゃぐちゃになった。その後フワフワ浮いたカービィに体を抜いてもらい何とか事なきを得た。

 

「い、いきなり何するんでゲスか……⁉」

「いや、すまない。どうやら本物のようだったな」

「ほ、本物?」

「フェクトエフィリスは憑依して精神を乗っ取ることができるのです。それで念のための確認でした」

「念のためにで殺す気か!」

 

 実際に出会ったということはそのときに精神をいじくりまわされた可能性があった。それを解除するには強い衝撃を与える必要があった。殴って体から体液以外何も出てこなかったので紛れもないエスカルゴン本人だった。

 

「痛て……あ、じゃあ陛下は」

「おそらく操られているでしょう。次にお会いする頃にはおそらく別人格に」

「じゃあ急がないとでゲス」

 

 デデデの知能はさておき肉体は丈夫なものである。敵の操り人形として知能がまともになったとしたら厄介であり、一刻も早く対処する必要があった。

 

「待て、焦っても奴には勝てん」

 

 焦るエスカルゴンをレオンが止めた。これだけの実力者がいてもまだまだ不足していることがあるようだ。脳筋に見えてしっかり頭が回るようだ。

 

「まずは何故俺たちの前に姿は見せず、いきなりお前たちの前に現れたのか。それから考えるべきだろう」

「そうですね。そこから何か解決の糸口が見えてくるかもしれませんし」

 

 レオンとメタナイトはあくまでも冷静だった。近くのベンチに腰掛けて腕を組み熟慮していた。いついかなるときもトップの者は取り乱してはならない。団長レオンにもその心構えはあるのでむやみやたらに動こうとはしなかった。二人はじっくりと考えて色々な案を出していた。

 

「カービィたちが弱そうに見えたからか?」

「あるいは私たちの前に姿を見せれば問答無用で退治されるからとか……」

「取り込んだデデデの関係者というのもあり得るな……」

 

 二人は様々な可能性を考えるがどれもピンと来るものはなかった。フェクトエフィリスが何を考えているのかなど誰も理解することはできないだろう。何しろこの世界をたった一人で滅ぼしてしまうほどの存在なのだから。

 

「あ、あの……もしかしてなんでゲスが」

「ん? 何でしょうか」

「誰でもいいから自慢したかったのではないでゲしょうか?」

「は? 自慢だと」

「い、いえいえ! ふざけているわけではなくて!」

 

 エスカルゴンから意外な言葉が飛び出した。実際に出くわした本人にはフェクトエフィリスが自信満々なように見えた。それは圧倒的な実力もあるのだろうが、自分をもっと見てほしいという風にも思えた。

 

「何しろ何百年も封印されていたから話し相手が欲しかったんじゃないでゲスかね? 私の意見ですけど」

「なるほど」

「……一理あるな。実際に会ったお前がそう言うなら可能性はあるな」

 

 レオンもメタナイトも納得したようだ。もちろん何の確証もないのだがエスカルゴンは自分の意見を伝えることができてスッキリした。

 

「まあ一旦この話は置いておこう。メタナイト、先程の続きをするぞ」

「続き?」

「ええ。特訓です」

 

 メタナイトたちは先程までオリジネシア荒野大地というところで訓練をしていた。フェクトエフィリスに勝てるだけの力を付けるためにパワー増強を図るためだった。その気になればこの新世界の八分の一を粉々にすることができるレオン。そんな彼に稽古をつけてもらい、来るべきときまでこうして修練をしていた。

 

「ぽよ!」

「ん? カービィ、お前も訓練に参加したいのか?」

「ぽよ!」

「フ、よかろう。俺の特訓は厳し……」

 

 やる気満々のカービィの意気を買ったレオンは早速メタナイト同様に訓練に付き合わせようとした。しかしレオンの横からカービィを引き離したのはキャロラインだった。再び胸の中に戻してしっかり抱き寄せた。

 

「ダメよ、レオンの訓練は厳しすぎるんだから! カービィちゃんにそんなことさせられないわ」

 

 すっかり溺愛しており頑なにカービィを離そうとしなかった。

 

「そう文句言うなキャロライン。さ、カービィを渡せ」

「フン!」

 

 レオンが手を伸ばそうとした瞬間にはキャロラインは遠く彼方へと回避していた。レオンも決して鈍足ではない。メタナイト並みの俊敏性はあるのだがキャロラインの身軽さは軍団一だった。パワーは並だがスタミナはあるのでレオンと同じくらい働いている。ビースト軍団は彼女によって支えられているのは間違いなかった。

 

「参ったな……こうなると俺でも説得に骨が折れる」

「レオン殿。カービィは私たちの訓練に参加させなくてもよいと思います」

「どういうことだ?」

「カービィのコピー能力は強力です。これ以上地道な攻撃力アップを図る必要はないと思います」

「ふむ……」

 

 キャロラインはほっとしてカービィを撫でていた。確かに今目下の目標はフェクトエフィリスに対抗する力を短期間で身に着けることであり、元々攻撃力が高い分野を伸ばしても効果は薄かった。だからやる気のカービィには何か別のメニューを与えてやる必要があった。メタナイトとレオンは一緒になって考えていた。

 

「カービィの短所は機動力です。そこを補えばかなりの戦力アップになるかと」

「機動力か。ならキャロライン、お前の出番だな」

「え、嫌よ。カービィちゃんにそんなキツイこと課したくないわ。ねー、カービィちゃん!」

「ぽよ?」

 

 フームもいないためワープスターでの機動力は封じられている。高い攻撃力を持っていても防御力が疎かになっていては仕方ない。それのトレーニングの講師役にもキャロラインは適任だと思ったが可哀想という理由で断固拒否した。実際に甘やかしてしまうのが目に見えていたのでレオンもこれ以上強くは言えなかった。

 

「俺はメタナイトで手一杯だし……あ、アイツがいたな」

「げっ、アレ呼ぶの? 面倒ね」

 

 レオンには心当たりがあったようでそれはキャロラインにも通じた。しかし彼女は苦い顔をしているようでアイツとやらに何やら問題がありそうだった。早速レオンは指パッチンして呼び寄せることにした。ただの指パッチンなのに握力のせいで遊園地中にその音がやかましく鳴った。

 

「アイツ……って誰でゲスか?」

「私たちの幹部の一人よ。パワーとスピードは申し分ないんだけどね。ちょっと……」

 

 ドドドドドドドドド

 

「あら、もう来たのね」

 

 どこかから地響きが聞こえ、その距離がどんどん近づいてきた。音の方向を向くと、そこには丸っこい球体がものすごいスピードで近づくのが見えた。レオンと同じくらいの大きさのボールが土煙が立ち込めて転がってきた。レオンの手前で急停止をすると白い皮膚が露わになった。アルマジロのような体はパカッと開き、そこから喋り始めた。

 

「団長、来たよ~! 急にオイラ呼んでどうしたの~?」

 

 大きな目玉に出っ歯にベロ。ふらふらとした足取りをしており、巨体に似合わぬ飄々とした喋り方をしていた。この者こそビースト軍団一の隠し玉、踊転甲獣アルマパラパであった。




 読んでいただきありがとうございます。レオン、キャロライン、アルマパラパがついに集結です。この三者がビースト軍団のトップ3でどれも曲者です。アルマパラパは次回活躍しますのでお楽しみに。一人称はオイラでcvは大谷育江さんです(超適当)。ちなみに自分の中でキャロラインのcvは竹達彩奈さんのイメージです。レオンガルフはもちろん三宅健太さん。今作ハマリ役だったと思いました。
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