Superstar-Z   作:星宇海

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第51話 告げられる課題、どうするセンター

 

「すみません……っと、ここらにしようか」

 

 多くの生徒が集まっているのは区の大ホール。人込みをかき分け、Liella!の5人と始は席へ座った。ここで行われるのはラブライブ地区予選の説明会だ。故に周りにいるのは高校生ばかり。制服もそれぞれが異なっていることからも、他校の生徒であることは間違いない。

 

「やっぱり人多いね……」

「今年は史上最多。過去最大の大会と言われてイマスカラ……!」

「これだけの数……競争率はかなり高そうですね」

「だね。地区予選の前にふるい落としがあるっていうのも噂じゃなさそうかも」

 

 ラブライブ。スクールアイドルの頂点を決めるその大会は、ある伝説的なグループの出現後にそのレベルが一気に跳ね上がった。それはスクールアイドルの数が増えたことにも起因している。年を追うごとに数も、そしてレベルも天井を知らないかのように上昇を続けている。そして今年も例に漏れず、過去最大数と呼ばれるエントリー数となったのだった。

 そしてこのようにエントリー数が多い場合、まことしやかに囁かれている噂があるのだ。……地区予選の前に“ふるい落とし”がある、というものだ。その噂が誠なのかを知るためにも、こうやって説明会に足を運んだ訳である。

 

「一体どんな方法なのかしらね。勿体ぶらないで教えなさいったら教えなさい」

「これからわかるよ。きっと」

「きっとじゃ困るのよ!」

「ごめんごめん……!」

 

 すみれは始の襟元をしっかりと掴み詰め寄っている。彼はすぐさま降参と謝罪の意をもって両手を上げる。

 

「ったく……」

「始くんも変なこと言わないで!」

「悪かったって」

 

 彼らが席に座り、幾ばくかの時間が過ぎる。場内のアナウンスと共に辺りが薄暗くなる。そして拍手と共にステージに現れたのは1人の女性。どうやら説明会の司会者のようだ。

 

「さて、毎年大いに盛り上がる地区予選ですが、エントリー数が多く、全てのグループに歌ってもらうには困難と判断しました! そこで今年は、各地区ごとに“歌の課題”を設定することになりました!」

「……課題」

「これか……ふるい落としって」

 

 司会の発表に周りがざわつく。出された課題を歌に盛り込み、大会で披露する。ただでは始まらないとは誰もが思っていたが、初端から困難を極めそうな内容だ。

 

「この東京南西地区は渋谷を含む流行の最先端地区! という事で課題は~~こちら!!」

 

 スクリーンに表示されたその課題に一同が固まる。

 

「ラップ……?」

「え、あの……Yo!とか言うやつ……?」」

「他に何があるんだ……」

 

 今回のルールは明確。各グループは必ずラップを曲に入れてそれを披露すること。ラップが入っていない時点で即失格。つまり一回戦のステージにすら立てない。初戦から容赦のないふるい落としが始まっているようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

*****

 

「Hey! Yo! 私の名前は澁谷かのん! 澁谷といっても渋谷は苦手! ……ダメだ言葉が出てこない」

 

 説明会を受けた翌日。早速部室でラップを披露することとなった。誰が一番ラップを歌えるのかを測るためだ。ラップができなければ曲を作ったとしてもライブが出来ない。激戦区となるこの南西地区を突破するどころか、一回戦敗退……なんてことにもなりかねない。そんな理由からラップを披露しているのだが、かのんは言葉が出てこず終了。

 

「ラップはもともとストリートから始まっているからね」

 

 千砂都の言うように、ラップが生まれたのは70年代後半のニューヨーク。レコードで再生した曲の上へ言葉を乗せていたというのが始まりらしい。そしてラップはビートに言葉を乗せ、(ライム)を踏む。口語に近い抑揚をつけたり、或いはつけなかったり。そして自分の中にある不平不満や夢、想いを表現する手段としても使われているとのことだ。とはいえなかなか簡単にはいかないのが世の常だ。韻を踏むには多くの言葉を知っていなければいけないし、即座に繋げていく瞬発力や発想力も必要だ。始も稀にテレビや動画で見かけることがあるが、やれる気がしないというのが本音だ。

 

「ということはそれが正式衣装……」

「いやこれは違うでしょ。……それどこで借りてきたの?」

「演劇部だよ」

「なんでも持ってるのなあそこは!」

「成程、だから予算申請が他の部より高かったのですね」

「恋、ちゃんと見てあげて!」

 

 他とは異なる心配をしている恋から話が若干逸れてしまったようだが、かのんは構わず千砂都の方へ顔を向けた。

 

「やっぱりちぃちゃんがやってよ。歌と違って難しいよぉ……」

「わかった。ダンス教室で少し習ってたから、やってみるね」

 

 選手交代。次は千砂都の番。すみれがスマホを操作すると、軽快なビートが場に流れ出す。

 

「Hey! Yo! 私千砂都、嵐千砂都! 生まれはこの辺、特技はダンス! 嵐を呼ぶっすちぃちゃんダーンス!!」

 

 ラップを放り出してバックスピンでフィニッシュしてしまった。千砂都曰く、どうしてもダンスの方へと意識が向いてしまうというのだ。踊る側として接してきた故か、体がそちらに反応してしまうのだろう。

 

「千砂都さんはダンスで他のグループに差をつけてほしいので、この役には不向きではないかと……」

「じゃあ……」

 

 発言者たる恋へ視線が向けられる。

 

「……!? 私は無理です! まずラップも良く知らないのですから!!」

「大丈夫大丈夫」

「ものは試しってことで」

「でもどうすれば……」

 

 不安気に見つめる恋へ、かのんがキャップ帽を被せ、千砂都がサングラスをかける。韻を踏んで思ったことを言えばいい。加えてまずはラップで自己紹介をすればよいとアドバイスを送った。初めての経験に頭を悩ます彼女だったが、思い立って筆ペンと短冊を持ち出した。かのんと千砂都、そして始は呆気にとられる。

 

秋茜 歌にいざよう 葉月恋 想いはいまだ 十六夜なり

「それは俳句……」

「短歌です! 韻を踏めと言ったではないですか!」

「言ったけども……」

 

 因みに躊躇するという”猶予う”と16歳である彼女の”十六夜”を掛けているらしい。……のだが、彼女の説明を聞き終える前にすみれの声が割って入った。

 しかし困ったことに恋でもダメな様子。つまるところはとかのんは可可へ声を掛ける。しかしラップは中国語。聞き取れる筈もなく終了という結果に。

 

「じゃあ残るはすみれちゃん?」

「無理デス! 大切なラブライブの最初の課題でスヨ! 他よりポテンシャルが低い人に任せる訳ニハ……」

 

 可可の言葉が癇に障ったのだろう。そこまで言われて黙っていられる筈もなく、すみれは軽快なビートを流し出す。

 

「Hey! Yo! お見知りおきに自己紹介! でも結高の皆にしとこうかい! 私の名前は平安名すみれ AB型の神社の娘 Hey!!」

「マジデスカ」

 

 歌いきった。すみれの華麗なビートは5人を見事に打ち抜いた。目を丸くするしかない状況だった。即興での自己紹介をラップで行うアドリブ力。彼女の実力はかなり高いところにあるのだという事をまじまじと見せつけられた。

 

「これでも小さい頃からショウビジネスの世界で場数は踏んでいるの。アドリブなら負けないわ!」

 

 頼もしい。もはやそれしか出てこない。彼女のそれを見せられて、反対する人間がどこに居ようか。

 

「……」

 

 始とかのんは顔を見合わせる。それは意見の一致という事を暗に示していた。

 

「よし!」

「じゃあ!」

 

 すみれが見せてくれた即興のラップ。あれを聞かせてくれた時点で、もう答えが出ているも同然だった。そして始とかのんの声音が重なるのも当然といえた。

 

 

 

 

 

「……で?」

「「……で?」ではありませんよ。すみれさんが歌わなくては始まらないのですから」

「その前に1つ確認して良いかしら?」

「どうしたのすみれちゃん?」

「こ、この位置って……」

 

 屋上へ移動し、早速フォーメーションを確認。さらに今回は軽く動きをつけつつ歌うところまで通してみる。……のだが、すみれは自分の立ち位置に戸惑いを隠せない様子。対して4人は、その場所について当然と言わんばかりの表情。1人はまだ納得いってないようだったが。

 

「センターだよ」

「ええええ!? わ、私がセンター!?」

 

 すみれは聞き返す。どうやら自分がセンターということに驚いているみたいだ。課題のラップを披露するのは一番目立つところでなければと千砂都。

 

「え、今……?」

「だ、だって私よ? 私がセンターよ!? 良いったら良いの?」

「良いからセンターに立って貰ってんだ」

「始まで……で、でも……」

「やはり変えた方が良いのではナイデスカ?」

 

 棘のある可可の声。納得いかないまま話が進み、且つすみれも消極的だから彼女は余計に苛立っているのだろう。恋からその発言の真意を尋ねられると、可可は答えた。

 

「コノ人は今まで真ん中に立つことができずにここまで来たノデス。それはやはり向いてないカラデハ?」

 

 センターに立った経験がない。それはすみれが”魅せる”という役割に向いていないという、何よりも証拠なのではないかと。スポットライトを浴びてても、その光に負けることなく輝き続ける。そして多くの人を惹きつける”見えない力”……その欠如。だからセンターに立つことは出来なかった。故に今回も。

 

「それを言ったら私だって歌えなかったよ?」

「私もステージに立って歌う事が初めてに近いですし……」

 

 可可の指摘は、すみれだけでなくかのんや恋にも刺さるものであった。かのんはこれまで人前で歌えなかった訳だから、無論アイドル活動のようなことは出来なかったしセンターに立ったこともない。恋は以前の学園祭で立ったものの、これから挑むラブライブのような”勝負事”となると話は別だ。

 2人の言葉に返そうとするが言葉が出てこない。そこへかのんは優しく語り掛けた。

 

「今までは今まで。大切なのはこれからだよ」

「そうそう。Liella!と同じで、これから色々始まっていいんじゃないかな?」

「ま、まあ……お二人がそう言うのでしタラ……」

 

 かのんと千砂都に言われたのなら、もう納得せざるを得ない。……とは言ってもまだ煮え切らない感情が渦巻いているようで、すみれの方を睨む。

 

「兎に角、センターに立つ以上は真面目にやるノデスヨ! スクールアイドルを甘く見たら象徴シマセン!」

 

 再度釘を刺すようにすみれに言い放つ。対してすみれは言葉に力がない。普段であれば自信満々に返している筈なのに、今日はその勢いが感じられなかった。

 

「わ、わかってるわよ! ショウビジネスの世界を生きてき───「それが甘く見てイルというノデス!!」

 

 明らかに気圧されている。いつもは対等にやり合うのに今は可可の方が上。センターだと話になってから、すみれは妙にしおらしい。今年のラブライブは特に難関。本気で頂点を目指す気持ちが揃っていないと勝ち進むことはできない。可可は正しい。でも、ただ言われるがままのすみれを見ていた始は、堪らず口を開いた。

 

「クゥクゥ。……もうその辺にしとけ」

 

 始の若干低くなったその声に、可可をぴたりと止めた。彼は静かに歩み寄る。その時、何故だか空気が少しだけ張り詰めていくような気がしたのだ。

 

「ラブライブが大事なのもクゥクゥが言いたいこともはわかる。でも……」

 

 一拍。間をおいた彼の視線はすみれや可可へ向けられた。鋭い目だったが、でもそれは責める訳じゃない。

 

「すみれがラブライブを甘く見ている、ってのは違うと思うぞ」

「始……」

 

 可可もわかっている筈だ。だって、あまりにも最初の印象が強すぎてずっとそこに引っ張られていることを。それが今、ラブライブという大事な大会と、その最初の曲でのセンターをすみれが務める……という事で気持ちが暴走してしまっていることに。

 さらに始は続ける。

 

「それにすみれは……これまで一緒に歌ってきた。その時間があるだけで、“向いてない”なんて言わせる気はないよ」

 

 落ち着いた声だった。けれど言葉は重く、そして深く入り込む。

 

「す、すみマセン……始。ちょっと言い過ぎマシタ」

「俺も……悪かった」

「なんであんたが謝るのよ……。でもクゥクゥの言ったことも、わかってるから」

 

 彼の冷たく落ち着いた声に最初は驚いた。でもすみれをどう捉えているか……そんな彼の一部が知れたようで嬉しかった。同時に照れくささも溢れる。だから彼の信頼に答えたいと思う。けど頭の片隅で思うのだ。……彼は誰にでもこうなんだろうと。

 

「けどすみれにも突然だったよな。うん……まあ、少し整理してみてよ」

「ええ……そうするわ」

 

 練習が再開する。フォーメーションは明日以降として、基礎練習で固めることにした。息を上げながらも動きを刻み込み、汗を流す。先ほどの張り詰めた冷たい空気は薄れていくが、それでもどこか余韻が残っている気がした。

 そんな練習の合間、かのんは始の横にそっと立つ。

 

「始くん、さっきのちょっと怖かったよ?」

 

 小さな声で言われたそれは、責めるわけではなかった。でも心配故に発した言葉。それを聞いた始は一瞬だけ目を伏せる。

 

「ごめん。でも……決めつけられるの、俺苦手だからさ」

 

 どこか沈んだ重さがある声音。けど、かのんはそれ以上聞かなかった。何故だか聞いてはいけない気がしたからだ。そして夏空始の苦手なものが、なんとなく皆に伝わった気がした。

 しばらくして練習が終わる。それは嫌な終わりではなく、前に進むための静かな始まりで。けど、始の中ではどうも……後悔が残ってしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

*****

 

「そんなに心配?」

「イイエ、そういうワケではありまセンガ……」

 

 練習後。かのんの家(喫茶店)に集まった可可達。しかし可可の表情は未だ晴れず、心配だった千砂都は声を掛けたのだった。因みに始とすみれはこの場にはいない。

 可可は目の前のカップに視線を落とす。注がれた液体に反射した彼女の顔。それは自分でも驚いてしまうくらいには沈んだ表情だった。

 

「すみれさんはこれまでセンターを経験したことはないのですか?」

 

 恋は3人に尋ねる。あれほどまで自信家であるすみれが、センターの話になるとあんなにも弱気になってしまうものなのか。彼女も驚いているのだろう。その問いに答えたのはかのん。結成時からいた者、そして似た気質を持つ彼女が答えた。

 

「いつもは”自分が前に出る”みたいなことを言うけど、いざ渡そうとすると私とかちぃちゃん、可可ちゃんに振ってくるし……」

「やりたくないのでしょうか……?」

「ううん、多分……自信がないんだろうな。今までの事があるから」

 

 すみれはこれまで、主役ではなく脇役として選ばれることが殆どだった。それがいきなり渡されたセンター(主役)というポジション。それが自分に務まるのかわからなくなってしまっているのだろう。脇役だった自分がセンターに立ったら、前に出たら……ライブを、パフォーマンスをぶち壊してしまうのではないか。台無しにしてしまうのではないか。無意識の内に思っていたそれが今、スクールアイドルを初めて表に出てきてしまった。だからセンターを任せられても……怖くなる、自信がないのだと。けれどかのんはでも、と続ける。

 

「この5人で、本当に勝とうと思ったら全員が同じくらい力を見せて、全員がセンターだって気持ちがないとだめだと思う」

 

 そしてかのんは可可にも声を掛けた。

 

「クゥクゥちゃんも、すみれちゃんを信じてみてよ。本気を出せば、誰も敵わない力を発揮すると思うんだ」

「信じる……デスカ?」

「そう、ああ見えて気にしてると思うんだ。スクールアイドルでクゥクゥちゃんを怒らせちゃったこと」

 

 最初に会った時、すみれはスクールアイドルの事を誤解していた。故に下に見るような発言をしてしまった。思えば可可の当たりが強いのはその一件が未だ尾を引いている状態だからなのかもしれない。でも、すみれもこれまでの活動を通して、そしてラブライブにエントリーしてその考え方も変わっている。だからこそ、最初に言ってしまったことを未だ悔やんでいる。

 

「……始にも謝らなければイケマセン」

 

 可可は他にも謝らなければいけない人物がいる。始だ。自分の投げ掛けた言葉が、始の苦手とするところを刺激してしまったのだと。

 かのんは可可の顔を見つめ、そっと息を吐く。彼の表情とあの言葉を思い出していた。彼の発したあの言葉、それは彼自身でも望んだ言葉ではなかった筈だ。だから今はきっと……。

 

「そうだね。けど始くん、今とっても落ち込んでいると思う」

「始が……デスカ?」

「だね。あんな風になった始くんは今頃丸まって反省中、って感じ」

「どうしてですか?」

 

 恋は再び尋ねる。今日の始はいつもの彼とは違った。視線も口調も、彼の踏んではいけないものを踏んでしまったという感覚が彼女にも伝わっていた。でも、その後何故彼は丸まって反省しているのか、不思議だったのだ。

 

「昔からの……癖、みたいな」

「癖ですか?」

「そう。言わなくてもいいことまで相手に言っちゃったりして、余計に怒らせたりしちゃうんだよね。だから今もクゥクゥちゃんに言い過ぎちゃった~って」

 

 なら言わなければいい……なんて簡単なことができないから彼も今反省しているのだと恋も理解した。

 

 

 

 

 

 一方、件の少年は1人でベンチに腰を掛けていた。視線を落とし、やけに深いため息を吐いて。

 

「可可……言い過ぎだったな……」

 

 またやってしまった。言わなくてもいいことまで言ってしまうそれは、自分でもよくわかっている悪癖だ。正直自分でも嫌になる。

 可可の気持ちもわかる。自分の好きなスクールアイドルを下に見られたんだ。怒っても仕方ないし、すみれに向けてあのような物言いになってしまう事も仕方がない。けどすみれだって変わった。実際にステージに立った今なら。スクールアイドルの世界がどれほど厳しく、眩しい世界なのかを……身をもって知った筈だ。

 

「わかってたんだけどな……」

 

 けど、何か決めつけるような発言だけは……見過ごすことができなかった。勝手に決めつけられて、勝手にあることないこと言われて……。それがどれほど悔しく、辛いのか。()()()()()()()()()()

 途端、始の足元に青いゲートが開く。

 

「え、ちょ……うあああ!?」

 

 足元が抜け落ちた感覚と共に視界が反転。次の瞬間には別の空間に放り出されていた。

 

「っ……つうぅぅ……」

 

 けど始はそこがどこかを理解している。心を通わせ、戦いの際に踏み入れる”内側”。そして互いに顔を見合わせ、話をする場所だ。

 

「呼ぶならもうちょっとやり方があるだろ……ゼット……」

 

 同じくらいの背丈になったゼットは気まずそうに、でも真剣な眼差しでこちらを見ている。人間のような表情がある訳ではないが、彼が心配しているのは嫌でも伝わった。

 

 

 

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