一難去ってまた一難……とでも言うべきか。チャンドラーの次に姿を現したのはゼッパンドン。かつてはあのウルトラマンオーブを退けた強敵だ。さらに一度、オーブと共闘し融合大魔王獣と対峙した際、その肉体を焼かれた。以後確認されることはなかったのだが、この長い時を経て再び出現。セブンガーと交戦中である。
「次から次に……どうなってるのよ……」
「さあな。今はとにかく逃げないと!」
「おい! 君たち!!」
途端、男の声が聞こえてくる。タクティカルベストを纏い、白いライフルを手に持つ姿。ストレイジの隊員であることが推測できた。
「君たち大丈夫か?」
「はい」
「……! あなたは……ストレイジ隊長の……」
至近距離で見て確信した。おそらく、ストレイジの中では一番テレビに映るであろう人物だからだ。正太は笑って頷く。しかしそれは数秒のみ。すぐさま仕事の顔へと戻り、避難場所への方向を示す。
「お嬢さん、こっちに避難所がある」
「わ、わかりました。ありがとうございます! ほら、あんたも!」
手を引かれて逃げる直前、男に肩を掴まれ止められる。始もすみれも、何事かと男を見つめる。彼は右手に持ったそれを始に手渡した。
「拾ったんだけど、これは君の?」
地面を幾度か転がったからか、白い汚れがあちこちに目立つがそれは始が落としたバックパックだ。彼は手に取って礼を言う。
「もう落とすなよ?
「……はい。ありがとうございます!」
すぐさま2人は逃げていく。そんな彼らの背中を正太は見送る。正確には少年の方に視線を注いでいたのだが……。そして即座に怪獣の方へ視線を向けた。
「晶子、至急離脱しろ!!」
無線で呼びかけるが、正太の声は届かない。
食らいついていたセブンガーだったが、ゼッパンドンの容赦ない火球がボディを幾度となく傷付け、終いにはバッテリー切れで敗北を喫してしまう。倒れたセブンガーからは晶子の声も聞こえなかった。中で気絶してしまっているのだろう。
「マズいな……」
正太はセブンガー目掛けて跳躍。その飛距離は人間の限界を軽く超えていた。
「すみれ、先に逃げてて!」
一緒に走る中、始はすみれに伝える。無論、それを了承してくれる訳がなかった。
「何言ってるのよ! あんたさっき死にかけたのよ!?」
「それもわかってる。でも俺にはやらなきゃいけないことがあるんだ! さっきすみれが俺を助けてくれたように今、この時に……俺にしかできないことが」
足が止まる。すみれの目に映る始の姿は、途轍もなく真剣な表情をしていただろう。だからなのか、すみれは諦めて手を離した。
「ほんっっっとあんたは……わかった。でも、絶対に戻ってきなさい」
「うん。ありがとう、すみれ」
「もう、早く行きなさいったら行きなさい!」
始は頷くと、一目散に駆け出していく。そんな彼の背中を、すみれはただ無言で見送った。
「……!」
ゼットライザーを起動させ、光のゲートを潜りゼットと合流。開口一番、ゼットは始に問いかける。
『今までどうしていたんだ始!?』
「ごめん、瓦礫に巻き込まれてゼットライザー落としちゃった」
『ウルトラヤバいな。大丈夫だったか?』
「ああ、なんとか。それよりも怪獣を!」
『そうだな。ウルトラ気合入れていくぞ!!』
*****
「晶子! 大丈夫か晶子!!」
ハッチを開け、彼女に呼び掛ける正太。けれど気絶しているため反応はない。すぐに病院へ運ばなければならないが、目の前にはゼッパンドンが迫っている。
「クソ、誰に許可貰ってその姿で暴れてんだ!!」
レーザー小銃で威嚇。しかしあまりにも無力だった。
「……」
正太は胸元にある”何か”に触れる。だがその表情は酷く葛藤していた。その葛藤が命取りだったか、ゼッパンドンの口から膨大な熱量が溢れ出した。
「しまった……!」
火球が再度セブンガーへぶつかる瞬間、眩い光りが空から舞い降りた。
《ULTRAMAN Z ALPHA EDGE》
ウルトラマンゼットが火球を弾き飛ばし、彼らを守ったのだ。
「ハハ……おせーよ」
ゼットと正太は一瞥。そして巨人は合体魔王獣へと走り出し戦いが始まった。目の前で繰り広げられる光景に、過去の記憶が呼び起こされる正太。しかしのんびりと観戦している場合ではない。
「結衣、晶子を救出した。位置情報を送るから至急救護班を呼んでくれ」
『了解!』
正太は晶子を救出、戦闘区域を離脱していく。
「ゼット、この怪獣は強力だ。注意して掛かろう……!」
『始、あの怪獣を知っているのか?』
「資料だけなら。でも、当時のオーブを苦戦させたって聞いてる」
腕の攻撃をブロックし、胸元に正拳突き。続いて滾った脚で吹き飛ばす。まずは挨拶だ。距離を測り、相手を見据える。
するとゼッパンドン、どす黒い闇を撒き散らして姿を消した。
『またこの手の奴か!?』
背後に姿を現し、鋭い右腕の爪で体を抉り、紫の光線がゼットを吹き飛ばす。
「ってぇ……」
『ウルトラむかつく野郎だぜ……』
転がった姿が面白かったか。笑うような素振りの後、かかってこいと挑発。こちらの事を随分と弱く見ているらしい。
『その挑発……』
「乗ってやるよ!」
ゼットは地を蹴り、再び距離を詰めていくのだった。
「ここで休んでろ。よくやったよ」
晶子を木陰に寝かせ、位置情報を送る。これで救護班によって晶子は病院に搬送されることだろう。
「……にしても妙だ」
正太はゼッパンドンとゼットの戦いを見守りつつ、思考を巡らす。
ゼッパンドンを始めて生み出した時、マガオロチの尻尾とゼットン、そしてパンドンをダークリングの力によって融合させ生み出すことができた。それ故に天然で発生することはないに等しい。だが実際問題、目の前で暴れている。
「誰かの手引きか……」
今はそう結論付けるしかない。だがマガオロチの力をどのようにして手に入れたのか、疑問は尽きない。
「……あれは」
考え込む彼の目にある姿が映る。こんな非常時にフラフラと歩く姿がまず異常だ。また彼の超人的な視力によって捉えた姿は、明らかに地球人のものではなかった。紫の髪に赤と銀の服で覆われた緑の肌……。
特徴が一致する存在を、正太は知っていた。
「追ってみるか」
気付かれないよう、素早くそれでいて静かに尾行を開始した。
『そのままウルトラマンを殺せー! ハハハッ、実験に付き合ってやるのも悪くねえな!!』
ゴース星人シェバ、彼の胸中は歓喜の感情でいっぱいだっただろう。圧倒的な力でウルトラマンを追い詰めるゼッパンドンを前にしているのだから。
緑の作業服に身を包んだ男、何を考えているのか不明確で信用ならなかったが、しっかりと力を与えてくれた。今はそれだけで十分だった。
『今日がウルトラマン最後の日だな』
ウルトラマンがいなくなれば、太刀打ちできる者はもういない。地球にも防衛力があるらしいが、所詮は人間。こちらの力には遠く及ばないだろう。
勝利を確信した彼だったが、唯一心残りがあるようだ。抱いたカプセルを撫で、ひっそりと呟く。
『オーブの槍で、アイツを串刺しにしてやりたかったな』
「おいおい……追ってきてみれば、随分と面白そうな物を持っているじゃないか?」
『な、なんだ貴様!?』
背後から近付く声に警戒し、ゴース星人シェバは威嚇。だがその正体に唖然とする。だってその姿は自分たちには遠く及ばない存在……地球人だったからだ。
「誰だっていいだろ。それよりお前は……やっぱりゴース星人か」
あり得ない。目の前の人間を前にして言葉を失う。
普段であれば地球人の戯言と一蹴し、八つ裂きにしてやるところだが今はそれが出来なかった。目の前の地球人から放たれる圧が尋常なものではなかったからだ。
『い、一体なんなんだ貴様は……』
「だから誰だっていいだろ。それに、お前のせいで大事な部下が危険な目に遭ったんだ。……タダで済むと思うなよ?」
格好は何処から見ても地球人そのもの。けれど男が持つ剣……それには見覚えがあった。いや、正確には似たような姿形をしたものを……だが。
『そうだな。誰だっていいよな。今から死ぬ奴のことなんて!』
圧に押されているだけではいられない。覚悟を決め、ゴース星人は攻撃を開始する。しかしを華麗に躱し、がら空きの腹に膝を打ち込んだ。前のめりになって近付いた顔面を裏拳で飛ばし、前蹴りで地面に転がせる。
『この────』
起き上がる前に剣を地面に突き立てて威嚇。顔を近付けて問いかける。
「あの合体魔王獣は誰の仕業だ。答えろ」
『ヘッ、誰が教えるかよ。地球の味方なんかしやがって』
「今僕は虫の居所が悪いんだ。早く答えた方が身のためだぞ」
しかしシェバは答えない。代わりに返ってきたのは笑いだ。
「何が可笑しい……?」
『お前が誰か……思い出してな。さて、今のお前に何ができる? 碌に変身も出来ないお前に』
黙る正太。その隙にゴース星人は彼を蹴飛ばし、体制を立て直すことに成功した。
『それじゃあさらばだ。アオ────』
唯一誤算があったとすれば、彼は正太が手加減しているということに気が付かなかったということだ。変身ができないのは過去のダメージのせい。故に戦闘力も鈍っている……と。だがそんなことはなかった。逆に、変身時ではなく青影正太の状態で比べたら、今の方が強い。
「はあ……」
ゴース星人シェバが何を言おうとしたのか、最後まで聞き取ることはできなかった。代わりに聞こえてきたのは、頭が胴から離れて落ちた音。
黒い剣についた血を振り払い、正太は星人の右手に握られているカプセルを奪う。
「情報を聞き出そうと手加減してやったのに、随分と舐められたもんだよ僕も……ってか情報伝わるの早すぎだろ、何で知ってんだよ」
ぶつくさと文句を言いつつ、辺りにまだ敵がいないか確認する。しかしもういないようだ。相変わらず、ゼッパンドンとゼットの戦う音だけが響いている。
「けど真相はわからず仕舞いか」
結局、何の情報も引き出せなかった。
せめてもの収穫として回収したカプセルに目を落とす。中にある青い槍を見つめ、懐かしさとも、鬱陶しさともとれる視線を向けた。
「うわっ、またこの槍を見る事になるなんて……あ〜、嫌だ嫌だ」
『隊長、晶子は病院に無事搬送されたそうです!!』
すると無線から結衣の声が流れてくる。晶子は搬送され、命に別状はないらしい。無線越しからも結衣が安堵しているのがわかるし、正太自身ホッと胸を撫で下ろしていた。
「了解だ。こっちは引き続き現地で避難誘導を続ける」
『了解です。隊長も気を付けて!』
無線が切れると、正太はゼッパンドンと交戦を続けるゼットを見上げる。もやれることはない。後は彼らに任せよう。
「さあどうする? ウルトラマン」
*****
ゼットは回転の勢いを借り脚を振り下ろす。しかし攻撃は空を切り、姿は見えなくなる。となれば即座に精神を集中させ、ヤツの気配を感じ取る。
『「……!』」
死角から繰り出された尻尾を掴むも、頭の両端にある器官から放った光線が直撃。よろけ、放してしまったその隙に火球を数発撃ち込まれた。
「ならこれならどうだ……!」
受け身を取って起き上がると同時に放ったゼスティウム光線。狙いは鋭く、直撃であろうものだった。しかし────
「なっ……!?」
ヤツは目の前で六角形のバリアを展開し、光線を防いだのだ。
単純な力と硬いシールド、そして身を焦がす程の火球や光線。どちらともに隙が無い。時にウルトマンと戦い、時にウルトマンと共に戦った怪獣。オーブを苦戦させた強敵。それを自分たちが倒せるのか……疑念と焦燥は体を駆け巡っていく。
『ウルトラ強ぇ……』
考える暇など与えずゼッパンドンが幾度目かの火球を飛ばしてくる。脚や胸に被弾。軽々と両者の距離は開き、ビルを巻き込んで地面に叩きつけられる。
「くそ……!」
カラータイマーの点滅。残り時間もわずかしかない。
「……」
焦燥と疲労の中で、始が思い出したのは先ほど瓦礫に挟まれていた時。
気付かせられたはずだ。自分の出来る事をただひたすらにやるのだと。
そして始はもう一度問う。自分に何ができるのか。そして何をしなければいけないのか。勝てるかどうかを考えるのは今することじゃない。ここに立っている、自分たちがやらなければいけないことを。
「……俺たちはどんな時でも、どんな相手でも最後まで諦めない」
自分たちよりどれだけ大きな存在だろうと、逃げることなく立ち向かう。防衛隊の様に、オーブの様に。そして足掻いて足掻いて、命尽きるその瞬間まで可能性を捨てない。それが……
「それが怪獣退治の専門家だ!」
『ああ……ああ、そうだな始! それがウルトラマン……俺たちだ!!』
始とゼットの心が1つになった時、奇跡が起きる。
「これは……」
正太の持つカプセルが光を発し、なんとウルトラマンの元へと向かっていく。
カプセルの力によって縮小されていた筈なのに、その力をものともせずに破壊。槍はみるみるうちに巨大化していく。その形は正太だけでなく、始にも見覚えのあるものだった。
『なんだ?』
「この槍……!」
『知ってるのか始!?』
「ああ。ウルトラマンオーブが使っていた武器だ」
『そう言うことか。だから今、俺の光と共鳴しているのかもしれない』
始とゼットにはわかる。光り輝く神器がこちらに語りかけていることが。自分を使えと語りかけている事が。
「ゼット!」
『ああ! この力、有り難く使わせて貰っちゃいましょう!!』
ゼットが掴むと、2又の槍は切っ先から半月状の刃を形成し全く新しい形の武具へと変化した。全体を見れば確かに槍だ。しかし、その先端はまた別の武具……弓のようにも思えた。
「形が変わった……なんで?」
『俺にもわからない。けど、コイツの使い方はわかる。わかっちゃいます!!』
ウルトラマン同士の光が成した技、あるいは奇跡なのだろうか。今はわからない。けれど目の前で悲劇を生もうとする怪獣を倒す力になってくれる……それだけは確実に言い切れた。
『「おおおおォォォォォ!!』」
地面を蹴り上げ、ゼッパンドンに刃を突き立てる。
新たな武器の登場に動揺しているのか、対応が遅れて胸元から火花が散る。途端、先程までは余裕の表情であったヤツから揺らぎを観測した。
『いくぞ始、反撃開始だ!』
「ああ!」
武具から自身に流れ込む使い方を頼りに、備えられたレバーを1度引く。
真ん中の球体が回転。周りの空気を取り込んで灼熱の業火となり武具に迸る。炎の軌跡で描いたZの文字。2人は前方の怪獣を見据え、力強く撃ち出した。
『「ゼットランス……ファイヤァァァァァ!!』」
飛ばされた斬撃は高速回転しつつ疾走。張られたゼッパンドンシールドを容易く弾き飛ばし、体にZを灼きつけ爆砕。
『この隙にありったけの攻撃を叩きこむぞ!』
よろめく怪獣へ肉薄。突きが、斬撃が……これでもかという程繰り出される。振り下ろされた腕を柄でブロック。腹部に横蹴りが撃ち込まれ怯むゼッパンドン。ゼットはガラ空きの胸部目掛け跳躍。全体重をかけた渾身の突きをお見舞いする。
「こいつで……!」
レバーを2度引く。
出現したのは灼熱とは対極に位置する極寒の氷塊。左手で柄部分を添うように氷の矢を引き絞っていくと、淡い青色が周囲に散っていく。
次に受ければ確実に倒れる。確信を持つゼッパンドンは即座に火球を生成。ゼットを焼却すべく放つ。しかし殺到する炎など、今のゼットと始には恐るに足りなかった。
火球の先を睨みつけ、全力の叫びと共に矢を解き放つ。
「『ゼットアイスアロォォォォォ!!」』
大威力で放った火球を消し飛ばし、矢はゼッパンドンを穿つ。即座に全身が氷漬けとなり、内側から膨れるようにして爆散していくのだった。
「や……やった……」
『ああ、ウルトラマンからの贈り物。コイツのお陰でございます』
「ウルトラマンからの……オーブからの贈り物……そうだね」
再び平穏の戻った空に、いつものようにZの文字が刻まれた。
「ウルトラマン同士の力が引かれあった、ってところか……面白いな」
空を見上げる正太は呟き、現場の後始末へと向かう。
「……色々確かめる必要がありそうだ」
ウルトラマンの再来と宇宙人の暗躍。そしてゼッパンドンの出現。
この星で一体何が起きようとしているのか……その全貌未だ謎のままである。
*****
「約束通り、戻ったよ」
「当たり前でしょ」
しばらくして平穏が戻る。壊された街は、すぐさま復旧作業へと入る。倒れてもまた建て直す。そのようにしてこの国はここまで積み重ねてきた。いつもと変わらぬ一幕である。
始はすみれと合流し、今度こそ家に帰ろうと歩いている。
「私、やっぱりあんたの生き方は歪だと思うわ」
「……そっか」
「でも……今はいい。それと今日少しだけ、あんたの……始のことわかった気がするわ」
夕日が顔を照す。オレンジ色に負けないくらい綺麗な緑色の瞳で、すみれは始を見る。
「俺のこと?」
「ええ、ほんと危なっかしい奴だってことがね」
「……これからは気を付ける」
「そうしなさい。あの調子じゃ、かのん達も身が持たないわよ」
危なくて目を離せない。今日始に抱いたのはそれだ。だけど、だけど偶に見せる凛々しく頼もしい表情を持っていることもわかった。
「あと始、あんたはもう少し我儘になりなさい」
「我儘?」
「そう。相手の事も大事だけど、まずは自分に目を向けろってこと」
彼にはもう少し、自分のことを気にしてほしい。だけどすぐには無理だ。だから少しずつ、彼が自分を見れるようにしていこう。そう思ったのだ。
「わかったよ」
「本当にわかってるの?」
「早速我儘言っていいか?」
「意外ねこんなに早く……まあいいわよ」
始の我儘はすみれにとっては封印したいものであった。
「グソクムシの動画見せてくれ」
「バッ、な、なんであんたも知ってるのよ!」
「かのんが言ってたんだよ。可愛いって。俺も見たいなって思ってさ。ちょうどいい機会だろ?」
「嫌」
「は? すみれが我儘になれって言ったんだろ!?」
「嫌ったら嫌なのよー!!」
建設作業の音と共に、すみれの声が夕方の街中に響いた。
「グッ……ガハッ! ゴホッ!!」
どこかの路地裏。ゼットン星人フィゾーは体のダメージに苦しんでいた。
想定外だ。あの武器が……オーブの武器が力を貸すなどと。あれがなければこちらが勝てていた筈。悔しさをぶちまけたいが、体が言う事を聞かない。這って逃げてくるのもやっとだったのだ。
「シェバめ……あんなものを持っていくからだ……」
「酷くやられたな」
「お、お前は……」
顔を上げると、そこにいたのは冠木。
「アレは事故だ。シェバが余計なことをしなければ勝てていた。次はより強力な怪獣で……」
次こそはとフィゾーは語るが、冠木の表情は変わらぬまま。
「いい実験結果が得られた。感謝する」
「ま、待て!? まだ────」
冠木はビートル隊のピストル、スーパーガンリボルバーでフィゾーを撃ち殺した。装弾数5発をすべて使って。そして死体からゼットライザーとメダルを回収し、その場を去る。
彼の言う実験とは何か。その果てに何を行うつもりなのか。冠木は……いや、”その中にいる者”は語らない。今はまだ。
今作におけるゼットランスアローは「オーブスラッガーランスがゼットの光の力で変化したもの」という独自設定で行かせていただきます。
青影隊長、今は変身できないみたいです。一体何にだよって話ですが。