Superstar-Z   作:星宇海

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更新しない間にLiella!の新メンバー&声優の発表、シン・ウルトラマン公開、アニガサキ7話……話題が尽きぬ日々が続いています。



第6話 禁止を覆すには

「前回の襲撃を境に、眠っている怪獣たちの生体反応が大きくなってるっぽいんだよね」

 

 始たちが退学あれこれで騒いでる一方、ストレイジ統合基地ではブリーフィングが行われていた。

 

「なになに……ゲネガーグが目覚ましにでもなったの?」

「う~ん、どうかな……」

 

 モニターに映し出されているのは、休眠状態にある怪獣たちの居場所だ。

 光の巨人が去った後、ビートル隊はこの星にまだ見ぬ巨大生物がいるのではないかと調査を開始した。結果はあらゆる国に赤い点で示されている通り。しかしながら発見された何体かは未だ眠っているとのことで監視体制がとられ、バイタルデータなども逐一本部へ報告、そして各支部に共有されることになった。けれども前回飛来したゲネガーグと呼称された怪獣によって刺激されたのか、いつ目覚めてもおかしくない状況へと至った。

 

「でも監視区域にある支部は、体制の強化と対抗策を練るんだって」

「ま、現状じゃそれが得策かもな」

 

 デスクの方で話を聞いていた正太も各支部の動きに賛成している。

 危険だからといって予め手を打つ……なんて訳にはいかない。手を出すのは人々に被害が及ぶと判断した時だけ。危険の芽は速やかに除去しとくべきとの声もあるが、ある出来事によってそれもできないのだ。

 

「あとなんだっけ? 晶子が言っていたの……ウルトラマンゼット?」

「私じゃなくて、逃げ遅れた少年が言ってたんだけどね」

「どっちでもいいよ。彼についても引き続き調査を続けるようにって上から」

 

 怪獣だけでなく共に現れたウルトラマンまでも調査という上からの指令は、晶子にとってはやや納得し辛いものであった。

 

「私たちと協力して怪獣と戦ってくれたことが証明してるような気もするけどね」

「まあ確かにね。でも、ウルトラマンを良く思わない人もいるからね。いや、この10年で増えたって言い方の方が良いのかな……?」

 

 過去にウルトラマンと共に結成当初のビートル隊が戦ったという記録もあるが、それでも巨人については懐疑的な面もあるのが現状だった。怪獣や宇宙人が現れ続ける中、地球を去っていったウルトラマンに対するある種の恨みというやつかもしれない。

 

「仕方がない。地球人には地球人の事情、ウルトラマンにはウルトラマンの事情がある……それだけのことさ。まあ、事情が理解できるかは別としてな」

「納得したくないですけどね」

「私も~」

「結衣と晶子がそう思ってくれるだけでウルトラマンは嬉しいだろうさ。よし、それじゃあ各員持ち場に戻ってくれ」

 

 正太の一声で解散。結衣と晶子は自分のデスクへ戻っていく。

 指令室の窓から見える格納庫。そこで整備を受けるゼブンガーへ、正太は複雑な表情を向けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*****

 

 

「退学届け……高1で見るとは思わなかった……」

「私もだよ……」

 

 可可に書くようにと言われた退学届けだったが、どうにか丸く収めて退学しない方向で落ち着いた。

 自主退学の話を聞いたときは驚きで声をあげてしまったし、かのんの母や彼女の妹であるありあも心配しながら話を聞いていた。そりゃそうだ。入学して数日で退学の話をしてるんだから。

 

(にしてもスクールアイドル……意外と大変なんだな)

 

 コーヒーを流し込んだ始は先ほどの可可との会話を思い出していた。

 大人気に見えるスクールアイドルだが、それでも良く思わない人はいると可可は話していた。彼女の周りでも鼻で笑うような人物がいたのだと。当然、始はそんなことは思わない。可可よりもスクールアイドルの事に関しては詳しくない。けれども素晴らしいものだって胸を張って言える。

 

「退学せずにすんだけど、じゃあ部にするためにはどうするか……だったよな?」

 

 周りの事もよりもまずは学校の事だ。生徒会長を認めさせなければスクールアイドルを始めることすらできない。目の前のことに集中しよう。

 

「そのことについては助っ人を呼んであるんだ」

 

 かのんの言葉に疑問符を浮かべていると、お客の来店を知らせる鈴の音が響く。

 

「ういっすー!」

「え、助っ人って千砂都!?」

「そう。ちぃちゃん音楽科でしょ? だから色々聞いてきてもらったの」

「聞いてきたって……何を?」

 

 なんか嫌な予感がし、思わず声を震わせてしまう。だがかのんは「すぐわかるから」と答えてはくれなかった。

 始とかのんがやり取りを交わす中、千砂都はかのんの家で飼っているコノハズクの”マンマル”に見とれていた。彼女は丸いものが大好きであり、マンマルも例外ではないらしい。

 

「ちぃちゃん、恋って子の弱点見つかった?」

「弱点!?」

「始くんは知らなかったの?」

「いや初耳なんですが!?」

 

 まさか弱点を探っていたとは驚きである。まさか弱点を見つけそれで脅そうって魂胆なのだろうか。確かに部が設立できなくて困っているとはいえ────

 

「酷くない……それ?」

「もう始くんはわかってないな。そんなこと言ってる場合じゃないの!」

「えぇ……」

「あははは、そうだね弱点を一言で言うと……」

 

 あるのだろうか。完全無欠に見えた彼女に弱点が。酷いと言っておきながらも好奇心には抗えず、始も耳を傾ける。

 

「無い」

「え?」

「なんて?」

「だから無いって」

 

 思考が一旦フリーズする。完全無欠、そんな印象を持ったには持った。しかし人間誰しもが弱点……苦手なことを持ってしまうはずだ。だが千砂都は無いと断言した。

 

「音楽科の子に色々聞いてみたんだけど、頼りにしてる子の方が多いよ」

 

 頭がよく、運動もでき、リーダーシップもある。極めつけに理事長は彼女の母、葉月花と知り合いだとか。

 

「なんだその絵に描いたような無敵っぷりは」

「あ、信じてないでしょ? だったら始くんも聞いてくればいいよ」

「いや遠慮しとく」

 

 冗談半分かと思ったけど千砂都の反応を見る限り本当らしい。

 

「だからあの子の意見をひっくり返すのは相当難しいと思う」

「……けど、はいそうですかつって引く気にはなれない」

「わかってる。だからね、一旦他の部を作るとか入ってみてそこで歌うのはダメ?」

 

 スクールアイドル部ではなく、また別の活動目的を持った部活に所属し練習を行う。そうであれば拒否されることもないのではというのが千砂都の提案だった。

 

「それじゃダメ!」

「なんで!」

 

 しかしかのんはその案には乗れないと返す。そして千砂都も問う。どうしてそこまで”スクールアイドル部”を設立させたいのかを。

 

「この状況を許したら、あの学校は全部葉月さんの好きに出来るってことになる」

 

 このまま妥協すれば、いずれ音楽の要素を持った”何か”をしたいと生徒が尋ねてきた時、彼女の気持ち1つで承認するか否かを決まってしまうことにも繋がる……ということだろうか。正直そこまで独裁的ではないだろうと思う。けど、スクールアイドル部だけが承認されないというのも納得できない。

 加えてかのんがスクールアイドル部にこだわっている理由はもう1つあるのだろう。彼女は何かを頑張ってきた人をいつも敬っている。目の前の千砂都だってそうだし、可可にしてもだ。そんな彼女の事だ。

 

「どうせ承認されないから他の部で活動するなんて、その部に失礼……とか思ってるんだろ?」

 

 かのんは首を縦に振った。

 

「じゃああるの? 別の方法」

 

 かといってそう千砂都に問われてもいい案を返せないのが今の状況である。

 すると始の携帯が振動。気になって開いてみると、先ほど帰った可可からの連絡が。

 

「なんだ……荷車?」

 

 連絡の大まかな内容は「荷車を持っているか?」というもの。それもなるべく大きいのを欲している様子。

 

「かのん、お前ん家荷車あったっけ?」

「え、いきなり何?」

「クゥクゥから聞かれてさ。荷車があるかどうか」

「クゥクゥちゃんが? どうして?」

 

 いきなりの連絡……というよりもその内容に困惑する2人。取り敢えずかのんの方から貸すということで連絡をしたが、荷車を使って一体何をしようというのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*****

 

「自由に部活ができないなんて、間違ってマス! 部活動は皆に平等であるべきなのデス!!」

 

 翌日、貸してもらった荷車の上に巨大な箱を取り付け、可可はその上に乗って普通科の生徒たちに呼びかていた。自由に部活ができないのはおかしい。共に戦おうと。これが可可の考えた部を認めてもらうための活動らしい。

 

「何と戦うんだよぉ~」

「こういうことじゃないと思う~」

 

 始とかのんは困り顔で、或いは涙を流し荷車を引いていた。

 

「おいかのん、こういったのはハッキリと言うべきなんじゃない?」

「始くんが伝えればいいんじゃないの?」

「……」

「なんか言いなよ!!」

 

 かのんに伝えるべきだとは言いつつ、いざ始がすればいいと振られた途端、彼は無言で荷車を引くことに専念した。

 正直、このように目立ち、声を上げている様では真っ向から敵対したのだと捉えられてもおかしくはない。それでも、可可が自分なりに対抗している様を見たら止めずに手を貸すのが彼らの優しさなのだろう。自分自身を肯定し、必要だと言ってくれた彼女に対する恩も無意識のうちにあるのかもしれないが。

 

「かのんちゃん、と……えっと……」

「かのんの知り合い?」

「同じクラスです……」

「隣のクラスの夏空始。かのんの友達。よろしくな……ハハハ……」

 

 こんなところを見られたくなかった。千砂都などの知り合いならまだなんとか許容できたが、友達の友達は別角度から心に刺さる。

 

「で、2人は何を?」

「自由に好きな部を設立できたほうがいいよね?」

「ま、まあね……」

「じゃあここに署名をしてくれ……ほんと頼むわ……」

 

 可可の呼びかけで共感を誘い、署名を集めて生徒会室に乗り込もうという魂胆だ。やり方が結構目立つが始めてしまったものは仕方がない。

 

「まずいって。葉月さんにバレたらどうすんの?」

「やり方ってのがあるでしょ」

「下手すると音楽科に目を付けられちゃうよ」

 

 目を付けられるとはどこかの不良か。正直そこまで普通科と音楽科の間に溝はあっただろ……いやあるか。音楽を特色とし、音楽科の生徒は学校の名を背負いコンクールなどに出場する。普通科の行動によって音楽科まであらぬことを言われれる可能性すらある。そしてそれは大会の評価にも直結することだろう。音楽科(こちら)にまで迷惑をかけるなと言われてもおかしくはない。

 

「でも別に、間違ったことをやってるわけじゃない」

「普通科だってこの学校に通ってるんだ。音楽科のこともわかるけど、こっちの要望だって多少は受け入れてほしい」

 

 理解はできるが譲れない部分はこちらにもあるということだ。

 すると、遠くから2人の名を呼ぶ聞き覚えのある声が。聞こえてきた方向に視線を向けると、千砂都が玄関から走ってくるのが見えた。

 

「かのんさんと始さんのお友達デスカ?」

「まあな」

 

 友人、千砂都の声からして良くない知らせなのは明らかだろう。

 

「理事長に呼ばれてるよ!!」

 

 なんてことだ。今学校で一番呼び出されてはいけない人物の名が出されてしまった。

 

「……はやくない?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「成程、概ね事情は理解できました」

 

 退学の件が現実になってしまうのではとビビりながら入っていったわけだが、学校を去る旨を言い渡されるようなことはなかった。代わりに、外で何をしていたのかを詳しく説明することに。

 

「はい。やりたいことを自由にできないのはおかしいと思いまして」

「葉月さん、設立の許可を出さなかったのは事実なの?」

 

 理事長室に来たのはかのん達3人だけではなく、葉月恋も事実確認のために呼ばれていた。

 

「部活の自由を阻害したつもりはありません」

「しまシタ」

「スクールアイドルだけです」

「同じようなもんだろ」

 

 ポロっとこぼしてしまう。内心思っていたこととはいえ、口にしてしまったことから罪悪感に襲われる。けれどもう咄嗟に出てきたそれを呑み込むことはできないので、「悪い」と恋に謝罪する始。

 

「葉月さんの気持ちはわかります。しかし普通科の生徒のレベルがどうあれ、音楽に興味を持つのを止める権限はありません」

「ですが母は────「母親はここでは関係ありません。わかりましたか?」

 

 始は恋に視線を向ける。何故ここで彼女の母である葉月花のことが持ち出されたのだろうか。人の親を勝手にどうこう考えるのは相手に失礼だからあまり踏み込みたくないが、それでも気になってしまう。

 

「本学の方針に沿ってスクールアイドルの活動を禁止はしません」

 

 ()()()()()()()。気になる言い方だ。

 

「禁止にはしない。かといって許可するという訳でもない……何かあるんですか?」

「ええ。葉月さんの言う様に、音楽はこの学校の誇りです。ですから、今から出す課題を達成できればスクールアイドル部を承認します」

 

 その後理事長から出された課題というのは、まだ始まってもいない彼らにはとても大きな壁であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何話してるんだろ……」

 

 呼びに行ったとはいえ、殆ど無関係に近い千砂都。かのん達が出てくるまで校庭で暇をつぶしていた。木陰に設置されたベンチに腰を掛けていると、鳥が木から飛び立つのが影で見えた。

 

「いたっ!?」

 

 すると頭のてっぺんに何かが落下。頭でバウンドし、金属的な音を出して地面に転がる。痛みを与えた物の正体を知ろうと見失わないように目で追う。

 

「……何これ?」

 

 千砂都が拾い上げたのは赤い枠のメダルであり、表には見覚えのある戦士とよく似た横顔が。

 

「ウルトラマンの……メダル……? 誰かが落としたのかな」

 

 不思議そうに眺めていると、遠くから自分を呼ぶ声が。千砂都は咄嗟にそのメダルをポケットへとしまい駆け出した。

 彼女の持つメダルを探している宇宙人と一体化した人物がすぐ傍にいることも、お目当てのメダルを自分の友人が持っていることも……互いに知らない。

 

 

 




シン・ウルトラマン……観よう!
アニガサキ……観よう!
スパスタは楽しみに待ちつつ1期を見直しましょう!
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