ありふれない狂戦士で世界最凶   作:黒い兎♪

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やっとヒロインの登場ですわ。ハーレムにするかはまだ考えてません。ちなみに作者の推しは雫です。可愛いよね…ね?


残念ウサギとクールなキツネ

暗い洞窟の中で魔法陣が紅色の光が奔り始め、そして強く強く輝きが増して行く。一拍し、光が爆ぜる。やがて光が宙に霧散していき、魔法陣の上に立つ影が三人見え始めた頃、木霊したモノは………

 

「なんでやねん」

 

ツッコミだった。心底ガッカリした表情で佇むハジメに慰める様にユエが自分の推測を話す。

 

「……秘密の通路……隠すのが普通」

 

「…ああ、そうか。確かに創設者の隠れ家への直通の道が隠されてない訳ないか」

 

どうやら相当に浮かれていたらしいハジメは恥ずかしそうに頭をポリポリと掻く。

 

「流石に魔物とか出てこないよな?」

 

警戒している凶夜にもそれはないだろうとハジメは言う。もしもいたとしてもオルクスの指輪があるから創設者と見なされるのではないかと。

それを聞き一応最低限の警戒だけしておいて軽く肩の力を抜く。

洞窟の奥に異変を見つける。綺麗な縦線の刻まれた壁があり、ハジメの目の高さくらいのところにオスカー・オルクスの紋章があった。

ハジメはオスカーの指輪をかざしてみた。するとゴゴゴッと雰囲気たっぷりに音を響かせて壁が左右に開き、更に奥の通路を晒した。

凶夜達はその通路を進む。脇道等はないので道なりに進む。いくつかトラップ等があったがオルクスの指輪が尽く勝手に解除していった。……そうして遂に光を見つけた。

外の光だ、凶夜とハジメは数ヶ月、ユエに至っては三百年求めてやまなかった光。三人は目を合わせ、湧き上がる感情を抑えきれず思わず溢れ出した笑みを浮かべ、同時に光に向かって走り出した。

そして、三人は同時に光へ飛び込む。

待望の地上だ。

そこは、断崖の下はほとんど魔法が使えず、にもかかわらず多数の強力な魔物達が生息している。深さは大体一・二キロメートル幅は八百メートルから最大八キロメートル。西の【グリューエン大砂漠】から東の【ハルツィナ樹海】まで大陸を南北に分断する大地の傷跡を人々はこう呼ぶ。

【ライセン大峡谷】と。

 

たとえだな場所だろうと確かにそこは地上だった。呆然と太陽を見上げていた三人は表情が次第に緩んでいき笑みを作る。無表情がデフォルトのユエでさえ誰がみても頬が緩んでいる。

 

「……戻ってきたんだな」

 

「……んっ」

 

「ハハハ」

 

さまざまな感情を孕んだ声でハジメが呟けばユエも力一杯の返事をする。凶夜は嬉しすぎて目尻に涙を溜め笑いが込み上げていた。そんなやりとりでようやく実感が湧いたのかハジメとユエはガバっとお互いを抱きしめて叫ぶ。

 

「よっしゃあぁぁぁ!!戻ってきたぞおおおお!!」

 

「んっーー!!」

 

そんなハジメ達を見て凶夜はまた、イチャってら。と思いあたりを散策することにする。まぁ、散策という名の魔物退治だが、ハジメとユエの声に釣られてか魔物達が集まって来ていたのだ。

 

「あんだけ騒げばあつまってくるわ……なっ!と」

 

魔物達を一瞬で斬り刻む。それは魔物達は何が起こったかも分からないうちに絶命するほどの早業、斬られたなんて全く想像出来ずに死んでいったであろう魔物達を見て凶夜は呟く。

 

「満足するまで余韻に浸らせてやってくれや」

 

辺りが血の海になった頃ハジメとユエが近づいてくる。

 

「そっちも終わったか?」

 

どうやら予想以上に魔物を集めていたらしい。ハジメ達の方にも魔物は行っていたようで向こうも血溜まりになっていた。

 

「ここはユエもハジメもやり辛いだろ?」

 

そういう凶夜に、普段の十倍の魔力を使えば対応できるというが、やはり魔力を使わない戦い方の凶夜が一番適していることに代わりはなかった。

もう魔物には興味ないとばかりに、峡谷の絶壁に視線を移す。

 

「さて、この絶壁を登ろうと思えば登れるが……どうする?ライセン大峡谷といえば、七大迷宮のある所だ。せっかくだし樹海側に向けて探索でもして進むか?」

 

というハジメにユエが何故樹海側なのかという質問をぶつけて、それにハジメはいきなり砂漠横断とか嫌だろ?と答え、納得する。

ハジメは中指に嵌っている"宝物庫"に魔力を注ぎ、魔道二輪"シュタイフ"を二台取り出す。アメリカンタイプの黒いボディでかなり大型だ。この見た目の制作にはバイク好きの凶夜も関わっていた。燃料は、魔力の直接操作によって動かすので駆動音は静かである。凶夜もハジメもエンジン音がある方がロマンがあると思ったのだがエンジンの構造を凶夜が上手く説明出来ず再現出来なかったのだ。言語化がとても苦手だと思った凶夜だった。

ハジメとユエが相乗りし、凶夜は一人でシュタイフにまたがる。そして魔力を流し込みシュタイフを発進された。

【ライセン大峡谷】は基本真っ直ぐ伸びた断崖だ。それ故、脇道がほとんどなく道なりに進めば樹海に到着する。

三人は迷う心配がないので迷宮への道がないか注意しつつ、軽快にシュタイフを走らせていく。

大きくカーブした崖を回り込むとその向こうに大型の魔物が見えた。かつて奈落で見たティラノに似てるがそれとは異なり頭が二つある。双頭ティラノサウルスモドキだ。

だが注意すべき点は双頭ティラノではなくその足元をぴょんぴょんと跳ね回りながら半泣きで逃げ惑うウサミミを生やした少女と双頭ティラノから険しい表情で逃げる真っ白いキツネ耳を生やした少女とだろう。

 

ハジメと凶夜はシュタイフを止め、思わぬ人物の登場に疑わしい眼差しを向ける。

 

「「…なんだあれ」」

 

「……兎人族と狐人族?」

 

「なんでこんな所に?兎人族と狐人族の住処なのか?」

 

「それはねーだろ。ライセン大峡谷は処刑場で有名な所だろ?」

 

「じゃあ、犯罪者として落とされたか?」

 

「……ん。悪ウサギと悪キツネ?」

 

三人は逃げ惑う二人を尻目に呑気にお喋りしていた。助けるという発想はないらしい。犯罪者である事を考慮した訳でなくただ単に、赤の他人である以上、単純に面倒で興味がなかっただけである。

ハジメの方はなんとも立派な変心ぶりだった。以前のハジメなら、少なくとも助けようという意思は見せていただろう。

凶夜は元々他人に興味が薄く、家族と呼べるくらい近くにいる人にはやり過ぎというくらい気にかける。ハジメがその例だ。

しかし、お喋りに興じる三人をウサミミ少女達の方も発見したらしい。双頭ティラノの攻撃で寸前で避けながらも吹き飛ばされ逃げる、ハジメ達の方へ。

 

「みづけだぁ!!やっとみづけましだよぉ〜〜!だずげでぐだざ〜い」

 

「シアさん!泣いてないでとにかく逃げて!本当にあの人達なんですね!?助けてください!」

 

顔をぐしゃぐしゃにして必死に駆けてくるウサミミ少女と後ろを確認しながら必死で逃げるキツネミミ少女。そのすぐ後ろに双頭ティラノが迫ってきて少女達に食らいつこうとしていた。このままでは、ハジメ達の元にたどり着く前に少女達は魔物の腹の中だろう。

流石にここまで直接助けを求められたハジメも……

 

「"やっとみつけた"?おかしな事言うやつだな。しかもモンスタートレインかよ」

 

「……ん。迷惑」

 

「ハジメの方向いてたから俺には関係なーい」

 

助ける気はないらしい。必死の叫びにも動じていなかった。ハジメ達が必死の形相で見つめてくるウサミミ少女から視線を逸らすと、助ける気がないのがわかったのか、更に涙を溢れさせていた。

凶夜は面白い事になりそうな予感がしてニヤニヤしながら少女達とハジメ達を交互に見ている。

 

「まっでぇ〜、みすでないでぐたざ〜い!おねがいですぅ〜!!」

 

「そこのニヤニヤしてる人でも構いません!助けてください!」

 

ウサミミ少女が更に声を張り上げてハジメに助けを求める。キツネミミ少女はハジメは無理だと諦めたのだろう、まだこっちを見てくれている凶夜に助けを求める。それでもハジメ達は助ける気がなかったので、このままいけば少女達は食われているはずだった。

そう、双頭ティラノが少女達の向こうにいたハジメ達に殺気を向けさえしなければ。ハジメ達を視界に収めて、更に食欲と殺気をたっぷりと乗せた咆哮を放つ。

それに敏感に反応するハジメ。

 

「アァ?」 

 

「ハハハ!俺よりチンピラ感、増してきてねーか?」

 

双頭ティラノが少女達に追いつきガパリッと顎を開く。ウサミミ少女は「ああ、ここで終わりなのかな…」と瞳に絶望を移し、キツネミミ少女はそのウサミミ少女を助けようと必死に手を伸ばしていたその次の瞬間、

ドパンッ!!と彼女達にとっては聞いた事のない乾いた破裂音が響き渡り、ウサミミの間を紅い閃光が通り抜けた。紅い閃光は双頭ティラノの口内を突き破り、後頭部を粉砕しながら空に消えていく。

力を失った双頭ティラノは地面に激突、その衝撃でウサミミ少女と、キツネミミ少女が吹き飛ぶ。ウサミミ少女はハジメの方に、キツネミミは凶夜の方に。

 

「きゃぁあああーー!た、助けてくださ〜い!」

 

眼下のハジメに向かって手を伸ばすウサミミ少女。男なら黙って受け止める場面。しかしそこはハジメクオリティー。一瞬でシュタイフを後退させ華麗にウサミミ少女をかわす。

 

「アホか、図々しい」

 

「えぇー!?」

 

「……なんて残念なウサギさん」

 

驚愕の悲鳴を上げながらベシャッと痛そうな音を立てて落ちた。両手を広げてピクピクと痙攣している。

一方で凶夜は、

 

「きゃぁああ!」

 

こちらに向かって降ってくるキツネミミ少女をお姫様抱っこて受け止め、そのまま地面に優しく下ろす。

 

「??ありがとうございます?」

 

「なんで疑問系なんだよ」

 

「私もシアさんのように扱われるのかと思ってましたので……」

 

「別にハジメ程、廃れてないわ」

 

少なからずウサミミ少女の様な対応をされると思っていたキツネミミ少女はハジメより人相の悪い凶夜に優しくされるなんて思いもせず、お礼を言うが疑問系になり、それにツッコミを入れる凶夜。

そうしている間にも双頭ティラノは倒され、向こうの話は進んでいる様だった。ハジメの腰にしがみつきながら自己紹介をする。

 

「先程は助けて頂きありがとうございました!私は兎人族のハウリアの一人、シアといいます!取り敢えず、私の家族も助けてください!ものすっごくお願いしますっ」

 

「重ねてお礼を、私は狐人族のスフォと申します。私達の家族を助けてください。お願い致します。」

 

シアはとても、いや、中々の図太さだった。あまりに必死な形相で懇願する姿を見てハジメは仕方ないと肩を竦める。思いが通じた!っと顔を明るくするシアだが待っていたのは

 

「アバババババババババアババ」

 

電圧と電流を調整した"纏雷"だった。死にはしないが暫く動けないくらいの威力はある。そんなシアを見ながら凶夜に助けを求める様な目を向けてくるスフォ。凶夜は答える。

 

「俺は基本俺が大切なモノのこと最優先だ。この場合ハジメが助けないと決めるなら助けないし、助けると決めたら助ける。頼むならハジメに頼りな」

 

崩れ落ちるシアにハジメも励まし?の言葉をかける。

 

「まぁ、なんだ。死ぬ気でやれば、意外となんとかなるもんだ。頑張れよ。行くぞ、ユエ、凶夜。」

 

「ん…」

 

「了ー解」

 

何事もなかったようにシュタイフを発進させようとすると、

 

「に、にがじまぜんよぉ」

 

「ま、待ってください!」

 

ゾンビの如くハジメの脚にしがみつくシア。凶夜のシュタイフの前に飛び出してくるスフォ。

シアのしぶとさに不気味さを唱えるハジメとユエ、その言葉にぷんすかと怒り、更に要求を突きつけるシア。そして「ここで間違えたら未来が変わっちゃいますぅ」と小さく呟いている。そして話を聞く事にしたハジメ。その成り行きでまたイチャイチャし始めるハジメとユエ。

それをまたかと眺める凶夜。客観的に見ればシアもスフォも美少女である。

 

「で、でも!胸なら私もスフォも勝ってます!そっちの女の子はペッタンコじゃらないですか!」

 

--ペッタンコじゃないですか

--ペッタンコじゃないですか

--ペッタンコじゃないですか

 

峡谷に命知らずのウサミミ少女の叫びが木霊する。ユエは前髪で表情を隠したままユラリとシュタイフから降りる。スフォがスッと凶夜の後ろに隠れる。ハジメは「あ〜あ」凶夜は笑いを堪えてプルプルしている。

ちなみにスフォはシアよりはないがユエよりある。ユエは着痩せしているが決して絶壁ではない。

 

--お祈りは済ませた?

--謝ったら許してくれたりは……

--…………

--死にたくなぁい!

 

「--"嵐帝"」

 

「アッーーー!」

 

ユエは「いい仕事した!」という風に汗を拭うフリをしてシュタイフに腰を掛けハジメに問う。

 

「……おっきい方が好き?」

 

ハジメは頑張って解答している。凶夜の後ろのスフォも表情を暗くして自分の胸を触りながら呟く。

 

「やはり、大きい方がいいですよね……」

 

「触った事ねーから知らんけどそうなんじゃね?」

 

と気軽に答える。スフォがズーンと余計に暗くなるが「でも……」と続ける。

 

「大きさ云々よりその人をどれだけ愛してるかによるだろ」

 

スフォは顔をあげハジメとユエが事なき事を得た事にニヤニヤして笑っている凶夜の顔をマジマジと見続けた。

 

 

 




読んで頂きありがとうございます。
感想聞かせてください。喜んで喜びます。

ちなみに、凶夜の顔は一○通行の悪役顔です。はい。服装はハジメの2Pカラーだと思ってください。ハジメは黒のコートに赤い線ですが、凶夜はその逆です。理由は返り血があたっても目立たない様に。

スフォですが東○Projectの犬○ 椛 がデフォのキツネミミや尻尾だと思ってください。

作者はクール系、白髪、素直デレ系は大好物です。
上手く書けてるかは微妙ですけど……

雫をオリ主のヒロインにしてもいいか?

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