とある魔術と科学の虚空書録《アカシックレコード》 作:田芥子慧悟
正午前のチェンナイ。
サフラニ率いるバーラト済教、シュレーシュタ率いる『悉くを知る影の王』は、街に現れた悪魔を祓いながら、街中を飛び回っていた。
「
サフラニが
『流石です、最高司教。しかし、あなたまで悪魔祓いに参戦なさる必要もなかったのでは?シュレーシュタさんは立場を弁えて、聖堂に残りましたよ』
『何を言っておる、ヴァーユ。最高司教だからこそ、わらわは出張っているのじゃ。自分の身を案じてばかりでは、真の十字教徒とは言えんからの』
『……』
『と言ったが、救ってやることで済教の信徒が増えればいいとも思うておる。十字教徒とは何たるかを語っておいて、打算を交えるとはわらわも相当なワルよのう?』
『……。ま、それはそうですね……』
『なーに、心配はいらぬ。仮に何かあったとして、そなたが守ってくれるのじゃろう?』
『は、はい……!必ずお守りいたします!』
通信用の護符でやり取りするサフラニとヴァーユ。長い付き合いのことだけあって、その信頼関係は本物だ。一朝一夕で築けるような絆ではない。
あちこちで響く
サタンがこの街にけしかけた下級の悪魔はどんどんとその数を減らしていく。
イギリスはイギリス清教、欧州全域に渡ってはローマ正教、ギリシャではギリシャ聖教、日本の天草式十字凄教にその他の十字教徒たち。
教義や国籍は違えど、ともに悪魔を祓い、世界から悪魔が消えていく。
最後には、何の前触れもなくフッとすべてが消えた。
「終わったか」
「はい。長たるサタンがやられ、悪魔たちは撤退を余儀なくされたのでしょう。邪悪な気も感じなくなりました」
体力と魔力を多量に使ったサフラニとヴァーユは疲弊した様子で公園のベンチにもたれ掛かる。
それから、通信をシュレーシュタへと繋ぐ。
「悪魔どもが撤退した。サタンがやられたのじゃ。シュレーシュタよ、今すぐ術を解け」
『いや、まだだ。術はまだ解かない』
「ふざけたことを言うな、シュレーシュタ。以前の
『ッ……。そう、だな。変なことを言ってすまなかった』
「うむ。では、これにて一件落着じゃな」
『あ、ああ……』
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「善人めが……」
通信が切れると、シュレーシュタは舌打ちをした。
野望を遠ざけてでも、今バーラト済教と衝突するのは避けたい。渋々、シュレーシュタは
「
と唱えた。
その瞬間、バリィッッ!と音を立て、霊装はコンマ1秒の誤差もなく一斉に砕け散る。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
その次の日。
上条当麻はいつもの病院にて新たなピンチに直面していた。
「おい、七海!テメェ!一体、俺に何の恨みがあるってんだよ!」
「恨みならあるさ。たった今、できた。まさか、お前が5人も女の子を侍らていたとはな」
「そうなんだよ、そうなんだよ。かみとがいなきゃ、私のお腹はどうなってていたことか……。それを差しおいて、とうまは短髪たちと楽しくやっていたってことなんだね?」
ガジガジとインデックスの歯が擦れあう。
「ちょちょちょ、ちょっと待て!インデックス!初春さんとは初対面だ!」
「ふーん。じゃあ、
「そうだが!て、てか、いつもより軽症つったって、傷ぐ───」
突如、塞がれる口。
守人は今思い出したように、
「おいおい、病室では静かにしろよ?」
と常識を説いたわ
要約すると、美琴の病室へ見舞いに行くと、白井黒子、佐天涙子、初春飾利の3人組が来客済。
美琴のことで彼女らと少し喋っていると、俺を迎えにきたインデックス(七海守人同伴)に見つかってしまう。
そんな訳で、上条は守人の見事な締め技にかけられ、インデックスによる神罰を待つ。
まるで、処刑台にいるような気分だ。
白井は見向きもしてくれないし、佐天と初春も手助けできなくて申し訳なさそうにしている。
希望なんて最初からなかった。
そして、罰は執行される。
「んが──────────ッッ!!!」
声にならない男の悲鳴が病室に少し響いた。
今話をもって、「