一夏に可愛い可愛い言ってたら、いつの間にか恋人になってた件について   作:憲彦

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やる気のでない無気力な日々……楽しみが欲しい


余計な口を出す癖を直したい

「ハッキリ言って気持ち悪いですわ!!」

 

「きゃっ!?」

 

 楽しく女子たちと話していた一夏だったが、突然現れた金髪のドリルヘッドが罵倒し、あろうことかそのまま突き飛ばしてしまった。

 

「あっぶね……大丈夫か?」

 

「か、カズマ?」

 

「相変わらず速いな~……一夏のことになるとこれだから、アイツも大概だな」

 

 箒は呆れ返っていたが、そのお陰で一夏は床に倒れることがなかったし、怪我もしなかった。実にナイスタイミングである。

 

「で?コイツのどの辺が気持ち悪いんだ?」

 

「は?」

 

「どこが気持ち悪いか。そう聞いてるんだよ。あんだけ大声でハッキリと叫んでるんだ。聞いてやるから言ってみろよ」

 

 一夏を抱えたまま、真顔で金髪のドリルに聞いていく。どことなく恐怖を感じてたじろぐが、すぐにさっきのテンションに戻って得意気に言っていった。

 

「まず男なのにそんな格好でナヨナヨとしている所が気持ち悪いですわ!もっと男らしくハキハキしては?あと化粧してるのが無理ですわね。男の癖に化粧して何になるのか聞きたいですね。そうそう、そんな格好してるのは論外。ヒラヒラしたスカートなんて似合わないですわ。髪を伸ばしてるのも気持ち悪い。持ち物が女性ものなのも、下着が女物なのも、何もかもが不快ですわ!」

 

 はぁ。とため息を付いて、一夏を立たせる。乱れた髪の毛を整えて、下着がと言う部分が気になり服装を一周見てみる。問題ないの言うことが確認できると、今度は金髪ドリルと向き合った。

 

「そんな格好でナヨナヨだったか?ナヨナヨしてたらこんな場所でこんな格好するわけ無いだろ。周りのヤツとも絡まねぇし」

 

 その言葉に、さっきまで一夏と話してた女子生徒たちが首を縦に振った。結構な勢いで。

 

「ハキハキしてるから、ここでもコイツはいつもの自分でいるんだよ。それに今時、サラリーマンだって化粧して身嗜み整えてんだ。化粧くらい普通だろ。整髪剤で髪を整えるのも肌を明るく見せるためにファンデ塗るのも、シミやシワが出ないようにスキンケアするのも全部化粧だぞ。現に、アンタより一夏の方が肌の状態が良いしな。シワが目立たん」

 

「なっ!?私が老けてるとでも言いたいんですか?!」

 

「ヒラヒラしたスカートが似合わねぇだったが、一夏は普通に着こなしてるし似合ってる」

 

「そ、そんなの……!」

 

「髪だって手入れが大変なんだぞ。そもそも男のコイツがここまで髪を伸ばして、柔らかく艶のある状態を維持するのにどんだけ努力してると思ってんだよ。下着が女物な点にはノーコメントだが、持ち物なんて別に何でも良いだろ。丈夫で機能性があれば、俺でも女物を使うし」

 

「下着が女物なのはアナタも引いてるじゃないですか!!」

 

「別に引いてねぇよ?昔からの事だからな。コイツは肌にだって気を遣ってるんだ。少しでも素材が良いものを使ってるだけだろ。それを意識すると目覚めちゃダメな感情に目覚めそうだから出さなかっただけだ」

 

「こ、こんな男の側にいる人はやっぱりまともじゃないみたいですわね!」

 

 そう言って、何がしたかったのか分からなかったが、自分の席へと帰っていった。

 

「全く……多様性が認められてるこの時代に俗物的な考え方を持ってくるとか……だから頭が古いヤツは嫌いなんだよな~。大丈夫だったか一夏?あぁ言うのは一定数居るから、気にすることは──」

 

「ううん!全然気にしてないよ!!それよりも、カズマが僕の事をそこまで見てくれてたって事が知れて嬉しくて///」

 

「本当よ。興味ありませ~ん、迷惑で~す。風を装ってたのに、ここまで良く見てたなんて……良い!」

 

「少女マンガのワンシーン見てるみたいだったわ~」

 

「サッと倒れそうな所を助けた時なんて本当に……鼻血が溢れふわ~。フヒヒヒヒ」

 

「ほら鼻血を拭きなさいね」

 

 行間休み終了間際に辺りに鼻血が撒き散らされると言う珍事が起こったが、すぐに拭き取り次の時間へと突入した。

 

「よ~し。じゃあクラス代表決めるぞ~。カズマ、頼んだ」

 

「いや何でだよ!!」

 

 決めるぞと言った直後、名指しでカズマが指名されてしまった。全力でツッコミを入れたが、千冬は面倒くさそうに頭を搔きながら理由を話す。

 

「お前の方が一夏よりデータが揃ってるし、なにより適性が高い。専用機も与えられるぞ?だから、やれ」

 

「ふざけんな!!いつの間にデータなんか取ったんだよ!その上なんで専用機なんだよ!!一夏に渡せば良いだろうが!俺である意味ってなんだよ!!」

 

「ここに来る1週間くらい前にゲーセンに連れてったろ?」

 

「あ?あぁまぁ、行ったな……」

 

「その時、お前が遊んでたゲームあったろ?ISの操縦を体験できるってヤツ」

 

「……あぁ」

 

「1回500円なのに、楽しいって言って10回も遊んで色々とやったろ?」

 

「……やった」

 

「あのゲーム、政府がデータ取りに使ってるヤツなんだよ。しかも専用のヤツ」

 

「なんでそんなのがゲーセンにあるんだよ!!」

 

「私が置いたに決まってるだろ。データ取らせろって言っても、素直に聞き入れないのは目に見えてたからな」

 

 あの時の自分を呪いたいと、今全力で思っている。1回やった時にスゴく楽しくて、そのままノリで手持ちの金の半分をつぎ込んで様々な機体、兵装、戦術を体験してきた。そもそもここで気付くべきだったのだ。普段の千冬なら、4回目辺りで止めて一夏と回らせると言うことに。

 

 因みにだがことの時、一夏は千冬と一緒にクレーンゲームでぬいぐるみを取ったりプリクラを撮影したりしていた。カズマと回れないのには心底残念がってたが、普通に楽しんでいた。

 

「まぁそんなわけだ。専用機は元々一夏にと思っていたんだが、一夏の適性はBなのに対してお前はB++。渡すなら高い方だろ?」

 

「絶対に私情入ってるだろ」

 

「まぁ、嫁入り前の可愛い弟に傷を付けさせるわけにもいかないし、お前はお前で適性高いし、もう良いかな?って」

 

「適当すぎるだろ……」

 

 適当なのだが、何故か無駄に説得力のある千冬の説明に、カズマは反論するのを諦めてしまった。その上、クラスの大半はカズマが代表になることに抵抗は無いようだ。普通に受け入れている。

 

「まぁ一夏ちゃんに傷が付くくらいならね~」

 

「将来の旦那様なら当然だよね~」

 

「それに戦闘中の方がコイツ生き生きしてるね~」

 

「「「ね~」」」

 

 最後のは千冬である。無駄な統率力を発揮して、満場一致でカズマがクラス代表になる流れができていた。できていたのだが、ここである生徒が大声で異議を唱えた。

 

「お待ちください!!そんな適当に決められては困りますわ!!そんなふざけた選定で選ばれた者がクラスの代表など良い恥さらし!100歩譲って普通の男が代表をやると言うのならまだ我慢できましたわ……!ですが!このクラスにいる男は!こんな女の真似事をする男に!それをおかしいとすら思わない男なんですよ!!そんなのがクラスの代表なんて正気ですか?!」

 

 先ほど一夏に絡んでいた金髪ドリルヘッドだった。カズマに言い返されて帰っていったと言うのに、ある意味逞しい女である。

 

「代表は一番実力がある者がなるべきですわ!そんな頭のおかしいヤツに任せることはできません!!」

 

「なんだ?じゃあ立候補するのか?私は別に構わないぞ」

 

「ええ!立候補いたしますとも!私はこの学年の主席!そんな男より実力は高いと自負しています!」

 

「なら最初から立候補すれば良いだろ。バカじゃねぇの?」

 

「なっ!?あ、アナタと言う人は……!」

 

「よ~し。じゃ、カズマの専用機が届いたら代表決定戦やるから、1週間後にやるから準備しとけよ」

 

 カズマがボソッと言い返し、それが耳に入ったオルコットが何かを言い返そうと口をパクパクさせていたが、事が大きくなる前に千冬が話をまとめ、この話題は終了。カズマが胃薬を噛み砕いたのは、言うまでもない。

 

(帰ってきてくれ……俺の平穏……!!)

 

 ハーフタイムで半永久的に休憩中である。




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