「っ痛〜〜」
凶夜は強烈な痛みと共に目を覚ました。肩と腹の傷がまだ塞がっておらず、瞬間的に"不滅"を使う。もう”不滅"が癖になっている。シュゥウ!という音と共に全快する。ゴキゴキと体を鳴らし、体の調子を確かめる。
広大な空間に住み心地なら良さそうな居住スペースだ。どうやら自分はソファの上に寝ていたらしい。霞がかった頭が徐々に晴れていき、自分がどんな状況で気絶したか思い出す。
「ハジメ!ユエ!」
急いで他の部屋を開けていく。そして、一部屋ベッドの部屋にユエ、ハジメが寝ていた。
「よかった〜」
ヘナヘナと力が抜けてへたり込む凶夜。どうやら二人とも無事らしい。よく見るとハジメの傷も塞がっておりユエが看病したであろう痕跡が残っている。今は寝かしておくか…とゆっくりとドアを閉めて、色々探索しようと思うのだった。
まず目に入ってきたのは太陽らしきもの。地下の迷宮に何故太陽があるのか考えても分からんのであるがままを受け入れ、ハジメが起きてから考えようと考えることを放棄してベッドルームに隣接する建築物の方に足を進める。どうやら三階建てのようで上まで吹き抜けになっている。取り敢えず下から見ていく事にした凶夜。暖炉や絨毯、さっきまで寝ていたソファーならあるリビング、台所、トイレまである。更に奥まで進むと外に出た。そこには大きな円状の穴があり、その縁にはライオンらしき動物の彫刻が口を開けて居座っている。彫刻の隣には魔法陣が刻まれており、魔力を注げば口から勢いよく温水が飛び出した。
「風呂かぁ、入りてぇ〜まぁ、後でだな」
風呂の未練を断ち切り、次は二階を見る。そこは書斎と工房の様な部屋があり中のドアは封印されているらしく入れなかった。ここも、ハジメと相談と決め、次に三階の奥の部屋に向かう。三階には一部屋しかないらしく
そこには七、八メートルの魔法陣が部屋の中央のゆかに刻まれてあった。その向こうには豪華な椅子に座っている白骨化した骸があり、黒に金の刺繍が施されたローブを羽織っている。
「ん〜、後回し」
魔法陣にのってもいいのだが、転移される危険などを考えたらハジメ達が起きるのを待った方がいいだろう。
そして、一回のリビングに戻りソファに寝っ転がり、ハジメ達が起きるのを待とうと思っていたところベッドの部屋の方が騒がしい。どうやらハジメが起きたようだ。急いでベッドの部屋にいき、取り敢えずさっきの光景を思い出して、ノックをする。
「ハジメ、ユエ、入っていいか?」
「ちょっ、ちょっと待ってくれ!」
ちょっと待ってからハジメ達の方が出てくる。ユエはおそらく裸に男物のシャツを着て、あざとい……ハジメは上質な男の服を着ていた。どこから持ってきたのやら、ハジメは出てきた瞬間太陽がある事に驚いていた。
「……夜になると月になるみたい」
「マジか…」
「へぇ〜」
ユエの説明に驚く凶夜とハジメ。そしてハジメが聞いてくる。
「ん?凶夜はいつ目覚めたんだ?」
「つい十分前くらいだな、肩と腹の傷が痛くて起きた」
ユエの説明によると神結晶から取れる神水がめっきり減っていて、凶夜にも飲ませたがハジメの方が重症だったため優先したようだった。凶夜に神水を飲ませたら既に肩と腹の傷も徐々に回復していたから……とシュンとして謝ってきたが別に気にしてないといい和解した。
そしてハジメ達ともう一度、反逆者の住処を探索する。最後にもう一度三階の奥の部屋に入る。
「これ、どう思う?」
「まぁ、地上への道を調べるには、この部屋がカギだろうしな。ユエと凶夜は待っていてくれ。なんかあったら頼む」
「いや、俺が言った方がいいんじゃないか?ハジメは装備も万全じゃない。俺なら何かあっても"不滅"がある」
「いやでも、」
渋るハジメを無視して魔法陣の上にのると、カッと光が爆ぜ部屋を埋め尽くした。眩しく目を閉じる凶夜。直後、何かが頭の中に侵入し、走馬灯の様に奈落に落ちてからここまでの事が脳裏をよぎる。
やがて目を開けると目の前には………いつのまにか黒衣の青年が立っていた。よく見れば後ろの骸と同じ服装だ。
「試練を乗り越えてよく辿り着いた。私の名はオスカー・オルクスこの迷宮を創った者だ。反逆者といえば分かるかな?」
凶夜達はやはりと思いつつオスカーの話を聞き続ける。
「質問は許して欲しい。これは記録映像のような物でね、生憎君の質問には答えられない。世界をの真実を知る者として我々が何のために戦ったのか……メッセージを残したくてね。この形を取らせてもらった。どうか聞いて欲しい。……我々は反逆者であって反逆者ではないということを」
そうして、始まったオスカーの話は凶夜やハジメが聞いた聖教教会で教わった歴史やユエに聞かされた反逆者の話とは大きく異なった驚愕すべきものだった。
それは狂った神とその子孫達の戦いの物語。
オスカーの話を要約すると、神は人々を駒として遊戯のつもりで戦争を促していたのだ。人々を守るため"解放者"七人を中心に彼等は神に戦いを挑んだ。しかし、神が人々を巧みに操り、"解放者"達を神敵であると認識させて人々自身に相手をさせた。守るための人々に力を振るうためにはいかず"解放者”達は次々打たれていって最後に残ったのは中心だった七人。その七人が、大陸の果てに迷宮を創り潜伏し、試練を用意して突破した強者に自分達の力を譲り、いつの日か神の遊戯を終わらせることを願って。
「君が何者で何の目的でここに辿り着いたのかは知らない。君に神殺しを強要するつもりもない。ただ知っておいて欲しかった。我々が何のために立ち上がったのか……君に私の力を授ける。どう使うのも君の自由だ。たが、願わくば悪しき心を満たすためには使わないで欲しい。話は以上だ。聞いてくれてありがとう。君のこれからが自由な意志の下にあらんことを」
話を締めくくり、記録映像は消えた。と同時に凶夜の脳裏に何かが侵入してくる。少し痛むが、それがとある魔法を刷り込むためだと分かり大人しく耐えた。痛みも収まり魔法陣の光も収まる。
「凶夜、大丈夫か?」
「あぁ、問題ない」
「なんか、どえらい事聞いちまったな」
ユエがハジメにオスカーの話を聞いてどうするか聞いた。
「うん?別にどうもしないぞ?元々勝手に召喚して戦争しろとかいう神なんて迷惑だと思ってたからな。この世界がどうなろうと知った事じゃないし。地上に出て帰る方法探して、故郷に帰る。それだけだ……ユエは気になるか?」
「私の居場所はここ……他は知らない」
首をふるふる振ってからハジメに寄り添い手を取る。そして、凶夜が口笛を吹いて茶化す。
「お熱いことでー」
「そういう凶夜は今の話どう思う?」
「俺は元々、勝手に滅んでろって思ってたからなー。今更こんな話聞いてもなんとも思わん。やっぱ勝手に滅んでろとしか思わんな」
元々、凶夜は戦争に否定的だった事もあり、オスカーの話もへぇ〜としか思っていなかった。それよりも、
「この魔法ハジメ向きの魔法だ。絶対覚えた方がいい、断言する」
「どんな魔法だ?」
「簡単に言えば鉱物に付加して新しい鉱物を生成できる魔法?だ!とにかく覚えろ!ユエも!覚えて損はねぇ!」
強引に二人の腕を掴み魔法陣の上に乗せる。
魔法陣が光り、ハジメとユエの記憶を探る。そして試練をクリアしたものと判断されたのか……
「試練を乗り越えてよく辿り着いた。私の名はオスry………」
また、オスカーが現れた。ペラペラ同じ事を語るオスカーを無視して三人で話す。
「覚えれたか?」
「確かに俺向きの魔法だな。アーティファクトが作れるんじゃないか?」
「ん……覚えれたかけど……アーティファクトは難しい」
「神代魔法も相性とか適正あるんじゃないかー?俺も無理だな!」
そんな事を話しながらも隣ではオスカーが話している。なんともシュールだ。凶夜が切り出す。
「とりあえず、この骸オスカーは埋葬するか」
「ん……畑の肥料…」
ユエに慈悲は無かった。
「そうだな、片付けるか」
ハジメにも慈悲はなかった。
オスカーを畑の端に埋め、一応墓石も立てた。流石に肥料扱いは可哀想過ぎて凶夜が、一応墓の前で手を合わしてる。埋葬が終わると封印されていた場所に向かう。オスカーのしていた指輪には紋様が刻まれておりその紋様が封印されていた扉と同じだったのだ。
まずは書斎だ。一番の目的、地上への道を探さなければならない。目ぼしいものを調べていき、この住居の施設設計図を見つけた。
「ビンゴだ!あったぞ!」
「んっ」
「よっし」
設計図によると三階の魔法陣が地上の魔法陣と繋がっているようで、オルクスの指輪を持ってないと発動しない様だ。貰っておいて良かった。ハジメは設計図を見てあくどい笑みを浮かべていた。なんか貰おうとしてるんだろうなぁと凶夜は思ってハジメを眺めてるとユエがオスカーの手記をハジメに手渡している。その中に他の六人の迷宮に関して書かれている。
「あれか?他の迷宮をクリアすると…」
「…創作者の神代魔法が手に入るということか?」
「……かも」
手記によれば、オスカー同様六人の"解放者"達も迷宮の最深部で攻略者に教授する用意をしているようだ。
「……帰る方法見つかるかも」
その可能性は高いだろう。実際、召喚魔法という世界を超える転移魔法は神代魔法なのだから。
「だな、これで今後の方針ができた。地上に出たら七大迷宮攻略を目指そう」
「んっ」
「目指すは転移魔法かねー?」
明確な方針ができて頬が緩むハジメ。思わずユエの頭を撫でると嬉しそうに目を細めた。凶夜はまた始まったよと部屋を出て行く。そして向かうのは風呂。
久しぶりの風呂にとてもゆったりと長湯を楽しんでいたらハジメが入ってきた。
「いつまで入ってんだ」
「あー?次いつ風呂に入れるか分かんねーだろー?」
「その事だが…ユエと話し合って暫くココに留まる事にしたんだが凶夜はどうする?拠点としては最高だし、可能な限り準備しておきたい。」
「なら、俺も残る」
「そんなすぐ決めていいのか?」
「逆に俺だけ外に出て何にするんだよ、それに正直、オルクス迷宮をクリアしたとは思ってねぇー。最後まで一緒に戦えなかった。俺はもっと強くならなきゃならねぇ。なら特訓するまで」
サバっと湯船からたち宣言する。
「お前より強くなるぞ、俺は」
その言葉にハジメはニヤリと笑い、「負けねぇよ」と返す。
そして風呂場から出ていき、着替えてリビングに移動しようとしてユエとすれ違う。………ユエとすれ違う???
これ以上は野暮だと考えソファーに寝転び寝る。
二ヶ月経ちこの二ヶ月で三人は比べほどにならない程、実力も装備も充実してる。例えばハジメと凶夜のステータスはこうだ。
南雲 ハジメ 17歳 男 レベル : ???
天職 : 錬成師
筋力 : 10950
体力 : 13190
耐性 : 10670
敏捷 : 13450
魔力 : 14780
魔耐 : 14780
技能 : 錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成][+圧縮錬成]・魔力操作[+魔力放出][+魔力圧縮][+遠隔操作]・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚][+瞬光]・夜目・遠目・気配察知[+特定感知]・魔力感知[+特定感知]・熱源感知[+特定感知]・気配遮断[+幻踏]・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・恐慌耐性・全属性耐性・先読・金剛・豪腕・威圧・念話・追跡・高速魔力回復・魔力変換[+体力][+治癒力]・生成魔法・言語理解
北野 凶夜 17歳 男 レベル : ???
天職 : 狂戦士
筋力 : 12900
体力 : 14060
耐性 : 14070
敏捷 : 15030
魔力 : 35060
魔耐 : 10060
技能 : 狂化[+狂界突破][+狂界覇壊]・魔力操作[+魔力放出][魔力圧縮][+遠隔操作]・胃酸強化・不滅[+高速魔力回復][+高速治癒][+魔力消費緩和]・纏雷・天歩[+空力][+豪脚][+瞬光]・夜目・遠目・魔力感知[+特定感知]・熱源感知[特定感知]・気配遮断[+幻踏]・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・恐慌耐性・全属性耐性・威圧・念話・追跡・魔力変換[+体力][+治癒力]物理耐性[治癒力上昇][衝撃緩和]・金剛・豪腕・縮地・先読・気配感知・生成魔法・言語理解
魔物を食べ過ぎた凶夜達はいつしかレベルが非表示になっていた。ハジメはヒュドラから手に入れた"限界突破"は能力を三倍にする。
ちなみに凶夜の"狂界覇壊"は十倍になる。だから体がついてこないのだが"不滅"による強引な運用で今は十五秒は体が持つようになった。
ハジメは義手のアーティファクトら神結晶から作られた魔眼や“宝物庫"といった物を出し入れするアーティファクトを作ったり、その中には大量の兵器やアーティファクトが入っている。
ハジメの今の戦い方はガン=カタ。ドンナーとシュラークの二丁の電磁加速銃を使った戦い方だ。凶夜は我流二刀流を極めに極めた二刀流の一、二メートルのマチェット二刀流のままだ。
ハジメは白髪、義手、眼帯と見事に厨二キャラになっていた。ハジメは落ち込みユエが慰め、凶夜は大爆笑。
神結晶から膨大な魔力を蓄えるという性質を利用し、一部をイヤリングやネックレス、指輪などにしてユエや凶夜に渡していた。ユエは「……プロポーズ?」何で言ったりしていたが……凶夜からの一言は「爆発してしまえ」だった。
それから十日後、三階の魔法陣を起動させながらハジメは言う。
「俺の武器や俺達の力は、地上では異端だ。聖教教会とかがだまってないだろう」
「ん……」
「そりゃーな」
そして色々な危険性を語りその都度ユエと凶夜が相槌をうつ。
「俺達は最強だ。全部薙ぎ倒して世界を越えよう」
「んっ!」
「ったりめーだ!相棒」
そして魔法陣が起動する。
読んで頂きありがとうございます。
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