とある魔術と科学の虚空書録《アカシックレコード》 作:田芥子慧悟
#EX 旧敵再逢
事の週の休日。
第七学区にあるショッピングモールで
そして、傍らにもう1人、白い修道服の少女がいる。
今朝、彼女をここに放り出した上条の補習が長引いたせいである。渡された500円も使いきり、それでお腹が減って動けなくなっていた所を
「で、オマエはいつまで付いてくるわけ?」
流石に腹が立ってきて、
「ん、とうまが来るまでなんだよ」
とインデックスは言う。
不確定要素の塊みたいなその答えに
「あっ。言い忘れてたんだけど、10032号があなたにもお礼を言ってたよ。『助けていただいてありがとうございます』だって。って、ミサカはミサカは今更ながら言伝を報告してみたり」
そう言う
「礼を言わることなンざ、オレはしてねェよ。それにアイツを助けたのはあの
「もう、
インデックスのせいで機嫌を損ねているところへ、さらにのこの扱い。
「バカにしてンのか?クソガキがァ」
とそろそろ本気で頭に来てる表情を
「あなた、『あくせられーた』って言うんだね。すごくぶっ飛んだ名前かも」
「あァ?鏡見てから言いやがれ。確かオマエも随分と変な名前だったよなァ?確かイン何とかっつってたろ」
インデックスに言われて、
「インデックス。変な名前とは失礼だね」
「だから、鏡見て言えつってンだろ。自分のことは棚に上げるつもりかァ?目次さンよォ」
「インデックスっていうのは禁書目録って意味なんだよ。より正確には、Index-Librorum-Prohibitorumだね」
「ラテン語か。目次、本、禁止ィ?ますます意味わかンねェ……」
謎が謎を呼んだところで、
「この服はどうかな?って、ミサカはミサカに意見を聞いてみる」
「どうって…テメェが今着てる服とあンま変わらねェじゃねェか……」
あまりに無神経な評価に、
「そんなの、あり得ない。って、ミサカはミサカは心底呆れたーって顔になる」
「まったくなんだよ。とうまと同じ匂いがするかも」
女性陣の厳しい意見。
「クソガキが2人も…メンドくせェ……」
彼はついに一々反応するのがバカらしくなる。
「あ、それより今何時かな?あくせられーた!」
「あン?12時半だがそれがどうかしたか?」
インデックスは刻限を知るや否や、
「そろそろ、お昼ごはんの時間なんだよ!図々しいのは承知してる。でも、どうしても必要なこと!だから、もう一度ご馳走になりたいんだよ」
衝撃の一言とともに腹の虫が鳴き声を上げる。
「テメェ、さっきハンバーガーとポテト食ったばっかだろォが。神様信じてる奴がそんな食い意地で良い訳?確か七つの罪の1つじゃなかったけかァ?」
「そ、それを言われると耳が痛いんだよ……」
インデックスはそう言って耳を塞ぐのだが、
「フードコートのでいいよなァ?」
と聞くと、
「構わないんだよ。先にお礼言っておくね。ありがとなんだよ」
インデックスは笑って礼を言った。
「オラ、クソガキ!それ、どうせ似合うからとっとと会計済ませンぞ!」
「ムカッー!まさか、そんなテキトーな褒められ方されるなんて思ってもみなかったー……って、ぅわぁっ!?」
「うるせェ。お望み通り、褒めてやったンだからそれで良いだろォが」
「そうじゃなくて褒め方が間違ってるんだ。って、ミサカはミサカはー……!」
そうと決まって、
「って、アンタ!」
と、しばらく1人になったインデックスの後ろから知っている声がした。
「あ、短髪」
美琴を見たインデックスはほぼ自動的に言った。
「アンタ、こんなところで何してんのよ」
と美琴が問うと、
「とうまを待ってるんだよ。とうまったらお昼には戻るなんて言って、まったく迎えにこないんだから。それで今はご飯を食べさせてくれるっていうあの人を待ってるんだよ」
「誰よ?あの人って」
さらに詮索されて、
「あくせ……」
インデックスが言う前に彼から美琴の前に現れる。
「って、アンタ!ここで何してんのよっ!?」
「だから、とうまを……」
「アンタじゃないわよ!私が言ってんのはそこのアンタ、
美琴は少し怖い顔で
「今度はオリジナルか……ったく、今日は妙に人に会う日だな。クソガキシスターの次はオマエって……今日は厄日なンですかァ?」
すべてを投げ出したように彼は言う。
「クソガキシスター、って誰のことなんだよあくせらーた!」
「人を見るなりその反応は何なのよ!まぁ、私も気持ちは同じだけど」
それを聞き、揃って睨むインデックスと美琴の2人。
「そうね。そっちがその気ならあの時の借りを返してやっても良いけど?」
「借りを返すねェ……。わりィが、オレは三下の相手してやる程、暇じゃねェんだ。クソガキ2人のお守りさせられてンだよ。だから失せろ、オリジナル」
「何よ、逃げる気?それにその趣味の悪いチョーカーは何?電波を送受信してるみたいだけど。もしかして、それでなの?」
「はァ?」
「私、
その一言が学園都市最強の怪物の逆鱗に触れた。
「くくく……くはははは…!いいぜェ?三下は三下らしく惨めなガラクタにしてやンよ。能力が使いもンになるなくなる覚悟はできてンだろォなァッ!?」
「いいわよ、上等じゃない」
電極に指をかける
敵意がぶつかり、両者の間でバチバチと火花が散る。
「ダメーーー!!
そこへ
「このガキ、能力を切りやがったな」
電極がうんともすんともいわなくなって、先に彼の方が折れた。
倣って、美琴も諦める。
「てか、そこのちっこいのは何なのよ?私に似てるみたいだけど。まさか、その子も
「そう。でも、私の
その疑問に本人が直々に答える。
「それは良いけど、まさかアンタが脳の電子情報とか操って精神系能力者の真似事してんじゃないねしょうね?アンタが
さらに、
「ンな下らねェことに能力なンて使うかよ。確かに俺のが能力がありゃ、そういうことも可能だがよ」
疑いがなくなったのではないが、美琴は自ら下がった。
「アンタもあの子のために助太刀してくれたみたいね。一応、ありがとう、って言っておくわ。でも、あの子たちを1万人も殺した悪人のアンタが何でそんなことを?」
と
「オマエもか、オリジナル。オレは礼を言われることなンて1つもしてねェんだよ。そもそも、助けたのはオレじゃねェ。オレはこのガキの我が儘で下らねェクソ野郎をブッ潰しただけだ」
「何かカッコつけてるみたいだけど、別にアンタを許した訳じゃないのよ?今回だけはアンタのお陰でもあるから礼儀で言っただけ。『実験』を生み出した私の罪も、その『実験』に参加したアンタの罪も一生消えることなんてないんだから」
「問題ねェよ。オレだってこの程度で罪を償えるなんて思っちゃいねェ」
それ以上、互いに言うことはなくなった。
再逢した旧敵は振り向くことなくそれぞれの用事に戻っていく。
片や子ども2人と昼ご飯、片や
自らを加害者と嘲り、
最後の一文は伏線か、それとも単なる締めの言葉か。そもそも、こんな閑話が本編に関わってくるものなのか。それはまだ分からない……。