カイオーガを探して   作:ハマグリ9

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VSカナズミジム(下)

 ソウタロウをフルボッコにした後、指揮台で2分ほどツツジさんを待って待機していると、いきなりゴゴゴゴゴッ! と音を鳴らしてフィールドが沈み始めた。なんだ!? と眺めているとフィールドが入れ替わり、フラットなノーマルフィールドが現れる。そして指揮台が下がり、フィールドと接続された。凝ったギミックですな。

 

 奥から現れたのは特徴的な黒髪をしており、額を出して後ろで大きなリボンで髪を結って、垂らした髪がツインテールになっている少女。 服装は紺色のワンピースに、首元には白い襟に赤いネクタイをしており、ほっそりとした脚にはピンクのカラータイツを穿いていて、足首にはアンクレットを装着している。活発的な少女というよりは知的な雰囲気を醸し出した女性の方が合っているかもしれない。

 

 あんまりジロジロ見るのはマナー違反か。そう思って上から下に彷徨っていた視線がまた顔に戻ってくる。

 

「ようこそ、このカナズミジムへ。わたくしがカナズミポケモンジムリーダーのツツジと言います……と、本来ならこのあとに色々と言うべきセリフがあるのですけれどね。はしたないとお思いなるかもしれませんが、最初のバトルを見てから一刻も早くあなたのポケモンと闘いあってみたいと思ってしまいましたの!」 

 

 火がついちゃったと。何かこう考えるとそこはかとないエロスを感じるな。

 

「その結果が対戦回数の縮小(ア レ)ですか。カツオ君はカチンときたようですが?」

 

「まだバッジ0だというのにかなり独特な戦い方をしておられますし、あの子達ではどうやっても勝てそうにありませんでしたから仕方ありませんわ。正直、このままジムバッジを渡しても良いと思うぐらいには、あなたは実力があると考えています」

 

 おお、かなりの高評価ですな。こう真正面から褒められたことは少ないからか、とてもむず痒い感じがする。

 

「そんな風にバッジの譲渡許可出していいんですか?」

 

「渡すかどうかを決めるのはわたくしですから。基準をクリアしているのが分かっているのならやぶさかではありません。 し か し! しかしです。完全な実力を確認せずにそのまま返してしまうのは、わたくし的には実に心残りなのです!」

 

 本当に聞き方を変えるとラブコールにも聞こえるな。おしとやかな見かけや振る舞いが、皮を剥げばその実かなりの戦闘狂だったという。本当にどうしてこうなってしまった。

 

「そんな熱烈な歓迎をどうも……こちらとしてもバッジをメインというよりは、バトルをメインに来たので戦いたいですね」

 

 ここで大賀に自信をつけさせるのが目標だからな。もう8割は達成しているが、どうせなら10割達成にさせてやりたいと思うのがトレーナー心というものです。

 

「まぁ! わたくし達気が合いますのね! では早速やり合いましょう!」

 

「方向性が異なる気がしますがね」

 

 ツツジさんがこんな感じだなんて僕聞いていませんよ! もっと、こう、年齢の割には論理的な思考の持ち主で、筋道だった話し方をする才女だったと思うのだが。まぁ、ほとんどあっているんだけれどさ?

 

 トウカジムのセンリさんが予想通りだったからてっきり他のジムリーダーも変わっていないと思っていたのだけれど……

 

 まぁいい、今はバトルに気を入れ直そうか! ボールから大賀を出す。

 

「さぁ最後だ。戦うぞ、大賀! 古い自分の殻を破る為に! 全ての障害を粉砕し、押し流すぞ!」

 

「スボボボボボォ!!」

 

 大賀のエンジンもフルスロットルだ。今は――誰にも負ける気はしない!

 

「いい……いいですわ、あなた達。その稀に見る前に進む意志を持った目……このカナズミポケモンジムリーダーツツジ、試験としてだけではなく全力で! 勝負を努めさせて頂きますわ!」

 

 この状態で俺の目が見えるのだろうか……? それとも大賀の目だけで判断したか……いや、あなた達とか言ってたよな!? すげぇなジムリーダー。

 

「オダマキ研究所専属ポケモントレーナー兼異世界からの訪問者、小野原恭平! 推して参る!」

 

「お行きなさい、イシツブテ!」

 

「ラッシャイ!」

 

 投げ込まれたボールから出てきたのはイシツブテか。だが今までのイシツブテよりもだいぶ丸いようだ。イシツブテの強さの基準としては丸いほうが長生きをしており強いらしい。ましてやジムリーダーが扱うポケモンだ。油断など出来ようもないな。

 

「それでは――――最終戦、ポケモンバトルゥーーーファイトォ!!」

 

「大賀、イシツブテと少し距離を取りながら【タネマシンガン】で弾幕を張れ!」

 

「スボボボッ」

 

 射撃系の技の利点はその間合いである。開けているこのフィールドならば弾幕はかなりの効果を発揮する。しかも貫通力や破壊力も上がるおまけ付きだ。

 

短所としてはスタミナをそれなりに消費することぐらい……短期決戦仕様で避けられない密度にすればどうということはない。向こうの銃器ならば弾薬が重いというのもあるだろうが、ポケモンでは一切考えなくて済むのが素晴らしい。

 

「イシツブテ! 【がんせきふうじ】で射線と後方を封じるのですわ!」

 

「ラッシャイッ!」

 

 大賀が【タネマシンガン】をばら撒いて弾幕を作りながら後退を始めたが、すぐに前、後、左、右の順に降り注いできた【がんせきふうじ】の岩石によって射線と退路を塞がれてしまう。しかも素早さまで下がった。厄介な! 

 

 岩の大きさ的にジャンプで飛び越えることはできないだろう。これはあのコンボが来るか?

 

「イシツブテ! 今の内に【いわなだれ】を!」

 

 やはりこのコンボが来たか! 例え効果が低くても、ハスボーが岩で生き埋めにされたら脱出方法がほとんどなくなってしまう。俺が恐れていたコンボでもあり、タイプ相性に頼った普通のハスボーでは回避することは難しいだろう。

 

 しかも【いわおとし】の上位互換とか言われている【いわなだれ】でそれをやるとか……1度この檻に捕まってしまえば最後、【ロックカット】を積んだ上で叩き伏せてくるはずだ。少なくともバッジ0の相手に行うコンボではないな。

 

 ――だが、だがしかしィ……この程度、想定の範囲内だよォ!

 

「させるかァッ! 大賀、正面の岩に向かって【タネマシンガン】――――スラッグショットを叩きつけろ!」

 

「!?」

 

 邪魔な岩があるなら真正面から破壊して移動する! スラッグショット――これが生き埋めになったら脱出方法がない大賀の今回の切り札だ。

 

【タネマシンガン】25発分の力を1発に無理やり込めて発射。フルオートと同じく至近距離でしか使えないうえ、力みはあるし、命中することも少ないが、真正面のただの岩相手ならばそんなことは関係ない! 

 

 それに言ったはずだ――――全ての障害を粉砕し、押し流すと!

 

 ズガンッ! と破砕音が響き、中から巨大な種のようなものと大賀が飛び出てくる。そして2テンポ遅れたようなタイミングで岩が雪崩てきた。その技を垂れ流している状態、隙だらけだぜ?

 

「大賀! 3点バースト【タネマシンガン】だ!」

 

「スボボッ!!」

 

 ガガガッ! と最初の3連射が当たり、衝撃でその場で転がり飛ばされる。続く第2射第3射もガシガシと当たってゆき、第5射目にはとうとうジムの壁に叩きつけられた。

 

「ラ……ラッシャ……イ」

 

「イシツブテ、戦闘不能!」

 

 第8射が終わると目が虚ろなまま、その場に倒れる。まず1匹目。

 

「本当に……本当に、かなりの訓練をなさっていますのね。ただ技を使うだけではなく、観察し、考察し、応用する……ただ言葉にするのならば簡単ですがそれができるトレーナーは数少ないでしょう。ダイゴさんが話題に出しただけありますわ!」

 

「え? それ初耳なんですが?」

 

 なにそれ。俺聞いてないよ、そんなドッキリ。え? まさか他のジムリーダーとかにも伝わっているの?

 

「技の応用が上手い新人トレーナーがいるとおっしゃっていましたわ。正直、そんなトレーナーが新人で現れるのか半信半疑でしたが……今ならば認めることが出来ます。あなた……いえ、キョウヘイさんは意志だけでなく行動できるトレーナーだと」

 

「過分な評価な気がしますがね」

 

「ご謙遜なさらないでください。一つの技を状況に合わせて多様に変化させ、勝利を勝ち取ろうとする。そんな新人はなかなか居ませんわ」

 

 ぶっちゃけ、俺の場合は新人に分別されていいのだろうか? 俺は言わばシミュレーション装置で戦い続けていた御大将達みたいな状態なわけだが……

 

「そして、だからこそ、わたくしは今出せる全力でキョウヘイさんを倒したいのです! 圧倒されっぱなしは性に合いませんもの! ここからが本当のポケモンバトルですわ! ダイノーズ!」

 

「グォップ」

 

 次は鼻の形が独特なあのポケモンが……あれ? 浮かんでいる? あれ? なんか進化していません?

 

「……ファッ!? ……え? ちょっとタイムしてもらっていいですか?」

 

「構いませんわ」

 

 ……え? 俺は疲れているのかもしれない。フクロウのマスクを脱いでから懐から目薬をさし、何度かパチパチしてからティッシュで拭き、マスクを被り直してもう一度見直す。思わず2度見をしてしまったが俺の目の錯覚ではないらしい。

 

「……こういう場合って普通はノズパスを出すべきだと思うのですがね?」

 

「一般トレーナー向けのノズパスでは、圧勝されてしまいそうで面白くありませんもの。元々この試合は形骸化してしまっていますし、最後ぐらいはそれなりに好きにさせてもらいます! それに先日進化させたばかりですので、技はノズパスの時のままですわ」

 

 その結果がこれですか!? 岩単体だったノズパスが進化して鋼タイプを手に入れたダイノーズ。その見かけは鼻がデカく、赤い帽子を被ったフライングモアイと言ったところか? おまけでチビノーズとかいうファンネルの一種を3機装備しており、弱点を突けないと非常に厄介なポケモンである。

 

 マジでどうしよう。頭の中が真っ白けっけですん。まるで意味がわからんぞ!

 

「グォップ」

 

「スビボ」

 

 ちくしょう。どっかの土管工みたいな顔しやがって! 大賀も真似をしない!

 

「ポケモンバトルを再開してもよろしいかしら?」

 

「あ゛ー……うっし。いいですよ。絶対に倒してみせましょう!」

 

 大丈夫のはずだ。あの技はまだこのジムでは見せていない。ここのジムに対するもう一つの切り札を最善のタイミングで切ろう。それでなんとかなるはずだ。

 

「では改めまして――――ポケモンバトルゥーーーファイトォ!!」

 

「大賀、3点バースト【タネマシンガン】!」

 

「スボボッ!」

 

「ダイノーズ! 【ロックブラスト】で迎撃ですわ!」

 

「グォッ!」

 

 大賀から放たれた最初の3発が当たりかけた瞬間に【ロックブラスト】の1発目が放たれ、最初の3発とぶつかり合って――種が弾かれる。

 

 その間にも2射目が岩に向かって飛んでゆき、着弾。岩が砕け散るがすぐに次の岩が発射される。2射で一つの岩を砕くことができるのか……最後の岩は破壊できそうにないな。

 

「大賀! 8射目を終えたらそのまま左回りでダイノーズに向かってダッシュしながら【やどりぎのタネ】だ!」

 

 今のタイミングなら先に大賀が撃ちきることができる。

 

「スボボボボッ!」

 

「ダイノーズ! 右へ旋回しながら最後の【ロックブラスト】と【でんじほう】で迎撃!」

 

 左から【やどりぎのタネ】を放つがそれも【ロックブラスト】で弾かれる。次に放たれた【でんじほう】はあらぬ方向へ飛んでいったが……【でんじほう】完備とかあいつは要塞か何かか! 

 

「ダイノーズ! 【がんせきふうじ】ですわ!」

 

「もう一度、今度はダイノーズの上に【やどりぎのタネ】をばら撒け!」

 

 【がんせきふうじ】で再度射線が封じられるが、斜めに投下するような射線を取るばら撒きで対抗する。あんまりばら撒くとPPがすぐになくなってしまうのだが、最後のバトルで悔いは残したくない。戦うならば全力で! 倒れるのならば前のめりで、だ。

 

 それに突破口がだんだん見えてきた。今のところ、意識して行っているのかは分からないが【がんせきふうじ】の岩石を降らせる順番は俺から見て前、後、左、右だ。この岩が落ちる順の隙を狙うしかないな。ただでさえ素早さが遅くなってしまっていて、反応が遅れてきているのに、合間に【でんじは】の一つでも使われたらこちらの負けだ。

 

 ――だから、そんな暇もないぐらいに攻める!

 

「! すぐに【うちおとす】で迎撃を「さらに追加でダイノーズの上に【やどりぎのタネ】をばら撒け!」まだ追加しますの!?」

 

 これが決まるかどうかで今後の行動が決まるんだよ!

 

 雨のように大量の【やどりぎのタネ】がダイノーズへ降り注ぐ。自分の近くに降り注ぎそうな種から撃ち落としてゆくが……いかんせん手数が足りない。ここまでやってようやく【やどりぎのタネ】を寄生させることができたわけだ。

 

「大賀! 右の岩石に対して【タネマシンガン】スラッグショットを放って脱出後、一度【ギガドレイン】で回復!」

 

「ダイノーズ! 回復中に【がんせきふうじ】で射線と道を塞ぎなさい!」

 

 ダイノーズから溢れ出した緑色の光を吸い上げる大賀に対して、こちらから見て前、後、左、右の順で岩石が降り注ぐ。

 

 とことん射線をなくそうとしてくるな。あとはフルオートとバックショットを警戒しているのだろう……あれだけ印象に残っているんだ。異なる技で決める気でいるなんて思ってもいないんだろうな。

 

「大賀! 【タネマシンガン】スラッグショットを真正面の岩に撃ち込め!」

 

「ダイノーズ! 【がんせきふうじ】で阻止しなさい!」

 

「ジグザグにダッシュしてダイノーズに接近しながら【ギガドレイン】!」

 

 食いついた! ――ここしかない。あとは俺達に戦場の霧が味方するかどうかだ。祈ろう。

 

 緑色の光がダイノーズから溢れ出し、接近してくる大賀へ吸い出されてゆく。それを阻止しようとダイノーズが【がんせきふうじ】で岩石を降らせる。

 

 一つ目――前。

 

 ここだ! 

 

「大賀、右に跳べ!」

 

「スボォッ!」

 

 降り注ぐ岩石を跳んで躱し、そのまま緑色の光を食らい体力を回復させる。このチャンスは一度しかない。決めようとした瞬間にツツジさんがニヤリと笑った。

 

「甘い! これでフィナーレですわ!【マグネットボム】」

 

「グウォンッ!」

 

 ダイノーズの周囲を飛んでいるファンネルから避けることの出来ない鋼の爆弾が発射され、大賀の右脇腹に張り付く。

 

 大丈夫。まだ大賀の目は死んでいない。貪欲に勝ちを欲している! 俺の指示を信じている!

 

 痛いかもしれないが耐え切ってくれよ。ここまで隠しきった奥の手の一つをここで解放する! ここで決めずにいつ決めると言うのか! 大胆に、不敵に笑いながら言葉を返そう。

 

「確かにフィナーレだ――――俺達の勝ちでな! 大賀、【カウンター】だ!」

 

 その瞬間にボガンッと重厚な爆音が響き渡り、爆発による黒煙が舞い上がり――

 

「スボォォォォォオッ!」

 

「なっ!?」

 

 ――そして、大賀の爆発の勢いを利用した左前足による【カウンター】が轟音をあげてダイノーズの眉間に叩き込まれた。

 

「グブッゥ!?」

 

 【カウンター】を食らった勢いのまま壁に叩きつけられ――起き上がらない。

 

「……ダイノーズ、戦闘不能! よってこの勝負、挑戦者の勝利!」

 

「……まだまだわたくしも学ぶ必要があるみたい……ふぅ……お見事! ですわ。」

 

「おっしゃ!」

 

 その場で軽くガッツポーズ。やり遂げたな! と褒めようと思い、大賀の方を見るが何か上を見て黄昏ている。

 

「スボ!」

 

 何を感じ取ったのかは分からないが、その場で一度大きく頷いて――

 

 ――――体から白く、淡い進化の光が溢れ始めた。

 

 進化だ。とうとう始まった!

 

 大賀は自分の殻を破り新たな自分を手に入れることができたのだ! 指揮台から飛び降りて大賀に近づく。

 

「あら、目出度いですわね」

 

「ええ。トラウマをようやく克服できたようです。自ら新たな一歩を歩む……なんと素晴らしいことか!」

 

 だんだんと淡い光が収まってゆき、新しい大賀が姿を見せる。頭には蓮の葉でできたソンブレロを被っており全体的に河童っぽい印象を受けるのだが……それよりも目が腕に行ってしまう。

 

 なんか太くないですか? 体を鍛えている俺の腕と同じぐらいの太さはある。見慣れているラテン系というよりはガテン系に見えるぞ。体も通常の個体よりも一回りほど大きい。1.4~1.5mはあるかもな。デカくなったなぁ、おい。子供のような体格というよりは小柄な格闘家の方が近い。

 

「スブロ」

 

 声も低っいなぁ。より雄っぽくなったのか? 逞しい限りである。

 

「ハッピーバースデイ! おめでとう大賀! そしてお疲れ様だ。今はゆっくりボールの中で休むといい」

 

「スブッ!」

 

 一度、大賀の頭を撫でてからボールに戻す。小さくなったモンスターボールをベルトにしまい顔を上げると、目の前にはツツジさんがバッジと技マシンを持って目の前に立っていた。

 

「すみません。待たせちゃいましたかね?」

 

「構いませんわ。善戦どころかジムリーダーの試練を打ち破ったポケモンが進化した……これを喜ばないトレーナーなんて居ませんもの! さて、改めまして……おめでとうございますわ。キョウヘイさん、あなたにポケモンリーグ公認のストーンバッジを贈呈します。受け取ってくださいますか?」

 

「ありがたく頂戴いたします。これで当分バッジケースが寂しがることがなさそうです。とても戦い甲斐のあるバトルでした!」

 

「こちらこそ。あの瞬間まで【カウンター】を隠していたのに気付きませんでしたわ」

 

 バッジを受け取ってバッジケースにしまい、右手で軽く握手をする。大賀があれだけやってのけたのだ。俺もこの程度の接触、乗り越えて見せろ! と心に活を入れながら。

 

「今渡したストーンバッジには、ポケモンの攻撃力を高める効果があります。それからこれも持って行ってください」

 

 そう言って手に持っていた技マシンを俺に渡す。

 

「その技マシン№39の中には【がんせきふうじ】が入っているわ。先程の戦いでわかると思うけれど、ダメージを与えながら素早さを下げる技なの。上手く活用してくださいな」

 

「何から何までどうも」

 

 技マシンケースの中にしまう。しまったのをツツジさんが確認すると、最後に紙を渡される。

 

「ん? これは?」

 

「わたくしのポケナビの連絡先です。時間が空いた時や、わたくしに再挑戦したくなったら連絡をください」

 

 待ってますわと言って、戻っていってしまった。アレの本音は再戦希望が7割、アクア団&マグマ団関連の情報が3割ぐらいだろうか? ダイゴさんが俺のことを話すとしたら、この辺りが関わっているのだろうし。

 

 あとはハルカがどうなるかだな……でもあの練度のワカシャモやガーディがいる時点で、バッジが貰えないなんてことはないんだろうなぁ……

 

 基本の訓練は俺がメニュー立てたやつだし、ハルカも頭をうんうん唸らせて色々と考えているもんな。

 

 今日の夜は、少しお高めで時間コース制のしゃぶしゃぶでも予約しておくか。

 

 


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