ありふれない狂戦士で世界最凶   作:黒い兎♪

10 / 33
これから二十時くらいに更新させて頂きます


奈落 5

ユエの機嫌が損ねたあの日から随分な日数が経った。あの日、ユエが拘束され、問答無用でハジメが撃ち抜きソレで機嫌を損ねたらしい。その後、ハジメが気絶するまで血を吸われ、ユエの機嫌を戻すことに成功したハジメ。凶夜は全部イチャ付きにしか見えず溜息を吐いていた。

そして遂に、次の階層で凶夜やハジメがいた階層から百層目になるところまで来ていた。その一歩前の階層で入念に装備の確認や補充を行っていた。ユエはソレを、どちらかというと作業しているハジメを見てまったりしている。凶夜は相変わらず、一対のマチェットで我流二刀流の鍛錬に勤しんでいる。

 

「ハジメ……いつもより慎重」

 

「次で百層目だからなもしかしたら何かあるかも知れないと思ってな」

 

「区切りが良いところでボス戦はゲームでは常識だよなぁ。コンディションや装備は万全にした方がいいからなぁ。慎重に越したことはねーだろ」

 

色々な技能を磨いてきた凶夜もハジメもそう簡単にやられはしない自負があった。しかし、その実力とは関係なく致命傷を与えてくるのが奈落の怖いところ。故に凶夜の言う通り、出来る限りの準備をしておくちなみに今のハジメや凶夜のステータスはこうだ。

 

 

 

南雲 ハジメ 17歳 男 レベル : 76

天職 : 錬成師

筋力 : 1980

体力 : 2090

耐性 : 2070

敏捷 : 2450

魔力 : 1780

魔耐 : 1780

技能 : 錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成]・魔力操作[+魔力放出][+魔力圧縮][+遠隔操作]・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+剛脚]・夜目・遠目・気配察知・魔力感知・熱源感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・金剛・威圧・念話・言語理解

 

 

 

北野 凶夜  17歳  男  レベル : 80

天職 : 狂戦士

筋力 : 2900

体力 : 2800

耐性 : 2880

敏捷 : 2600

魔力 : 4240

魔耐 : 1460

技能 : 狂化[+狂界突破][+狂界覇壊]・魔力操作[+魔力放出][魔力圧縮]・胃酸強化・不滅[+高速魔力回復][+高速治癒]・纏雷・天歩[+空力][+剛脚]・夜目・遠目・魔力感知・熱源感知・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・物理耐性[治癒力上昇][衝撃緩和]・金剛・剛力・縮地・先読・気配感知・言語理解

 

 

 

ステータスの伸びは戦闘職だからいいとして、なぜハジメよりレベルが高いのかは途中の階層からハジメの装備点検や補充の度に暇だからと言い魔物と戦ってくる様になったからだ。そこにはハジメを今度こそ守るために強くなると言う思いもある。

二人ともステータスは魔物を食えば伸びるが固有魔法は増えなくなっていた。ボス級の魔物なら取得する事もあるが、通常の魔物だともう増えない様だ。

しばらくしてハジメの準備が終わり三人は下層への階段へと向かい降りていく。

その階層は無数の巨大な柱に支えられた巨大な空間だった。ハジメと凶夜は感知系の能力をフルに使い警戒しながら進む。歩みを進めると巨大な両扉があり美しい彫刻が彫られている。

 

「いかにもラスボスっぽい感じだなーオイ」

 

「もしかしたら……反逆者の住処」

 

「ッハ、だったら最高しゃねぇか。ようやくゴールに辿り着いたって事だろ?」

 

三人とも本能が警鐘をならしている。その先はマズイと。だが例え何が待ち受けていようとやるしかないのだ。覚悟を決め最後の柱を通り過ぎた、その瞬間。

扉と三人の間に三十メートルの空間に巨大な魔法陣が現れ、赤黒い光を放ち、脈打つ様に音を響かせる。

 

「おいおい、マジでラスボスかよ」

 

「……大丈夫……私達、負けない……」

 

「狂戦士様がぶった斬ってやんよ!」

 

ハジメが引き攣った笑みを浮かべるがユエが決然とした表情を崩さず、ハジメの腕をギュッと掴んだ。凶夜は一歩前に出て吠えている。

魔法陣は一層輝くと遂に光を放った。三人とも目を潰されない様に、咄嗟に腕をかざしす。光が収まったそこには……

体長三十メートルそれぞれ色の違う紋様が刻まれた六つの頭と長い首、鋭い牙に赤黒い目の化け物。例えるなら--ヒュドラだ。

 

「「「「「「クルゥァァアン!!」」」」」」

 

不思議な音色の咆哮を上げながら六対の眼光が凶夜達を射抜く。赤い紋様を刻まれた頭が口をガパっと開け火炎放射を放った。まさしく炎の壁ハジメとユエは左右に一歩前に出てた凶夜は上に飛び退く。ハジメがドンナーを使い紅色のスパークを迸らせながら火を吹き、赤紋様の頭を吹き飛ばす。

まずは一つと思っていると白い紋様が入った頭が一叫びすると吹き飛んだ頭が逆再生の様に回復する。白紋様の頭は回復魔法が使えるらしい。ハジメに遅れてユエの魔法が緑の紋様がある頭に着弾し頭を吹き飛ばすが、白紋様の頭がまた叫ぶと同じように回復する。凶夜は"空力"を使いいち早く白紋様の頭を両断しに行こうとするが黄色の紋様が入った頭が邪魔をする。仕方なく黄紋様の頭を斬ろうとするが黄紋様の頭が淡く光コブラみたいな形になる。マチェットが当たるが少ししか斬れない。

 

「硬っ!」

 

ハジメもユエも白紋に攻撃するが当たる直前に黄紋様が防ぐ。

 

「盾役か。攻撃に、盾に、回復実にバランスいい事だな!」

 

ハジメが"焼夷手榴弾"を上に投げ、ドンナーを最大火力で撃ちまくる。ユエもハジメに合わせて"緋槍"を連発する。黄紋様が全てを受け止めるが今度は無傷では済まなかったようだ。

 

「クルゥアン!」

 

すかさず白紋様の頭が黄紋様のあたまを回復させる。

しかしその直後、上に投げられていた"焼夷手榴弾"がヒュドラの頭の上で爆発し摂氏三千度のタールが降り注ぐ。身を焦がされる痛みに悲鳴を上げながら悶えている。このチャンスを逃すか!とハジメが凶夜とユエに"念話"で合図を送ろうとした時、ユエの絶叫が響いた。

 

「!?ユエっ」

 

咄嗟にユエに駆け寄ろうとするが赤紋様と緑紋様が炎弾と風刃を飛ばしてくる。その間に凶夜が入り込み全て薙ぎ払う。

 

「いけ」

 

短い言葉だがヒュドラの気を引くからユエの元に急げと言う事だろう。ハジメは感謝の言葉をいいながらユエの元に行きながら何か思い付いたかのようにさっきまで何もしていなかった黒い紋様がの頭にドンナーを発砲し頭を吹き飛ばすとユエの悲鳴が止む。

凶夜は相変わらず炎弾と風刃を薙ぎ払いながら隙があれば白紋様に攻撃をし黄紋様に防がれるを繰り返している。

くたりと倒れ込んでいるユエに青紋様の頭が口を開けユエを強襲するが、ハジメがドンナーを発砲して青紋様の頭を吹き飛ばす。ヒュドラの相手は凶夜に任せ一旦ユエを抱えて柱の影に隠れる。

"空力"や"縮地"を使いながら炎弾、風刃を避ける、隙を見つけては突進し黄紋様に弾かれ、また炎弾、風刃の繰り返し。

 

「ユエはハジメが何とかするだろ。それまでどっちが持つか勝負するか?えぇ?」

 

こんなピンチでも笑いながら戦っている凶夜の頭の中に急にハジメやユエが死んでしまい、守るモノがなくなってしまう光景が広がる。凶夜にとっては絶望に等しい光景を目の前にして……

 

「"狂界突破"!!」

 

狂化で無理矢理解除する。ユエが食らったのはこの魔法の様だ。同じ光景かどうかは知らないが同じくらいの絶望を味わったんだろう。

 

「狂戦士ガ恐慌状態ニナルワケネェダロ!!」

 

迫り来る炎弾、風刃を片手のマチェット一本で吹き飛ばし、もう一度白紋様の頭に突進するが黄紋様の頭が間に入り防ぐ態勢に入る。が、「関係ネェ!!」と言い両手を振り上げ振り下ろす。

 

「我流 断罪!!」

 

黄紋様の頭がボトリと落ちる。すぐさま白紋の頭が回復するが回復してもすぐ切り落として白紋様の頭に攻撃を仕掛けるが炎弾と風刃それと氷弾も混ざって凶夜に迫るが、"空力"を使い一旦離脱する。その間にまた黄紋様の頭が回復する。

 

「ヤッパ、キリガナイナー」

 

するとユエが魔法を使い、赤紋様の頭、青紋様の頭、緑紋様の頭に魔法をぶつける。そのユエに黒紋様の頭が再びユエに魔法をかけるが、

 

「……もう効かない!」

 

ユエはハジメを援護すべく赤紋様、青紋様、緑紋様の頭達と魔法の撃ち合いをしている。ハジメは三つの首がユエに掛かりきになってある間に、一気に接近する。黒紋様がユエと凶夜に魔法が効かないと悟ると今度はハジメに視線を向ける。ハジメの胸に奈落に来たばかりの苦痛と飢餓感が蘇ってくる。が、それはとっくに耐え切った過去の事だ。ハジメには効かなかった。ハジメはドンナーで黒紋様の頭を吹き飛ばす。

白紋様の頭がすぐさま回復させようとするが"空力"と"縮地"で飛び上がりシュラーゲンを構える。黄紋様の頭がが立ち塞がるが、

 

「オレヲワスレテンジャネーヨ!! 我流 断罪!!!」

 

黄紋様の頭が再度落ちる。そしてハジメが"纏雷"を使いシュラーゲンが紅いスパークを起こす。そして引き金が引かれる。

 

ドガンッッ!!

 

大砲でも撃ったかの様な炸裂音がし、その光景はさながら極太レーザー兵器の様だ。弾丸はそのまま白紋様の頭に直撃し粉砕、そして後ろの壁を爆砕した。その光景に残り三つの頭が呆然と見ているが彼等の相手している敵は目を離していい相手ではなかった。

 

「"天灼"」

 

黄金の魔力を乱舞させる吸血姫。その力が、降り注ぐ。三つの頭の周りに六つの放電する雷球が、取り囲み次の瞬間、互いに放電し合い結びつき一つの巨大な雷球を作り出した。

中央の雷球が弾けると六つに囲まれた範囲内に凄まじい電撃を撒き散らした。そして十秒以上続いた最上級魔法になす術なく、三つの頭は消し炭になった。

いつもの如く、魔力枯渇でペタリと座り込むユエと狂化を解除しギ○2みたくなってる凶夜。ユエは無表情ながら何処か満足げに、ハジメはそんなユエに頬を緩ませながら、凶夜はそんな二人に苦笑いしながら三人でサムズアップした。ハジメと凶夜がわずかに残ったヒュドラの残骸に背を向けながらユエの元に向かおうと歩き出した。

その直後、

 

「ハジメ!凶夜!」

 

ユエの切羽詰まった声を聞き、何事かと後ろを振り返ると、そこには音もなく七つ目の頭が胴体部分からせり上がり、凶夜とハジメを睥睨としている姿があった。凶夜もハジメも思わず硬直してしまった。

直後、七つ目の銀色に輝く紋様を刻んだ頭はスッとユエの方に視線を逸らすと鋭い眼光で予備動作なく極光を放った。ユエは魔力枯渇で動けない。ハジメは銀紋様の頭が視線を逸らした瞬間走り出していた。

極光がユエを消し飛ばす前にハジメは立ち塞がる事に成功した。極光がハジメを飲み込む。後ろのユエも余波で吹き飛ぶ。

 

「ハジメぇ!!!」

 

極光が終わりようやく動く事ができた凶夜は、仁王立ちしたまま全身から煙を噴き上げるハジメの元に駆け寄る。地面には溶解したシュラーゲンの残骸が残っていた。ハジメはそのままぐらりと前のめりで倒れる前に凶夜がキャッチするがハジメの下から血が流れ出てくる。仰向けにしたハジメはひどい状態だった。ハジメの"金剛"を突き抜けダメージを与えたのだろう。もし、シュラーゲンを盾にしていなければ即死していたかもしれない。ユエもハジメの元に駆け寄ってきて神水を飲ませようとするが敵がそんな時間をくれる訳もない。

今度は十センチ程の光弾をガトリング掃射の様に撃ち出してきた。凶夜は既に狂化の修復を終えている状態だった為、ユエとハジメを抱えて柱の影に隠れる。柱を削るように次々に光弾が撃ち込まれる。光弾一つ一つにも凄まじい威力が込められているのだろう。このままだと一分も持たない。

ユエは「ハジメ………ハジメ……」とパニックになっている様だ。

 

「ユエ!ハジメに神水を飲ませろ!」

 

ユエはハッとしたかの様に神水を取り出して飲ませようとするがハジメは飲む力もないのだろう、むせて吐き出してしまう。ユエは神水を口に含みむせるハジメを押さえつけて飲ませた。しかし、神水は止血効果はあったもののいつものようにすぐに回復しない。

 

「どうして!?」

 

ユエは手持ちの神水をありったけ取り出す。

 

実はヒュドラの極光には肉を溶かしていく毒の様な効果も含まれており普通はなす術なく溶かされていくのだが、神水の回復力が凄まじく溶解速度を上回っており時間をかければ治りそうである。

 

「ユエはこのままハジメと隠れてろ。"狂界覇壊"を試す。理性がない様なら俺を殺せ。いいな!」

 

"狂界覇壊"はまだ試した事のない派生技能で理由は、今度こそ理性を保てる保証がないからだ。そういう危険が含まれているからハジメとの約束で使わない約束をしていた。が、ハジメがやられてどうしようもない今、使わないで死ぬくらいなら刺し違えてでもコロスと何時ぞやの大蛇の時のように考えていた。どちらにせよ死闘になり凶夜が生き残ってもヒュドラが生き残ってもあとはトドメを刺す状態になるだろうと考えユエに理性がない様なら殺せと言って柱の影から外に出る。

 

銀紋様の頭と目が合う。瞬間ガトリング掃射の光弾が迫り来る。

 

「"狂界覇壊"」

 

それと同時にシュゥウ!と音を立てて"不滅"も発動する。どうやら使うと同時に体を限界以上に酷使する様で立っているだけで骨折、筋肉断裂等の怪我を負うそのかわり光弾が止まって見えている。ユエもハジメもしっかりと認識出来ている、理性は放棄してない様だ。だがこのままだと"不滅"で魔力枯渇なったら動けなくなってしまう。殺るなら短期決戦!と思い光弾をかわしつつ銀紋様の頭に突進し斬り掛かるがスピードの加減が速すぎて出来ず、いくつか光弾を肩と腹に食らってしまうが止まらずに進む。傷の治りが遅く"不滅"にも極光の効果は有効の様だ。

そして、銀紋様の頭の首を両断するつもりで両手のマチェットを振るう。が銀紋様の頭はソレを避ける。何故避けれる!?と思った瞬間目の前が真っ赤になり、口から血を吐き出す。"狂界覇壊"のタイムリミットもとい"不滅"で魔力を使いすぎて魔力枯渇が起き"狂界覇壊"が保てなくなったのだ。そして元のスピードに戻り、避けられてしまった。

あまりにも燃費が悪いというより"不滅"がなければ即死の様な技能を一秒以上も使えたのだから凶夜はある意味凄いのだ。銀紋様の頭が現れる前に"狂界突破"を使っていなかったらもう少し長く使えたかもしれないが今となっては関係のない話だ。

 

「グゾがっ!!!」

 

銀紋様の視線がこちらを向き、これで死んでしまうのかと思った時、銀紋様の頭のこめかみの部分に弾が当たった。

視線が凶夜から銃を発砲したユエに向く。(なんで出てきた!!)と言いたも声が出ない。意識もだんだん薄れてきて、徐々に追い込まれるユエを見ることしか出来ない。

 

(クソッ!!クソッ!!なんで守れない!!)

 

ユエが倒れ、トドメと言わんばかりに銀紋様が光弾が放たれるが……刹那一陣の風が吹いてソレがハジメであることを確認して、

 

(あぁ、やっぱりお前には敵わないなぁ…)

 

凶夜は意識を手放した。

 

 

 

 

 




読んで頂きありがとうございます。
感想聞かせてください。モチベーションに繋がります。

雫をオリ主のヒロインにしてもいいか?

  • いいよ
  • ダメ
  • 好きにしろよ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。