とある魔術と科学の虚空書録《アカシックレコード》   作:田芥子慧悟

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一方通行(アクセラレータ)×打ち止め(ラストオーダー)×インデックス×御坂美琴〉という珍しい組み合わせの「絶対能力進化(レベル6シフト)編」後日談です。お楽しみください。


幕間①
#EX 旧敵再逢


 事の週の休日。

 第七学区にあるショッピングモールで一方通行(アクセラレータ)打ち止め(ラストオーダー)の買い物に付き合わされていた。

 そして、傍らにもう1人、白い修道服の少女がいる。

 今朝、彼女をここに放り出した上条の補習が長引いたせいである。渡された500円も使いきり、それでお腹が減って動けなくなっていた所を一方通行(アクセラレータ)に助けられ、ついでに付いてきたのだ。

 「で、オマエはいつまで付いてくるわけ?」

流石に腹が立ってきて、一方通行(アクセラレータ)が聞くと、

「ん、とうまが来るまでなんだよ」

とインデックスは言う。

 不確定要素の塊みたいなその答えに一方通行(アクセラレータ)はますます苛立った。

 

 「あっ。言い忘れてたんだけど、10032号があなたにもお礼を言ってたよ。『助けていただいてありがとうございます』だって。って、ミサカはミサカは今更ながら言伝を報告してみたり」

そう言う打ち止め(ラストオーダー)に、

「礼を言わることなンざ、オレはしてねェよ。それにアイツを助けたのはあの無能力者(レベル0)だろうが。オレは暇つぶしにテメェの我儘を聞いてやっただけだ。つうか、アイツらがオレにお礼なんて端から間違ってんだよ」

 「もう、一方通行(アクセラレータ)ったら…ツンデレさんなんだからー。って、ミサカはミサカはあなたの足をツンツンしながら茶化してみたりー」

インデックスのせいで機嫌を損ねているところへ、さらにのこの扱い。

 「バカにしてンのか?クソガキがァ」

とそろそろ本気で頭に来てる表情を一方通行(アクセラレータ)は浮かべる。

 打ち止め(ラストオーダー)は引き下がった。

 

 「あなた、『あくせられーた』って言うんだね。すごくぶっ飛んだ名前かも」

「あァ?鏡見てから言いやがれ。確かオマエも随分と変な名前だったよなァ?確かイン何とかっつってたろ」

インデックスに言われて、一方通行(アクセラレータ)はそう返す。

 「インデックス。変な名前とは失礼だね」

「だから、鏡見て言えつってンだろ。自分のことは棚に上げるつもりかァ?目次さンよォ」

「インデックスっていうのは禁書目録って意味なんだよ。より正確には、Index-Librorum-Prohibitorumだね」

「ラテン語か。目次、本、禁止ィ?ますます意味わかンねェ……」

 

 謎が謎を呼んだところで、

「この服はどうかな?って、ミサカはミサカに意見を聞いてみる」

打ち止め(ラストオーダー)は青いチェック柄のワンピースを突き出した。

 「どうって…テメェが今着てる服とあンま変わらねェじゃねェか……」

あまりに無神経な評価に、打ち止め(ラストオーダー)のみならずインデックスまでも嘆息する。

 「そんなの、あり得ない。って、ミサカはミサカは心底呆れたーって顔になる」

「まったくなんだよ。とうまと同じ匂いがするかも」

女性陣の厳しい意見。一方通行(アクセラレータ)は舌打ちして、

「クソガキが2人も…メンドくせェ……」

 彼はついに一々反応するのがバカらしくなる。

 「あ、それより今何時かな?あくせられーた!」

「あン?12時半だがそれがどうかしたか?」

インデックスは刻限を知るや否や、

「そろそろ、お昼ごはんの時間なんだよ!図々しいのは承知してる。でも、どうしても必要なこと!だから、もう一度ご馳走になりたいんだよ」

衝撃の一言とともに腹の虫が鳴き声を上げる。

 「テメェ、さっきハンバーガーとポテト食ったばっかだろォが。神様信じてる奴がそんな食い意地で良い訳?確か七つの罪の1つじゃなかったけかァ?」

「そ、それを言われると耳が痛いんだよ……」

インデックスはそう言って耳を塞ぐのだが、一方通行(アクセラレータ)も昼にしようと思っていたところだ。

 「フードコートのでいいよなァ?」

と聞くと、

「構わないんだよ。先にお礼言っておくね。ありがとなんだよ」

インデックスは笑って礼を言った。

 「オラ、クソガキ!それ、どうせ似合うからとっとと会計済ませンぞ!」

「ムカッー!まさか、そんなテキトーな褒められ方されるなんて思ってもみなかったー……って、ぅわぁっ!?」

「うるせェ。お望み通り、褒めてやったンだからそれで良いだろォが」

「そうじゃなくて褒め方が間違ってるんだ。って、ミサカはミサカはー……!」

そうと決まって、打ち止め(ラストオーダー)は騒々しくも引っ張られていく。

 

 「って、アンタ!」

と、しばらく1人になったインデックスの後ろから知っている声がした。

「あ、短髪」

美琴を見たインデックスはほぼ自動的に言った。

 「アンタ、こんなところで何してんのよ」

と美琴が問うと、

「とうまを待ってるんだよ。とうまったらお昼には戻るなんて言って、まったく迎えにこないんだから。それで今はご飯を食べさせてくれるっていうあの人を待ってるんだよ」

 「誰よ?あの人って」

さらに詮索されて、

「あくせ……」

インデックスが言う前に彼から美琴の前に現れる。

 

 「って、アンタ!ここで何してんのよっ!?」

「だから、とうまを……」

「アンタじゃないわよ!私が言ってんのはそこのアンタ、一方通行(アクセラレータ)の方よ!」

美琴は少し怖い顔で一方通行(アクセラレータ)を見つめる。

 「今度はオリジナルか……ったく、今日は妙に人に会う日だな。クソガキシスターの次はオマエって……今日は厄日なンですかァ?」 

すべてを投げ出したように彼は言う。

「クソガキシスター、って誰のことなんだよあくせらーた!」

「人を見るなりその反応は何なのよ!まぁ、私も気持ちは同じだけど」

それを聞き、揃って睨むインデックスと美琴の2人。

 「そうね。そっちがその気ならあの時の借りを返してやっても良いけど?」

「借りを返すねェ……。わりィが、オレは三下の相手してやる程、暇じゃねェんだ。クソガキ2人のお守りさせられてンだよ。だから失せろ、オリジナル」

「何よ、逃げる気?それにその趣味の悪いチョーカーは何?電波を送受信してるみたいだけど。もしかして、それでなの?」

「はァ?」

「私、電撃使い(エレクトロマスター)だから電子機器なら意のままなのよ。それに杖までついてさ……。もしかして、人のこと見下しておいて、それがないとダメなのかしら?」

 その一言が学園都市最強の怪物の逆鱗に触れた。

 

 「くくく……くはははは…!いいぜェ?三下は三下らしく惨めなガラクタにしてやンよ。能力が使いもンになるなくなる覚悟はできてンだろォなァッ!?」

「いいわよ、上等じゃない」

 電極に指をかける一方通行(アクセラレータ)。ポケットからゲームセンターのコインを取り出す美琴。

 敵意がぶつかり、両者の間でバチバチと火花が散る。

 「ダメーーー!!お姉様(オリジナル)とあなたが戦ったらここら一帯が滅茶苦茶になっちゃうー!って、2人とも超能力者(レベル5)なんだからー!って、ミサカはミサカは2人の間に入って制止してみたりー!」

そこへ打ち止め(ラストオーダー)が割って入る。

「このガキ、能力を切りやがったな」

電極がうんともすんともいわなくなって、先に彼の方が折れた。

 倣って、美琴も諦める。

 

 「てか、そこのちっこいのは何なのよ?私に似てるみたいだけど。まさか、その子も妹達(シスターズ)なの?」

「そう。でも、私の検体番号(シルアルナンバー)は20001号、『実験』で製造された他の妹達(シスターズ)とは別の個体で、訳あってこの人と一緒にいるの。って、ミサカはミサカは初対面のお姉様(オリジナル)に説明をしてみる」

その疑問に本人が直々に答える。

 「それは良いけど、まさかアンタが脳の電子情報とか操って精神系能力者の真似事してんじゃないねしょうね?アンタが妹達(シスターズ)と一緒なんてどう考えたっておかしいじゃない!」

さらに、一方通行(アクセラレータ)を問いただすと、

「ンな下らねェことに能力なンて使うかよ。確かに俺のが能力がありゃ、そういうことも可能だがよ」

 疑いがなくなったのではないが、美琴は自ら下がった。

 

 「アンタもあの子のために助太刀してくれたみたいね。一応、ありがとう、って言っておくわ。でも、あの子たちを1万人も殺した悪人のアンタが何でそんなことを?」

一方通行(アクセラレータ)に気になっていたことを聞く。

 「オマエもか、オリジナル。オレは礼を言われることなンて1つもしてねェんだよ。そもそも、助けたのはオレじゃねェ。オレはこのガキの我が儘で下らねェクソ野郎をブッ潰しただけだ」

「何かカッコつけてるみたいだけど、別にアンタを許した訳じゃないのよ?今回だけはアンタのお陰でもあるから礼儀で言っただけ。『実験』を生み出した私の罪も、その『実験』に参加したアンタの罪も一生消えることなんてないんだから」

「問題ねェよ。オレだってこの程度で罪を償えるなんて思っちゃいねェ」

 それ以上、互いに言うことはなくなった。

 

 再逢した旧敵は振り向くことなくそれぞれの用事に戻っていく。

 片や子ども2人と昼ご飯、片や寝衣(ねまき)の新調へ。

 自らを加害者と嘲り、妹達(シスターズ)を、あるいはせめて上位個体(ラストオーダー)だけは守ると決めた2人の超能力者(レベル5)に和睦の日は来るのだろうか。




最後の一文は伏線か、それとも単なる締めの言葉か。そもそも、こんな閑話が本編に関わってくるものなのか。それはまだ分からない……。
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