鉄血のオルフェンズ THE PROJECT REMAKE 作:梟帥
ギャラルホルンは混乱の渦中に陥っていた。
バエルに乗って
自分の身体に阿頼耶識を付けて
そして自身は孤児の養子であることや
父に性的虐待を受けて過ごしていたことを……。
そして、阿頼耶識はギャラルホルンの昔の遺産であることを暴露した結果、効果抜群だった。
そのおかげでギャラルホルンは風前の灯かつ壊滅秒読みだった……。
エントランス
マクギリスの爆弾発言によって騒ぎの渦中となっていた。
「荒れているなぁ……。
まあ仕方がないか、あれだけのことをしたんだからな?」
人が行き交い、そして慌てふためく人々を見てヤマトは呆然としていた……。
(全く、マクギリスのやろう……やってくれるぜ?)
ヤマトもまた、彼の幼少期の頃を知る数少ない人の一人だった。
ガエリオやカルタ達より少し前の幼馴染である故に、マクギリスの心情と野心に薄々感じ、そして理解していた。
(まさか、バエルを餌に爆弾宣言するなんて思わないだろうな?
そのおかげでギャラルホルンの内外に効果抜群の影響をもたらすとはな?)
「ヤマト隊長!」
「ん? ……って、お前らか?」
マークスを初め、そこにはマゼランとイリス
そしてアイリス達がいた……。
「なんだ? 揃いも揃って?」
「ヤマト、あんた
「……だから?」
「あなたがマクギリスの幼馴染だからって聞いていたけど、
「まあな、ガキの頃の付き合いだ。
っても、長いけどな……」
「…………」
幼少期、自身はマクギリスとの出会いから今に至るまで話をした。
俺とアイツとの関係や、今回の件のこと全てを…………。
「隊長……」
「今回のクーデターと爆弾発言…………。
アイツは何もかも壊したいんだろうよ?」
「孤児の頃からイズナリオと過ごした日々が、今の彼になってしまった……」
「俺はアイツを救いたかったのか、止めたかったのかは分からずじまいだ。
でも、今となってはもう……」
アイツをどうすりゃあいいのか、わからなくなってしまった……。
ギャラルホルンの内外の大打撃はマクギリスにとっては目論見目的を達している。
「それで、あなたはどうしたい?」
「……!」
「ヤマト、マクギリスのことを表裏全てを知るお前だからこそだ。
お前はどうする?」
「…………」
答えは簡潔すぎた。
口にするのも、言葉に表すのも簡単だった……。
でも、胸に抑えていた想いが口と言葉を曇らせていた……。
でも、ここで答えなければ、俺は一生後悔するだろう……。
「俺は…………」
アイツの行末を、アイツの物語のラストを……
ファリド邸
もぬけの殻となったファリド邸
そこにはアルミリアがいた。
「アルミリア……」
「お兄さま……」
アルミリアは一人、マクギリスの邸に一人いた。
帰ってこない主人を、帰るはずのない愛する男の帰りをただひたすらに…………。
「お父上には、君のことを言っている。
だが、それでも君は
「はい、私は……」
アルミリアの覚悟は、俺自身にも伝わった
少女でありながらも、胸の奥から瞳の奥にかけて
その覚悟は揺らぎのない鋼鉄の如くの意志だった……。
「……どうしても、行くの?」
「……すまない、例えお前の夫でも、こうなってしまったらもう……」
「……約束して!」
「……?」
「マッキーを、マクギリスを殺さないで!!
私の……私の大切な人なの!」
「アルミリア……」
アイツの過去を、ヤマトから聞いたのだろう……。
でも……許してくれ
その約束を叶えるのに
俺一人じゃあできない。
停泊場
「団長、みんな揃ったよ?」
「そうか……!」
停泊場には鉄華団の団員達がいた。
整列して、何が起こったのか分からずじまいの渦中に、オルガは号令を発した。
「みんな、こうして集まったのは伝えたいことがある……!」
今回の騒動に加担したとはいえ、世間の目は良くも悪くも注目の的だ。
しかし、オルガは違った……。
「俺たち鉄華団は、海賊艦隊の参加に加わることになった」
「えぇっ!?」「んなっ!?」
「聞いてくれ、今回の件。
実のところ
お前たちを巻き込ませたくない……。
それが、ヤマトが俺たちに言った言葉だった。
元々今回のクーデターはヤマトの海賊艦隊だけで十分だった、しかしマクギリスは鉄華団も参戦させるようにと言われたとのことだ。
ヤマトから見た
「この話は、俺たち鉄華団が死んだ場合の時に備えた保険だそうだ。
働き先の一つや二つを提供したかったんだろうな……」
「オルガ……」「団長……」
本当のことを言うと、この話を降りようと思ったこともあった。
だが、団員のことを考えるとなると……ミカやビスケット、そして昭弘達の"居場所"を失くすわけにはいかないと決したことだった……。
でもだからって、後悔なんてしたらキリがない
俺自身、そしてアイツらに言い聞かせるようにこう言ったんだ。
「この先どうなろうが、何が起きても絶対に止まるんじゃねぇぞ!!」
そうしなきゃ、俺らは何のために走ってきたのかわからなくなるからな…………。
だから、この先が茨の道だろうと荒廃した道でも進むと誓ったんだ……。
イシュー邸
イシューの屋敷には、ラスタル・ガラン・イオク・アストラ・カルタがいた。
「アーサー……全て話してもらいますか?」
「…………」
騒ぎの渦中、異質な空気が漂っていた……。
「アーサー様、では
「……否定はしない、全ては
「……えっ?」
「当時のギャラルホルンは
権力に固執した者たちと、イオクの父君「フェアトラエン殿」を筆頭に改革派の者たちのな……」
アーサーは語った。
自身が席にいた頃の話を……。
当時「黄金期」と呼ばれていたギャラルホルンの時代。
フェアトラエンと言う傑物がギャラルホルンをその名を聞かせていた……。
海賊退治に外交間の橋渡しにその身を捧げていた、その活発的な活動の積み重ねを経て「七星勲章」を授与されたのだ……。
「フェアトラエンの活動は世界に称賛の声が上がり、その時のお前たちはそんな彼に憧れた……。
懐かしい話よ、君たちは良く彼のもとで働いた……」
「だな? あの人はクジャン家の御曹司の若さに歴戦の兵の実力を併せ持った豪傑だったな?」
「俺たちもよく、扱かれたよ!!
特に俺とラスタルは目一杯になぁ?」
ガラン殿が一番に思い出話をした、父上から相当な寵愛を受けたのだろう……。
ラスタル様の手腕とガラン殿の実力も、お父上からのご教授によるものだということを知ると、少しお父上のことを誇らしげに思うようになった。
今の私とお父上を比べると、周囲が私を気遣うのもわかる……。
否が応でも骨身に染み渡るよ、私の愚かさを……。
「……わたしから、よろしいでしょうか?」
「……イオクか、君のことは聞いている。
ガンダムを乗れるようになったのか」
「…………はい、しかしヤマトの助けがなければ私は今頃……」
「よい、あの男と対等になれたのが驚いたよ?
……父に似てきたな?」
「…………」
「……話そうか、お前の父の死を」
「はい、教えてください!
父は
「……先に話した通り、派閥争いがあった話を聞いたな?」
「……はい」
「……父の死は、私のせいだ」
「……えっ?」
「
……奴らはそなたの父を恐れ、利用されたのだ」
「っ!? それって……!」
「……当時の彼らは己が地位と権威に固執していたため、対立していたのだ。
それ故に、奴らは私を担いで一計をもちいた……」
「……それで、父を?」
「そうだ……」
フェアトラエンの死の全貌を語ったアーサー。
対立の全貌と謀殺に至るまでの全てを……。
「…………」
「許せ、イオク。
もっと私が力があれば、お前の父を守れたかもしれん……」
「…………」
「アストラ……?」
「アーサー様、よろしいですか?」
「アストラか、どうした?」
「腐敗貴族の謀り……アーサー様を担いだ…………」
!?
「…………」
「兄上の死も、あなたが?」
「……私の場合は利用されただけだ。
我が地位と権威を傘にな……」
「では、アフリカユニオンの悲劇は……」
「私の権威を利用して、ストラドスを謀殺したのだ。
私は腐敗共の格好の道具のようなものだ……」
「父上……!」
「じゃが、マクギリスめがバエルを動かした上に阿頼耶識と内情全てを暴露した。
こうなってはもう誰にも止められない、誰が勝とうが負けようがギャラルホルンはゆっくりと壊滅する、立て直しは不可能じゃ……」
一見すれば、物悲しそうに語るその
ギャラルホルンの最高権力と地位に縛られたが故か、今回のクーデターを喜んでいたのだろう……。
仮に今打ち明けてたら騒ぎが大きくなるだけだ、ガランはその後本部を去り、各経済圏の調査に行った……。(曰く情報収集)
イオクとアストラは持ち場へ戻り、今後の対策に活動を開始した。
カルタは父に寄り添う形に残った……。
ヤマト、おまえはどうする?
次回
決闘という名の決算