とある魔術と科学の虚空書録《アカシックレコード》   作:田芥子慧悟

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第一章 絶対能力進化(レベル6シフト)
#1 再始


 とある夜の第七学区某所

 今日も今日とて、不幸な少年、上条当麻は不良集団に追われていた。

 追われている理由もこれまたいつも通り、人助けである。

 同い年ぐらいで素朴な顔立ちの男がまさにカツアゲされそうなところへ割って入ってみれば、この始末である。

 

 「おい、まてや!ゴラァッ!!!」

「ナメてんのかっ!?クソガキが!」

「邪魔してんじゃねぇぞ、この野郎!!」

数は十数、丸腰のもいればバットのもいるが全員が物凄い形相でこちらを睨みつけている。

 「くたばれ、このヒーロー気取りがぁぁぁっ!俺は異能力者(レベル2)だぁぁぁっ!」

「俺もだぁぁぁぁぁっ!」

「俺なんて強能力者(レベル3)だぞぉぉぉっ!」

不良集団のとある3人が不穏なことを言う。

 「へ?」

振り向くと、既に電撃と炎と空気塊がこちらを狙っている。右手に宿す幻想殺し(イマジンブレイカー)があれば異能は消せる。だが、右手だけで流石にこの数は処理しきれない。

 「ハッハッハッ……。あの手の連中は劣等感に苛まれた無能力者(レベル0)の集まりだって思ってたのに、異能力者(レベル3)までいやがりますかそうですか……」

右手が神様のご加護を消しているか知らないが、いつも通りの仕打ちに上条は嘆息する。

 「不幸だぁぁぁぁぁっ!」

宵闇の学園都市に少年の叫び声が響き渡った。

 

 その翌朝。

 上条当麻はいつもお世話になっている病院のベッドの上にい た。

 昨日の不良の発火能力者(パイロキネシスト)の一撃を食らい、まあまあ洒落にならない火傷を背中に負い、先生の処置を受けたのだ。

 

 「で、とうまはお夜食を待つ私を差し置いて、その男の人に手を差しのべた結果、また怪我をして帰ってきた、という訳なんだね」

横で何やら不吉なオーラを放っている白い修道服の銀髪シスターと名はインデックス、万年穀潰しで時々ヒステリックな同居人。

 案の定、インデックスは頭にかじりつく。

 誰かのために怪我を負って、この病院の世話になって、この腹ペコシスターの噛みつきを食らう。もはや、 これは一種のルーティーンと言ってもよいだろう。

 「分かった!もう、分かったから落ち着け、インデックス!!お前にはいつも、心配ばっかかけて悪いとは思ってる!お詫びと言ってはなんだが、今日退院できるみたいだし、今夜はトンカツでも作ってやる!それで!それで手を打たせてくれっ……!」

「それはありがたくいただくけど、それとこれとは話が別なんだよ!これで私に謝るのは何度目かな?」

「ぐぎゃぁぁぁぁぁっ!」

 上条は背中の火傷に続き、頭に噛み傷を負った。

 

 しかし、何だかんだ言ってインデックスはトンカツをご馳走すれば機嫌を取り戻してくれた。

 上条さんにかかれば、この程度のシスターを手懐けるなど朝飯前なのだ。

 

 

 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 その頃、学園都市の裏で密かにある計画が立ち上がっていた。

 絶対能力進化(レベル6シフト)。これまで幾度もの失敗があった。一方通行(アクセラレータ)を対象する『実験』は完全凍結。御坂美琴を利用した計画も様々な介入で頓挫した。

 しかし、三度目の正直と言うべきか、この街の闇が再び妹達(シスターズ)に迫り寄る。

 

 先日、ある大能力者(レベル4)が学園都市の頂点、超能力者(レベル5)へと昇格した。

 七海匡勢(ななみこうせい)、長点上機学園3年。高い能力を買われて入学した、頭脳明晰の優等生である。

 能力は触れたもののあらゆる力の大きさを操る力量制御(フォースリグレーション)

 この昇格で超能力者(レベル5)の序列は変動。彼は第三位に位置づき、御坂美琴以下は一位ずつ低くなる。

 匡勢自身も得られた勲章に喜こんだが、能力開発のトップでありながら超能力者(レベル5)のいなかった長点上機学園の教師陣の歓喜はその比ではない。

 

 新たなる絶対能力進化(レベル6シフト)、それがこの七海匡勢を対象とするものであることなど誰も知る由がなかった。

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